臨床心理学の過去問


第57回午前:第78問

記憶と関係部位の組合せで正しいのはどれか。  

1: 長期記憶 ── 視 床

2: 手続き記憶 ── 扁桃体

3: プライミング ── 小 脳

4: エピソード記憶 ── 松果体

5: ワーキングメモリー ── 前頭葉

  • 答え:5
  • 解説:この問題では、記憶と関係部位の組合せについて正しいものを選ぶ必要があります。正しい組合せはワーキングメモリーと前頭葉です。
  • 長期記憶は視床ではなく、扁桃体や小脳などが関わっています。視床は痛覚や運動機能の調整、感情に関係しています。
  • 手続き記憶は扁桃体ではなく、線条体が関わっています。扁桃体は古典的条件付け情動反応に関係しています。
  • プライミングは小脳ではなく、新皮質が関わっています。小脳は古典的条件付け骨格筋反応に関係しています。
  • エピソード記憶は松果体ではなく、内側側頭葉が関わっています。松果体はメラトニンを分泌し、生体リズムに関与しています。
  • ワーキングメモリーは前頭連合野(前頭葉、頭頂葉、前帯状皮質など)が関わっているため正解です。ワーキングメモリーは短期的な情報処理や注意の維持に関与しています。
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第57回午後:第79問

欲求を満たせないときに、正反対の欲求を発展させ心的平衡を保とうとする防衛機制はどれか。  

1: 置き換え

2: 合理化

3: 反動形成

4: 否 認

5: 抑 圧

  • 答え:3
  • 解説:この問題は、欲求を満たせないときに心的平衡を保とうとする防衛機制を尋ねています。正解は反動形成で、無意識の中の抑圧されている強い感情や欲求が意識できる側面で正反対の行動で表れるものです。
  • 置き換えは、欲求を本来の目標で満たすことができないために別の目標で満たすことです。これは欲求を別の形で満たす方法であるため、正反対の欲求を発展させるものではありません。
  • 合理化は、都合の悪い行動や状況を事実とは違う理由で正当化する自己防衛機制です。これは自分の行動を正当化するための言い訳を作ることであり、正反対の欲求を発展させるものではありません。
  • 反動形成は正解です。これは無意識の中の抑圧されている強い感情や欲求が意識できる側面で正反対の行動で表れるものです。例えば、好きな相手に意地悪をする行為や親を憎んでいるが献身的に親孝行を行なうなどの行動が見られます。
  • 否認は、自分自身が受け入れがたい状況や不快な経験や欲求を無意識になかったことにすることです。これは現実を否定することで心の平衡を保つ方法であり、正反対の欲求を発展させるものではありません。
  • 抑圧は、不安や苦痛となる考えや記憶を無意識に気持ちに押し込み、忘れさせることです。これは不快な感情や記憶を無意識に抑え込むことで心の平衡を保つ方法であり、正反対の欲求を発展させるものではありません。
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第57回午後:第80問

自己暗示により催眠状態を作り出し心身をリラックスさせる方法はどれか。  

1: コラム法

2: 自律訓練法

3: 自由連想法

4: 漸進的筋弛緩法

5: マインドフルネス

  • 答え:2
  • 解説:自己暗示により催眠状態を作り出し心身をリラックスさせる方法は自律訓練法である。自律訓練法は自己睡眠法を用いたリラクゼーション療法であり、心身の緊張を緩和する効果がある。
  • コラム法は認知療法の一つで、ワークシートに出来事や感情、自動思考などを記載し、自分の認知的傾向を分析・調整する方法である。自己暗示や催眠状態とは関係がない。
  • 自律訓練法は正解であり、自己暗示を用いたリラクゼーション療法である。心身の緊張を緩和し、リラックスさせる効果がある。
  • 自由連想法は、夢の解釈などを通じて無意識を意識化し、洞察を得る療法である。自己暗示や催眠状態とは直接関係がない。
  • 漸進的筋弛緩法は、筋肉の緊張状態をコントロールし、その状態を観察し学習する療法である。リラックス効果はあるが、自己暗示や催眠状態とは直接関係がない。
  • マインドフルネスは、瞑想訓練により達成される心理状態であり、「その瞬間の自分の体験に意図的に、そして判断することなく注意を向けること」と定義されている。リラックス効果はあるが、自己暗示や催眠状態とは直接関係がない。
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第57回午後:第81問

