作業療法士国家試験:第53回午前の過去問


第53回午前:第1問

85歳の女性。右利き。突然の意識消失のため救急搬入された。入院後、意識は回復した。発症後2時間のMRI拡散強調像を示す。今後この患者に生じる可能性の高い症状はどれか。 

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1: 拮抗失行

2: 左右失認

3: 運動性失語

4: 社会的行動障害

5: 左半側空間無視

第53回午前:第2問

図は探索反射を検査している場面である。正しいのはどれか。 

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1: 反応は生涯続く

2: 満腹時には出現しにくい。

3: 生後2か月ごろに出現する。

4: 刺激されると嚥下反射が起こる。

5: 刺激と反対側へ頭部が回旋する。

第53回午前:第3問

Danielsらの徒手筋力テストの段階5及び4の検査で、検査者の抵抗をかける手の位置で正しいのはどれか。2つ選べ。ただし、矢印は検査者の加える力の方向を示す。 

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1: 肩甲骨内転

2: 肩関節外転

3: 肩関節水平内転

4: 肩関節内旋

5: 前腕回内

第53回午前:第4問

29歳の男性。バイク転倒事故による右前頭葉脳挫傷および外傷性くも膜下出血。事故から2週間後に意識清明となり、作業療法が開始された。運動麻痺と感覚障害はない。礼節やコミュニケーション能力は保たれているが、感情表出は少なく、ぼんやりとしていることが多い。既知の物品操作方法は覚えているが、事故後の出来事に関する情報は忘れやすい。作業療法開始時間までに支度を整えることが難しく、しばしば時間に遅れる。この患者の状態を評価するために適切と考えられる評価法はどれか。2つ選べ。  

1: BADS

2: RBMT

3: SLTA

4: SPTA

5: VPTA

  • 答え:1 ・2
  • 解説:この患者は運動麻痺や感覚障害はないものの、感情表出が少なく、事故後の出来事に関する情報を忘れやすいという症状がある。このような状態を評価するために適切な評価法は、BADS(行動評価法)とRBMT(リバプール記憶評価法)である。
  • BADS(行動評価法)は、患者の日常生活における認知機能や行動を評価するための方法であり、この患者の状態を評価するのに適切である。
  • RBMT(リバプール記憶評価法)は、患者の短期記憶や日常生活に関連する記憶機能を評価するための方法であり、この患者の状態を評価するのに適切である。
  • SLTA(言語聴覚療法評価法)は、言語聴覚療法の効果を評価するための方法であり、この患者の状態を評価するのには適切ではない。
  • SPTA(社会心理療法評価法)は、社会心理療法の効果を評価するための方法であり、この患者の状態を評価するのには適切ではない。
  • VPTA(視知覚療法評価法)は、視覚失認やBálint症候群、半側空間無視などの評価が可能であるが、この患者の症状とは関連が薄いため、適切な評価法ではない。
  • 科目:高次脳機能障害
  • 重要度:プレミアム特典
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第53回午前:第6問

手の写真を示す。上腕骨骨幹部骨折による神経麻痺によって生じやすいのはどれか。 

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1: ①

2: ②

3: ③

4: ④

5: ⑤

第53回午前:第7問

検査の写真を示す。ASIAにおけるT1のkey muscleの検査はどれか。 

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1: ①

2: ②

3: ③

4: ④

5: ⑤

第53回午前:第8問

図のような腕神経叢損傷で障害される動きはどれか。 

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1: 肩甲帯の挙上

2: 肘関節の屈曲

3: 手関節の背屈

4: 肩関節の外転

5: 肩関節の水平伸展

第53回午前:第9問

7歳の男児。脳性麻痺の痙直型両麻痺。GMFCSレベルⅢ。床上を前方へ移動する様子を示す。考えられる状態はどれか。 

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1: 頭部保持能力の低下

2: 両側上肢の支持能力の低下

3: 下部体幹の支持能力の低下

4: 両側肩甲帯周囲筋の筋緊張低下

5: 左右股関節の交互分離運動能力の低下

第53回午前:第10問

尺骨の骨幹部骨折での固定範囲で正しいのはどれか。

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第53回午前:第11問

72歳の女性。関節リウマチ。SteinbrockerのステージⅢ、クラス3。訪問リハビリテーションを行っている。最近、新たに後頸部痛と歩きにくさとを訴えている。この患者への対応として適切でないのはどれか。  

1: 転倒予防の指導を行う。

2: 頸部の可動域運動を行う。

3: 調理の際に椅子の使用を勧める。

4: 高い枕を用いないよう指導する。

5: 柔らかいマットレスを避けるよう指導する。

  • 答え:2
  • 解説:この問題では、関節リウマチの患者である72歳の女性が後頸部痛と歩きにくさを訴えており、適切でない対応を選ぶ必要があります。選択肢の中で、頸部の可動域運動を行うことが適切でない対応です。
  • 転倒予防の指導を行うことは適切な対応です。歩きにくさを訴えている患者に対して、転倒のリスクを減らすための指導を行うことは重要です。
  • 頸部の可動域運動を行うことは適切でない対応です。関節リウマチの患者に対して、無理な運動を行うことは症状の悪化を招く可能性があります。適切な運動やストレッチを専門家と相談して決定することが望ましいです。
  • 調理の際に椅子の使用を勧めることは適切な対応です。立ち仕事が困難な患者に対して、椅子を使用して調理を行うことで、負担を軽減することができます。
  • 高い枕を用いないよう指導することは適切な対応です。後頸部痛を訴える患者に対して、高い枕は頸部に負担をかける可能性があるため、適切な高さの枕を使用することが望ましいです。
  • 柔らかいマットレスを避けるよう指導することは適切な対応です。柔らかいマットレスは、関節リウマチの患者にとって関節への負担が大きくなる可能性があるため、適切な硬さのマットレスを使用することが望ましいです。
  • 科目:整形外科疾患
  • 重要度:プレミアム特典
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第53回午前:第12問

80歳の男性。要介護2。妻と2人暮らし。上肢機能は保たれているが、下肢の支持性の低下がある。認知機能は保たれている。尿意はあり、日中は洋式トイレでズボンの上げ下ろしの介助を受けて排尿している。便失禁はないが、夜間の居室での排尿方法を検討している。「妻を起こさずに自分で排尿したい」との希望がある。排泄用具の写真を示す。選択する排泄用具として適切なのはどれか。 

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1: ①

2: ②

3: ③

4: ④

5: ⑤

第53回午前:第13問

55歳の男性。2年前に筋萎縮性側索硬化症と診断された。2か月前に誤嚥性肺炎を起こして入院した。肺炎改善後、胃瘻が造設された。構音障害が重度で、発音は母音のみ可能、発声持続時間は8秒。湿性嗄声はない。唾液の空嚥下は可能である。上肢の筋力はMMTで4レベルであるが、体幹および下肢の筋力は3。歩行のFIMは1、移乗のFIMは6及びトイレ動作のFIMは6であった。自宅退院を計画している。この患者に対する対応で正しいのはどれか。  

1: 食事を常食で再開する。

2: エアマットの使用を勧める。

3: 透明文字盤の使用を勧める。

4: ポータブルトイレの使用を勧める。

5: チンコントロール電動車椅子を導入する。

  • 答え:4
  • 解説:筋萎縮性側索硬化症の患者は、運動機能が障害されているため、適切な対応が必要である。この患者は、誤嚥性肺炎の後に胃瘻を造設されており、嚥下機能が障害されている。また、上肢筋力は4レベルであるが、歩行は困難である。移乗とトイレ動作はFIMで6点であり、手すりや補助具を用いることで自立可能な状態である。この場合、ポータブルトイレを用いれば、自宅の居室で排泄が可能となる。
  • 患者は誤嚥性肺炎の後に胃瘻を造設されていることから、嚥下機能が障害されていると考えられる。食事は経口摂取だとしても、常食ではなく誤嚥を起こしにくい嚥下困難食から開始すべきである。
  • 患者は、上肢筋力がMMTで4レベル、体幹と下肢の筋力がMMT3であるため、臥位での体動は可能と考えられる。臥床していても、体動が可能であれば、褥瘡の危険性は低く、エアマットは不要である。
  • 発声が母音のみでも、クローズドクエスチョンのような音声でのコミュニケーションが可能である。この患者の場合は母音を発声できるので人工喉頭を用いることもできる。透明文字盤は、気管切開により発声できない状態に備えることはできるが、現段階では不要である。
  • 移乗とトイレ動作はFIMで6点であり、手すりや補助具を用いることで自立可能な状態である。この場合、ポータブルトイレを用いれば、自宅の居室で排泄が可能となる。正しい選択肢である。
  • 患者は上肢筋力がMMT4レベルであり、車椅子は電動でなくても利用可能である。症状が重症化したときには、電動車椅子のほか、上肢以外を駆動に用いる型の車椅子も検討する必要があるが、現段階ではチンコントロール電動車椅子の導入は不要である。
  • 科目:神経筋疾患
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第53回午前:第14問

23歳の男性。高校卒業後、公務員として働いていた21歳時に統合失調症を発症したため退職し、入院した。退院後は家業を手伝っていたが、命令的内容の幻聴によって3日間放浪したため、2度目の入院となった。1か月後に退院し、実家からデイケアに通い始めた。この時点で把握すべき情報として最も重要なのはどれか。  

1: 認知機能

2: 対人関係

3: 余暇の過ごし方

4: 就労に対する希望

5: 精神症状の生活への影響

  • 答え:5
  • 解説:この問題では、統合失調症を発症し、2度目の入院を経てデイケアに通い始めた患者の状況において、最も重要な情報を選ぶことが求められています。この時点では、患者の精神症状が生活への影響を把握することが最も重要です。
  • 認知機能は重要な要素ですが、問題文に認知機能の障害についての記載がなく、公務員として働いていた経験や家業を手伝うことができたことから、認知機能の問題はないと予想できます。このため、選択肢1は最も重要な情報ではありません。
  • 対人関係は今後の生活において課題となる可能性はありますが、問題文に対人関係が家庭生活や社会生活において問題となっている記述がないため、この時点で把握すべき情報としての優先順位は低いです。選択肢2は最も重要な情報ではありません。
  • 余暇の過ごし方については問題文に記述がなく、この時点での優先順位は低いです。選択肢3は最も重要な情報ではありません。
  • 就労に対する希望は重要ですが、患者はデイケアに通い始めた時期であり、退院後の生活を安定させることが優先です。就労については、デイケアでの様子を見た後に進めても良いため、選択肢4は最も重要な情報ではありません。
  • 患者の入院原因は幻聴であり、退院して間もない時期にあるため、精神症状が生活環境の変化によって再燃する可能性があります。この時点では、患者の精神症状が生活へ影響していないかを把握することが重要であり、選択肢5が最も重要な情報です。
  • 科目:統合失調症
  • 重要度:プレミアム特典
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第53回午前:第15問

23歳の男性。2か月前から職場の業務がシフト勤務になり夜勤が入るようになった。1か月前から日中の眠気を取るために、カフェイン入りの栄養ドリンクを1日4本以上飲むようになった。妄想や抑うつ感などは特に訴えてはいないが、不眠といらだちを主訴に精神科を受診した。この患者に対して初期にすべき介入はどれか。  

1: 精神分析療法

2: 認知行動療法

3: グループワーク

4: 抗精神病薬の投与

5: 栄養ドリンクの減量

  • 答え:5
  • 解説:この患者はカフェイン入りの栄養ドリンクを多量服用しており、不眠が生じていることから、カフェインによる物質依存の可能性が考えられる。初期対応としては、栄養ドリンクの減量が適切である。
  • 精神分析療法は現時点では時期尚早であり、まずは栄養ドリンクの減量を行うべきである。
  • 認知行動療法は、患者が栄養ドリンク摂取量を自分で減量できないときや、勤務時間の調整ができないときに次善策として用いる。しかし、まずは栄養ドリンクの減量を行うべきである。
  • グループワークは積極的治療期に行われる。認知行動療法と同様に、課題の自己解決ができないときに、集団の中で行動を修正するきっかけをつかむことが期待できる。しかし、まずは栄養ドリンクの減量を行うべきである。
  • 抗精神病薬は精神症状が重いときに用いられる。この患者は妄想や抑うつ感がないため、抗精神病薬の適用ではない。
  • 依存物質の低減を図るための受診後の初期対応では、患者の症状の原因と、見込まれる物質の摂取量を減らすことを優先する。また、睡眠の妨げとなった夜間のシフト勤務を調整するなど、行動上の修正を行って様子をみてもよい。物質依存には、生活習慣の行動変容を目指す、短時間の行動カウンセリングであるBrief Intervention(ブリーフインターベンション)が行われる。
  • 科目:その他の精神障害
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第53回午前:第16問

67歳の女性。認知症。2年前ごろから身だしなみに気を遣わずに出かけるようになった。次第に同じ食事メニューを繰り返し作る、日常会話で相手の言葉をオウム返しにする、買い物をしても代金を払わず、とがめられても気にしないといったことが多くなったため、家族に付き添われて精神科を受診し入院した。作業療法が開始された。この患者にみられる特徴はどれか。  

1: 転倒しやすい。

2: 情動失禁がみられる。

3: 手続き記憶が損なわれる。

4: 時刻表的生活パターンがみられる。

5: 「部屋にヘビがいる」といった言動がある。

  • 答え:4
  • 解説:この患者は常同行動や社会規範を逸脱した行動を気にしないことから、前頭側頭型認知症(Pick病)であると考えられます。Pick病の特徴的な症状は時刻表的生活パターンです。
  • 歩行時の動揺や転倒は、運動麻痺を伴うことの多い脳血管性認知症の特徴である。この患者は買い物に出かけている様子が問題文にあるが、歩行障害などの記述はなく、転倒しやすいとは判断できない。
  • 情動失禁は脳血管性認知症にみられやすい。前頭葉の機能低下により、感情の抑制が衰えるとともに生じる。問題文には、感情の起伏を伴った問題行動の記載はない。
  • 手続き記憶やエピソード記憶の障害は、Alzheimer型認知症の特徴である。この患者は、問題はあっても調理や買い物ができることから、手続き記憶が損なわれた状態ではない。
  • 時刻表的生活パターンなどの常同行動は、Pick病の特徴的な症状である。この患者の症状から、Pick病であると判断できる。
  • 幻覚(特に幻視)はLewy小体型認知症でみられやすい。しかし、この患者の症状からはLewy小体型認知症を示唆する証拠は見られない。
  • 科目:認知症・高齢者障害
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第53回午前:第17問

28歳の女性。産後うつ病。育児休暇中である。元来、何事にも手を抜けない性格。出産から4か月経過したころから、子どもの成長が気になり始め、夫に不安をぶつけるようになった。次第に「母親失格」と言ってはふさぎ込むようになったため、夫に連れられて精神科を受診し入院となった。1か月半後、個別的作業療法が開始となったが、手芸中に「私は怠け者」とつぶやく様子がみられた。この患者に対する作業療法士の対応として適切なのはどれか。  

1: 日記を取り入れる。

2: 育児の振り返りを行う。

3: 患者の不安な気持ちに寄り添う。

4: 家族の育児への協力方法について話し合う。

5: 性格による自己否定的考えについて話し合う。

  • 答え:3
  • 解説:産後うつ病の患者に対しては、患者の不安な気持ちに寄り添い、安心感を高めることが重要です。そのため、選択肢3が適切な対応となります。
  • 日記を取り入れることは、一日を振り返るときに気分が落ち込みやすくなるため、この段階では適切ではありません。
  • 育児の振り返りは、患者にとって陰性情動を惹起しやすいため、避けた方が良いです。
  • うつ病患者に寄り添うことで、安心感を高めることができるため、選択肢3が適切な対応となります。
  • 家族の育児への協力方法については、抑うつ感が高い時期を過ぎた後に行ったほうがよいため、この段階では適切ではありません。
  • 自己の考えを振り返ることは、自己卑下している患者にとっては、それをさらに助長する危険があるため、適切ではありません。
  • 科目:気分障害
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第53回午前:第18問

29歳の女性。歩行困難を主訴に整形外科外来を受診したが器質的問題が認められなかったため、紹介によって精神科外来を受診し入院することとなった。手足が震え、軽い麻痺のような脱力があり、自立歩行ができないため車椅子を使用している。立位保持や移乗に介助を必要とし、ADLはほぼ全介助である。この時点の患者に対する作業療法で適切なのはどれか。2つ選べ。  

