臨床実習の過去問


第57回午後:第50問

精神科作業療法のインフォームドコンセントについて適切なのはどれか。  

1: 作業種目を変更する場合の同意は必要ない。

2: 医療保護入院の入院患者は同意を得る必要はない。

3: 言語理解が困難な場合は誘導しながら同意を得る。

4: 活動内容の説明は良好な患者―治療者関係の構築に必要である。

5: 精神症状が重篤な場合は患者の同意よりも治療効果が優先される。

  • 答え:4
  • 解説:インフォームドコンセントは、患者が十分な説明を受けた上での理解に基づく同意・承諾(自己決定)である。精神科作業療法においても、患者の同意を得ることが重要であり、活動内容の説明は良好な患者―治療者関係の構築に必要である。
  • 作業種目を変更する場合でも、治療者は患者に説明し、患者の同意を得る必要があるため、この選択肢は適切ではありません。
  • 医療保護入院の入院患者であっても、作業療法を実施する際には患者の同意を得る必要があるため、この選択肢は適切ではありません。
  • 言語理解が困難な場合でも、代理人の署名等が必要となる場合があります。ただし、代理人と患者との続柄は明示される必要があります。この選択肢は部分的に正しいですが、適切な選択肢ではありません。
  • 活動内容の説明は、患者の理解を得ながら適切な作業を提供するために行われる。医療者の説明は、患者の意思決定を助け、良好な患者−治療者関係の構築に必要であるため、この選択肢は適切です。
  • 精神症状が重篤な場合でも、命に別状のないときは精神科作業療法の治療効果よりも、患者の意思(同意)が尊重されるべきであるため、この選択肢は適切ではありません。
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第57回午前:第49問

作業療法実践時の標準的な感染症予防策として正しいのはどれか。  

1: 機器や道具の消毒は1日1回行う。

2: 屋外での作業療法活動では感染予防は必要ない。

3: 活動中は作業療法室内の湿度を40%以下に保つ。

4: 手洗いは抗菌性の石鹸を使用し5秒程度洗浄する。

5: 活動中に患者が出血した場合は手袋をして対処する。

  • 答え:5
  • 解説:感染症予防策は、感染経路の遮断、病原体の排除、宿主の抗体力の向上の3要因に対策がある。適切な湿度や手洗いの方法、手袋の使用などが重要である。
  • 機器や道具の消毒は使用毎に行うべきであり、1日1回では不十分である。
  • 感染対策は屋外・屋内を問わず必要であり、屋外での作業療法活動でも感染予防が必要である。
  • 湿度40%以下ではなく、標準的な感染症予防策としては湿度40〜70%が適切である。
  • 手洗いはハンドソープで10秒もみ洗い後、流水で15秒すすぎを2セット繰り返すのが適切であり、5秒程度の洗浄では不十分である。
  • 血液、体液、分泌物(汗を除く)、排泄物等に触れる場合は手袋を着用するのが適切な感染症予防策であるため、正しい選択肢である。
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第55回午前:第50問

感染症への対応で正しいのはどれか。  

1: B型肝炎患者は個室での訓練を原則とする。

2: 開放性結核患者の病室では予防衣を着用する。

3: HIV患者の唾液に触れたら抗体検査を受ける。

4: C型肝炎患者の使用道具はアルコール消毒する。

5: インフルエンザ患者は解熱後翌日から作業療法室で訓練を開始できる。

  • 答え:2
  • 解説:感染症への対応は、感染経路や感染力によって異なります。選択肢の中で正しい対応は、開放性結核患者の病室で予防衣を着用することです。
  • B型肝炎は主に血液感染や母子感染で拡大し、空気感染や飛沫感染、接触感染はないため、個室での訓練を原則とする必要はありません。
  • 開放性結核患者は空気感染を起こす可能性があり、衣服が結核菌により汚染される場合もあるため、予防衣やN95マスクを着用することが正しい対応です。
  • HIVは主に血液や性器分泌液から感染する危険性が高く、唾液内のウイルス量は微量で感染することはまずないため、唾液に触れたからといって抗体検査を受ける必要性は低いです。
  • C型肝炎は血液感染が主であり、接触感染はないため、使用道具をアルコール消毒する必要はありません。
  • インフルエンザは解熱後もウイルスを排出する可能性があるため、解熱後翌日から作業療法室での訓練を再開するのは適切ではありません。
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第54回午前:第40問

