臨床医学総論(病理学)の過去問


第57回午前:第76問

脳波検査について誤っているのはどれか。  

1: 開眼するとα波が抑制される。

2: 周波数はα波よりβ波の方が大きい。

3: ノンレム睡眠では高振幅徐波が出現する。

4: 小児では成人に比べて背景活動の周波数が低い。

5: 成人の安静覚醒閉眼時の背景活動はθ帯域である。

  • 答え:5
  • 解説:この問題では、脳波検査に関する知識を問うています。脳波検査は、脳の電気活動を測定する方法で、α波、β波、θ波などの波形があります。それぞれの波形は、特定の状態や年齢において現れることが知られています。
  • 選択肢1は正しいです。α波は、安静で覚醒した閉眼状態で頭頂部や後頭部に現れます。目を開くと、α波は抑制されることが知られています。
  • 選択肢2は正しいです。α波の周波数は8~13 Hzであり、β波は13 Hz以上です。従って、周波数はα波よりβ波の方が大きいです。
  • 選択肢3は正しいです。ノンレム睡眠は、睡眠の深さによって4段階に分かれており、睡眠が深い状態では高振幅徐波が出現します。
  • 選択肢4は正しいです。小児の脳波は成人と比べて高振幅で周波数が低く、不規則で左右差が見られます。従って、小児では成人に比べて背景活動の周波数が低いです。
  • 選択肢5は誤りです。成人の安静覚醒閉眼時の背景活動はα帯域であることが一般的です。θ帯域は、安静閉眼時には通常出現せず、てんかんや脳腫瘍などの脳機能障害時に出現することが知られています。
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第57回午後:第75問

組織の再生能力が最も高いのはどれか。  

1: 角 膜

2: 骨 髄

3: 心 筋

4: 神 経

5: 横紋筋

  • 答え:2
  • 解説:組織の再生能力は、その組織の細胞の分裂能力や修復能力によって異なります。再生能力が高い組織には結合組織、神経膠組織、表皮、粘膜上皮、肝細胞、骨組織などがあります。
  • 角膜は、再生能力がほとんどないため、組織の再生能力が最も高いとは言えません。
  • 骨髄(骨組織)は、再生能力が高く、骨折などの際に修復が行われるため、組織の再生能力が最も高いと言えます。
  • 心筋は、再生能力がほとんどなく、心筋梗塞などの際に損傷した部分が修復されにくいため、組織の再生能力が最も高いとは言えません。
  • 神経には末梢神経と中枢神経があります。末梢神経は再生能力が強いですが、中枢神経は再生能力がほとんどないため、組織の再生能力が最も高いとは言えません。
  • 横紋筋(骨格筋)は、再生能力が比較的弱く、筋肉損傷などの際に修復が遅いため、組織の再生能力が最も高いとは言えません。
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第56回午後:第76問

急性炎症と比較した場合の慢性炎症の特徴はどれか。  

1: 局所の浮腫

2: 白血球の集積

3: フィブリン析出

4: 毛細血管の退縮

5: 血管透過性の亢進

  • 答え:4
  • 解説:急性炎症と慢性炎症は、症状や組織の変化に違いがあります。急性炎症では炎症の四徴(熱感、発赤、疼痛、腫脹)が見られ、血管の変化や白血球の動きが特徴的です。一方、慢性炎症では萎縮や循環障害、進行性病変が特徴です。
  • 局所の浮腫は急性炎症の特徴であり、慢性炎症ではないため、この選択肢は正しくありません。
  • 白血球の集積は急性炎症時に見られる現象であり、慢性炎症の特徴ではないため、この選択肢は正しくありません。
  • フィブリン析出は急性炎症時に血管透過性の亢進により起こる現象であり、慢性炎症の特徴ではないため、この選択肢は正しくありません。
  • 毛細血管の退縮は慢性炎症の特徴であり、急性炎症時には毛細血管の拡張が見られるため、この選択肢が正しいです。
  • 血管透過性の亢進は急性炎症の特徴であり、慢性炎症ではないため、この選択肢は正しくありません。
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第56回午後:第77問