1: 自己洞察を促す。

2: 自己表現の機会を増やす。

3: 集団活動で役割を担わせる。

4: 自己中心的な依存は受け入れない。

5: 身体機能に対する治療的な介入を行う。

  • 答え:2 ・5
  • 解説:この問題では、転換性障害を持つ患者に対する適切な作業療法を選ぶことが求められています。転換性障害は心理的な問題が身体的症状として現れる症状であり、適切な治療環境や自己表現の機会を提供することが重要です。
  • 自己洞察を促すことは、患者が自らの症状を身体疾患と考えることを強める危険性があるため、適切ではありません。
  • 自己表現の機会を増やすことは、心理的葛藤を身体症状で表現するのではなく、適応的に表現をする体験を促すことができるため、適切な作業療法です。
  • 集団活動で役割を担わせることは、脱力の症状があり自立歩行が難しい段階の患者には負担が大きく、適切ではありません。
  • 自己中心的な依存は受け入れないという考え方は、患者が安心できる治療環境を整えることが基本である解離性障害の治療には適していません。この時期は、信頼できる治療環境を整えるため、自己中心的な依存があっても受容的に接することが適切です。
  • 身体機能に対する治療的な介入を行うことは、関節可動域や筋力を回復させる目的で行われ、患者にとって信頼できる治療環境となるため、適切な作業療法です。
  • 科目:その他の精神障害
  • 重要度:プレミアム特典
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第53回午前:第19問

26歳の女性。衝動的な浪費や奔放な異性交遊の後に抑うつ状態となり、リストカットを繰り返していた。常に感情が不安定で、空虚感や見捨てられることへの不安を訴える。職場での対人関係の悪化をきっかけに自殺企図が認められたため入院となった。この患者に対する作業療法で適切なのはどれか。  

1: 患者の申し出に応じて面接を行う。

2: 初回面接で自殺企図について話し合う。

3: 攻撃性がみられた場合には治療者を替える。

4: 患者の希望に合わせてプログラムを変更する。

5: 治療目標や治療上の契約を繰り返し確認する。

  • 答え:5
  • 解説:この問題では、境界性パーソナリティ障害の症状がある患者に対する作業療法で適切な方法を選ぶことが求められています。境界性パーソナリティ障害は、情緒の不安定性や自己の空虚感が目立つため、治療目標や治療上の契約を繰り返し確認することが適切です。
  • 患者の申し出に応じて面接を行うのは適切ではありません。パーソナリティ障害患者との面接は、時間や頻度などの枠組みを決めて行い、患者の希望に合わせることは避けるべきです。
  • 初回面接で自殺企図について話し合うのは適切ではありません。初回の面接では治療の枠組みについて説明し、行動のルールを話し合うべきです。自殺企図については、初回面接では話し合わない方が良いです。
  • 攻撃性がみられた場合に治療者を替えると、患者の感情の向くままに人を操作しようとするパーソナリティ障害の不適応な行動を助長する可能性があるため、適切ではありません。
  • 患者の希望に合わせてプログラムを変更するのは適切ではありません。導入時に取り決めた枠組みは、患者の希望だけで安易に変更してはならない。プログラムを変更する理由として、他者の意見を含む妥当的で合理的な理由がある場合には変更しても良いです。
  • 治療目標や治療上の取り決めを患者と繰り返し確認することは、患者に対して安定した枠組みを維持する点で適切であるため、この選択肢が正解です。
  • 科目:その他の精神障害
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第53回午前:第20問

52歳の男性。統合失調症で精神科入院歴があるが、この9年間は治療中断しており、時々幻聴に影響された言動がみられる。医師の往診の後、何とか本人の同意を得て訪問支援開始となった。初回訪問時、居間で20分ほど落ち着いて話ができる状況である。初期の訪問において、作業療法士が最も留意すべきなのはどれか。  

1: 服薬勧奨を積極的に行う。

2: 1日に複数回の訪問を行う。

3: 身の回りの整理整頓を促す。

4: 毎回違うスタッフが訪問する。

5: 本人の興味や関心事を把握する。

  • 答え:5
  • 解説:この問題では、統合失調症の患者に対して作業療法士が初期の訪問で最も留意すべきことを選ぶ必要があります。患者との関係性を築くことが重要であり、本人の興味や関心事を把握することが適切な作業活動選択に繋がります。
  • 服薬は必要であるが、治療中断の理由が不明であり、薬物の種類と量が確定していない時期であるため、積極的な勧奨はできません。
  • 患者は落ち着いて話せるのは20分程度であり、この時期に1日複数回の訪問を行うことは、患者にとって精神的負担が大きいため適切ではありません。
  • 問題文には患者が身の回りの整頓をできていない様子は書かれておらず、この時点で患者の問題にないことは、初期の訪問で促す必要性はありません。
  • 毎回違うスタッフが訪問に行くと、患者との治療的関係性を築きにくくなるため、適切ではありません。
  • 初期の訪問では、適切な作業活動選択のために、本人の興味や関心事を把握する必要があります。これにより、幻聴に影響された言動などを作業活動によって抑えられる可能性があります。
  • 科目:統合失調症
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第53回午前:第21問

作業療法に関する歴史について正しいのはどれか。  

1: IL運動によってADLが誕生した。

2: 作業療法の起源は道徳療法にある。

3: 呉秀三は認知行動療法を実践した。

4: 加藤普佐次郎は肢体不自由児施設の創始者である。

5: 昭和20年に理学療法士作業療法士法が制定された。

  • 答え:2
  • 解説:作業療法の起源は道徳療法にある。道徳療法は、精神障害者の収容施設における人道的な処遇改善の運動であり、実質的に作業療法が実施されていた。
  • IL運動は、障害者の自己決定権や自己選択権を重視した運動であり、ADL(日常生活動作)との直接的関連はない。
  • 正しい選択肢。作業療法の起源は道徳療法にある。道徳療法は、精神障害者の収容施設における人道的な処遇改善の運動であり、実質的に作業療法が実施されていた。
  • 呉秀三は日本における精神病学の草分けであり、Kraepelin(クレペリン)学派の新しい精神病学の普及を通じて精神病患者の看護法を改めたが、認知行動療法を実践したという記録はない。
  • 加藤普佐次郎は医師であり、作業療法に従事したが、肢体不自由児施設の創始者ではない。肢体不自由児施設の生みの親は、東大整外科名誉教授であった高木憲次である。
  • 理学療法士及び作業療法士法は昭和40年に制定された。昭和20年ではない。
  • 科目:基礎作業療法学・作業療法管理学
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第53回午前:第22問

国際疾病分類ICD-10について正しいのはどれか。2つ選べ。  

1: 作成したのはWHOである。

2: 障害の階層性を表している。

3: 生活モデルに基づく分類である。

4: 精神障害に特化した分類である。

5: 我が国の死因統計はこの分類に準拠している。

  • 答え:1 ・5
  • 解説:国際疾病分類ICD-10は、世界保健機関(WHO)が作成した疾病や健康問題の分類システムであり、各国の死因統計などに使用されている。
  • 正しい。ICD-10は世界保健機関(WHO)が作成した国際的な疾病分類システムである。
  • 間違い。ICD-10は疾病や健康問題の分類システムであり、障害の階層性を表すものではない。
  • 間違い。ICD-10は疾病や健康問題の分類システムであり、生活モデルに基づく分類ではない。
  • 間違い。ICD-10は疾病や健康問題全般を対象とした分類システムであり、精神障害に特化した分類ではない。精神障害に特化した分類は、例えばDSM(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)がある。
  • 正しい。日本を含む多くの国では、ICD-10に基づいて分類されたデータをもとに、死因統計を公表している。
  • 科目:基礎作業療法学・作業療法管理学
  • 重要度:プレミアム特典
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第53回午前:第23問

回復期リハビリテーション病棟入院中の脳血管障害患者の在宅復帰支援において適切なのはどれか。  

1: 入院早期から家屋評価を行う。

2: 介護保険を利用し、福祉用具をレンタルして外泊訓練を行う。

3: 在宅ケアスタッフへの情報提供は、簡潔にするためになるべく略語を用いる。

4: 訪問リハビリテーションスタッフに、病院で行っているリハビリテーション内容を継続するよう申し送る。

5: 生活行為向上マネジメント〈MTDLP:management tool for daily life performance〉を用いて入院生活環境のアセスメントを行う。

  • 答え:1
  • 解説:回復期リハビリテーション病棟入院中の脳血管障害患者の在宅復帰支援において適切なのは、入院早期から家屋評価を行うことです。これにより、患者の自宅環境に適した支援が行われることが期待できます。
  • 入院早期から家屋評価を行うことは適切です。これにより、患者の自宅環境に適した支援が行われることが期待できます。
  • 介護保険を利用し、福祉用具をレンタルして外泊訓練を行うことは、在宅復帰支援の一環として有効ですが、他の選択肢と比較して最も適切とは言えません。
  • 在宅ケアスタッフへの情報提供は、簡潔にするためになるべく略語を用いることは適切ではありません。略語を用いることで、情報が伝わりにくくなる可能性があります。
  • 訪問リハビリテーションスタッフに、病院で行っているリハビリテーション内容を継続するよう申し送ることは、必ずしも適切ではありません。回復期リハビリテーションと訪問リハビリテーションでは目的が異なるため、リハビリテーションの内容が変更されることもあります。
  • 生活行為向上マネジメント〈MTDLP:management tool for daily life performance〉を用いて入院生活環境のアセスメントを行うことは、在宅復帰支援において適切ではありません。在宅復帰支援において使用する場合は、在宅生活環境のアセスメントを行うべきです。
  • 科目:脳血管疾患
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第53回午前:第24問

人間作業モデルについて正しいのはどれか。2つ選べ。  

1: 人の習慣を評価する。

2: 認知症の人には用いない。

3: 作業に対する有能感を評価する。

4: 作業の満足度を10段階で評価する。

5: 運動技能とプロセス技能で構成されている。

  • 答え:1 ・3
  • 解説:人間作業モデルは、人の作業能力や作業に対する態度を評価するためのモデルであり、習慣や有能感を評価することができます。選択肢1と3が正しいです。
  • 正解。人間作業モデルは、人の習慣を評価することができます。習慣は、日常生活や作業において繰り返し行われる行動や態度であり、作業能力や作業環境に影響を与える重要な要素です。
  • 間違い。人間作業モデルは、認知症の人にも用いることができます。認知症の人の作業能力や作業に対する態度を評価し、適切な支援や介入を提供するために使用されます。
  • 正解。人間作業モデルは、作業に対する有能感を評価することができます。有能感は、自分が作業を達成できるという自信や信念であり、作業への取り組みや作業成果に影響を与える重要な要素です。
  • 間違い。人間作業モデルでは、作業の満足度を10段階で評価することはありません。作業の満足度は、作業に対する態度や感情を反映する指標であり、評価方法は様々ですが、必ずしも10段階で評価するわけではありません。
  • 間違い。運動技能とプロセス技能で構成されているのは、Assessment of Motor and Process Skills(AMPS)という評価ツールです。人間作業モデルとは異なります。
  • 科目:基礎作業療法学・作業療法管理学
  • 重要度:プレミアム特典
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第53回午前:第25問

パルスオキシメータで計測する酸素飽和度について正しいのはどれか。  

1: 健常成人では85~90%の値となる。

2: 赤色光と赤外光を用いて測定する。

3: 血行障害があっても正確である。

4: 動脈血酸素分圧に比例する。

5: 歩行中は計測できない。

  • 答え:2
  • 解説:パルスオキシメータは、赤色光と赤外光を用いて酸素飽和度を測定する装置である。健常成人の酸素飽和度は90%以上であり、血行障害や動脈血酸素分圧とは比例関係にない。また、歩行中でもセンサーがずれなければ測定が可能である。
  • 健常成人の酸素飽和度は、通常90%以上である。85~90%の値は正常範囲ではない。
  • 正しい選択肢。パルスオキシメータは、赤色光と赤外光の波長を用いて酸素飽和度を測定する。酸素と結合したヘモグロビンは赤外光を多く吸収する性質があり、光量を解析することで酸素飽和度を算出できる。
  • 血行障害がある場合、末梢血流が阻害されるため、その部位ではパルスオキシメータで正確に測定できない。
  • ヘモグロビンに結合する酸素の量は溶存酸素と異なり、動脈血酸素分圧と比例関係にはない。酸素解離曲線はS字状の曲線を描く。
  • 歩行中でも、センサーがずれない限りはパルスオキシメータでの酸素飽和度測定が可能である。測定値のサンプル速度によっては歩行中でも測定できる。
  • 科目:臨床実習
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第53回午前:第26問

作業療法で提供する課題の難易度を上げる段階付けとして適切なのはどれか。  

1: 工程数が多い課題から少ない課題へ段階付ける。

2: 作業時間が長い課題から短い課題へ段階付ける。

3: 意思決定が少ない課題から多い課題へ段階付ける。

4: 姿勢が不安定となる課題から安定した課題へ段階付ける。

5: 運動の際に用いる関節の数が多い課題から少ない課題へ段階付ける。

  • 答え:3
  • 解説:作業療法では、患者の能力に応じて課題の難易度を段階的に上げることが重要です。意思決定が少ない課題から多い課題へ段階付けることが適切な方法です。
  • 工程数が多い課題から少ない課題へ段階付けるのは逆で、難易度を上げるには工程数が少ない課題から多い課題へ段階付けるべきです。
  • 作業時間が長い課題から短い課題へ段階付けるのは逆で、難易度を上げるには作業時間が短い課題から長い課題へ段階付けるべきです。
  • 意思決定が少ない課題から多い課題へ段階付けることが適切です。意思決定が多い課題ほど難易度が高く、患者の能力向上につながります。
  • 姿勢が不安定となる課題から安定した課題へ段階付けるのは逆で、難易度を上げるには姿勢が安定した課題から不安定な課題へ段階付けるべきです。
  • 運動の際に用いる関節の数が多い課題から少ない課題へ段階付けるのは逆で、難易度を上げるには関節の数が少ない課題から多い課題へ段階付けるべきです。
  • 科目:基礎作業療法学・作業療法管理学
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第53回午前:第27問

痛みの評価について正しいのはどれか。  

1: VASで痛みの強さを評価する。

2: フェイス・スケールで痛みの部位を評価する。

3: Abbey pain scaleは質問紙による評価である。

4: NRS〈numerical rating scale〉で痛みの性状を評価する。

5: STAS-J〈Japanese version of the support team assessment schedule〉で痛みの経過を評価する。

  • 答え:1
  • 解説:痛みの評価方法には様々なものがあり、それぞれ異なる目的や対象者に適した評価方法が存在する。VAS、フェイス・スケール、Abbey pain scale、NRS、STAS-Jなどがその例である。
  • VAS(visual analogue scale)は、痛みの強さを評価する主観的な方法で、100mmの線の左端を「まったく無し」、右端を「最も強い」とし、患者に印を付けさせる。この選択肢は正しい。
  • フェイス・スケールは、現在の痛みに一番近い顔の絵を選ばせて痛みの度合いを評価する方法であるが、痛みの部位を評価するものではないため、この選択肢は間違いである。
  • Abbey pain scaleは質問紙による評価ではなく、痛みを訴えることができない患者の様々な観察項目をもとに痛みの評価を行う方法であるため、この選択肢は間違いである。
  • NRS(numerical rating scale)は、痛みの強度を0~10の11段階で評価する方法であるが、痛みの性状を評価するものではないため、この選択肢は間違いである。
  • STAS-J(Japanese version of the support team assessment schedule)は、ホスピスや緩和ケアの臨床監査の評価尺度であり、痛みの経過を評価するものではないため、この選択肢は間違いである。
  • 科目:作業療法評価学
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第53回午前:第28問

