小児の障害と臨床医学の過去問


第57回午後:第88問

二分脊椎で正しいのはどれか。  

1: 髄膜瘤は神経障害を伴う。

2: 脊髄係留症候群の好発年齢は2~3歳である。

3: 脊髄係留症候群は上肢の感覚障害を伴う。

4: 脊髄髄膜瘤ではChiari奇形の合併は稀である。

5: 脊髄髄膜瘤では水頭症を合併する。

  • 答え:5
  • 解説:二分脊椎に関する問題では、脊髄髄膜瘤や脊髄係留症候群などの症状や合併症について理解することが重要です。正しい選択肢は、脊髄髄膜瘤が水頭症を合併することを示す選択肢5です。
  • 髄膜瘤は神経障害を伴わないため、選択肢1は誤りです。髄膜瘤は水頭症、歩行障害、膀胱機能障害、排便障害などの症状がみられます。
  • 脊髄係留症候群は先天性疾患であり、好発年齢が2~3歳というのは誤りです。選択肢2は正しくありません。
  • 脊髄係留症候群は下肢の運動障害や感覚障害を伴うため、選択肢3は誤りです。上肢の感覚障害は脊髄係留症候群の典型的な症状ではありません。
  • 脊髄髄膜瘤ではChiari奇形の合併は約9割でみられるため、選択肢4は誤りです。Chiari奇形の合併は脊髄髄膜瘤では一般的な現象です。
  • 脊髄髄膜瘤では水頭症とChiari奇形を合併するため、選択肢5が正解です。脊髄髄膜瘤の患者は水頭症やChiari奇形といった合併症に注意が必要です。
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第56回午前:第97問

知的障害がみられうる疾患の中で、皮膚色素沈着(カフェオレ斑)が特徴的なのはどれか。  

1: 結節性硬化症

2: 神経線維腫症

3: ネコ鳴き症候群

4: Williams症候群

5: Prader-Willi症候群

  • 答え:2
  • 解説:この問題では、知的障害がみられる疾患の中で、皮膚色素沈着(カフェオレ斑)が特徴的な疾患を選ぶ必要があります。正解は神経線維腫症で、生まれた時からミルクコーヒー色の皮膚色素沈着がみられます。
  • 結節性硬化症は優性遺伝性疾患で、精神遅滞やけいれん発作、顔面部にあざのような皮脂腺腫を認めることがありますが、皮膚色素沈着(カフェオレ斑)は特徴的ではありません。
  • 神経線維腫症は正解で、生まれた時からミルクコーヒー色の皮膚色素沈着(カフェオレ斑)がみられます。神経線維腫が脳神経や脊髄神経にみられることもあり、けいれん発作や精神遅滞を生じることがある。
  • ネコ鳴き症候群では、小頭、丸顔、眼間開離など顔貌所見はあるが、皮膚症状の特徴はなく、皮膚色素沈着(カフェオレ斑)は特徴的ではありません。
  • Williams症候群では、太い内側眉毛、眼間狭小、鞍鼻など妖精様顔貌はあるが、皮膚症状の特徴はなく、皮膚色素沈着(カフェオレ斑)は特徴的ではありません。
  • Prader-Willi症候群では、新生児期に筋緊張低下、色素低下、外性器低形成を特徴としていますが、皮膚色素沈着(カフェオレ斑)は特徴的ではありません。
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第54回午後:第86問