痙縮の治療に用いられるボツリヌス毒素の作用部位はどれか。  

1: 筋小胞体

2: 脊髄前角

3: 脊髄前根

4: 運動神経終末

5: 脊髄後根神経節

  • 答え:4
  • 解説:ボツリヌス毒素は、筋緊張や痙攣の治療に使用される。作用機序は、運動神経終末のアセチルコリンの分泌を阻害することで、筋収縮が阻害され、筋緊張や攣縮が改善される。
  • 筋小胞体は、筋肉細胞内のカルシウム貯蔵庫であり、ボツリヌス毒素の作用部位ではない。
  • 脊髄前角は、運動神経細胞の集まりであり、ボツリヌス毒素の作用部位ではない。
  • 脊髄前根は、運動神経が脊髄から出る部分であり、ボツリヌス毒素の作用部位ではない。
  • 運動神経終末は、ボツリヌス毒素がアセチルコリンの分泌を阻害する部位であり、正しい答えである。
  • 脊髄後根神経節は、感覚神経が脊髄に入る部分であり、ボツリヌス毒素の作用部位ではない。
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第56回午後:第78問

抗コリン薬の作用で生じにくいのはどれか。  

1: 尿 閉

2: 便 秘

3: 流 涎

4: せん妄

5: めまい

  • 答え:3
  • 解説:抗コリン薬は、副交感神経の伝達物質であるアセチルコリンの働きを抑えることで、消化器運動の亢進や胃腸などの痙攣を改善します。そのため、尿閉や便秘、せん妄、めまいなどの症状が生じやすくなりますが、流涎は抗コリン薬の作用で生じにくい症状です。
  • 尿閉は、抗コリン薬の作用により生じることがあります。これは、抗コリン薬が尿道括約筋の緊張を維持し、尿の排出を阻害するためです。
  • 便秘は、抗コリン薬の作用により生じやすい症状です。これは、抗コリン薬が消化器の運動を抑制し、便の通過が遅くなるためです。
  • 流涎は、抗コリン薬の作用で生じにくい症状です。抗コリン薬は唾液の分泌を抑制するため、むしろ口の乾燥が生じることがあります。
  • せん妄は、抗コリン薬の副作用として生じることがあります。これは、抗コリン薬が中枢神経系に作用し、神経伝達物質のバランスが乱れることが原因です。
  • めまいは、抗コリン薬の副作用として生じることがあります。これは、抗コリン薬が血管の拡張や平滑筋の緩和を引き起こし、血圧の変動が原因で起こることがあります。
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第56回午後:第87問

炎症と原因の組合せで誤っているのはどれか。  

1: 外 傷 ── 物理的原因

2: 日 光 ── 物理的原因

3: 寄生虫 ── 生物学的原因

4: 放射線 ── 化学的原因

5: アルカリ ── 化学的原因

  • 答え:4
  • 解説:炎症の原因は生物的原因、物理的原因、化学的原因に分類されます。生物的原因は病原体による刺激、物理的原因は機械的外力や放射線などによる刺激、化学的原因は化学物質による刺激です。この問題では、放射線が誤って化学的原因とされているため、選択肢4が正解です。
  • 外傷は機械的外力による刺激であり、物理的原因に分類されます。この選択肢は正しいです。
  • 日光は紫外線などによる刺激であり、物理的原因に分類されます。この選択肢は正しいです。
  • 寄生虫は病原体による刺激であり、生物学的原因に分類されます。この選択肢は正しいです。
  • 放射線は物理的原因に分類されるべきですが、この選択肢では誤って化学的原因とされています。この選択肢が正解です。
  • アルカリは化学物質による刺激であり、化学的原因に分類されます。この選択肢は正しいです。
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第56回午後:第94問