老年期のQOLを評価するために開発されたスケールはどれか。  

1: CHART-J

2: EuroQol

3: HUI〈health utilities index〉

4: PGCモラールスケール改訂版

5: POMS

  • 答え:4
  • 解説:老年期のQOLを評価するために開発されたスケールはPGCモラールスケール改訂版である。これは、高齢者の心理的健康状態や生活の質を測定するために使用される。
  • CHART-Jは、障害者の生活の質を評価するために開発されたスケールであり、老年期のQOLを評価するためには適していない。
  • EuroQolは、一般的な健康状態を評価するためのスケールであり、特に老年期のQOLに特化したものではない。
  • HUI(health utilities index)は、健康状態の効用を測定するためのスケールであり、老年期のQOLを直接評価するものではない。
  • PGCモラールスケール改訂版は、老年期のQOLを評価するために開発されたスケールであり、高齢者の心理的健康状態や生活の質を測定するために使用される。正しい選択肢である。
  • POMSは、精神面の変化や一時的な気分・感情を測定するスケールであり、老年期のQOLを直接評価するものではない。
  • 科目:認知症・高齢者障害
  • 重要度:プレミアム特典
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第53回午前:第29問

脳性麻痺児の日常生活における手指操作能力を分類するための尺度はどれか。  

1: GMFM

2: JASPER〈Japanese assessment set for pediatric rehabilitation〉

3: K-ABC

4: MACS

5: PEDI

  • 答え:4
  • 解説:脳性麻痺児の日常生活における手指操作能力を分類するための尺度はMACS(Manual Ability Classification System)である。これは、脳性麻痺児の手指操作能力を5段階で分類し、日常生活での機能を評価するための尺度である。
  • GMFM(Gross Motor Function Measure)は、脳性麻痺児の運動機能を評価するための尺度であり、手指操作能力の評価には適していない。
  • JASPER(Japanese assessment set for pediatric rehabilitation)は、小児リハビリテーションの評価セットであり、特定の手指操作能力の評価尺度ではない。
  • K-ABC(Kaufman Assessment Battery for Children)は、児童の認知機能を評価するための尺度であり、手指操作能力の評価には適していない。
  • MACS(Manual Ability Classification System)は、脳性麻痺児の日常生活における手指操作能力を分類するための尺度であり、正しい選択肢である。5段階で分類され、日常生活での機能を評価することができる。
  • PEDI(Pediatric Evaluation of Disability Inventory)は、セルフケア、移動能力、社会的機能の評価指標であり、手指操作能力の評価には適していない。
  • 科目:発達・小児疾患
  • 重要度:プレミアム特典
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第53回午前:第30問

運動失調症状のうち、時間測定異常を評価するのはどれか。  

1: foot pat

2: 指鼻試験

3: 継ぎ足歩行

4: 跳ね返り現象

5: コップ把持検査

  • 答え:4
  • 解説:運動失調症状の評価方法には様々なものがあり、それぞれ異なる症状を評価する。時間測定異常を評価する方法は跳ね返り現象である。
  • foot patは変換運動障害を評価する方法であり、座位で踵部を床につけ、足関節の底背屈を繰り返させ、回数を測定する。
  • 指鼻試験は測定障害、協働収縮異常、企図振戦を評価する方法であり、上肢を外転させた肢位から示指で被検者の鼻の先端を触れさせ、開眼・閉眼における差異を確認する。
  • 継ぎ足歩行は運動失調の程度を評価する方法であり、一方の踵ともう片方のつま先を交互に合わせて歩かせる。軽度の運動失調では身体の動揺や不安定性が増強し、重度の場合はバランスを崩して歩行困難となる。
  • 跳ね返り現象は時間測定異常を評価する方法であり、被験者を肘屈曲60°程度とし、そこから検者が抵抗をかけながら、さらに肘を屈曲させる。その後、検者は急に手を離し、被験者が自分の手で胸を打たないことを確認する。正常では肘の屈曲をすぐに止めることができるが、運動失調では運動を止められず、自分の胸を打ってしまう。
  • コップ把持検査は測定障害、協働収縮異常、企図振戦を評価する方法であり、被験者に指を中間肢位でコップを把持する動作を行わせるが、運動失調があると、指の過度の開排と上肢の大きな運動軌跡がみられる。
  • 科目:作業療法評価学
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第53回午前:第31問

顔面と上下肢に感覚脱失を呈する脳卒中片麻痺の患者に対する生活指導で適切なのはどれか。  

1: 麻痺手使用を控える。

2: 湯呑を非麻痺側で把持する。

3: 両手での車椅子駆動を勧める。

4: 屋内ではスリッパ使用を勧める。

5: 髭剃りはT字カミソリを勧める。

  • 答え:2
  • 解説:脳卒中片麻痺の患者に対する生活指導では、効果と有害事象を比較して適切性を判断する必要があります。感覚脱失がある場合、視覚で体性感覚を代償しながら行動を行うことが重要です。
  • 麻痺手の使用を控えると、麻痺手の不使用・不認知が生じる危険があるため、適切ではありません。
  • 湯呑のような熱く重いものは、非麻痺側で把持させた方が安全であるため、適切です。麻痺側で湯呑を把持すると、火傷のほか、落としてケガをする危険がある。
  • 両手での車椅子駆動は、感覚のない麻痺側を車輪に巻き込んで負傷する危険性があるため、適切ではありません。
  • 感覚脱失した足に脱げやすいスリッパを使用すると、スリッパのズレや脱げたことに気づかず、転倒の危険性が高まるため、適切ではありません。靴を履いた方がよい。
  • T字カミソリで髭剃りをすると、感覚脱失の部分では皮膚を傷つけたときにわかりにくいため、適切ではありません。電動シェーバーを使用した方が安全である。
  • 科目:脳血管疾患
  • 重要度:プレミアム特典
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第53回午前:第32問

後方アプローチによる人工股関節置換術後の動作で正しいのはどれか。  

1: 低めのソファーに座る。

2: 健側を下にして横になる。

3: 床の物を拾うときは患側を後方に引く。

4: 階段を降りるときは健側から先に下ろす。

5: ベッドに這い上がるときは患側の膝を先につく。

  • 答え:3
  • 解説:後方アプローチによる人工股関節置換術後の動作では、脱臼を避けるために術側股関節の過度な屈曲・内転・内旋を避けるように指導することが重要です。
  • 低めのソファーに座ると、術側の股関節の屈曲角度が増大し、脱臼のリスクが高まるため、正しくありません。
  • 健側を下にして横になると、術側の股関節が内転・内旋し、脱臼のリスクが高まるため、正しくありません。
  • 床の物を拾うときは術側を後方に引くことで、前方に出すよりも股関節屈曲角度を減免でき、脱臼のリスクを低減できるため、正しいです。
  • 階段を降りるときは健側から先に下ろすと、患側の股関節が屈曲位で体重を支えるため、脱臼の危険性が高まる。正しい方法は、術側から先に降ろすことで衝撃を調整しやすくなります。
  • ベッドに這い上がるときは患側の膝を先につくと、術側の膝への負担が増大し、脱臼のリスクが高まるため、正しくありません。正しい方法は、健側の膝を先につくことで、術側の膝への負担を減免できます。
  • 科目:整形外科疾患
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第53回午前:第33問

関節リウマチ患者に対してスプリントを用いる目的で誤っているのはどれか。  

1: 筋力増強

2: 動作の補助

3: 痛みの軽減

4: 炎症の改善

5: 関節アライメントの矯正

第53回午前:第34問

Brunnstrom法ステージ上肢Ⅲ、手指Ⅳの片麻痺患者に座位で麻痺側上肢の促通練習を行う。上肢Ⅳを目指した課題として適切なのはどれか。  

1: 机上の積み木を裏返す。

2: 机上のお手玉を非麻痺側大腿に載せる。

3: 大腿上に置いた手を口元に近づける。

4: 頭上の高さの壁面を肘伸展位で雑巾で拭く。

5: 机上のお手玉を肘伸展位で麻痺側側方の肩の高さに移動する。

  • 答え:1
  • 解説:Brunnstrom法ステージでは、上肢Ⅲと手指Ⅳの片麻痺患者に対して、上肢Ⅳを目指す課題を選択する必要があります。上肢Ⅳは、腰の後ろへ回す、肘伸展位で上肢を90°前方挙上する、肘屈曲位での前腕回内・回外が可能な状態です。
  • 積み木を横つまみで把持し、裏返す動作は前腕回内・回外を促すことができるため、上肢Ⅳを目指した課題として適切です。
  • 机上のお手玉を非麻痺側大腿に載せる動作は、上肢伸展共同運動を促しており、上肢Ⅲを目指した練習課題であるため、適切ではありません。
  • 大腿上に置いた手を口元に近づける動作は、上肢屈筋共同運動を促しており、上肢Ⅲを目指した練習課題であるため、適切ではありません。
  • 頭上の高さの壁面を肘伸展位で雑巾で拭く動作は、上肢を頭上の高さまで挙上することが必要であり、上肢Ⅴを目指した練習課題であるため、適切ではありません。
  • 机上のお手玉を肘伸展位で麻痺側側方の肩の高さに移動する動作は、上肢を肘伸展位で外転することが必要であり、上肢Ⅴを目指した練習課題であるため、適切ではありません。
  • 科目:脳血管疾患
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第53回午前:第35問

多発性硬化症に対する作業療法で正しいのはどれか。  

1: MS fatigueに対して、Borg指数15に運動強度を設定する。

2: Uhthoff徴候に対して、室温を25℃以下に設定して運動を行う。

3: 筋力低下に対して、漸増抵抗運動を行う。

4: 視力障害を伴う協調性運動障害に対して、Frenkel体操を行う。

5: 有痛性強直性けいれんに対して、他動的関節可動域運動を行う。

  • 答え:2
  • 解説:多発性硬化症(MS)は中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、症状は病変部位によって異なる。作業療法では、症状に応じた適切な運動や環境設定が重要である。
  • Borg指数15は「きつい」レベルであり、MS患者にとって運動強度が高すぎる。MS fatigueに対しては、運動負荷量を低めにして休息を入れながら作業療法を行うべきである。
  • Uhthoff徴候は体温上昇に伴って神経障害が悪化し、体温低下により元に戻る現象である。MSでは温熱療法は禁忌であり、室温を25℃以下に設定して運動することは体温上昇を抑える点で適切である。
  • 筋力低下に対しては、低負荷での筋力維持運動を行うべきである。漸増抵抗運動は瞬発力を高めることを目的に抵抗負荷を高めて筋力増強を目指す練習方法であり、MS患者には適さない。
  • Frenkel体操は協調運動障害に対する反復体操であり、遮断された深部感覚受容器からの信号に対して「視覚による代償」を行わせる。しかし、視覚障害を伴う場合は適さない。
  • 有痛性強直性けいれんは、自動または他動的に下肢を曲げる刺激が発作を誘発し、痛みや痺れを伴って一側あるいは両側下肢が強直発作を示す。他動的関節可動域運動は、有痛性強直性けいれんを誘発することがあるため適さない。
  • 科目:神経筋疾患
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第53回午前:第36問

第6頸髄節まで機能残存している頸髄損傷患者に対する作業療法として適切でないのはどれか。  

1: 上衣着脱は被りタイプから練習する。

2: コンピュータの入力デバイスを検討する。

3: 排便は臥位で行えるように環境を整える。

4: 自己導尿ができるようにカテーテル操作を練習する。

5: 車椅子上で起立性低血圧が起こったときは前屈位をとる。

  • 答え:3
  • 解説:この問題では、第6頸髄節まで機能残存している頸髄損傷患者に対する作業療法の適切性について問われています。選択肢の中で適切でないものを選ぶ必要があります。
  • C6機能残存の患者ではつまみ動作が困難で、ボタンやファスナーの取扱は特殊な自助具を使用するか、修練しないと難しい。最初は被りタイプの上衣の着衣から練習するとよいため、選択肢1は適切です。
  • 手指屈曲と伸展の分離した運動が障害された患者では、キーボード入力には自助具やタッチセンサーによる入力デバイスを導入するなどの検討をするとよいため、選択肢2は適切です。
  • 選択肢3は適切でないです。便座で座薬の挿入を行えるのはC7機能残存レベル以上とされ、C6機能残存の排便は、最初はベッド上で行われることが多い。しかし、排便時に腹圧をかける姿勢は臥位よりも座位のほうが有利であり、座薬の挿入なしに排便できる際は、座位での排便もできるように練習する必要性は高い。
  • 男性のC6機能残存レベルでは、カテーテルによる自己導尿が可能である。女性はベッド上開脚位であればC6Bから実施できる可能性があるため、カテーテル操作の練習を行うとよいため、選択肢4は適切です。
  • 車椅子上で起立性低血圧が起きたときは、頭部への血流を回復させるため、前屈位やバックレストにもたれるなどの自己対応ができるように練習しておくとよいため、選択肢5は適切です。
  • 科目:脊髄損傷
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第53回午前:第37問

慢性閉塞性肺疾患の患者に対する指導として正しいのはどれか。  

1: 低脂肪食が良い。

2: 下肢の運動を行う。

3: 洗髪動作は両手で行う。

4: 発症後は禁煙の必要はない。

5: インフルエンザワクチンは勧めない。

  • 答え:2
  • 解説:慢性閉塞性肺疾患患者に対する指導として正しいのは、下肢の運動を行うことです。これは体力強化と廃用症候群予防のために効果的です。
  • 低脂肪食は慢性閉塞性肺疾患患者には適していません。呼吸によって使われるエネルギー量が増大するため、体重低下や栄養不足になりやすく、痩せは生存率の低下につながります。バランスの良い食事を心がける必要があります。
  • 慢性閉塞性肺疾患患者は、体力強化と廃用症候群予防のために、下肢の運動を行うとよい。これが正しい選択肢です。
  • 両手での洗髪は、呼吸補助筋を緊張させ、呼吸困難を誘発しやすいため、慢性閉塞性肺疾患患者に対しては片手での洗髪を指導するべきです。
  • 禁煙をすることで気流制限の進行が抑制され、慢性閉塞性肺疾患の進行を遅くし、生命予後が改善される。発症後も禁煙が勧められるため、この選択肢は間違いです。
  • 感染症は慢性閉塞性肺疾患の急性増悪につながる。インフルエンザワクチンの接種により、感染による急性増悪を予防することができる。この選択肢は間違いです。
  • 科目:内科疾患
  • 重要度:プレミアム特典
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第53回午前:第38問

標準型車椅子の使用者の生活環境として適切なのはどれか。  

1: トイレのドアは内開きにする。

2: 作業台の高さは50 cm程度とする。

3: 屋外スロープの勾配は1/10とする。

4: 浴室と脱衣所の間にグレーチングを設置する。

5: 玄関前の回転スペースは直径90 cm程度とする。

  • 答え:4
  • 解説:標準型車椅子の使用者の生活環境では、車椅子での移動や作業がしやすいように、適切な設計や設置が求められます。この問題では、適切な生活環境を選ぶことが求められています。
  • トイレのドアは内開きではなく、引き戸の方が車椅子での出入りに有利です。内開きのドアは車椅子での操作が難しく、スペースも狭くなりがちです。
  • 作業台の高さは50 cmでは低すぎます。車椅子の座面が一般的に40~45 cmであるため、作業台の高さは70 cm程度が適切です。
  • 屋外スロープの勾配は1/10では急すぎます。車椅子使用者にとって適切な勾配は1/12~1/15の範囲です。
  • 浴室と脱衣所の間にグレーチングを設置することで、段差を解消しながら水の侵入も防ぐことができます。これは標準型車椅子の使用者の生活環境として適切です。
  • 玄関前の回転スペースは直径90 cmでは狭すぎます。車椅子の回転スペースには直径150 cmが必要です。また、角を曲がるには90 cm程度の幅が必要とされます。
  • 科目:義肢・装具・支援機器・自助具等
  • 重要度:プレミアム特典
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第53回午前:第39問

ICFの構成要素である「活動と参加」の第2レベルに分類されるのはどれか。2つ選べ。  

1: 記憶機能

2: 日課の遂行

3: 社会的態度

4: 姿勢の保持

5: 活力と欲動の機能

  • 答え:2 ・4
  • 解説:ICF(国際生活機能分類)は、健康状態や障害に関連する機能、活動、参加、および環境因子を分類するための国際的なフレームワークです。この問題では、「活動と参加」の第2レベルに分類される要素を求めています。
  • 記憶機能は、「心身機能」の中の個別的精神機能に分類されるため、この選択肢は正しくありません。
  • 日課の遂行は、「活動と参加」の一般的な課題と要求に分類されるため、この選択肢は正しいです。
  • 社会的態度は、「環境因子」の態度に分類されるため、この選択肢は正しくありません。
  • 姿勢の保持は、「活動と参加」の姿勢の変換と保持に分類されるため、この選択肢は正しいです。
  • 活力と欲動の機能は、「心身機能」の全般的精神機能に分類されるため、この選択肢は正しくありません。
  • 科目:基礎作業療法学・作業療法管理学
  • 重要度:プレミアム特典
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第53回午前:第40問