乳児の水頭症でみられる症状はどれか。  

1: 肥満

2: 口蓋裂

3: 運動失調

4: 落陽現象

5: 弛緩性麻痺

  • 答え:4
  • 解説:水頭症は、頭蓋内の髄液循環障害が原因で、脳室内に髄液が過剰に貯留し、脳室が拡大する状態です。乳児の水頭症では、頭囲拡大、大泉門の離開、緊満度、落陽現象(眼球の下方偏位)、頭皮静脈の怒張、頭痛、嘔吐、うっ血乳頭、眼球運動障害、意識障害などの症状が見られます。
  • 肥満は、乳児の水頭症の症状ではありません。肥満は、過剰な栄養摂取や遺伝的要因、ホルモンの異常などが原因で体重が増加する状態です。
  • 口蓋裂は、乳児の水頭症の症状ではありません。口蓋裂は、胎児期に口蓋の形成が不完全であるために、口腔と鼻腔がつながってしまう先天性の疾患です。
  • 運動失調は、乳児の水頭症の症状ではありません。運動失調は、運動の制御がうまくいかず、バランスや協調性が損なわれる状態で、脳の小脳が損傷されることが原因です。
  • 落陽現象(眼球の下方偏位)は、乳児の水頭症で見られる症状です。頭蓋内圧が上昇することで、眼球が下方に偏位し、上瞼が下がる現象が起こります。
  • 弛緩性麻痺は、乳児の水頭症の症状ではありません。弛緩性麻痺は、筋肉の緊張が低下し、筋力が弱くなる状態で、脳や神経の損傷が原因です。
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第53回午後:第96問

注意欠如・多動性障害について正しいのはどれか。2つ選べ。  

1: 薬物療法は行わない。

2: 男児よりも女児に多い。

3: 生育歴の聴取が重要である。

4: 二次性の精神症状に注意が必要である。

5: 成人期において診断されることはない。

  • 答え:3 ・4
  • 解説:注意欠如・多動性障害(ADHD)は、不注意、多動性、衝動性を特徴とし、生育歴の聴取や二次性の精神症状に注意が必要である。治療には心理・社会的アプローチと薬物治療があり、成人期に診断されることもある。
  • 選択肢1は間違いです。ADHDの治療には薬物療法が含まれ、メチルフェニデート塩酸塩(コンサータ)、アトモキセチン塩酸塩(ストラテラ)、グアンファシン塩酸塩(インチュニブ)などの薬が使用されます。
  • 選択肢2は間違いです。ADHDは男児に多いとされており、女児よりも男児に多く見られます。
  • 選択肢3は正しいです。ADHDの診断にあたっては、本人や家族から詳細な生育歴の聴取が重要であり、症状の特徴や発達の過程を把握することが必要です。
  • 選択肢4は正しいです。ADHDでは、不注意、多動性、衝動性以外に二次性の精神症状がみられることがあり、うつ病や不安障害を併発することがあるため、注意が必要です。
  • 選択肢5は間違いです。ADHDの症状は幼少期からみられることが多いですが、成人期になって初めて診断されることもあります。症状が軽度であったり、周囲の理解が得られなかったりすることが原因で、診断が遅れることがあります。
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第52回午後:第96問