人工透析患者の死亡原因として最も多いのはどれか。  

1: 肺 炎

2: 心不全

3: 脳出血

4: 悪性腫瘍

5: 慢性肝炎

  • 答え:2
  • 解説:人工透析患者の死亡原因で最も多いのは心不全であり、次に感染症、悪性腫瘍、脳血管障害の順に多い。
  • 肺炎は人工透析患者の死亡原因としては2番目に多い疾患であり、最も多い原因ではない。
  • 心不全は人工透析患者の死亡原因として最も多い。透析患者は心血管系の合併症が多く、心不全が最も多い死亡原因となる。
  • 脳出血は人工透析患者の死亡原因としては悪性腫瘍に続く多さであり、最も多い原因ではない。
  • 悪性腫瘍は人工透析患者の死亡原因として感染症に続く多さであり、最も多い原因ではない。
  • 慢性肝炎は人工透析患者の死亡原因としては少なく、最も多い原因ではない。
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第56回午前:第90問

疾患と遺伝形式の組合せで正しいのはどれか。  

1: 筋強直性ジストロフィー ── 常染色体優性遺伝

2: 脊髄性進行性筋萎縮症 ── 伴性劣性遺伝

3: Becker型筋ジストロフィー ── 常染色体劣性遣伝

4: Duchenne型筋ジストロフィー ── 常染色体優性遺伝

5: Huntington病 ── 伴性劣性遺伝

  • 答え:1
  • 解説:この問題では、疾患とその遺伝形式の正しい組み合わせを選ぶ必要があります。正しい組み合わせは筋強直性ジストロフィーと常染色体優性遺伝です。
  • 筋強直性ジストロフィーは常染色体優性遺伝の疾患であり、正しい組み合わせです。常染色体優性遺伝では、病気の遺伝子を1つだけ持っていても病気が発症します。
  • 脊髄性進行性筋萎縮症は常染色体劣性遺伝の疾患であり、伴性劣性遺伝ではありません。常染色体劣性遺伝では、病気の遺伝子を2つ持っていないと病気が発症しません。
  • Becker型筋ジストロフィーは伴性劣性遺伝の疾患であり、常染色体劣性遺伝ではありません。伴性劣性遺伝では、X染色体上の遺伝子が原因で、女性はキャリアになりやすく、男性が病気を発症しやすい特徴があります。
  • Duchenne型筋ジストロフィーは伴性劣性遺伝の疾患であり、常染色体優性遺伝ではありません。伴性劣性遺伝では、X染色体上の遺伝子が原因で、女性はキャリアになりやすく、男性が病気を発症しやすい特徴があります。
  • Huntington病は常染色体優性遺伝の疾患であり、伴性劣性遺伝ではありません。常染色体優性遺伝では、病気の遺伝子を1つだけ持っていても病気が発症します。
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第55回午前:第73問

肺機能検査とその説明の組合せで正しいのはどれか。  

1: 1秒量 ―――――安静呼気の呼出開始から1秒間に呼出した肺気量

2: 残気量―――――安静呼気位に肺内に残存した肺気量

3: 肺活量―――――最大吸気位からゆっくりと最大呼気位まで呼出した肺気量

4: 拘束性換気障害―%肺活量90%未満

5: 閉塞性換気障害―1秒率80%未満

  • 答え:3
  • 解説:肺機能検査は、肺の働きを評価するための検査であり、様々な指標が存在します。この問題では、それぞれの指標とその説明が正しい組み合わせを選ぶことが求められています。
  • 1秒量は、努力肺活量測定の過程で、1秒間にどれだけ吐き出せたかを示す指標です。しかし、この選択肢では「安静呼気の呼出開始から1秒間に呼出した肺気量」と説明されているため、正しくありません。
  • 残気量は、最大限に呼息を行っても肺内に残る空気量を示す指標です。この選択肢では「安静呼気位に肺内に残存した肺気量」と説明されており、正しくありません。
  • 肺活量は、最大吸気に引き続いて、最大呼気により呼出される空気量を示す指標です。この選択肢では「最大吸気位からゆっくりと最大呼気位まで呼出した肺気量」と説明されており、正しい組み合わせです。
  • 拘束性換気障害は、肺活量が正常よりも低下している状態を示す指標です。しかし、この選択肢では「%肺活量90%未満」と説明されているため、正しくありません。正しい基準は%肺活量が80%未満です。
  • 閉塞性換気障害は、気道が狭窄しているために呼気がスムーズに行えない状態を示す指標です。しかし、この選択肢では「1秒率80%未満」と説明されているため、正しくありません。正しい基準は1秒率が70%未満です。
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第55回午前:第75問