標準予防策〈standard precautions〉について正しいのはどれか。  

1: 手洗いは7秒以内で行う。

2: 血圧を測るときは手袋を着用する。

3: 感染症患者を隔離することが含まれる。

4: 患者同士の接触による感染予防が目的である。

5: すべての患者の排泄物は感染症があるとみなす。

  • 答え:5
  • 解説:標準予防策は、感染源の伝播を防ぐことを目的として、すべての患者の排泄物を感染性があるとみなし、適切な予防策を講じることです。
  • 手洗いは30秒以上必要であり、7秒以内では不十分です。アルコール手指消毒の方が短時間でほとんどの微生物を除去できます。
  • 血圧測定時に手袋を着用する必要があるのは、接触感染予防策患者であったり、患者または自己に正常でない皮膚があったりする場合です。一切の皮膚疾患などがなく、患者の排泄物などにも触れる可能性がない場合には、血圧測定のみであれば手袋を着用しなくてもよい。
  • 感染症患者を隔離することは、感染経路予防策に含まれるものであり、標準予防策とは異なります。
  • 標準予防策は、患者同士の接触による感染予防ではなく、感染源の伝播を防ぐことが目的です。
  • 標準予防策では、感染性があるものとして、血液・体液・排泄物・粘膜・傷のある皮膚が対象となります。人間の排泄物には菌が付着しているため、すべての患者の排泄物は感染性があるとみなして予防策を講じるのが正しいです。
  • 科目:臨床実習
  • 重要度:プレミアム特典
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第53回午前:第41問

「持続性・安定性」の下位尺度が含まれる社会機能の評価法はどれか。  

1: ESCROW Profile

2: GAF〈Global Assessment of Functioning Scale〉

3: LASMI〈Life Assessment Scale for the Mentally Ill〉

4: Rehab〈Rehabilitation Evaluation Hall and Baker〉

5: SOFAS〈Social and Occupational Functioning Assessment Scale〉

第53回午前:第42問

作業療法中に「脳が溶けて流れ出す」と辛そうに訴える患者の症状として考えられるのはどれか。  

1: 作為体験

2: 被害妄想

3: 思考奪取

4: 体感幻覚

5: 連合弛緩

  • 答え:4
  • 解説:この問題では、「脳が溶けて流れ出す」という非現実的な自覚症状がどのような症状に該当するかを問うています。正解は体感幻覚で、温度、痛み、運動、平衡などの体感における幻覚を指します。
  • 作為体験は、自我意識の能動性が障害され、自分の思考・感情・行動が他人や外部の作用により支配されていると認識する症状です。この症状では、非現実的な自覚症状は起こりません。
  • 被害妄想は、関係妄想のうち、他人から危害を加えられる、苦しめられる、など被害感の強いものです。この症状では、非現実的な自覚症状は起こりません。
  • 思考奪取は、自分の考えを抜き取られるという主観的体験を特徴とした自我障害の一つで、「させられ思考」ともいわれます。この症状では、非現実的な自覚症状は起こりません。
  • 体感幻覚は、温度、痛み、運動、平衡などの体感における幻覚で、「腸が体の中で引っ張られる」「脳が腐って動いている」などの感覚があります。この症状が「脳が溶けて流れ出す」という非現実的な自覚症状に該当します。
  • 連合弛緩は、患者の話はだいたいわかるがまとまりがない状態で、思考を構成する概念の間に関連性が乏しい症状です。この症状では、非現実的な自覚症状は起こりません。
  • 科目:統合失調症
  • 重要度:プレミアム特典
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第53回午前:第43問

作業療法中に腹痛を訴える身体表現性障害の患者への対応として適切なのはどれか。  

1: 軽い身体活動を勧める。

2: 痛みの原因について話し合う。

3: 積極的に話しかけて注意をそらす。

4: 痛みが完全に治まるまで安静を促す。

5: 身体的所見に異常がないことを説明する。

  • 答え:1
  • 解説:身体表現性障害は心理的問題が身体症状として現れる障害であり、腹痛を訴える患者に対しては軽い身体活動を勧めることが適切な対応となる。
  • 軽い身体活動は気晴らしを促し、腹痛に対して腹部体操を行うことは運動療法としても有効であるため、適切な対応となる。
  • 痛みの原因について話し合っても、心理的誘因があるため患者は納得できず効果がない。
  • 積極的に話しかけても患者の注意を痛みから逸らすことは十分にできず、患者の依存が強まる危険性があるため、適切な対応ではない。
  • 心理的葛藤が誘因の腹痛では、安静により患者が腹部症状に注意を向けて痛みが増すことがあるため、適切な対応ではない。
  • 身体表現性障害の患者は心的葛藤の身体表現として腹痛を呈しており、身体的所見がないことを説明しても納得しないため、適切な対応ではない。
  • 科目:その他の精神障害
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第53回午前:第44問

認知症の重症度を測定することを目的に、記憶、見当識、判断力と問題解決、社会適応、家庭状況および趣味・関心、介護状況の6項目について5段階で評価するのはどれか。  

1: CDR

2: FAST

3: HDS-R

4: WMS-Ⅲ

5: NMスケール

  • 答え:1
  • 解説:認知症の重症度を測定するために、6項目を5段階で評価するのはCDR(Clinical Dementia Rating)である。CDRは記憶、見当識、判断力と問題解決、社会適応、家庭状況および趣味・関心、介護状況の6項目を評価し、認知症の進行度を判断する。
  • CDR(Clinical Dementia Rating)は、認知症の重症度を測定する目的で、記憶、見当識、判断力と問題解決、社会適応、家庭状況および趣味・関心、介護状況の6項目について5段階で評価する。このため、選択肢1が正しい。
  • FAST(Functional Assessment Staging Test)は、認知症の機能的な進行度を評価するための尺度であり、日常生活能力の低下に焦点を当てている。しかし、6項目について5段階で評価するのはCDRであるため、選択肢2は間違い。
  • HDS-R(Hasegawa Dementia Scale-Revised)は、認知症の診断や進行度を評価するための尺度であるが、6項目について5段階で評価するのはCDRであるため、選択肢3は間違い。
  • WMS-III(Wechsler Memory Scale-Third Edition)は、記憶機能を評価するための検査であり、8種類のサブテストからなる。しかし、認知症の重症度を6項目について5段階で評価するのはCDRであるため、選択肢4は間違い。
  • NMスケール(N式老年用精神状態尺度)は、老年認知症患者の日常生活における実際的な精神機能を行動観察により5項目7段階で評価する。しかし、認知症の重症度を6項目について5段階で評価するのはCDRであるため、選択肢5は間違い。
  • 科目:認知症・高齢者障害
  • 重要度:プレミアム特典
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第53回午前:第45問

緊張型統合失調症の昏迷の治療として用いられるのはどれか。  

1: EMDR〈Eye Movement Desensitization and Reprocessing〉

2: NEAR〈Neuropsychological Educational Approach to Cognitive Remediation〉

3: TEACCH〈Treatment and Education of Autistic and Related Communication Handicapped Children〉

4: 電気けいれん療法

5: 曝露反応妨害法

  • 答え:4
  • 解説:緊張型統合失調症の昏迷状態の治療として用いられるのは電気けいれん療法です。これは、頭部に通電することで人為的にけいれん発作を誘発する治療法で、重症のうつ病や躁うつ病にも用いられます。
  • EMDRは、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の治療法であり、緊張型統合失調症の昏迷状態の治療には用いられません。
  • NEARは、認知機能の障害を持つ患者に対する教育的アプローチであり、緊張型統合失調症の昏迷状態の治療には用いられません。
  • TEACCHは、自閉症スペクトラム障害の当事者と家族に対する生涯支援プログラムであり、緊張型統合失調症の昏迷状態の治療には用いられません。
  • 電気けいれん療法は、緊張型統合失調症の昏迷状態の治療に用いられる正しい選択肢です。この治療法は、頭部に通電することで人為的にけいれん発作を誘発し、重症のうつ病や躁うつ病にも用いられます。
  • 曝露反応妨害法は、強迫性障害に用いられる認知行動療法であり、緊張型統合失調症の昏迷状態の治療には用いられません。
  • 科目:統合失調症
  • 重要度:プレミアム特典
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第53回午前:第46問

うつ病の回復初期の患者への対応で最も適切なのはどれか。  

1: 就労を勧める。

2: チームでのスポーツを勧める。

3: 休憩を早めにとるように勧める。

4: 物事は自分で判断するように促す。

5: 行動の結果の良し悪しを明確に伝える。

  • 答え:3
  • 解説:うつ病の回復初期の患者への対応では、活動と休息のバランスをとることが重要であり、無理な努力や焦りが生じないようにすることが大切です。そのため、休憩を早めにとるように勧めるのが最も適切な対応です。
  • うつ病では判断力が低下していることがあるため、重要な事柄(復職・転職や退職、退学、離婚など)の自己決定は、症状が回復するまで延期したほうがよい。就労を勧めるのは適切ではありません。
  • チームでのスポーツなど、集団を利用しながら他者と感情や行動を共有する作業は、回復期後期に行うべきであり、回復初期には適切ではありません。
  • 回復初期では、回復に伴う無理な努力や焦りが生じないよう、活動と休息のバランスをとることが重要である。この時期は無理をしなくても受け入れられる体験を優先し、自信を回復させて、元の生活に戻っていくための基盤をつくる。休憩を早めにとるように勧めるのが最も適切な対応です。
  • うつ病の回復初期に取り組む作業は、簡単で構成的、繰り返しの多いもの(自己判断の少ないもの)、生産的なものが適している。回復期初期に物事の自己判断を促すと、患者が焦ることがあるため、適切ではありません。
  • うつ病の回復期に、患者ができるようになったことを伝えることは、患者の自信回復になる。しかし、回復期初期のうつ病患者は「もっとできる」「早く退院したい」と焦る傾向があるため、ポジティブ・フィードバックがかえって患者の回復に対する焦りを誘うことがある。また、上手く行えなかったことを明確にフィードバックすることで、自己卑下感を強めてしまう可能性もある。したがって、適切ではありません。
  • 科目:気分障害
  • 重要度:プレミアム特典
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第53回午前:第47問

他罰的であり「病状がよくならないのは、親の接し方が悪いため」と攻撃的になる境界性パーソナリティ障害の患者への作業療法士の対応として適切でないのはどれか。  

1: 単独で患者と関わる。

2: 患者の親への心理的支援を行う。

3: 治療契約の重要さを患者と確認する。

4: 攻撃を向けられた後も同じ態度をとる。

5: 患者自身の困難に共感的な態度で接する。

  • 答え:1
  • 解説:境界性パーソナリティ障害の患者に対する作業療法士の対応では、医療チームで統一して関わることが重要です。また、患者の家族への心理的支援や治療契約の重要性の確認、攻撃的な態度に対しても一貫した態度を保ち、患者の困難に共感的に接することが求められます。
  • 単独で患者と関わることは適切ではありません。境界性パーソナリティ障害の患者に対しては、医療チームで統一して関わることが原則です。
  • 患者の親への心理的支援を行うことは適切です。患者が家族に対して他罰的な態度をとるときは、家族にも疾患の説明を行い、家族の不安を和らげることが望ましいです。
  • 治療契約の重要さを患者と確認することは適切です。治療契約を確認し、その重要性を認識させることで、患者の不適応な行動を抑制することができます。
  • 攻撃を向けられた後も同じ態度をとることは適切です。治療者は患者に対して一貫した態度で関わることが望ましく、態度を変えると患者は作業療法士の変化に気づき、操ることのできる対象として認識する可能性があります。
  • 患者自身の困難に共感的な態度で接することは適切です。患者の現実の困りごとに対しては、作業療法士は共感的な態度で接することが望ましいです。
  • 科目:その他の精神障害
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第53回午前:第48問

我が国のアルコール関連問題について正しいのはどれか。2つ選べ。  

1: 成人の飲酒者の割合は、男性よりも女性が多い。

2: アルコール依存症は、自殺のリスクを高める。

3: 女性のアルコール依存症の有病率は、減少傾向にある。

4: 妊娠している女性の飲酒は、胎児性アルコール症候群の危険因子である。

5: 未成年者への学校でのアルコール教育は、三次予防としての取り組みである。

  • 答え:2 ・4
  • 解説:この問題では、日本のアルコール関連問題について正しい選択肢を2つ選ぶ必要があります。正しい選択肢は2と4です。
  • 選択肢1は間違いです。成人の飲酒者の割合は、男性の方が女性よりも多いです。
  • 選択肢2は正しいです。アルコール依存症とうつ病は高い割合で合併し、自殺のリスクが高まります。アルコール依存症の治療やサポートが重要です。
  • 選択肢3は間違いです。女性のアルコール依存症の有病率は、増加傾向にある。女性の社会進出に伴い、ストレスや飲酒の機会が増えているため、有病率が増加しています。
  • 選択肢4は正しいです。妊娠している女性の飲酒は、胎児性アルコール症候群の危険因子です。アルコール依存症女性から出生した児の発生は約3分の1であり、飲酒は胎児性アルコール症候群の危険因子であることが分かります。
  • 選択肢5は間違いです。未成年者への学校でのアルコール教育は、一次予防としての取り組みです。一次予防は、生活習慣の改善や生活環境の改善、健康教育による健康増進を図ることを目的としています。
  • 科目:その他の精神障害
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第53回午前:第49問

IPS〈individual placement and support〉モデルによる援助付き雇用の原則として適切なのはどれか。2つ選べ。  

1: 医療や生活支援と連携する。

2: 障害が重くても支援の対象となる。

3: 長期間訓練をしてから職場開拓を始める。

4: 企業から提案があった業務に合わせて求職活動を行う。

5: 企業に採用された後は職場の担当部署に以後の支援を任せる。

  • 答え:1 ・2
  • 解説:IPSモデルは、米国で開発された就労支援モデルで、早く現場に出て仕事に慣れることを重視しています。IPSの基本原則には、症状が重いことを理由に就労支援の対象外としない、就労支援の専門家と医療保健の専門家でチームを作る、職探しは本人の興味や好みに基づく、保護的就労ではなく一般就労をゴールとする、生活保護や障害年金などの経済的な相談に関するサービスを提供する、働きたいと本人が希望したら迅速に就労支援サービスを提供する、職業後のサポートは継続的に行う、などがあります。
  • 選択肢1は正しいです。IPSモデルでは、就労支援の専門家と医療保健の専門家でチームを作り、医療や生活支援と連携して支援を行います。
  • 選択肢2も正しいです。IPSモデルでは、症状が重いことを理由に就労支援の対象外としないという原則があります。
  • 選択肢3は間違いです。IPSモデルでは、「早く現場に出て仕事に慣れる」ことを重視し、長期間の訓練をしてから職場開拓を始めるという考え方ではありません。
  • 選択肢4は間違いです。IPSモデルでは、職探しは本人の興味や好みに基づくという原則があり、企業から提案があった業務に合わせて求職活動を行うという考え方ではありません。
  • 選択肢5は間違いです。IPSモデルでは、職業後のサポートは継続的に行うという原則があり、企業に採用された後も支援を続けます。職場の担当部署に以後の支援を任せるという考え方ではありません。
  • 科目:基礎作業療法学・作業療法管理学
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第53回午前:第50問

臨床実習に参加する学生の行動で、患者の個人情報を保護する上で最も適切なのはどれか。  

1: 患者の情報を自宅で親と話題にする。

2: 実習で使用したメモをゴミ箱に捨てる。

3: 患者の生年月日をレポートに記載する。

4: 患者情報を指導者と共有するときはスタッフルームで行う。

5: 患者を特定できるような訓練内容を指導者にメールで報告する。

  • 答え:4
  • 解説:臨床実習に参加する学生が患者の個人情報を保護するためには、情報の共有や破棄に注意を払い、個人を特定できる情報を含まないようにする必要がある。選択肢4が最も適切である。
  • 患者本人の了承なしに、第三者に個人情報を提供することはできない。たとえ家族でも、臨床実習で知り得た患者の情報を話題にすることは控えなければならない。
  • 実習で使用したメモには、学生が担当した患者の個人情報が含まれていることがある。メモを破棄する際には、細断をするなど、再判読ができない状態にして捨てるべきである。
  • レポートを作成するときは、個人の特定ができないようにする配慮が必要である。患者の生年月日を記載してはならない。
  • 患者情報を指導者と共有するときは、閉鎖された環境で行う。基本的には、スタッフルームには他の患者や関係のない職員が立ち入らないため、情報を漏洩する危険が少ない。
  • 個人を特定できる情報は個人情報である。これらをオンラインのコンピュータで管理すると情報が流出する危険がある。実習生が指導者に指導を受ける場合でも、メールの内容に個人を特定できる情報は含んではいけない。
  • 科目:臨床実習
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第53回午前:第51問