精神遅滞を生じる疾患のうち、先天性代謝異常が原因であるのはどれか。  

1: Down症候群

2: 結節性硬化症

3: 神経線維腫症

4: Turner症候群

5: フェニルケトン尿症

第52回午前:第91問

中枢神経の先天奇形とその特徴の組合せで正しいのはどれか。  

1: 小頭症―――――――――脳圧亢進

2: 滑脳症―――――――――脳溝増加

3: 二分脊椎――――――――水頭症合併

4: Dandy-Walker症候群――後頭蓋縮小

5: Arnold-Chiari奇形―――脊髄の頭蓋内嵌入

第52回午前:第97問

小児自閉症について正しいのはどれか。  

1: 学童期に発症する。

2: 脊椎変形を生じる。

3: 女児より男児に多く出現する。

4: 精神遅滞を伴うことは稀である。

5: 大部分の症例でてんかんを認める。

第51回午前:第89問

6~12歳におけるGMFCSレベルと動作能力の組合せで正しいのはどれか。  

1: Ⅰ ― 階段で手すり使用

2: Ⅱ ― 装具なしで歩行

3: Ⅲ ― 不整地の歩行

4: Ⅳ ― 通常の椅子で座位保持

5: Ⅴ ― 寝返り可能

第51回午前:第90問

福山型筋ジストロフィーについて正しいのはどれか。  

1: 男児のみに発症する。

2: 初発症状は3歳前後でみられる。

3: 精神遅滞はDuchenne型に比べて少ない。

4: 発症頻度はDuchenne型に比べて少ない。

5: 15歳以降も歩行が可能であることが多い。

第51回午前:第100問

全般的な知能に大きな低下はなく、文字を読めば分かるが書くことができない。このような症状がみられるのはどれか。  

1: 学習障害

2: 行為障害

3: 広汎性発達障害

4: Tourette症候群

5: 注意欠如・多動性障害

第51回午後:第92問

中枢神経発生に伴う先天奇形とその特徴の組合せで正しいのはどれか。  

1: 滑脳症―――――――――脳溝増加

2: 全前脳胞症―――――――顔面外側の欠損

3: 二分脊椎――――――――水頭症合併

4: Arnold-Chiari奇形―――脊髄の頭蓋内嵌入

5: Dandy-Walker症候群―――後頭蓋縮小

第51回午後:第93問

Down症候群で正しいのはどれか。  

1: 転座型の場合は両親に転座があることは少ない。

2: 出現頻度は母親の出産年齢に影響されない。

3: 21番染色体の異常がみられる。

4: 両親に対する愛着は少ない。

5: 知的障害はみられない。

第49回午前:第93問

脳性麻痺の周産期における危険因子として可能性が低いのはどれか。  

1: 緊急帝王切開による出生

2: 脳室周囲白質軟化症

3: 低カリウム血症

4: 新生児仮死

5: 低血糖

第49回午後:第86問

女児に多いのはどれか。  

1: Perthes病

2: 先天性内反足

3: 大腿骨頭すべり症

4: Osgood-Schlatter病

5: 発育性股関節形成不全

第48回午前:第83問

脳性麻痺で正しいのはどれか。  

1: アテトーゼ型では下肢より上肢の支持性が良い。

2: アテトーゼ型では初期は低緊張である。

3: 痙直型では出生直後から筋緊張が亢進する。

4: 痙直型両麻痺では下肢より上肢の麻痺が重度である。

5: 痙直型片麻痺では上肢より下肢の麻痺が重度である。

第47回午後:第84問

NICUでハンドリングを行う場合のリスク管理で留意すべき児の変化として適切でないのはどれか。  

1: 心拍数

2: 呼吸の状態

3: 皮膚の色

4: 原始反射の有無

5: 動脈血酸素飽和度

第47回午後:第91問

広汎性発達障害で認めにくいのはどれか。  

1: 姿勢異常

2: 精神遅滞

3: 限局した反復行動

4: コミュニケーション障害

5: 相互的な社会的関係の異常

第46回午前:第81問

「全般的な知能に大きな低下がなく、文字を読めば分かるが書くことができない」のはどれか。  

1: 学習障害

2: Rett症候群

3: Tourette症候群

4: 広汎性発達障害

5: 注意欠陥多動性障害

第46回午後:第89問

分娩麻痺で正しいのはどれか。  

1: 低出生体重児に多い。

2: 下位型は頸部が伸展されて起こる。

3: 頭位分娩による上位型の予後は良い。

4: 頭位分娩では上位型よりも下位型が多い。

5: 両側例は骨盤位分娩よりも頭位分娩に多い。

第46回午後:第91問

脳性麻痺で誤っているのはどれか。  

1: 痙直型四肢麻痺では出生時から筋緊張が高い。

2: 痙直型両麻痺では上肢よりも下肢の障害が強い。

3: アテトーゼ型では緊張性頸反射の影響を受ける。

4: 精神的緊張でアテトーゼ型の不随意運動は増強する。

5: アテトーゼ型四肢麻痺では下肢よりも上肢の障害が強い。