作業療法室に咳き込む入院患者が来室した際、その患者への適切な指導はどれか。  

1: 手袋の着用を促す。

2: 咳をするときは手でしっかりと口を覆うよう促す。

3: 病室に戻ってからしっかりと手指衛生を行うよう促す。

4: 装着が可能であればサージカルマスクを着けるよう促す。

5: 呼吸器感染症があれば他の患者と45 cm以上距離を空けるよう促す。

  • 答え:4
  • 解説:咳き込む入院患者が来室した際には、空気感染や飛沫感染を予防するための対策が重要です。適切な指導は、装着が可能であればサージカルマスクを着けるよう促すことです。
  • 手袋の着用は、接触感染の危険性があるときに適切な対策ですが、空気感染や飛沫感染を防ぐためにはサージカルマスクの着用が適切です。
  • 咳をするときは手でしっかりと口を覆うよう促すことは、マスクをしていない場合には一定の効果がありますが、ティッシュや衣服の袖で口を押さえる方がより適切です。また、サージカルマスクの着用が最も効果的な対策です。
  • 病室に戻ってから手指衛生を行うよう促すことは、感染予防には不十分です。咳き込んでいる場合は、その時点で空気感染や飛沫感染の危険性がありますので、作業療法室退室前に手洗いや手指消毒を行うべきです。
  • 装着が可能であればサージカルマスクを着けるよう促すことは、空気感染や飛沫感染を予防する最も適切な対策です。この選択肢が正解です。
  • 呼吸器感染症があれば他の患者と45 cm以上距離を空けるよう促すことは、感染予防には不十分です。飛沫核に病原体が載っている場合、2 m以上の距離であっても感染するとされています。適切な対策は、サージカルマスクの着用です。
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第53回午前:第25問

パルスオキシメータで計測する酸素飽和度について正しいのはどれか。  

1: 健常成人では85~90%の値となる。

2: 赤色光と赤外光を用いて測定する。

3: 血行障害があっても正確である。

4: 動脈血酸素分圧に比例する。

5: 歩行中は計測できない。

  • 答え:2
  • 解説:パルスオキシメータは、赤色光と赤外光を用いて酸素飽和度を測定する装置である。健常成人の酸素飽和度は90%以上であり、血行障害や動脈血酸素分圧とは比例関係にない。また、歩行中でもセンサーがずれなければ測定が可能である。
  • 健常成人の酸素飽和度は、通常90%以上である。85~90%の値は正常範囲ではない。
  • 正しい選択肢。パルスオキシメータは、赤色光と赤外光の波長を用いて酸素飽和度を測定する。酸素と結合したヘモグロビンは赤外光を多く吸収する性質があり、光量を解析することで酸素飽和度を算出できる。
  • 血行障害がある場合、末梢血流が阻害されるため、その部位ではパルスオキシメータで正確に測定できない。
  • ヘモグロビンに結合する酸素の量は溶存酸素と異なり、動脈血酸素分圧と比例関係にはない。酸素解離曲線はS字状の曲線を描く。
  • 歩行中でも、センサーがずれない限りはパルスオキシメータでの酸素飽和度測定が可能である。測定値のサンプル速度によっては歩行中でも測定できる。
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第53回午前:第40問

標準予防策〈standard precautions〉について正しいのはどれか。  

1: 手洗いは7秒以内で行う。

2: 血圧を測るときは手袋を着用する。

3: 感染症患者を隔離することが含まれる。

4: 患者同士の接触による感染予防が目的である。

5: すべての患者の排泄物は感染症があるとみなす。

  • 答え:5
  • 解説:標準予防策は、感染源の伝播を防ぐことを目的として、すべての患者の排泄物を感染性があるとみなし、適切な予防策を講じることです。
  • 手洗いは30秒以上必要であり、7秒以内では不十分です。アルコール手指消毒の方が短時間でほとんどの微生物を除去できます。
  • 血圧測定時に手袋を着用する必要があるのは、接触感染予防策患者であったり、患者または自己に正常でない皮膚があったりする場合です。一切の皮膚疾患などがなく、患者の排泄物などにも触れる可能性がない場合には、血圧測定のみであれば手袋を着用しなくてもよい。
  • 感染症患者を隔離することは、感染経路予防策に含まれるものであり、標準予防策とは異なります。
  • 標準予防策は、患者同士の接触による感染予防ではなく、感染源の伝播を防ぐことが目的です。
  • 標準予防策では、感染性があるものとして、血液・体液・排泄物・粘膜・傷のある皮膚が対象となります。人間の排泄物には菌が付着しているため、すべての患者の排泄物は感染性があるとみなして予防策を講じるのが正しいです。
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第53回午前:第50問

臨床実習に参加する学生の行動で、患者の個人情報を保護する上で最も適切なのはどれか。  

1: 患者の情報を自宅で親と話題にする。

2: 実習で使用したメモをゴミ箱に捨てる。

3: 患者の生年月日をレポートに記載する。

4: 患者情報を指導者と共有するときはスタッフルームで行う。

5: 患者を特定できるような訓練内容を指導者にメールで報告する。

  • 答え:4
  • 解説:臨床実習に参加する学生が患者の個人情報を保護するためには、情報の共有や破棄に注意を払い、個人を特定できる情報を含まないようにする必要がある。選択肢4が最も適切である。
  • 患者本人の了承なしに、第三者に個人情報を提供することはできない。たとえ家族でも、臨床実習で知り得た患者の情報を話題にすることは控えなければならない。
  • 実習で使用したメモには、学生が担当した患者の個人情報が含まれていることがある。メモを破棄する際には、細断をするなど、再判読ができない状態にして捨てるべきである。
  • レポートを作成するときは、個人の特定ができないようにする配慮が必要である。患者の生年月日を記載してはならない。
  • 患者情報を指導者と共有するときは、閉鎖された環境で行う。基本的には、スタッフルームには他の患者や関係のない職員が立ち入らないため、情報を漏洩する危険が少ない。
  • 個人を特定できる情報は個人情報である。これらをオンラインのコンピュータで管理すると情報が流出する危険がある。実習生が指導者に指導を受ける場合でも、メールの内容に個人を特定できる情報は含んではいけない。
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第52回午前:第25問