骨について正しいのはどれか。2つ選べ。  

1: 長骨の骨幹には髄腔がある。

2: 骨には緻密骨と海綿骨がある。

3: 骨芽細胞は骨吸収に関与している。

4: 骨の関節面は滑膜で覆われている。

5: 骨膜は骨の長軸方向の成長に関わる。

  • 答え:1 ・2
  • 解説:この問題では、骨に関する正しい知識を選ぶことが求められています。正しい選択肢は1と2で、長骨の骨幹には髄腔があり、骨には緻密骨と海綿骨があることが正しいです。
  • 長骨の骨幹には髄腔があります。髄腔は管状の空間で、骨髄が入っています。骨髄は赤骨髄と黄骨髄があり、赤骨髄は造血機能があり、黄骨髄は脂肪細胞が多く含まれています。
  • 骨には緻密骨(皮質骨)と海綿骨があります。緻密骨は骨の表在部にあり、強度と剛性を提供します。海綿骨は骨の内部にあり、軽量化と衝撃吸収を担当しています。また、海綿骨の空間には骨髄が存在します。
  • 骨芽細胞は骨新生に関与していますが、骨吸収には関与していません。骨吸収に関与するのは破骨細胞で、骨を分解してカルシウムなどの成分を血液に放出します。
  • 骨の関節面は関節軟骨で覆われています。関節軟骨は摩擦を減らし、衝撃を吸収する役割を果たします。滑膜は関節包の最内層に位置し、関節腔の内壁を形成し、滑膜液を分泌して関節の動きをスムーズにします。
  • 骨膜は骨の横径の成長に関わっています。骨膜は骨の表面を覆い、骨の太さを増やす役割があります。長軸方向の成長には骨端成長板が関与し、成長期に骨の長さを伸ばします。
  • 科目:解剖学(筋・骨格・神経系)
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第53回午前:第52問

運動軸が2つの関節はどれか。  

1: 手指PIP関節

2: 橈骨手根関節

3: 腕尺関節

4: 上橈尺関節

5: 肩甲上腕関節

  • 答え:2
  • 解説:運動軸が2つの関節は橈骨手根関節である。それぞれの関節は異なる種類の関節であり、運動軸の数も異なる。
  • 手指PIP関節は蝶番関節であり、1軸性関節であるため、運動軸が2つではない。
  • 橈骨手根関節は楕円関節であり、2軸性関節であるため、運動軸が2つの関節で正しい選択肢である。
  • 腕尺関節はラセン関節(広義では蝶番関節ともいう)であり、1軸性関節であるため、運動軸が2つではない。
  • 上橈尺関節は車軸関節であり、1軸性関節であるため、運動軸が2つではない。
  • 肩甲上腕関節は球関節であり、多軸性関節であるため、運動軸が2つではない。
  • 科目:解剖学(筋・骨格・神経系)
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第53回午前:第53問

外側腋窩隙を構成する筋はどれか。  

1: 棘上筋

2: 棘下筋

3: 広背筋

4: 大円筋

5: 肩甲下筋

  • 答え:4
  • 解説:外側腋窩隙は、小円筋、大円筋、上腕骨、上腕三頭筋長頭で囲まれた四角形の隙間であり、後上腕回旋動脈と腋窩神経が通っている。この問題では、外側腋窩隙を構成する筋を選ぶ必要がある。
  • 棘上筋は肩甲骨棘上窩から起始し、上腕骨大結節に停止するが、外側腋窩隙を構成していないため、正解ではありません。
  • 棘下筋は肩甲骨棘下窩から起始し、上腕骨大結節に停止するが、外側腋窩隙を構成していないため、正解ではありません。
  • 広背筋は下部胸椎・腰椎・仙椎棘突起、腸骨稜、下部肋骨、肩甲骨下角、胸腰筋膜から起始し、上腕骨小結節稜に停止するが、外側腋窩隙を構成していないため、正解ではありません。
  • 大円筋は肩甲骨下角から起始し、上腕骨小結節稜に停止する。この筋は外側腋窩隙を構成しているため、正解です。
  • 肩甲下筋は肩甲下窩から起始し、上腕骨小結節に停止するが、外側腋窩隙を構成していないため、正解ではありません。
  • 科目:解剖学(筋・骨格・神経系)
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第53回午前:第54問

錐体路について誤っているのはどれか。  

1: 大脳の運動皮質から始まる。

2: 大脳の基底核を経由する。

3: 大脳脚を経由する。

4: 大多数は延髄で交差する。

5: 脊髄の前角でシナプスを形成する。

  • 答え:2
  • 解説:錐体路は大脳の運動皮質から始まり、大脳脚を経由し、延髄で交差し、脊髄の前角でシナプスを形成する。しかし、大脳の基底核を経由するのは錐体外路系であり、錐体路ではない。
  • 正しい。錐体路は大脳の運動皮質から始まり、皮質運動野の大型錐体細胞から起こる。
  • 誤り。錐体路は大脳の基底核を経由しない。基底核は錐体外路系に属する。
  • 正しい。錐体路は内包を通った後、中脳の大脳脚を経由する。
  • 正しい。錐体路の大多数(約80%)は下部延髄で交差(錐体交叉)し、対側の外側皮質脊髄路を通る。交差しない線維束は、同側の外側皮質脊髄路や前皮質脊髄路を通る。
  • 正しい。錐体路のどの経路でも、脊髄の前角で次のニューロンとシナプスを形成する。
  • 科目:解剖学(筋・骨格・神経系)
  • 重要度:プレミアム特典
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第53回午前:第55問

内頸動脈から直接分岐しないのはどれか。  

1: 眼動脈

2: 前大脳動脈

3: 中大脳動脈

4: 前交通動脈

5: 後交通動脈

  • 答え:4
  • 解説:内頸動脈は総頸動脈から分かれ、頭蓋底の頸動脈管を通って頭蓋腔の中に入る。内頸動脈から直接分岐する血管は、眼動脈、前大脳動脈、前脈絡叢動脈、中大脳動脈、後交通動脈である。
  • 眼動脈は内頸動脈が頭蓋内に入って最初に分岐する血管であり、正しく内頸動脈から直接分岐している。
  • 前大脳動脈は内頸動脈から分岐し、大脳縦裂に入って前頭葉と頭頂葉の内側面に分布する血管であり、正しく内頸動脈から直接分岐している。
  • 中大脳動脈は内頸動脈から分岐し、外側溝に入り、主として大脳半球の外側面と島とに血液を送る血管であり、正しく内頸動脈から直接分岐している。
  • 前交通動脈は内頸動脈から直接分岐しない血管であり、左右の前大脳動脈を連絡している。このため、選択肢4が正解である。
  • 後交通動脈は眼動脈に続いて内頸動脈から分岐する血管であり、正しく内頸動脈から直接分岐している。
  • 科目:解剖学(その他)
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第53回午前:第56問

筋と支配神経の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。  

1: 円回内筋 ―――― 尺骨神経

2: 深指屈筋 ―――― 橈骨神経

3: 長掌筋 ――――― 正中神経

4: 長母指伸筋 ――― 後骨間神経

5: 腕橈骨筋 ―――― 前骨間神経

  • 答え:3 ・4
  • 解説:筋と支配神経の組み合わせに関する問題です。正しい組み合わせを選ぶためには、各筋とそれに対応する支配神経の知識が必要です。
  • 円回内筋は正中神経(ときに筋皮神経)によって支配されています。尺骨神経は円回内筋を支配していません。
  • 深指屈筋は第2指が前骨間神経、第3指が正中神経、第4・5指が尺骨神経によって支配されています。橈骨神経は深指屈筋を支配していません。
  • 長掌筋は正中神経によって支配されており、正しい組み合わせです。
  • 長母指伸筋は後骨間神経によって支配されており、正しい組み合わせです。
  • 腕橈骨筋は橈骨神経によって支配されています。前骨間神経は腕橈骨筋を支配していません。
  • 科目:解剖学(筋・骨格・神経系)
  • 重要度:プレミアム特典
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第53回午前:第57問

リンパ系について正しいのはどれか。2つ選べ。  

1: 脾臓はリンパ液を濾過する。

2: 胸管は右鎖骨下静脈に流入する。

3: 腸管由来のリンパ液を乳糜という。

4: リンパ管には弁機構が存在しない。

5: 右下肢のリンパ液は胸管に流入する。

  • 答え:3 ・5
  • 解説:リンパ系に関する問題で、正しい選択肢を2つ選ぶ問題です。リンパ系は免疫機能や体液の循環に関与しており、リンパ液の流れやリンパ管の構造、リンパ液の濾過などが重要なポイントです。
  • 脾臓はリンパ球を産生し、生体防衛の器官として働くが、リンパ液の濾過はリンパ節で行われる。脾臓の赤脾髄では、老化した赤血球の破壊や異物の分解を行う。
  • 胸管は左鎖骨下静脈と内頸静脈との合流角で、頸リンパ本幹と鎖骨下リンパ本幹と合する。右鎖骨下静脈には右リンパ本幹が流入するため、この選択肢は間違いです。
  • 腸管由来のリンパ液を乳糜という。乳糜は腸から吸収された脂肪粒や脂肪酸、グリセリンを含んでいるリンパ液であり、この選択肢は正しいです。
  • リンパ管には弁機構が存在し、毛細リンパ管を構成する内皮細胞の結合は、ゆるく重なり合って弁のように機能する。この選択肢は間違いです。
  • 右下肢のリンパ液は胸管に流入する。下肢は左右いずれのリンパ液も胸管に流入するため、この選択肢は正しいです。
  • 科目:解剖学(その他)
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第53回午前:第58問

呼吸器の解剖について正しいのはどれか。  

1: 細気管支には軟骨がある。

2: 胸膜腔は吸気時に拡大する。

3: 肺の栄養血管は肺動脈である。

4: 肺尖は鎖骨と同じ高さに位置する。

5: 右主気管支は左主気管支よりも短い。

  • 答え:5
  • 解説:この問題では、呼吸器の解剖に関する知識を問うています。選択肢の中で正しいものを選ぶことが求められています。
  • 細気管支には軟骨がありません。細気管支の上皮下には軟骨は見られず、平滑筋と弾性線維からなります。気管の前壁から側壁にかけては馬蹄形の気管軟骨が存在します。
  • 胸膜腔は吸気時に拡大するのではなく、縮小します。胸膜腔は肺と胸郭の間に見られる空間で、吸気時には肺の拡大により胸膜腔は縮小し、呼気の際にはその逆で、肺の縮小により胸膜腔は拡大します。
  • 肺の栄養血管は肺動脈ではなく、気管支動脈です。肺動脈と肺静脈は肺の機能血管であり、肺のガス交換を担当しています。
  • 肺尖は鎖骨と同じ高さに位置するのではなく、鎖骨よりも2~3 cm上方に位置します。肺尖は肺の上端で鈍円をなす部分です。
  • 正しい選択肢です。右主気管支は短くて太く、左主気管支はこれに比べて長く細い。また、正中線となす角は右主気管支が25°、左主気管支が45°である。
  • 科目:解剖学(その他)
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第53回午前:第59問

解剖学的“嗅ぎタバコ入れ”で触診できるのはどれか。  

1: 月状骨

2: 三角骨

3: 舟状骨

4: 小菱形骨

5: 有頭骨

  • 答え:3
  • 解説:解剖学的嗅ぎタバコ入れは、長・短母指伸筋腱と長母指外転筋腱の間の三角形のくぼみであり、舟状骨が触診できる部位である。
  • 月状骨は近位手根列を構成する手根骨の一つで、舟状骨と三角骨に挟まれる。嗅ぎタバコ入れではなく、リスター結節と中指中手骨底を結ぶ線上に指を置き、手関節を最大掌屈することで触診できる。
  • 三角骨は近位手根列を構成する手根骨の一つで、豆状骨の背側にある。嗅ぎタバコ入れではなく、手関節回内位で掌屈気味の橈屈を加えると、尺骨茎状突起の部分で触診できる。
  • 舟状骨は近位手根列を構成する手根骨の一つで、橈骨手根関節の橈側を構成する。舟状骨は嗅ぎタバコ入れの直下で触診できるため、正しい選択肢である。
  • 小菱形骨は遠位手根列を構成する手根骨の一つで、橈側の大菱形骨と尺側の有頭骨に挟まれる。嗅ぎタバコ入れではなく、示指中手骨の骨幹背側に沿って近位へ進むと、示指中手骨底部の膨らみを超えた部位で触診できる。
  • 有頭骨は遠位手根列を構成する手根骨の一つで、橈側の小菱形骨と尺側の有鈎骨に挟まれる。嗅ぎタバコ入れではなく、リスター結節と中指中手骨底を結ぶ線上で掌屈位にて月状骨を確認した後、背屈を進めていくと触診できる。
  • 科目:解剖学(筋・骨格・神経系)
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第53回午前:第60問

細胞内小器官の働きで正しいのはどれか。  

1: 滑面小胞体はATPを合成する。

2: Golgi装置は蛋白質を修飾する。

3: ミトコンドリアはグリコーゲンを分解する。

4: ライソソームは蛋白質を合成する。

5: リボソームは細胞内の物質を分解する。

  • 答え:2
  • 解説:この問題では、細胞内の小器官の働きについて正しいものを選ぶ必要があります。細胞内の小器官には、滑面小胞体、Golgi装置、ミトコンドリア、ライソソーム、リボソームなどがあり、それぞれ異なる機能を持っています。
  • 滑面小胞体はリボソームが付着していない小胞体の総称で、脂質成分の合成やカルシウムの貯蔵を行います。しかし、ATPの合成はミトコンドリアが行うため、選択肢1は正しくありません。
  • Golgi装置は平たい膜の袋が何層にも積み重ねられたような形で、蛋白質を修飾する機能を持っています。そのため、選択肢2は正しい答えです。
  • ミトコンドリアは細胞内でATPを合成する役割を持っています。グリコーゲンの分解は、アドレナリンやグルカゴンによる刺激により、グリコーゲンが蓄えられている筋肉や肝細胞で生じます。そのため、選択肢3は正しくありません。
  • ライソソームは蛋白質の分解を行い、不要な物質の分解とリサイクルを司ります。蛋白質を合成するのはリボソームであるため、選択肢4は正しくありません。
  • リボソームは核から転写されたメッセンジャーRNAを翻訳し、蛋白質の合成を行います。細胞内の物質を分解するのはライソソームであるため、選択肢5は正しくありません。
  • 科目:解剖学(その他)
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第53回午前:第61問

反射と脳神経の組合せで正しいのはどれか。  

1: 角膜反射―――――視神経

2: 対光反射―――――動眼神経

3: 前庭動眼反射―――三叉神経

4: 下顎反射―――――顔面神経

5: 咽頭反射―――――副神経

  • 答え:2
  • 解説:この問題では、反射とそれに関連する脳神経の組み合わせを正しく選ぶ必要があります。正しい組み合わせは、対光反射と動眼神経です。
  • 角膜反射は求心路が三叉神経、遠心路が顔面神経であるため、視神経との組み合わせは正しくありません。視神経は対光反射に関与します。
  • 対光反射は正しい組み合わせで、求心路が視神経、遠心路が動眼神経です。この反射は、光が目に入ると瞳孔が収縮する現象を指します。
  • 前庭動眼反射は、求心路が前庭神経、遠心路が動眼神経、滑車神経、外転神経であるため、三叉神経との組み合わせは正しくありません。三叉神経は角膜反射に関与します。
  • 下顎反射は、求心路・遠心路ともに三叉神経であるため、顔面神経との組み合わせは正しくありません。顔面神経は角膜反射に関与します。
  • 咽頭反射は、主に求心路が舌咽神経、遠心路が迷走神経であるため、副神経との組み合わせは正しくありません。副神経は、上位の頸神経と合して胸鎖乳突筋と僧帽筋に分布します。
  • 科目:生理学(筋・感覚・神経系)
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第53回午前:第62問