障害受容に至る5つの過程において3番目に現れるのはどれか。  

1: 解決への努力期

2: ショック期

3: 混乱期

4: 受容期

5: 否認期

  • 答え:3
  • 解説:障害受容の過程は5つのステージがあり、それぞれショック期、否認期、混乱期、解決への努力期、受容期となります。この過程を経ることで、障害を受け入れることができるようになります。
  • 解決への努力期は障害受容の過程の4番目に現れるステージであり、この時点では問題解決の方法を模索し始める段階です。3番目に現れるステージではないため、この選択肢は誤りです。
  • ショック期は障害受容の過程の最初のステージであり、障害に対する衝撃や困惑が生じる時期です。3番目に現れるステージではないため、この選択肢は誤りです。
  • 混乱期は障害受容の過程の3番目に現れるステージであり、この時期には自分の感情や状況に対する理解が混乱し、悩みや苦しみが生じることがあります。この選択肢は正解です。
  • 受容期は障害受容の過程の最後のステージであり、この時期には障害を受け入れ、自分の状況を理解し始めることができます。3番目に現れるステージではないため、この選択肢は誤りです。
  • 否認期は障害受容の過程の2番目に現れるステージであり、この時期には自分が障害を持っていることを否定し、現実から逃避しようとすることがあります。3番目に現れるステージではないため、この選択肢は誤りです。
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第56回午後:第79問

障害受容に至る5つの過程において、一般的に2番目に現れるのはどれか。  

1: 混乱期

2: 受容期

3: 否認期

4: ショック期

5: 解決への努力期

  • 答え:3
  • 解説:障害受容に至る過程は、ショック期、否認期、混乱期、解決への努力期、受容期の順に進行する。各過程では、異なる感情や行動が現れる。
  • 混乱期は、3番目に現れる過程であり、自分の障害に対する理解が深まり、現実を受け入れるための情報収集や問いかけが行われる。
  • 受容期は、5番目に現れる過程であり、障害を受け入れ、自分の新しい生活に適応しようとする段階である。
  • 否認期は、2番目に現れる過程であり、正解である。この時期には、自分の障害を認めようとせず、健常者への嫉妬や奇跡を期待することが多い。
  • ショック期は、1番目に現れる過程であり、障害の事実に対して驚きや恐怖、悲しみなどの感情が押し寄せる。
  • 解決への努力期は、4番目に現れる過程であり、自分の障害に対処する方法を模索し、具体的な行動を起こす段階である。
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第56回午後:第80問

防衛機制として誤っているのはどれか。  

1: 転 移

2: 抑 圧

3: 合理化

4: 反動形成

5: スプリッティング

  • 答え:1
  • 解説:防衛機制とは、自己の不安や葛藤を緩和するために無意識に働く心の働きであり、転移、抑圧、合理化、反動形成、スプリッティングなどがその例です。この問題では、防衛機制として誤っているものを選ぶ必要があります。
  • 転移は、過去の他者への感情や欲求を現在の他者に向けることで、実際には防衛機制の一つです。ただし、解説文では「防衛機制ではない」と誤って記載されています。
  • 抑圧は、自己が承認しにくい欲求や自己を破局に導く欲求を無意識に心の底に閉じ込める防衛機制であり、正しい防衛機制の例です。
  • 合理化は、欲求が満たされない時に理知的に処理し、自己を正当化して解消する防衛機制であり、正しい防衛機制の例です。
  • 反動形成は、欲求が満たせないときに正反対の欲求を発展させ、心的平衡を保つ防衛機制であり、正しい防衛機制の例です。
  • スプリッティング(分裂)は、自己や対象に対して良い・悪いイメージを別々のものとして隔離する防衛機制であり、正しい防衛機制の例です。
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第56回午後:第81問