胎児期に感染することで先天性奇形を生じるのはどれか。  

1: MRSA

2: 結核菌

3: 風疹ウイルス

4: B型肝炎ウイルス

5: ヘリコバクター・ピロリ菌

  • 答え:3
  • 解説:先天性奇形を生じる胎児期の感染は風疹ウイルスである。妊娠初期に感染すると、新生児に先天性風疹症候群を引き起こすことがある。
  • MRSAは新生児や乳児期に感染すると、伝染性膿痂疹(とびひ)の原因となるが、先天性奇形を引き起こすわけではない。
  • 結核菌は周産期に感染すると新生児結核を引き起こすことがあるが、先天性奇形を引き起こすわけではない。
  • 風疹ウイルスは妊娠初期に感染すると、新生児に難聴、白内障、先天性心奇形、知能障害などを引き起こす先天性風疹症候群を生じるため、正解である。
  • B型肝炎ウイルスは分娩時の感染により新生児に感染症を引き起こすことがあるが、先天性奇形を引き起こすわけではない。
  • ヘリコバクター・ピロリ菌は胃癌や慢性胃炎、胃潰瘍などと関連があるが、先天性奇形を引き起こすわけではない。
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第55回午前:第89問

頭部CTを示す。所見として考えられるのはどれか。 

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1: くも膜下出血

2: 硬膜外血腫

3: 硬膜下血腫

4: 脳動静脈奇形

5: 皮質下出血

第55回午後:第75問

尿検査項目とその検査結果が高値となる疾患との組合せで正しいのはどれか。  

1: ケトン体――――膵炎

2: ビリルビン―――糖尿病

3: アルブミン―――肝硬変

4: ヘモグロビン――心筋梗塞

5: ミオグロビン――横紋筋融解症

  • 答え:5
  • 解説:尿検査項目とその検査結果が高値となる疾患との組合せで正しいのは、ミオグロビンと横紋筋融解症の組合せです。尿検査項目によって、それぞれ異なる疾患が疑われます。
  • ケトン体が高値の場合は、糖尿病性ケトアシドーシスや甲状腺機能亢進症などが疑われますが、膵炎とは関係ありません。
  • ビリルビンが高値の場合は、急性膵炎や肝硬変などの肝細胞障害や閉塞性黄疸が疑われますが、糖尿病とは関係ありません。
  • アルブミンが高値の場合は、糖尿病性腎症や動脈硬化、前立腺炎、膀胱炎などが疑われますが、肝硬変とは関係ありません。
  • ヘモグロビンが高値の場合は、発作性夜間ヘモグロビン尿症などが疑われますが、心筋梗塞とは関係ありません。
  • ミオグロビンが高値の場合は、横紋筋融解症が疑われます。横紋筋融解症は、筋組織が急激に破壊されるときにミオグロビンが漏出し、尿中に現れるため、この組合せが正しいです。
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第55回午後:第77問

ステロイド薬の長期投与によって生じやすいのはどれか。  

1: 腎不全

2: 低血圧

3: 骨粗鬆症

4: 体重減少

5: 高カリウム血症

  • 答え:3
  • 解説:ステロイド薬の長期投与によって生じやすい副作用は骨粗鬆症です。ステロイド薬は、抗炎症作用や免疫抑制作用がありますが、長期投与により様々な副作用が生じることがあります。
  • 腎不全はステロイド薬の長期投与によって直接生じるものではありません。しかし、ステロイド薬を突然中断すると、ステロイド離脱症候群として副腎不全を生じることがある。
  • 低血圧はステロイド薬の長期投与によって直接生じるものではありません。むしろ、ステロイド薬の長期投与により、体内に塩分が溜まりやすくなり、高血圧になりやすい。
  • 骨粗鬆症はステロイド薬の長期投与によって生じやすい副作用です。ステロイド薬の長期投与により、骨密度が減少し、骨粗鬆症を生じやすくなります。これにより、圧迫骨折や大腿骨頸部骨折などがみられることがある。
  • 体重減少はステロイド薬の長期投与によって直接生じるものではありません。むしろ、ステロイド薬の長期投与により、浮腫を生じ、体重増加がみられやすい。
  • 高カリウム血症はステロイド薬の長期投与によって直接生じるものではありません。むしろ、ステロイド薬の長期投与により、低カリウム血症を生じることがある。
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第55回午後:第85問