伸張反射について正しいのはどれか。  

1: 侵害受容反射である。

2: 単シナプス反射である。

3: 求心性線維はIb群線維である。

4: 遠心性線維はγ運動線維である。

5: 筋紡錘内の錘内線維を支配するのはα運動線維である。

  • 答え:2
  • 解説:伸張反射は筋の伸長時にその筋が収縮する反射であり、哺乳動物では唯一の単シナプス反射である。
  • 侵害受容反射は侵害刺激により生じる反射であり、屈筋反射や交叉伸展反射がある。伸張反射とは異なる。
  • 伸張反射は単シナプス反射であり、正しい選択肢である。哺乳動物では唯一の単シナプス反射である。
  • 伸張反射の求心性線維はIa群線維であり、Ib群線維ではない。
  • 伸張反射の遠心性線維はα運動線維であり、γ運動線維ではない。
  • 筋紡錘内の錘内線維を支配するのはγ運動線維であり、α運動線維ではない。
  • 科目:生理学(筋・感覚・神経系)
  • 重要度:プレミアム特典
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第53回午前:第63問

運動単位について正しいのはどれか。  

1: 運動単位には求心性線維が含まれる。

2: 1つの筋は単一の運動単位で構成される。

3: 神経支配比が小さいほど微細な運動ができる。

4: 随意運動時には大きな運動単位ほど先に活動を始める。

5: 伸張反射では弱い刺激で活動を開始するのは速筋である。

  • 答え:3
  • 解説:運動単位は1個の運動ニューロンとそれが支配する筋線維群のことであり、神経支配比が小さいほど微細な運動ができる。
  • 運動単位に含まれるのは運動性の遠心性線維であり、知覚性の求心性線維ではないため、選択肢1は間違いです。
  • 1つの筋は複数の運動単位で構成されるため、選択肢2は間違いです。
  • 神経支配比は、1個の運動ニューロンが支配する筋線維の数であり、指や眼筋のように神経支配比が小さいほど微細な運動ができるため、選択肢3は正しいです。
  • 随意運動時には、小さい運動単位ほど先に活動を始めるため、選択肢4は間違いです。
  • 伸張反射において弱い刺激で活動を開始するのは遅筋であり、強い刺激では速筋の活動がみられるため、選択肢5は間違いです。
  • 科目:生理学(筋・感覚・神経系)
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第53回午前:第64問

抗体を産生するのはどれか。  

1: 好酸球

2: 好中球

3: 好塩基球

4: 形質細胞

5: マクロファージ

  • 答え:4
  • 解説:抗体を産生するのは形質細胞である。形質細胞はB細胞が分化した細胞で、抗体を産生する役割を持っている。
  • 好酸球は抗体を産生する細胞ではなく、寄生虫に対する免疫機能やアレルギーによる炎症に関与する細胞である。
  • 好中球は抗体を産生する細胞ではなく、体内に侵入した細菌などの異物を取り込み消化する食細胞である。
  • 好塩基球は抗体を産生する細胞ではなく、免疫監視や傷口の修復を行うほか、ヒスタミンなどを放出してアレルギー反応の開始にも関与する細胞である。
  • 形質細胞は正解であり、B細胞が分化した細胞で抗体を産生する役割を持っている。
  • マクロファージは抗体を産生する細胞ではなく、体内に侵入した異物の貪食作用をもち、さらに貪食した抗原の情報を免疫系に伝える抗原提示機能を有する細胞である。
  • 科目:生理学(その他)
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第53回午前:第65問

胆汁について正しいのはどれか。  

1: 脂肪の吸収を抑制する。

2: 消化酵素が含まれる。

3: 食物の摂取によって分泌が増加する。

4: 胆汁酸塩の大部分は大腸で再吸収される。

5: 胆嚢で産生される。

  • 答え:3
  • 解説:胆汁は肝臓で生成され、胆嚢に貯められる。食物の摂取によって分泌が増加し、脂質の消化と吸収を促進する。また、体内代謝物質や外来物質の排泄にも関与する。
  • 選択肢1は間違いです。胆汁は脂肪の吸収を抑制するのではなく、脂質の消化と吸収を促進する働きがあります。
  • 選択肢2は間違いです。胆汁には消化酵素が含まれませんが、消化酵素の働きをサポートする役割があります。
  • 選択肢3は正しいです。胆汁は食物の摂取によって分泌が増加し、脂質の消化と吸収を促進する働きがあります。
  • 選択肢4は間違いです。胆汁酸塩の大部分は小腸で再吸収され、肝臓に戻されることから腸肝循環と呼ばれます。
  • 選択肢5は間違いです。胆汁は肝臓で生成され、胆嚢に貯められる。胆嚢は胆汁を貯める役割がありますが、胆汁を生成するのは肝臓です。
  • 科目:生理学(消化・吸収・排泄系)
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第53回午前:第67問

副甲状腺ホルモンで正しいのはどれか。  

1: 骨吸収を促進する。

2: 好酸性細胞で分泌される。

3: リンの再吸収を促進する。

4: 重炭酸イオンの再吸収を促進する。

5: 遠位尿細管でのカルシウム再吸収を抑制する。

  • 答え:1
  • 解説:副甲状腺ホルモンは、血中カルシウム濃度を調節するために働くホルモンで、骨吸収を促進して血漿カルシウム濃度を高める作用があります。
  • 選択肢1は正しいです。副甲状腺ホルモンは骨吸収を促進し、血漿カルシウム濃度を高めることでカルシウムの恒常性を維持します。
  • 選択肢2は間違いです。副甲状腺ホルモンは副甲状腺主細胞から分泌される。好酸性細胞は副甲状腺ホルモンを分泌しなくなった老化した主細胞とされています。
  • 選択肢3は間違いです。副甲状腺ホルモンはリンの再吸収を抑制し、リン濃度を低下させる作用があります。
  • 選択肢4は間違いです。副甲状腺ホルモンは重炭酸イオンの再吸収を抑制し、アシドーシスを引き起こすことがあります。
  • 選択肢5は間違いです。副甲状腺ホルモンは遠位尿細管とHenle係蹄上行脚でカルシウム再吸収を促進する作用があります。
  • 科目:生理学(その他)
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第53回午前:第68問

摂食嚥下の際の運動で正しいのはどれか。  

1: 嚥下後の呼吸は吸気から再開される。

2: 口腔内の食塊は反射運動で咽頭へ送られる。

3: 嚥下反射が起こると舌骨は下方に移動する。

4: 食塊の咽頭への送り込み時に口蓋帆張筋が緊張する。

5: 食塊の食道への送り込み時に輪状咽頭筋が収縮する。

第53回午前:第69問

等張性運動について正しいのはどれか。  

1: 角速度は一定である。

2: 等尺性運動に比べ血圧が上昇しやすい。

3: 等尺性運動に比べ収縮時の筋血流が増加しやすい。

4: 等尺性運動に比べ心拍数が増加しやすい。

5: 負荷に抗して姿勢を維持するときに起こる。

  • 答え:3
  • 解説:等張性運動は筋肉の長さが変化し、関節の動きが伴う運動であり、等尺性運動に比べ収縮時の筋血流が増加しやすい特徴がある。
  • 角速度が一定であるのは等速性運動であり、等張性運動ではない。
  • 等尺性運動の方が等張性運動よりも血圧が上昇しやすい。等尺性運動は筋収縮を行う際に筋血流が減少し、末梢血管抵抗の増加をきたすため、血圧が上昇する。
  • 等張性運動は等尺性運動に比べ収縮時の筋血流が増加しやすい。等尺性運動は末梢血管を圧迫し血流抵抗が高くなるため、筋血流が減少する。
  • 等尺性運動は等張性運動よりも心拍数が増加しやすい。そのため、心疾患患者への等尺性運動は好ましくない。
  • 負荷に抗して姿勢を維持するときに起こるのは等尺性運動であり、等張性運動ではない。
  • 科目:運動学
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第53回午前:第70問

頸椎の伸展に作用する筋はどれか。  

1: 頸長筋

2: 頭長筋

3: 頸板状筋

4: 後斜角筋

5: 前頭直筋

  • 答え:3
  • 解説:頸椎の伸展に作用する筋は、板状筋群、後頭下筋群、脊柱起立筋群、短背筋群である。選択肢の中では、頸板状筋が正しい答えである。
  • 頸長筋は、上部頸椎の屈曲と側屈に作用する筋であり、伸展には作用しないため、正しい答えではありません。
  • 頭長筋は、上部頸椎の屈曲と側屈に作用する筋であり、伸展には作用しないため、正しい答えではありません。
  • 頸板状筋は、頸椎の伸展と回旋に作用する筋であり、正しい答えです。
  • 後斜角筋は、頸椎の側屈と第1~2肋骨の挙上に作用する筋であり、伸展には作用しないため、正しい答えではありません。
  • 前頭直筋は、上部頸椎の屈曲に作用する筋であり、伸展には作用しないため、正しい答えではありません。
  • 科目:運動学
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第53回午前:第71問

肩甲骨の下方回旋に作用する筋はどれか。  

1: 前鋸筋

2: 小胸筋

3: 小円筋

4: 棘下筋

5: 鎖骨下筋

  • 答え:2
  • 解説:肩甲骨の下方回旋に作用する筋は小胸筋、菱形筋、肩甲挙筋である。それぞれの筋肉は肩甲骨の動きを制御し、肩関節の安定性や可動域を維持する役割がある。
  • 前鋸筋は肩甲骨の外転(屈曲)と上方回旋に作用する筋肉であり、下方回旋には関与していない。
  • 小胸筋は肩甲骨の下制、外転(屈曲)、下方回旋に作用する筋肉であり、正しい答えである。
  • 小円筋は肩関節の外旋と水平伸展に作用する筋肉であり、肩甲骨の下方回旋には関与していない。
  • 棘下筋は肩関節の外旋と水平伸展に作用する筋肉であり、肩甲骨の下方回旋には関与していない。
  • 鎖骨下筋は肩甲骨の下制と鎖骨外側の下制に作用する筋肉であり、肩甲骨の下方回旋には関与していない。
  • 科目:運動学
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第53回午前:第72問

正常な膝関節を屈曲したときの最終域感で正しいのはどれか。  

1: 虚性

2: 筋性

3: 骨性

4: 靭帯性

5: 軟部組織性

  • 答え:5
  • 解説:正常な膝関節を屈曲したときの最終域感は軟部組織性である。これは、膝関節が屈曲する際に、軟部組織が圧迫されることにより、可動域が制限されるためである。
  • 虚性は、疼痛や感情的防御などにより関節可動域が制限されるもので、正常な膝関節屈曲時には見られない。
  • 筋性は、筋の短縮により可動域が制限されるもので、軟部組織圧迫よりも弾性が感じられる。正常な膝関節屈曲時には見られない。
  • 骨性は、骨同士が接触することで可動域が制限されるもので、急激な硬いエンドフィールが特徴。正常な膝関節屈曲時には見られない。
  • 靭帯性は、靭帯の張力により可動域が制限されるもので、前腕回内外や肩関節外旋の最終可動域で見られる。正常な膝関節屈曲時には見られない。
  • 軟部組織性は、軟部組織が圧迫されることで可動域が制限されるもので、正常な膝関節屈曲時やSLRの最終可動域で見られる。これが正しい選択肢である。
  • 科目:運動学
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第53回午前:第73問

足の外側縦アーチを形成するのはどれか。2つ選べ。  

1: 踵骨

2: 距骨

3: 舟状骨

4: 立方骨

5: 中間楔状骨

  • 答え:1 ・4
  • 解説:足の外側縦アーチは、内側縦アーチに比べてアーチの高さが低く、長さも短い。このアーチは踵骨、立方骨、第5中足骨が関与して形成されています。
  • 踵骨は正しい選択です。踵骨は足の最も大きな骨であり、足の外側縦アーチと内側縦アーチの両方を形成する役割があります。
  • 距骨は間違いです。距骨は足の内側縦アーチを形成する役割がありますが、外側縦アーチには関与していません。
  • 舟状骨は間違いです。舟状骨は足の内側縦アーチを形成する役割がありますが、外側縦アーチには関与していません。
  • 立方骨は正しい選択です。立方骨は足の外側縦アーチを形成する役割があります。
  • 中間楔状骨は間違いです。中間楔状骨は遠位足根骨の一部であり、足の近位の横アーチを形成する役割がありますが、外側縦アーチには関与していません。
  • 科目:運動学
  • 重要度:プレミアム特典
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第53回午前:第74問

正常歩行について正しいのはどれか。  

1: 肩関節は同側の踵接地時に最大屈曲位となる。

2: 膝関節は踵接地直後に伸展する。

3: 骨盤は水平面において回旋運動をする。

4: 骨盤は前額面において水平に保たれる。

5: 骨盤は遊脚側へ側方移動する。

  • 答え:3
  • 解説:正常歩行では、肩関節、膝関節、骨盤が特定の動きを行い、体のバランスを保ちながら歩行が行われます。この問題では、それらの動きの中で正しいものを選ぶ必要があります。
  • 肩関節は同側の踵接地時に最大伸展位となるので、この選択肢は間違いです。
  • 膝関節は踵接地直後に屈曲するので、この選択肢は間違いです。
  • 正しい選択肢です。正常歩行では、骨盤は水平面において回旋運動をすることで、歩行の効率を高めています。
  • 骨盤は前額面において立脚側が内転するので、この選択肢は間違いです。
  • 骨盤は立脚側へ側方移動するので、この選択肢は間違いです。
  • 科目:運動学
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第53回午前:第75問

運動時の生体反応で正しいのはどれか。  

1: 冠血流は低下する。

2: 腎血流は増加する。

3: グリコーゲン分解が促進される。

4: 尿へのナトリウム排泄は促進される。

5: 酸素含有量の動静脈較差は減少する。

  • 答え:3
  • 解説:運動時には、冠血流が増加し、腎血流が低下し、グリコーゲン分解が促進され、尿へのナトリウム排泄が減少し、酸素含有量の動静脈較差が増加する。
  • 選択肢1は間違いです。運動時には冠血流が増加する。これは、カテコラミン(エピネフリン、ノルエピネフリン)の働きにより心拍数と収縮力が増加し、心拍出量が増加するためです。
  • 選択肢2は間違いです。運動時には、腎臓など機能を一時停止してもよい内臓器官への血流は低下する。これは、運動時には筋肉への血流が優先されるためです。
  • 選択肢3は正しいです。運動により、筋肉内のグリコーゲン分解は促進される。これは、運動時に筋肉がエネルギーを必要とするため、グリコーゲンが分解されてグルコースが生成されることでエネルギーが供給されるからです。
  • 選択肢4は間違いです。運動により、尿細管でのナトリウムの再吸収が高まるため、尿へのナトリウム排泄は減少する。これは、運動時には体内の水分と電解質のバランスを維持するためです。
  • 選択肢5は間違いです。運動時には酸素含有量の動静脈較差が増加する。これは、筋活動の組織レベルでPCO2、H+イオン濃度、血液温度が上昇し、その結果ヘモグロビン酸素解離曲線が右方に偏位するため、組織での酸素放出が促進されるからです。
  • 科目:運動学
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第53回午前:第76問