オペラント条件付けが用いられる認知行動療法の技法はどれか。  

1: 系統的脱感作法

2: 漸進的筋弛緩法

3: 暴露反応妨害法

4: フラッディング法

5: トークンエコノミー法

  • 答え:5
  • 解説:オペラント条件付けは、学習者の自発的で意図的な反応の増大や低減を学習目標として行われる手続きであり、認知行動療法の技法の中でトークンエコノミー法が該当します。
  • 系統的脱感作法は消去理論を用いており、リラックスした状態で低い不安から段階的に刺激を与えていく方法であるが、オペラント条件付けは用いられていない。
  • 漸進的筋弛緩法は、筋肉の緊張状態をコントロールし、その状態を観察し学習する療法であるが、オペラント条件付けは用いられていない。
  • 暴露反応妨害法は、強迫性障害やパニック障害に対する認知行動療法であり、消去理論を用いて不安に患者自身を曝すことで徐々にその状況に慣れさせる反面、強迫行為自体を我慢して行わないようにする方法であるが、オペラント条件付けは用いられていない。
  • フラッディング法は消去理論を用いており、患者を不安や恐怖場面に曝露して、その時間を次第に延長していく方法であるが、オペラント条件付けは用いられていない。
  • トークンエコノミー法は、オペラント条件付けに基づく行動療法であり、患者が望ましい行動をとった場合、直ちにそれを強化する効果があるため、正しい選択肢である。
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第56回午前:第78問

記憶過程の要素として正しいのはどれか。2つ選べ。  

1: 記 銘

2: 計画立案

3: 想 起

4: 転 換

5: 配 分

  • 答え:1 ・3
  • 解説:記憶過程には3つの段階があります。それらは記銘、保持、想起です。記銘は入力された感覚刺激を意味情報に処理することで、保持は記銘により変換した情報を維持し、想起は保持されている情報を呼び起こすことです。
  • 記銘は記憶過程の要素であり、入力された感覚刺激を意味情報に処理することです。この過程で情報が記憶に刻まれます。
  • 計画立案は遂行機能の要素であり、記憶過程の要素ではありません。遂行機能には目標設定や計画実行などが含まれます。
  • 想起は記憶過程の要素であり、保持されている情報を呼び起こすことです。この過程で記憶された情報が再び意識に浮かび上がります。
  • 転換は注意の切り替えを指し、記憶過程の要素ではありません。転換は状況に応じて注意を切り替える能力を指します。
  • 配分は注意をどこに向けるかを決定する過程であり、記憶過程の要素ではありません。配分は状況に応じて注意を適切に分散または集中させる能力を指します。
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第56回午前:第79問

イラスト風に描かれた人物のセリフを書き込む形式の心理検査はどれか。  

1: SCT

2: P-Fスタディ

3: バウムテスト

4: モーズレイ性格検査〈MPI〉

5: Revised NEO Personality Inventory〈NEO-PI-R〉

  • 答え:2
  • 解説:この問題では、イラスト風に描かれた人物のセリフを書き込む形式の心理検査を選択する必要があります。正解はP-Fスタディで、登場人物の吹き出しにセリフを書き込むことで、被験者の心理状態を評価する検査です。
  • SCTは、文章を完成させる形式で知識や性格などを把握する検査ですが、イラスト風に描かれた人物のセリフを書き込む形式ではありません。
  • P-Fスタディは正解で、登場人物のイラストが描かれたカードにセリフを書き込むことで、被験者の心理状態を評価する検査です。
  • バウムテストは、被験者に木の絵を描いてもらうことで心理状態を評価する検査であり、イラスト風に描かれた人物のセリフを書き込む形式ではありません。
  • モーズレイ性格検査〈MPI〉は、質問紙形式で性格を分析する検査であり、イラスト風に描かれた人物のセリフを書き込む形式ではありません。
  • Revised NEO Personality Inventory〈NEO-PI-R〉は、質問紙形式で人格を分析する検査であり、イラスト風に描かれた人物のセリフを書き込む形式ではありません。
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第56回午前:第80問