診断においてMRI拡散強調像が最も有用なのはどれか。  

1: 頭蓋底骨折

2: 脳室内出血

3: 脳梗塞急性期

4: 脳出血急性期

5: くも膜下出血急性期

  • 答え:3
  • 解説:MRI拡散強調像は、脳梗塞急性期の診断に最も有用である。これは、発症1時間後から脳梗塞を検出できるためである。
  • 頭蓋底骨折は外傷性病変であり、単純エックス線が診断に有用であるため、MRI拡散強調像は最も有用ではない。
  • 脳室内出血の急性期は、CTにて高吸収域となるため診断が容易であり、MRI拡散強調像は最も有用ではない。
  • 脳梗塞急性期では、MRI拡散強調像が最も有用である。解像度は低いが、発症1時間後から脳梗塞を検出できるためである。
  • 脳出血急性期は、CTにて高吸収域となるため診断が容易であり、MRIではT2強調像にて低信号を示す。したがって、MRI拡散強調像は最も有用ではない。
  • くも膜下出血急性期は、MRIではFLAIR画像にて診断されることもあるが、MRIのみでの診断は困難なことも多いため、MRI拡散強調像は最も有用ではない。
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第55回午後:第87問

疾患と頻度の多い症候との組合せで正しいのはどれか。  

1: Alzheimer型認知症――羽ばたき振戦

2: Huntington病――――線維束性収縮

3: 多発性硬化症―――――舞踏運動

4: 筋萎縮性側索硬化症――静止時振戦

5: 多系統萎縮症―――――起立性低血圧

  • 答え:5
  • 解説:この問題では、疾患とそれに関連する症状を正しく組み合わせた選択肢を選ぶことが求められています。正しい組み合わせは、多系統萎縮症と起立性低血圧です。
  • Alzheimer型認知症は、エピソード記憶を中心とした記憶障害が特徴です。羽ばたき振戦は、重篤な肝疾患患者の切迫昏睡時に見られることが多い症状で、Alzheimer型認知症とは関連がありません。
  • Huntington病は、舞踏病、性格変化、認知症を伴う慢性進行性の疾患です。線維束性収縮は、筋萎縮性側索硬化症の特徴的な症状であり、Huntington病とは関連がありません。
  • 多発性硬化症は、視力低下、構音障害、嚥下障害、運動麻痺、感覚障害、小脳性運動失調、膀胱直腸障害などの症状が特徴です。舞踏運動は、Huntington病の症状であり、多発性硬化症とは関連がありません。
  • 筋萎縮性側索硬化症は、一側上肢の筋力低下と筋萎縮が始まり、対側にも拡大する疾患です。線維束性収縮が特徴的で、筋萎縮が進行すると球麻痺や呼吸筋麻痺を生じます。静止時振戦は、パーキンソン病の症状であり、筋萎縮性側索硬化症とは関連がありません。
  • 多系統萎縮症は、オリーブ橋小脳萎縮症、Shy-Drager症候群、線条体黒質萎縮症を包括する疾患概念です。多系統萎縮症は、自律神経症状として起立性低血圧や尿失禁が見られるほか、パーキンソニズムも見られやすい症状です。このため、選択肢5が正しい組み合わせです。
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第54回午前:第75問