歩行障害がある患者の頭部MRIのT1強調冠状断像を示す。腰椎穿刺を行い髄液を排出させたところ、歩行障害が改善した。最も考えられるのはどれか。 

53_0_76

1: Parkinson病

2: 正常圧水頭症

3: 脳梗塞

4: 脳出血

5: 慢性硬膜下血腫

第53回午前:第77問

熱傷について正しいのはどれか。  

1: 第Ⅰ度熱傷では熱感はみられない。

2: 浅達性第Ⅱ度熱傷では瘢痕を残す。

3: 深達性第Ⅱ度熱傷の水疱底は発赤している。

4: 第Ⅲ度熱傷では疼痛が著明である。

5: 鼻咽腔内に煤が見られたときは気道熱傷が疑われる。

  • 答え:5
  • 解説:熱傷は皮膚や組織が熱によって損傷を受ける状態で、その程度によって第Ⅰ度熱傷から第Ⅲ度熱傷まで分類される。また、火災後の患者で鼻咽腔内に煤が見られた場合、気道熱傷が疑われる。
  • 第Ⅰ度熱傷は表皮のみの損傷であり、皮膚は発赤と紅斑が生じる。症状として熱感と疼痛がみられるため、この選択肢は間違いです。
  • 浅達性第Ⅱ度熱傷は真皮浅層までの損傷であり、皮膚は紅斑と水疱を生じるが、瘢痕は残さない。強い疼痛と灼熱感がみられるため、この選択肢は間違いです。
  • 深達性第Ⅱ度熱傷は真皮深層までの損傷であり、皮膚は水疱底の白い水疱とびらんがみられる。しかし、水疱底は発赤していないため、この選択肢は間違いです。
  • 第Ⅲ度熱傷は真皮全層、皮下組織に及ぶ損傷であり、皮膚は蒼白、羊皮紙様となる。痛覚の損傷により無痛となるため、この選択肢は間違いです。
  • 火災後の患者など、鼻咽腔内に煤が見られたときは気道熱傷が疑われる。気道熱傷ではこのほか、呼吸困難、嗄声、喘鳴、顔面熱傷、口咽頭の発赤、浮腫、ラ音、チアノーゼなどがみられる。この選択肢が正しい。
  • 科目:骨関節障害と臨床医学
  • 重要度:プレミアム特典
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第53回午前:第78問

非ステロイド性抗炎症薬〈NSAIDs〉の副作用として正しいのはどれか。  

1: 胃潰瘍

2: 低血糖

3: 多幸感

4: 骨粗鬆症

5: 中心性肥満

  • 答え:1
  • 解説:非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、関節リウマチや変形性関節症などの痛みを緩和するために使用される薬で、副作用として胃腸障害が起こることがある。
  • 胃潰瘍は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の副作用として生じることがあります。これは、NSAIDsがプロスタグランジンの生成を抑制し、胃粘膜の保護作用が低下するためです。
  • 低血糖は非ステロイド性抗炎症薬の副作用ではありません。低血糖は、抗不整脈薬やニューキノロン系抗菌薬、アンジオテンジンⅡ受容体拮抗薬、非定型抗精神病薬などの副作用として生じることがあります。
  • 多幸感は非ステロイド性抗炎症薬の副作用ではありません。多幸感は、ステロイド薬の副作用として生じることがあります。
  • 骨粗鬆症は非ステロイド性抗炎症薬の副作用ではありません。骨粗鬆症は、ステロイド薬の副作用として生じることがあります。
  • 中心性肥満は非ステロイド性抗炎症薬の副作用ではありません。中心性肥満は、ステロイド薬の副作用として生じることがあります。
  • 科目:内部障害と臨床医学
  • 重要度:プレミアム特典
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第53回午前:第79問

欲求を満たせないときに、正反対の欲求を発展させ心的平衡を保とうとする防衛機制はどれか。  

1: 抑圧

2: 否認

3: 行動化

4: 合理化

5: 反動形成

  • 答え:5
  • 解説:防衛機制は、心理的なストレスや不安を軽減するために無意識に働く心の働きです。この問題では、欲求を満たせないときに正反対の欲求を発展させ心的平衡を保とうとする防衛機制を求めています。正解は反動形成です。
  • 抑圧は、自分が受け入れがたい欲求や感情を無意識に心の奥底に押し込める防衛機制です。これにより、意識からその欲求や感情を遠ざけることができますが、正反対の欲求を発展させるわけではありません。
  • 否認は、自分が受け入れたくない現実や感情を、まるで存在しないかのように無視する防衛機制です。これにより、その現実や感情に対処しなくても済むようになりますが、正反対の欲求を発展させるわけではありません。
  • 行動化は、欲求や感情を直接的な行動に変換する防衛機制です。これにより、欲求や感情を表現することができますが、正反対の欲求を発展させるわけではありません。
  • 合理化は、欲求が満たされない時に、理屈をつけて自分を正当化し、納得させる防衛機制です。これにより、欲求不満を軽減することができますが、正反対の欲求を発展させるわけではありません。
  • 反動形成は、欲求を満たせないときに、その正反対の欲求を発展させて心的平衡を保つ防衛機制です。例えば、自分が嫌いな人に対して、過剰に親切になることで、その嫌悪感を抑えることができます。この防衛機制は、欲求不満を緩和し、心の安定を保つ効果があります。
  • 科目:臨床心理学
  • 重要度:プレミアム特典
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第53回午前:第80問

古典的条件付けの原理を用いた治療法はどれか。  

1: 曝露法

2: 認知再構成法

3: トークンエコノミー法

4: セルフモニタリング法

5: 社会生活技能訓練〈SST〉

  • 答え:1
  • 解説:古典的条件付けの原理を用いた治療法は、環境刺激を操作することで患者の反応を生育・修正・除去するもので、この原理は、曝露法、系統的脱感作法、嫌悪療法などの行動療法で用いられる。
  • 曝露法は古典的条件付けの原理を用いた治療法で、不安障害などで適応となる。患者が恐怖や不安を感じる状況に徐々に慣れさせることで、恐怖心や不安感を減らす効果がある。
  • 認知再構成法は認知行動療法の基本的手技で、極端な認知の歪みを修正して、適応的な行動をとったり問題に対処したりすることを可能にするものである。パニック障害やうつ病などで適応となるが、古典的条件付けの原理を用いた治療法ではない。
  • トークンエコノミー法はオペラント条件付けの原理を用いた治療法で、患者が望ましい行動をとった場合、直ちにそれを強化すべくトークン(代用紙幣など)を与え、それが約束の値に達したら患者と約束していた望みのものと交換する方法である。特別支援教育などの現場で用いられることが多いが、古典的条件付けの原理を用いた治療法ではない。
  • セルフモニタリング法は行動療法や認知行動療法で用いられるマネジメント技法で、自分の行動を記録することで目的の行動を強化する効果がある。適応障害などで適応となるが、古典的条件付けの原理を用いた治療法ではない。
  • 社会生活技能訓練(SST)は認知行動療法の技法である。統合失調症などで適応となるが、古典的条件付けの原理を用いた治療法ではない。
  • 科目:臨床心理学
  • 重要度:プレミアム特典
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第53回午前:第81問

作動記憶〈ワーキングメモリー〉の説明として適切なのはどれか。  

1: 数日間保持される。

2: 非宣言的記憶の1つである。

3: 技能の記憶として機能する。

4: 生活史の記憶として機能する。

5: 情報の処理と保持を同時に行う。

  • 答え:5
  • 解説:作動記憶(ワーキングメモリー)は、短期的に情報を保持し、同時に情報処理を行うシステムです。課題遂行のために必要な情報を一定の時間保持し、それに基づいて情報処理を行います。
  • 作動記憶は短期記憶の一つであり、数日間保持されるわけではありません。作動記憶は数秒から数十秒程度の短い時間で情報が保持されます。
  • 非宣言的記憶は意識上に内容を想起できず、言語などを介してその内容を陳述できない記憶です。作動記憶は、書物を読みながら内容を理解していく過程などであり、非宣言的記憶には分類されません。
  • 技能の記憶は、非宣言的記憶の一つである手続き記憶です。手続き記憶は、自転車の乗り方や泳ぎ方などの技能を記憶するもので、作動記憶とは異なります。
  • 生活史の記憶は長期記憶に分類され、過去の出来事や経験を記憶するものです。作動記憶は短期的な情報保持と処理を行うシステムであり、生活史の記憶とは異なります。
  • 作業記憶は、情報処理の中間過程を一時的に保持しながら次の処理を同時に行うような、並列的な作業の際に用いられます。これが作動記憶の特徴であり、適切な説明です。
  • 科目:臨床心理学
  • 重要度:プレミアム特典
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第53回午前:第82問

運動制御における小脳の役割で正しいのはどれか。  

1: 一連の動作の企画

2: 運動プランの切り替え

3: 記憶に基づく運動の修飾

4: 視覚情報を運動指令に変換

5: 自発的な行為のプログラミング

  • 答え:3
  • 解説:小脳は運動制御において、記憶に基づく運動の修飾を行います。他の選択肢にある機能は、大脳皮質の異なる部分で行われます。
  • 一連の動作の企画は、主に大脳皮質(前頭連合野)で行われるため、小脳の役割ではありません。
  • 運動プランの切り替えは、大脳皮質(前補足運動野)で行われるため、小脳の役割ではありません。
  • 記憶に基づく運動の修飾は、小脳や視床、大脳基底核で行われるため、この選択肢が正しいです。
  • 視覚情報を運動指令に変換するのは、大脳皮質(運動前野)で行われるため、小脳の役割ではありません。
  • 自発的な行為のプログラミングは、大脳皮質(一次運動野)で行われるため、小脳の役割ではありません。
  • 科目:運動学
  • 重要度:プレミアム特典
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第53回午前:第83問

脊髄ショック期の徴候として正しいのはどれか。  

1: 温痛覚解離

2: 痙性四肢麻痺

3: 肛門括約筋反射消失

4: 深部腱反射亢進

5: 排尿反射亢進

  • 答え:3
  • 解説:脊髄ショック期は、脊髄損傷後に発生する一時的な症状で、損傷部位以下の神経機能が消失する。この期間は数時間から数週間続くことがあり、その後徐々に回復していく。
  • 温痛覚解離は脊髄ショック期ではなく、脊髄内腫瘍や脊髄空洞症で見られる症状である。
  • 痙性四肢麻痺は脊髄ショック期ではなく、脊髄ショック期を経た後に損傷髄節以下で見られる症状である。
  • 肛門括約筋反射消失は脊髄ショック期の徴候であり、損傷髄節以下の反射が消失するために起こる。経過とともに回復することがある。
  • 深部腱反射亢進は脊髄ショック期ではなく、脊髄ショック期を経た後に損傷髄節以下で見られる症状である。
  • 排尿反射亢進は脊髄ショック期ではなく、脊髄ショック期では排尿反射が消失し、尿閉や尿失禁となる。
  • 科目:神経・筋系の障害と臨床医学
  • 重要度:プレミアム特典
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第53回午前:第84問

脊髄損傷の機能残存レベルと可能な動作の組合せで正しいのはどれか。ただし、機能残存レベルより下位は完全麻痺とする。  

1: C4―――――万能カフを用いた食事

2: C5―――――前方移乗

3: C6―――――橈側-手掌握り

4: C7―――――更衣

5: C8―――――長下肢装具での歩行

  • 答え:4
  • 解説:脊髄損傷の機能残存レベルは、損傷部位によって可能な動作が異なります。この問題では、機能残存レベルと可能な動作の組合せを正しく判断することが求められています。
  • C4レベルでは頸部、肩甲骨の運動が可能ですが、万能カフを使用しても食事は困難です。万能カフを用いた食事はC5レベルから可能となります。
  • C5レベルでは肩関節の屈曲、外転、伸展、肘関節の屈曲などが可能ですが、前方移乗(車イスとベット間)はC6レベルから可能となります。
  • C6レベルでは手関節の背屈が可能となり、テノデーシスアクションを用いた把持動作が可能ですが、橈側-手掌握りはC8レベルから可能となります。
  • C7レベルでは、側臥位でのズボン着脱なども可能となり、更衣が可能です。この選択肢が正しい組合せです。
  • C8レベルでは手指屈筋・伸筋が機能しますが、ADLは車椅子自立レベルであり、長下肢装具での歩行はTh12レベルから可能となります。
  • 科目:神経・筋系の障害と臨床医学
  • 重要度:プレミアム特典
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第53回午前:第85問

Fallot四徴症で起こる血管異常はどれか。  

1: 大動脈騎乗

2: 大動脈狭窄

3: 冠動脈狭窄

4: 肺静脈閉塞

5: 肺動脈弁逆流

  • 答え:1
  • 解説:Fallot四徴症は先天性心疾患で、高位心室中隔欠損、大動脈騎乗、肺動脈狭窄、右心室肥大の四病変が特徴です。この中で血管異常として大動脈騎乗が該当します。
  • 大動脈騎乗は、大動脈が左右の心室にまたがっている状態で、Fallot四徴症に含まれる血管異常です。これが正しい選択肢です。
  • 大動脈狭窄は、大動脈弁の開放制限が左室-大動脈圧較差を惹起し、左心室に圧負荷をもたらす病態です。Turner症候群などで合併することがありますが、Fallot四徴症ではありません。
  • 冠動脈狭窄は、冠動脈に徐々に沈着したコレステロールなどにより血管の内腔が狭まる状態です。アテローム動脈硬化症などでみられますが、Fallot四徴症ではありません。
  • 肺静脈閉塞は、肺静脈の内膜肥厚や線維化などにより閉塞が生じる病態です。原因不明なことが多いですが、Fallot四徴症では肺動脈の狭窄がみられるため、この選択肢は間違いです。
  • 肺動脈弁逆流は、肺動脈弁の閉鎖不全により、拡張期に肺動脈から右室に向かって逆流が生じる病態です。二次性肺高血圧症でみられることがほとんどであり、Fallot四徴症の術後にもみられることがあるものの、Fallot四徴症で起こる血管異常としては不適切です。
  • 科目:内部障害と臨床医学
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第53回午前:第86問

スパイロメトリーで計測できないのはどれか。  

1: 1秒量

2: 予備吸気量

3: 1回換気量

4: 最大吸気量

5: 機能的残気量

  • 答え:5
  • 解説:スパイロメトリーは、肺活量、%肺活量、努力性肺活量、1秒量、1秒率などの肺機能を測定する方法です。しかし、残気量や機能的残気量はスパイロメトリーで測定できません。
  • 1秒量は、呼出開始から最初の1秒間に呼出された気量を指します。これはスパイロメトリーで計測が可能な項目です。
  • 予備吸気量は、安静吸気位から最大に吸気できる気量を指します。これもスパイロメトリーで計測が可能な項目です。
  • 1回換気量は、1回の呼吸で肺に出入りする気量を指します。これもスパイロメトリーで計測が可能な項目です。
  • 最大吸気量は、安静呼気位から最大吸気位までの気量を指します。これもスパイロメトリーで計測が可能な項目です。
  • 機能的残気量は、安静呼気位において肺内に残る気量を指します。スパイロメトリーでは残気量を測定できないため、機能的残気量も測定できません。このため、選択肢5が正解です。
  • 科目:内部障害と臨床医学
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第53回午前:第87問

関節リウマチについて正しいのはどれか。  

1: 股関節などの大関節に初発する。

2: 間質性肺炎を合併することが多い。

3: 罹患関節の症状は非対称性に現れる。

4: 半数以上にリウマトイド結節が認められる。

5: 血清アルカリフォスファターゼが高値となる。

  • 答え:2
  • 解説:関節リウマチは、主に手関節や手指の小関節に初発し、対称性に症状が現れる自己免疫疾患です。合併症として間質性肺炎が多く、リウマトイド結節が一部の患者に認められます。血清アルカリフォスファターゼは通常正常範囲内ですが、活動期に高値となることがあります。
  • 選択肢1は間違いです。関節リウマチの初発部位は、手関節や手指の小関節が多く、大関節が初発部位であることは稀です。
  • 選択肢2は正しいです。関節リウマチでは、間質性肺炎のほか、肺線維症や胸膜炎などの肺疾患を合併することが多いです。
  • 選択肢3は間違いです。関節リウマチでは、罹患関節の症状は対称性に現れる特徴があります。
  • 選択肢4は間違いです。関節リウマチでは、肘関節外側皮下に腫瘤状のしこりを生じるリウマトイド結節が20~30%の患者に認められます。
  • 選択肢5は間違いです。関節リウマチの血清アルカリフォスファターゼは、一般的には正常範囲内です。ただし、関節リウマチの活動期には高値となることがあることに注意が必要です。
  • 科目:骨関節障害と臨床医学
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第53回午前:第88問