認知療法を発展させたのは誰か。  

1: A. Beck

2: S. Freud

3: C. Rogers

4: H. Eysenck

5: H. Sullivan

  • 答え:1
  • 解説:認知療法は、アーロン・ベックによって発展させられた心理療法の一種であり、患者の認知の歪みを改善することを目的としています。他の選択肢に挙げられた人物は、それぞれ異なる心理学の分野で活躍しています。
  • A. Beck(アーロン・ベック)は、認知療法の創始者であり、この療法は彼の名前を冠してベックの認知療法とも呼ばれます。認知療法は、患者の認知の歪みを特定し、それを改善することで症状を軽減することを目的としています。
  • S. Freud(ジークムント・フロイト)は、精神分析学の創始者であり、無意識の働きや性的欲求が人間の行動や心理に大きな影響を与えると考えました。彼は認知療法とは異なるアプローチで心理療法を行っていました。
  • C. Rogers(カール・ロジャーズ)は、クライアント中心療法の創始者であり、セラピストがクライアントの自己理解と自己受容を促すことで、クライアント自身が問題解決の力を持つと考えました。彼のアプローチは、認知療法とは異なる心理療法の方法です。
  • H. Eysenck(ハンス・アイゼンク)は、行動療法で活躍した人物であり、特に個性や知能の研究で知られています。彼は認知療法とは異なる心理療法のアプローチを提唱しました。
  • H. Sullivan(ハリー・サリヴァン)は、対人関係論を提唱した人物であり、人間の心理や行動は対人関係の中で形成されると考えました。彼のアプローチは、認知療法とは異なる心理療法の方法です。
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第55回午前:第79問

創始者と心理療法の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。  

1: Beck――――集団療法

2: Freud―――自由連想

3: Jung ―――夢分析

4: Rogers ――自律訓練法

5: Skinner――認知療法

  • 答え:2 ・3
  • 解説:この問題では、心理療法の創始者とその療法の正しい組み合わせを選ぶ必要があります。正しい組み合わせは、Freudと自由連想、Jungと夢分析です。
  • Beckは認知療法の創始者であり、集団療法ではありません。認知療法は、うつ病などの症状が思考によって生じると考え、その思考パターンを変えることで症状の改善を目指す療法です。
  • Freudは精神分析療法の創始者であり、自由連想法を用いて無意識の中に抑圧された欲求や葛藤を明らかにし、症状の改善を目指す療法を提唱しました。この選択肢は正しいです。
  • Jungは夢分析を中心に治療理論を体系立てた心理学者であり、夢や空想、神話に注目して治療を行うアプローチを提唱しました。この選択肢は正しいです。
  • Rogersはクライエント中心療法の創始者であり、自律訓練法ではありません。クライエント中心療法は、クライエントの内在する成長への動機づけを信頼し、治療者の非指示的な態度や技法で解放していくことが望ましいと考えた治療法です。自律訓練法はSchultzが創始した療法です。
  • Skinnerはオペラント条件づけを明らかにした心理学者であり、認知療法の創始者ではありません。オペラント条件づけは、行動とその結果による強化や弱化の関係を研究する学問で、行動療法の基礎となっています。
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第55回午前:第80問

加齢によっても保たれる精神機能はどれか。  

1: 記銘力

2: 計算力

3: 注意力

4: 言語理解力

5: 情報処理速度

  • 答え:4
  • 解説:加齢によっても保たれる精神機能は言語理解力である。これは、結晶性知能として維持されるため、加齢による影響を受けにくい。
  • 記銘力は、知的機能の一つであり、加齢によって低下する傾向がある。
  • 計算力は、知的機能の一つであり、加齢によって低下する傾向がある。
  • 注意力は、特に注意の持続力として、加齢によって低下する傾向がある。
  • 言語理解力は、加齢によっても保たれる精神機能である。教育や文化の影響を受ける言語機能は、結晶性知能として維持されるため、加齢による影響を受けにくい。
  • 情報処理速度は、20歳代をピークに加齢とともに低下する傾向がある。
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第55回午前:第81問

治療者が指示や助言を与え、非適応的な行動をコントロールすることを目的とした治療法はどれか。  

1: 芸術療法

2: 森田療法

3: 精神分析療法

4: 来談者中心療法

5: バイオフィードバック療法

  • 答え:5
  • 解説:非適応的な行動をコントロールすることを目的とした治療法は、指示的精神療法の一種であるバイオフィードバック療法である。この療法では、通常認知しにくい生体現象を外部情報に変換し、それを認識することで自己コントロールを促す。
  • 芸術療法は、芸術活動を通じて心身の安定を図る治療法であり、非適応的な行動をコントロールすることを直接的な目的としていない。
  • 森田療法は、患者が自己の症状を受け入れることができるように訓練する方法であり、非適応的な行動をコントロールすることを直接的な目的としていない。
  • 精神分析療法は、無意識の中の葛藤を明らかにすることで症状の改善を目指す治療法であり、非適応的な行動をコントロールすることを直接的な目的としていない。
  • 来談者中心療法は、来談者の主体性と能力を尊重し、治療者が介入することを極力避ける方法であり、非適応的な行動をコントロールすることを直接的な目的としていない。
  • バイオフィードバック療法は、生体現象を自己コントロールすることを目的とした治療法であり、非適応的な行動をコントロールすることを目的としているため、正しい選択肢である。
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第55回午後:第79問