病原体と腫瘍発生との組合せで誤っているのはどれか。  

1: A型肝炎ウイルス―――――肝細胞癌

2: Epstein Barrウイルス――――Burkittリンパ腫

3: HTLV-Ⅰ―――――――――成人T細胞白血病

4: ヒトパピローマウイルス ―― 子宮頸癌

5: ヘリコバクター・ピロリ菌――胃癌

  • 答え:1
  • 解説:この問題では、病原体と腫瘍発生の関連性について問われています。正しい組み合わせは、2:Epstein BarrウイルスとBurkittリンパ腫、3:HTLV-Ⅰと成人T細胞白血病、4:ヒトパピローマウイルスと子宮頸癌、5:ヘリコバクター・ピロリ菌と胃癌です。誤っている組み合わせは1:A型肝炎ウイルスと肝細胞癌です。
  • A型肝炎ウイルスはA型肝炎を引き起こしますが、慢性化せず、肝細胞癌との直接的な関連性はありません。肝細胞癌は主にC型肝炎やB型肝硬変と関連しています。
  • Epstein Barrウイルスは、非ホジキンリンパ腫の一種であるBurkittリンパ腫の発症に関与しています。これは週単位で病勢が進行する超高悪性度のB細胞性リンパ腫です。
  • HTLV-Ⅰは、成人T細胞白血病の発症に関与しています。これは悪性度の高いT細胞性リンパ腫で、HTLV-Ⅰの感染が原因となります。
  • ヒトパピローマウイルスは、子宮頸癌の発症に関与しています。特に高危険群のHPV感染が契機となり、子宮頸癌は約80%が扁平上皮癌で、20~40歳代に好発します。
  • ヘリコバクター・ピロリ菌は、胃癌の発症に関与しています。また、慢性胃炎や胃潰瘍とも関連があります。胃癌の大部分は腺癌です。
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第54回午前:第85問

性染色体異常で発症するのはどれか。2つ選べ。  

1: Down症候群

2: Marfan症候群

3: Turner症候群

4: Williams症候群

5: Klinefelter症候群

  • 答え:3 ・5
  • 解説:性染色体異常は、性染色体(X染色体とY染色体)の数や構造が異常であることによって発症する病気です。この問題では、Turner症候群とKlinefelter症候群が性染色体異常によって発症する病気です。
  • Down症候群は、21番染色体のトリソミーによる常染色体異常で発症するため、性染色体異常ではありません。
  • Marfan症候群は、単一遺伝子異常で、常染色体優性遺伝の形式をとるため、性染色体異常ではありません。
  • Turner症候群は、X染色体のモノソミーによる性染色体異常で発症するため、正しい選択肢です。
  • Williams症候群は、7番染色体の微細な欠失による常染色体異常で発症するため、性染色体異常ではありません。
  • Klinefelter症候群は、Y染色体と2本以上のX染色体をもつ性染色体異常で発症するため、正しい選択肢です。
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第54回午後:第75問

疾患と病理学的変化の組合せで正しいのはどれか。  

1: Parkinson病――大脳白質の変性

2: 多発性硬化症――中枢神経の脱髄

3: Lewy小体型認知症――大脳白質の虚血

4: 筋萎縮性側索硬化症――脊髄後索の変性

5: Guillain-Barré症候群――脊髄前角の変性

  • 答え:2
  • 解説:この問題では、疾患と病理学的変化の組み合わせが正しいものを選ぶ必要があります。正しい組み合わせは、多発性硬化症と中枢神経の脱髄です。
  • Parkinson病は神経変性疾患であり、黒質や青斑核、迷走神経背側核などの神経細胞が脱落することで運動障害や自律神経障害が生じます。大脳白質の変性はParkinson病ではなく、大脳白質変性症で見られるため、この組み合わせは正しくありません。
  • 多発性硬化症は中枢神経の自己免疫性脱髄疾患であり、脳室周囲や視神経、視交叉、脳幹部、脊髄などで多発性の境界明瞭な脱髄斑の病巣を形成します。この組み合わせは正しいです。
  • Lewy小体型認知症は神経変性疾患であり、マイネルト核や扁桃核、側頭葉や帯状回、島葉などにLewy小体が出現します。大脳白質の虚血はこの疾患とは関連がなく、脳卒中や認知機能障害の発症リスクが高い脳室周囲高信号域(PVH)と関連しています。この組み合わせは正しくありません。
  • 筋萎縮性側索硬化症は、中心前回のBetz巨細胞と錐体路からなる上位運動ニューロンと脊髄前角と前根から構成される下位運動ニューロンが選択的に脱落し、障害されます。脊髄後索の変性はこの疾患とは関連がなく、ビタミンB12欠乏による亜急性連合性脊髄変性症などで見られます。この組み合わせは正しくありません。
  • Guillain-Barré症候群は、先行感染後に病原体に対して産生された抗体が髄鞘を標的とした自己抗体となって脱髄を生じ、末梢神経障害を引き起こします。脊髄前角の変性はこの疾患とは関連がなく、筋萎縮性側索硬化症などで見られます。この組み合わせは正しくありません。
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第54回午後:第76問