免疫不全によって生じやすい疾患はどれか。  

1: 肝性脳症

2: ペラグラ脳症

3: Wernicke脳症

4: トキソプラズマ症

5: Creutzfeldt-Jakob病

  • 答え:4
  • 解説:免疫不全によって生じやすい疾患はトキソプラズマ症である。免疫不全の状態では、通常は無徴候か軽度の症状で済む感染症が重症化し、死に至ることもある。
  • 肝性脳症は慢性の肝疾患が原因であり、免疫不全とは直接的な関係がない。感染症や消化器出血などが誘因となることがあるが、免疫不全が主要な原因ではない。
  • ペラグラ脳症はナイアシンの欠乏によって発症し、遺伝的な問題や栄養摂取障害が原因となる。免疫不全とは直接的な関係がない。
  • Wernicke脳症はビタミンB1欠乏によって発症し、胃切除術後のビタミン摂取不良やアルコールの多飲などが原因となる。免疫不全とは直接的な関係がない。
  • トキソプラズマ症は原虫の感染症で発症し、免疫不全の状態では重症化して死に至ることもある。健康な成人では無徴候か軽度の症状で済むが、免疫不全の場合は生じやすくなるため、正しい選択肢である。
  • Creutzfeldt-Jakob病は脳内に異常プリオン蛋白が沈着することで発症する。発生機序は不明確であるが、免疫不全との直接的関係はない。
  • 科目:臨床医学総論(病理学)
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第53回午前:第89問

Lewy小体型認知症に伴うことが多いのはどれか。  

1: 幻視

2: 失語症

3: 高血圧

4: 聴覚障害

5: 入眠障害

  • 答え:1
  • 解説:Lewy小体型認知症は、幻視やパーキンソン症状、うつ症状、レム睡眠行動障害などが特徴的な症状として現れることが多いです。
  • 幻視はLewy小体型認知症で初期から見られやすい症状であり、この問題の正解です。
  • 失語症は言語機能の障害で、Alzheimer型認知症などで見られやすい症状ですが、Lewy小体型認知症では特に多くは見られません。
  • 高血圧は脳血管性認知症で見られやすい症状ですが、Lewy小体型認知症とは直接関係がないため、この問題の答えではありません。
  • 聴覚障害は認知症の危険因子として挙げられることがありますが、特定の認知症の型で特別に見られやすいというわけではないため、この問題の答えではありません。
  • 入眠障害はAlzheimer型認知症で見られやすい症状です。Lewy小体型認知症でも睡眠障害は見られることがありますが、特にレム睡眠行動障害が見られやすいため、この問題の答えではありません。
  • 科目:老年期障害と臨床医学
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第53回午前:第90問

Guillain-Barré症候群について正しいのはどれか。  

1: 50%以上で再発する。

2: 脱髄型と軸索型がある。

3: アルコール多飲が原因である。

4: ビタミンB1欠乏によって起こる。

5: 歩行可能まで回復する症例は25%以下である。

  • 答え:2
  • 解説:Guillain-Barré症候群は神経伝導検査の結果に基づいて脱髄型と軸索型に分類される。主な原因はウイルス感染であり、予後は良好で歩行障害が残存することは少ない。
  • Guillain-Barré症候群の再発率は2~5%程度であり、50%以上で再発するというのは誤りです。
  • 正解。Guillain-Barré症候群は神経伝導検査の結果に基づいて脱髄型と軸索型に分類される。欧米では脱髄型が多く、アジアでは軸索型が多い。
  • Guillain-Barré症候群の主な原因はウイルス感染であり、アルコール多飲が原因であるというのは誤りです。
  • Guillain-Barré症候群では治療にビタミンBやビタミンE製剤を用いることがあるが、ビタミンB1欠乏によって起こるのは脚気やWernicke脳症である。
  • Guillain-Barré症候群は予後良好で、歩行障害が残存することは少ない。基本的には発症4~6か月以内に85%の患者が満足のいく回復を示す。歩行可能まで回復する症例が25%以下であるというのは誤りです。
  • 科目:神経・筋系の障害と臨床医学
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第53回午前:第91問

Duchenne型筋ジストロフィーの呼吸障害について正しいのはどれか。  

1: 咳をする力は保たれる。

2: 口すぼめ呼吸が有効である。

3: 側弯症は呼吸機能に影響しない。

4: 動脈血二酸化炭素分圧が上昇する。

5: 呼吸不全は5歳以下から生じることが多い。

  • 答え:4
  • 解説:Duchenne型筋ジストロフィーは神経筋疾患であり、筋力が低下するため、呼吸障害が生じることがある。この障害では、動脈血二酸化炭素分圧が上昇し、酸素分圧が低下する。
  • 選択肢1は間違いです。Duchenne型筋ジストロフィーでは筋力が低下するため、咳嗽力も低下します。
  • 選択肢2は間違いです。Duchenne型筋ジストロフィーの呼吸障害には口すぼめ呼吸は有効ではなく、慢性閉塞性肺疾患に有効です。
  • 選択肢3は間違いです。Duchenne型筋ジストロフィーでみられることのある側弯症は、胸郭変形を生じ、肺活量減少につながり、呼吸機能に影響します。
  • 選択肢4は正しいです。Duchenne型筋ジストロフィーにおける呼吸障害では、動脈血二酸化炭素分圧が上昇し、酸素分圧が低下する。
  • 選択肢5は間違いです。Duchenne型筋ジストロフィーの呼吸不全は平均20歳前後に生じることが多く、5歳以下では筋力低下が生じます。
  • 科目:神経・筋系の障害と臨床医学
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第53回午前:第92問

腎不全における透析療法について正しいのはどれか。2つ選べ。  

1: 透析対象者数は年々増加傾向にある。

2: 血液透析よりも腹膜透析の割合が多い。

3: 昼間透析よりも夜間透析の割合が多い。

4: 透析導入の原因疾患は糖尿病性腎症が最も多い。

5: 透析対象者の死亡原因として肝不全が最も多い。

  • 答え:1 ・4
  • 解説:腎不全における透析療法に関する正しい選択肢は、透析対象者数が年々増加傾向にあることと、透析導入の原因疾患で糖尿病性腎症が最も多いことです。
  • 透析対象者数は年々増加傾向にあるので、この選択肢は正しいです。高齢化や生活習慣病の増加により、腎不全患者が増えていることが原因とされています。
  • 血液透析の割合が腹膜透析よりも多いため、この選択肢は間違いです。血液透析は95%以上の割合で、腹膜透析は5%以下の割合です。
  • 昼間透析の割合が夜間透析よりも多いため、この選択肢は間違いです。昼間透析は80%以上の割合で、夜間透析は15%以下の割合です。
  • 透析導入の原因疾患で糖尿病性腎症が最も多いので、この選択肢は正しいです。次に多い原因疾患は慢性糸球体腎炎、腎硬化症と続きます。
  • 透析対象者の死亡原因で肝不全が最も多いわけではないため、この選択肢は間違いです。透析対象者の死亡原因では心不全が最多で、次いで感染症、脳血管障害と続きます。
  • 科目:内部障害と臨床医学
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第53回午前:第93問

糖尿病の運動療法で正しいのはどれか。  

1: 食後すぐに運動を開始する。

2: 冷汗は高血糖発作の予兆である。

3: インスリン投与中は運動療法を中止する。

4: 空腹時血糖値が高いほど運動量を増やす。

5: 増殖性網膜症がある場合には運動強度を軽くする。

  • 答え:5
  • 解説:糖尿病の運動療法では、食後1~2時間後に運動を開始し、インスリン投与中でも運動が可能である。ただし、空腹時血糖値が高い場合や増殖性網膜症がある場合は注意が必要である。
  • 食後すぐに運動を開始するのではなく、食後1~2時間後に運動を開始することで食後の高血糖が改善される。
  • 冷汗は低血糖発作の予兆であり、高血糖発作では著しい口渇(脱水)、全身倦怠感、悪心、嘔吐などの消化器症状が生じる。
  • インスリン投与中であっても運動療法は可能であり、投与後すぐに運動するときなどはインスリン投与量の減量が必要な場合がある。
  • 空腹時血糖値が高い場合(空腹時血糖≧250mg/dL)は、運動を禁止・制限する必要がある。
  • 増殖性網膜症がある場合は運動療法は原則禁忌であり、運動療法を継続してきた患者には強度を軽くするか中止する場合がある。
  • 科目:内部障害と臨床医学
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第53回午前:第94問

乳癌について正しいのはどれか。  

1: 月経前に疼痛が増悪する。

2: 好発部位は乳房の外側上部である。

3: 好発年齢は20歳代である。

4: 5年生存率は40%前後である。

5: 我が国における発症率は欧米の3倍である。

  • 答え:2
  • 解説:乳癌は乳房の外側上部に好発し、40歳代後半から50歳代前半がピークである。疼痛は生じず、5年生存率は90%前後である。日本の発症率は欧米の約1/3である。
  • 乳腺症は月経前に疼痛が増悪するが、乳癌は疼痛を生じないため、選択肢1は正しくない。
  • 乳癌の好発部位は、乳房の外側上部が約半分を占め、次いで乳房の内側上部、外側下部、内側下部と続く。選択肢2は正しい。
  • 乳癌の好発年齢は40歳代後半から50歳代前半がピークである。選択肢3は正しくない。
  • 乳癌の5年生存率は、ステージにもよるが、90%前後である。選択肢4は正しくない。
  • 我が国における乳癌の発症率は欧米の約1/3であるが、食生活の欧米化などに伴い徐々に日本でも増加している。選択肢5は正しくない。
  • 科目:がん関連障害と臨床医学
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第53回午前:第95問

介護保険について正しいのはどれか。  

1: 要介護認定の申請は都道府県に対して行う。

2: 65歳未満では給付を受けられない。

3: 要介護認定には主治医意見書が必要である。

4: 要介護状態区分等は要支援と要介護を合わせて6段階ある。

5: ケアプランを作成できるのはケアマネジャーのみである。

  • 答え:3
  • 解説:介護保険に関する正しい情報は、要介護認定には主治医意見書が必要であるという選択肢3です。他の選択肢は誤りが含まれています。
  • 要介護認定の申請は都道府県ではなく、市町村に対して行います。
  • 65歳未満でも特定疾病の場合には介護保険の給付が受けられます。特定疾病には関節リウマチや脳血管疾患など16の疾病が指定されています。
  • 要介護認定には主治医意見書が必要であり、正しい選択肢です。また、要介護者の心身の状況を調査する訪問調査が行われます。
  • 要介護状態区分等は、要支援1・2と要介護1~5を合わせて7段階あるため、6段階ではありません。
  • ケアプランはケアマネジャーのみでなく、対象者本人も作成することが可能です。
  • 科目:保健医療福祉
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第53回午前:第96問

高齢初発てんかんについて正しいのはどれか。  

1: 特発性てんかんが多い。

2: 患者数は減少傾向にある。

3: 部分発作を呈することが多い。

4: てんかん重積状態に至ることはない。

5: 抗てんかん薬が無効であることが多い。

  • 答え:3
  • 解説:高齢初発てんかんは症候性てんかんが多く、患者数は増加傾向にあります。部分発作が多く、意識障害が起こることが多いため、誤診されることもあります。また、てんかん重積状態に至ることがあり、治療は抗てんかん薬が中心で効果が高いとされています。
  • 選択肢1は間違いです。高齢初発てんかんの大部分は症候性てんかんであり、特発性てんかんは少ないです。特発性てんかんは小児に多く見られます。
  • 選択肢2は間違いです。高齢初発てんかんの患者数は増加傾向にあります。これは高齢化社会の進行に伴って、高齢者のてんかん患者が増えているためです。
  • 選択肢3は正しいです。高齢初発てんかんでは部分発作(特に複雑部分発作)を呈することが多いです。これは、けいれんがなく、意識が障害されることが多いため、誤診されることも多いです。
  • 選択肢4は間違いです。高齢初発てんかんであっても、てんかん重積状態に至ることがあります。非けいれん性の重積状態のほか、複雑部分発作による重積状態も起こり得ます。
  • 選択肢5は間違いです。高齢初発てんかん患者の治療は抗てんかん薬が中心であることが多く、また効果が高いとされています。ただし、個々の患者によっては抗てんかん薬の効果が異なるため、適切な薬物選択や用量調整が重要です。
  • 科目:老年期障害と臨床医学
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第53回午前:第97問

器質性精神障害について正しいのはどれか。  

1: 妄想はみられない。

2: 安定した人格を認める。

3: 記憶障害はみられない。

4: 抗精神病薬は投与しない。

5: 心理的要因の影響を受ける。

  • 答え:5
  • 解説:器質性精神障害は、脳の機能や構造に異常があることが原因で起こる精神障害であり、Alzheimer型認知症や脳血管障害、進行麻痺、頭部外傷、脳腫瘍などが成因となることがある。ストレスなどの心理的要因の影響を受けることがあります。
  • 選択肢1は間違いです。器質性精神障害では、意識混濁や顕著な幻覚などが明らかでない場合でも、器質性妄想状態を呈することがあります。
  • 選択肢2は間違いです。器質性精神障害では、人格変化や情意面の障害がみられることがあります。
  • 選択肢3は間違いです。器質性精神障害では、急性期の意識障害の回復期などに健忘症候群がみられることがあります。
  • 選択肢4は間違いです。器質性精神障害で生じる行動障害に対しては、抗精神病薬が処方されることがある。そのほか、抗うつ薬や睡眠導入剤などの向精神薬が処方されることもあります。
  • 選択肢5は正しいです。器質性精神障害はストレスなどの心理的要因の影響を受けることがあります。
  • 科目:精神障害と臨床医学
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第53回午前:第98問

ベンゾジアゼピン系睡眠薬の依存について正しいのはどれか。  

1: 中高年者にはみられない。

2: 身体依存は形成されない。

3: 離脱症状としてせん妄がある。

4: 常用量であれば依存は形成されない。

5: 作用時間の長い薬剤の方が依存を形成しやすい。

  • 答え:3
  • 解説:ベンゾジアゼピン系睡眠薬は依存性があるため注意が必要であり、中高年者や長期使用による常用量依存の問題が指摘されている。また、離脱症状としてせん妄や抑うつ気分、記憶・集中力障害などの精神障害がみられる。
  • 選択肢1は間違いです。ベンゾジアゼピン系睡眠薬の依存は中高年者にもみられ、長期投与による常用量依存の問題が指摘されています。
  • 選択肢2は間違いです。ベンゾジアゼピン系睡眠薬の長期使用により身体依存が形成されることがあります。
  • 選択肢3は正しいです。ベンゾジアゼピン系睡眠薬の離脱症状としてせん妄や抑うつ気分、記憶・集中力障害などの精神障害がみられることがあります。
  • 選択肢4は間違いです。ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、常用量であっても、長期使用により急に服用を中止すると、中断時症候がみられることがあります。
  • 選択肢5は間違いです。ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、作用時間の長い薬剤の方が体内での蓄積が少ないため、依存を形成しづらいとされています。
  • 科目:精神障害と臨床医学
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第53回午前:第99問

「自分がやっていることなのに、自分がやっている感じがしない」と訴える患者の症状はどれか。  

1: 恐怖症

2: 拒絶症

3: 離人症状

4: 心気症状

5: 感情鈍麻

  • 答え:3
  • 解説:この問題では、患者が「自分がやっていることなのに、自分がやっている感じがしない」と訴える症状について尋ねています。この症状は離人症状に該当します。
  • 恐怖症は神経症性障害の一種で、通常は危険ではない状況や対象に対して不安が誘発され、それらを回避しようとする症状です。この症状は、自分がやっている感じがしないという訴えとは関係がありません。
  • 拒絶症は緊張型統合失調症の症状の一つで、他人の命令や期待を態度や行動で拒否するものです。この症状も、自分がやっている感じがしないという訴えとは関係がありません。
  • 離人症状は、うつ病や恐怖性不安障害、強迫性障害などで見られる症状で、自分の外の世界や自分自身に対する実感が薄れてしまい、自分が自分でないような感覚が生じるものです。この症状が「自分がやっていることなのに、自分がやっている感じがしない」という訴えに該当します。
  • 心気症状は神経症性障害の一種で、身体的異常がないのに頭痛やめまいなどを感じ、病気ではないかと気を病むものです。この症状は、自分がやっている感じがしないという訴えとは関係がありません。
  • 感情鈍麻は慢性期の統合失調症患者などに見られる症状で、普通であれば感情反応を引き起こすような刺激があるにも関わらず、感情が起こらない状態です。この症状も、自分がやっている感じがしないという訴えとは関係がありません。
  • 科目:精神障害と臨床医学
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第53回午前:第100問

親しい人間関係を構築できず、奇異な考え方や風変わりな行動が継続してみられ、パーソナリティ障害を指摘された。最も考えられるのはどれか。  

1: 演技性パーソナリティ障害

2: 依存性パーソナリティ障害

3: 統合失調型パーソナリティ障害

4: 猜疑性〈妄想性〉パーソナリティ障害

5: シゾイド〈統合失調質〉パーソナリティ障害