転移・逆転移で適切なのはどれか。  

1: 陰性転移の解釈は避ける。

2: 転移は逆転移を誘発する。

3: 逆転移は治療の阻害因子となる。

4: 逆転移は治療者の意識的反応である。

5: 心理治療の目標は陽性転移の出現である。

  • 答え:2
  • 解説:転移と逆転移は心理治療において重要な概念であり、患者と治療者の間の感情のやりとりを理解するために用いられる。転移は患者が過去の関係や経験から来る感情を治療者に向けることで、逆転移は治療者が患者に対して抱く感情の反応である。
  • 陰性転移は患者から治療者に向けられる否定的な感情の転移であり、治療において重要な情報を提供するため、解釈を避けるべきではない。
  • 正しい選択肢。転移は患者からの感情が治療者に影響を与え、逆転移を誘発する。これにより治療者は患者の感情や経験をより深く理解することができる。
  • 逆転移は治療者が患者に共感するために必要な部分であり、治療において意味があるものと考えられている。ただし、陰性的な面も含んでいるため、場合によっては治療の阻害因子となることもある。
  • 逆転移は治療者の意識していない感情的反応であり、意識的な反応ではない。逆転移を理解することで、治療者は自身の感情や患者との関係性をより深く理解することができる。
  • 心理治療の目標は陽性転移の出現ではない。転移は患者の感情や経験を理解し、解釈して治療に活用していくものであり、陽性転移だけを目指すのではなく、患者の全体的な成長や癒しを目指すべきである。
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第55回午後:第80問

Eriksonによる成人中期の心理的発達課題はどれか。  

1: 勤勉性

2: 同一性

3: 親密性

4: 生殖性

5: 自我の統合

  • 答え:4
  • 解説:Eriksonの心理的発達課題は、人生の各段階で獲得すべき課題があり、成人中期の課題は生殖性です。
  • 勤勉性は学童期の心理的発達課題であり、自分の能力を発揮し、仕事を通じて成果を上げることを学ぶ段階です。
  • 同一性は青年期の心理的発達課題であり、自分自身のアイデンティティを確立し、自己と他者との関係を理解することを学ぶ段階です。
  • 親密性は成人前期の心理的発達課題であり、他者との深い関係を築き、愛情や友情を育むことを学ぶ段階です。
  • 生殖性は成人中期の心理的発達課題であり、次世代に知識や経験を伝え、子どもや若者を育てることを学ぶ段階です。この選択肢が正解です。
  • 自我の統合は老年期の心理的発達課題であり、自分の人生を振り返り、達成感や満足感を得ることを学ぶ段階です。
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第55回午後:第81問

心理検査と評価内容の組合せとして適切なのはどれか。  

1: SCT ―――――――――――――認知機能

2: WCST―――――――――――――自我状態

3: P-Fスタディ ―――――――――認知症介護負担度

4: Rorschachテスト ―――――――自己効力感

5: 内田・クレペリン精神テスト――性格・行動面の特徴

第54回午前:第78問

正しい組合せはどれか。  

1: A. Beck―――愛着理論

2: J. Bowlby――認知療法

3: R. Liberman―系統的脱感作

4: C. Rogers ――来談者中心療法

5: J. Wolpe―――社会生活技能訓練

  • 答え:4
  • 解説:この問題では、心理学者と彼らが提唱した理論や療法を正しく組み合わせることが求められています。正しい組み合わせはC. Rogersと来談者中心療法です。
  • A. Beckは認知療法を提唱した心理学者であり、愛着理論はJ. Bowlbyによって提唱されました。
  • J. Bowlbyは愛着理論を提唱した心理学者であり、認知療法はA. Beckによって提唱されました。
  • R. Libermanは社会生活技能訓練を開発した心理学者であり、系統的脱感作はJ. Wolpeによって創始されました。
  • C. Rogersは来談者中心療法を提唱した心理学者であり、この選択肢は正しい組み合わせです。来談者中心療法は、クライエントの内在する成長への動機づけを信頼し、治療者の非指示的な態度や技法で解放することが望ましいとされる治療法です。
  • J. Wolpeは系統的脱感作療法を創始した心理学者であり、社会生活技能訓練はR. Libermanによって開発されました。
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第54回午前:第79問