頭部単純CTで発症直後から診断できるのはどれか。  

1: 脳梗塞

2: 脳出血

3: Parkinson病

4: 多発性硬化症

5: 白質ジストロフィー

第51回午前:第13問

75歳の男性。脳梗塞による左片麻痺。回復期リハビリテーション病棟での作業療法をSOAP〈Subjective Objective Assessment Plan〉の方法を用いて記録している。Subjectiveに対する記載はどれか。  

1: 「OTが訪室すると表情が乏しい」

2: 「今日は調子が良くないです」

3: 「OT開始時血圧126/78 mmHg」

4: 「ベッド車椅子間の移乗動作訓練3回実施」

5: 「動作能力に変化なしと考えられる」

第51回午後:第38問

作業療法における標準感染予防策として適切なのはどれか。  

1: 手洗い後は共用の布タオルで水気を取る。

2: 外気が入らないように部屋を閉めきる。

3: 手は水に5~10秒程度浸して洗う。

4: 部屋は40~50%の湿度を保つ。

5: 患者に触れる前後に手を洗う。

第50回午前:第30問

感染予防策と用いられる方法の組合せで正しいのはどれか。  

1: 接触感染予防策 ― 手袋の使用

2: 接触感染予防策 ― サージカルキャップの使用

3: 空気感染予防策 ― ガウンの使用

4: 空気感染予防策 ― サージカルマスクの使用

5: 標準予防策 ― N95マスクの使用

第48回午前:第22問

血圧測定で正しいのはどれか。2つ選べ。  

1: 触診で拡張期血圧を測定できる。

2: 精神的ストレスによって血圧は上昇する。

3: 拡張期血圧が80 mmHgのときは高血圧である。

4: 使用するカフの幅によって血圧の測定値は異なる。

5: 上肢の血圧の左右差は健常者では30 mmHgである。

第48回午前:第38問

病院内における個人情報の保護で正しいのはどれか。  

1: 患者名を記した作業療法実施予定表を掲示した。

2: 患者の上司から電話で病状を尋ねられたので説明した。

3: 近隣病院との勉強会で、同意なく患者の写真を使用した。

4: 依頼された患者について、他の診療科の診療録を参照した。

5: 患者と職員が利用する食堂で、職員が他患者の病状について話をした。

第47回午後:第30問

手洗いで、最も洗い残しが多い部位はどれか。  

1: 第一指間腔

2: 母指球

3: 中指PIP~DIP間の掌側

4: 小指球

5: 小指の背側

第47回午後:第47問

症例報告における個人情報保護で適切なのはどれか。  

1: 患者名はイニシャルを表記する。

2: 患者の生年月日を表記する。

3: 現病歴では受診医療機関名を表記する。

4: 職歴では会社名を表記する。

5: 治療経過では実年齢を表記する。

第47回午後:第48問

SOAPによる医療記録について誤っているのはどれか。  

1: S(Subjective)では、治療の目的を記す。

2: O(Objective)では、検査や観察などの客観的データを記す。

3: A(Assessment)では、情報に基づく判断や解釈を記す。

4: P(Plan)では、問題解決のための方針を記す。

5: 問題指向型の医療記録を指す。

第46回午前:第38問

立位訓練中に転倒した患者が倒れたまま痛みを訴えている。作業療法士の対応で適切でないのはどれか。  

1: 車椅子に乗せる。

2: 血圧を測定する。

3: SpO2を測定する。

4: 主治医に連絡する。

5: 痛みの部位を確認する。

第46回午後:第38問

吸引で正しいのはどれか。  

1: 患者の頸部は回旋させない。

2: 目的は貯留物や分泌物の除去である。

3: 吸引器のボトルは空であることを確認する。

4: カテーテルを挿入した刺激で排痰を誘発する。

5: 口腔内吸引したカテーテルで気管内の吸引を行う。

第43回午前:第75問

作業療法室における感染予防で適切でないのはどれか。  

1: 部屋は十分に乾燥させる。

2: 洗面台には足踏み式給水栓を設置する。

3: 手は患者の治療ごとに洗う。

4: 手は石鹸を用い流水で20秒程度洗う。

5: 手洗い後は紙タオルでふく。

第40回午前:第74問

ベッドサイドでの作業療法中に患者の身体からはずれてしまった場合、緊急を要するのはどれか。  

1: 心電計の電極

2: 血圧計のマンシェット

3: 集尿バッグの連結部

4: 静脈内点滴の連結部

5: 鼻腔栄養チューブ