アレルギーの分類と組織傷害の機序との組合せで正しいのはどれか。  

1: Ⅰ型アレルギー―即時型過敏症

2: Ⅱ型アレルギー―細胞性免疫による組織傷害

3: Ⅱ型アレルギー―免疫複合体病

4: Ⅲ型アレルギー―抗体による機能亢進

5: Ⅳ型アレルギー―補体活性化による細胞傷害

  • 答え:1
  • 解説:アレルギーは、Ⅰ型からⅣ型までの4つのタイプに分類され、それぞれ異なる組織傷害の機序を持っています。正しい組み合わせは、Ⅰ型アレルギーと即時型過敏症です。
  • Ⅰ型アレルギーは即時型過敏症であり、正しい組み合わせです。蕁麻疹や気管支喘息、花粉症などが含まれます。
  • Ⅱ型アレルギーは細胞傷害型アレルギーであり、細胞性免疫による組織傷害ではなく、補体活性化による細胞傷害が正しいです。溶血性貧血や再生不良性貧血、血小板減少症などが含まれます。
  • 免疫複合体病はⅢ型アレルギーであり、Ⅱ型アレルギーではありません。関節リウマチや全身性エリテマトーデス、糸球体腎炎などが含まれます。
  • 抗体による機能亢進はⅤ型アレルギー(刺激型アレルギー)であり、Ⅲ型アレルギーではありません。重症筋無力症やBasedow病などが含まれます。
  • 補体活性化による細胞傷害はⅡ型アレルギー(細胞傷害型アレルギー)であり、Ⅳ型アレルギーではありません。ツベルクリン反応や接触性皮膚炎、甲状腺炎、結核などが含まれます。
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第54回午後:第77問

急性期のくも膜下出血の診断に最も有用なのはどれか。  

1: MRI T1強調像

2: MRI T2強調像

3: 頸動脈超音波像

4: 単純CT像

5: 単純エックス線写真

  • 答え:4
  • 解説:急性期のくも膜下出血の診断に最も有用なのは単純CT像である。単純CT像は、脳出血急性期に高吸収域を示し、急性期のくも膜下出血の診断に有用である。
  • MRI T1強調像は、発症12時間以内では出血病変は低信号であるため、急性期のくも膜下出血の診断には有用でない。
  • MRI T2強調像は、発症12時間以内に高信号を示す。T2*(スター)強調像であれば、脳出血の検出能に優れるが、一般には微小出血の検出に用いられる。
  • 頸動脈超音波像は、動脈硬化の早期発見などに有用である。動脈硬化による頸部頸動脈狭窄は、脳梗塞の原因となる。
  • 単純CT像は、脳出血急性期に高吸収域を示し、急性期のくも膜下出血の診断に有用である。その後は、発症1~3週頃にかけ、血腫辺縁部から低吸収域に変化し、徐々に目立たなくなる。
  • 単純エックス線写真は、組織の密度によって各組織によりエックス線光子が減衰する程度が異なることを利用し、組織が密であるほど放射線不透過性になる。単純エックス線は、四肢や胸部、脊椎や腹部に用いられる。頭部の場合は、断層画像の方が病変の解剖学的局在がより明確になるため、単純エックス線を利用したコンピュータ断層撮影(CT)が用いられるのが一般である。
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