ライフステージにおける成人期後期(50~60歳ころ)の特徴で適切なのはどれか。  

1: 親しい人の死を経験し、自分の死についても受容的になる。

2: 心理社会的な猶予期間(モラトリアム)といえる時期である。

3: 仕事や家庭を持つようになり、社会人としての成長をみせる。

4: 経験の蓄積により判断力は向上を続けるが記憶力は低下を示す。

5: 社会的役割の減少や身体的不自由など多くの喪失体験がみられる。

  • 答え:4
  • 解説:成人期後期(50~60歳ころ)の特徴として、経験の蓄積により判断力は向上を続けるが、記憶力の低下を示すことが挙げられます。この時期は、人生の経験が豊富になり、問題解決能力や判断力が向上しますが、同時に記憶力の低下が始まることが一般的です。
  • 親しい人の死を経験し、自分の死についても受容的になるのは、老年期の特徴です。老年期には、自分自身や周囲の人々の死を意識し始め、死に対する受容や準備が進むことが一般的です。
  • 心理社会的な猶予期間(モラトリアム)といえる時期は、青年期の特徴です。青年期は、自己のアイデンティティを確立するために、さまざまな役割や選択肢を模索する時期であり、心理的モラトリアムと呼ばれます。
  • 仕事や家庭を持つようになり、社会人としての成長をみせるのは、成人期前期の特徴です。成人期前期は、社会的な役割を担い始め、仕事や家庭において責任を持つようになる時期です。
  • 経験の蓄積により判断力は向上を続けるが記憶力は低下を示すのは、成人期後期の特徴です。この時期は、人生の経験が豊富になり、問題解決能力や判断力が向上しますが、同時に記憶力の低下が始まることが一般的です。
  • 社会的役割の減少や身体的不自由など多くの喪失体験がみられるのは、老年期の特徴です。老年期には、仕事や社会的役割の減少、身体機能の低下など、さまざまな喪失体験が生じることが一般的です。これらの喪失体験は、心身の諸機能の低下や生活の不活発化につながることがあります。
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第54回午前:第80問

交通事故により下肢を骨折したが、リハビリテ-ションの回数が少ないことで、治療者に強い不満をぶつけてしまった。その後「先生は私を嫌っている」と考える防衛機制はどれか。  

1: 回避

2: 投影

3: 否認

4: 抑圧

5: 合理化

  • 答え:2
  • 解説:この問題では、患者がリハビリテーションの回数が少ないことに対して不満を抱いているが、「先生は私を嫌っている」と考える防衛機制を求めています。正解は投影で、自分の感情や欲求を他人が自分に対して抱いているとみなすものです。
  • 回避は、困難な現実から目をそらし、別の現実や空想へ目を向ける防衛機制です。この問題では、患者が治療者に対して不満を抱いていることとは関係がありません。
  • 投影は、自分の感情や欲求を他人が自分に対して抱いているとみなす防衛機制です。この問題では、患者が治療者に対して不満を抱いているにも関わらず、「先生は私を嫌っている」と考えているため、正解です。
  • 否認は、不安な耐え難い現実に直面することを拒否、無視する防衛機制です。この問題では、患者が治療者に対して不満を抱いていることとは関係がありません。
  • 抑圧は、不快なことや不安、自分にとって都合の悪い欲求などを意識から排除し、無意識に追いやる防衛機制です。この問題では、患者が治療者に対して不満を抱いていることとは関係がありません。
  • 合理化は、欲求が満たされないときに理知的に処理し、自己を正当化して解消する防衛機制です。この問題では、患者が治療者に対して不満を抱いていることとは関係がありません。
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第54回午前:第81問

ある患者の心理検査の一部を示す。この検査法はどれか。 

54_0_81

1: HTP〈House-tree-person test〉

2: SCT

3: MMPI

4: P-Fスタディ

5: ASQ〈Autism Screening Questionnaire〉