発達・小児疾患の過去問


第53回午後:第8問

図はDuchenne型筋ジストロフィー患者に用いる上肢機能障害度分類(9段階法)のレベル8の状態である。自立していると考えられる活動はどれか。 

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1: パソコンのマウスを操作する。

2: スプーンを使って食べる。

3: 普通型車椅子で自走する。

4: 急須でお茶を注ぐ。

5: Tシャツを脱ぐ。

第53回午後:第10問

7歳の女児。アテトーゼ型脳性麻痺。GMFCSレベルⅣ。頭部は右を向きやすく、上肢はATNR様の姿勢をとる。利き手は右であるが物を持続的に把持する能力は低い。食事訓練場面では座位保持装置に座って肘当てと同じ高さのテーブルで、スプーンでの自力摂取を試みている。食事訓練における作業療法士の対応として適切なのはどれか。  

1: BFO利用する。

2: テーブルを補高する。

3: 皿をテーブルの右側に置く。

4: スプーンの柄が細いものを選ぶ。

5: 座位保持装置を床から60度の角度でティルティングする。

  • 答え:2
  • 解説:この問題では、アテトーゼ型脳性麻痺の7歳女児に対して、食事訓練における作業療法士の適切な対応を選ぶことが求められています。選択肢の中で最も適切な対応は、テーブルを補高することです。
  • Balanced Forearm Orthosis(BFO)は、上肢を免荷してわずかな筋力で作業できるようにする装置ですが、アテトーゼ型脳性麻痺では不随意運動があるため、BFOでは上肢の運動制御が困難になります。このため、選択肢1は適切ではありません。
  • テーブルを補高することで、前腕をテーブルにのせてスプーンを操作する動作が安定し、アテトーゼによる上肢の不随意運動の影響を少なくすることができます。また、持続的な把持力が低いため、食べこぼしを防ぐことや、食物と口の距離を縮める観点からも、テーブルを高くすることは適切です。このため、選択肢2が正しい答えです。
  • 女児は頭部が右を向けやすく、ATNR様の姿勢をとりやすいため、皿を右側に置くと、右上肢は伸展しやすいものの、口にスプーンを運びにくくなります。このため、選択肢3は適切ではありません。
  • 持続的な把持する能力が低い女児にとって、スプーンの柄が細いものは持ちにくくなります。太い柄の方が持ちやすいため、選択肢4は適切ではありません。
  • 座位保持装置を床から60度の角度で背もたれと座面を後方へ倒すと、テーブル面と頭部の距離が離れ、食事動作における上肢の必要運動範囲が大きくなります。物を持続的に把持する能力が低く、アテトーゼのある女児にとっては、食事がしにくくなるため、選択肢5は適切ではありません。
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第53回午後:第18問

20歳の男性。幼少期は一人遊びが多かった。小学校から高校までは成績は概ね良かったものの、正論的発言が多い、融通が利かないなどによって集団になじめず、いじめを受けることも多かった。大学に入ると、講義科目は問題ないが、演習科目のグループワークで相手に配慮した発言がうまくできず、メンバーから避けられることが多くなった。大学2年生になると、過去のいじめ体験を思い出してパニックになることが増え、自宅の自室に引きこもる状態となったため、母親に連れられて精神科を受診し、外来で作業療法が開始された。この患者の作業療法で適切でないのはどれか。  

1: ルールや取り決めを明示しておく。

2: 興味や関心のある活動を導入する。

3: 作業手順を言葉で細かく伝える。

4: 心理教育プログラムを行う。

5: パラレルな場を用いる。

  • 答え:3
  • 解説:この患者は自閉スペクトラム症(ASD)が考えられるため、作業療法においては、ルールや取り決めを明示する、興味や関心のある活動を導入する、心理教育プログラムを行う、パラレルな場を用いるなどの対応が適切である。ただし、作業手順を言葉で細かく伝えることは、混乱を招くことがあるため適切ではない。
  • 自閉スペクトラム症に対する作業療法の導入では、あらかじめ約束事(ルール)を明示するとよい。これにより、患者が安心して活動に取り組むことができる。
  • 作業療法の導入には興味・関心のある活動を用いて、治療・援助の目標や約束などを具体的に取り決めることが望ましい。これにより、患者が自分の興味に基づいて活動に取り組むことができる。
  • 自閉スペクトラム症では、作業手順を言葉で細かく伝えても混乱することがある。言葉の場合はなるべく簡潔に、具体的表現で伝えたほうがよい。また、作業手順は図示するなど、言語以外の表記法を用いるとよい。この選択肢は適切でないため、答えとなります。
  • 心理教育プログラムは、患者に症状の自己理解を促す点で適切である。これにより、患者が自分の状況を理解し、適切な対応ができるようになる。
  • この患者は引きこもりがあるため、作業療法はパラレルな場で始めた方がよい。人と場を共有させつつ、人と同じことをしなくてもよい、制約の少ない場での作業を体験させ、他人との成功体験を重ねることで、集団の中で過ごすことに慣れていくと考えられる。
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第52回午後:第7問

8歳の男児。二分脊椎。股関節の屈曲が可能である。図のようにズボンをはくことができる最も上位レベルのSharrardの分類はどれか。 

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1: Ⅰ群

2: Ⅱ群

3: Ⅲ群

4: Ⅳ群

5: Ⅴ群

第52回午後:第9問

図はアテトーゼ型脳性麻痺児の摂食訓練の様子である。実施している手技(オーラルコントロール)の目的として適切でないのはどれか。 

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1: 頭部コントロールの援助

2: 口周辺の過敏の脱感作

3: 口唇閉鎖の援助

4: 咀嚼運動の促通

5: 舌突出の防止

第52回午後:第18問

8歳の男児。小児自閉症と診断されている。言語発達の遅れがみられ、軽度の精神遅滞を合併している。小学校に入学した後、「先生が何を言っているか分からない」と訴えた。保護者も強く希望し、特別支援学校に転校した。この児とのコミュニケーションにおいて、作業療法士が最も留意すべきなのはどれか。  

1: 一度に複数の指示をする。

2: 絵やカードを豊富に使い指示をする。

3: 言葉より表情の変化で意図を伝える。

4: 不適切な行動は時間をおいてから指摘する。

5: 個別にではなく集団の一員として声をかける。

第52回午後:第30問

脳性麻痺児の粗大運動能力を評価する尺度はどれか。  

1: PEDI

2: GMFM

3: K-ABC

4: WeeFIM

5: MACS〈Manual ability classification system for children with cerebral palsy〉

第52回午後:第47問

選択性緘黙児に対する作業療法導入時のコミュニケーションの方法として適切でないのはどれか。  

1: 表情

2: 筆談

3: 会話

4: ジェスチャー

5: アイコンタクト

第52回午前:第9問

図は痙直型両麻痺を示す脳性麻痺児(GMFCSレベルⅢ)の長座位姿勢である。後方に倒れるのを防ぐため上体を起こそうと全身の筋緊張を強め努力している。その際に上肢に起こる連合反応として適切なのはどれか。 

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1: 肩甲骨の挙上

2: 肩関節の外転

3: 肘関節の伸展

4: 前腕の回外

5: 手関節の背屈

第52回午前:第19問

7歳の男児。幼児期から落ち着きがなく、他の子供から遊具を取り上げる、列に並べない、座って待てないことが多かった。小学校入学後も、周囲の生徒の文房具を勝手に使う、課題に集中せず席を離れるなどが頻繁にみられていた。自宅でも落ち着きがなく、母親が注意すると興奮する状況であった。この男児について作業療法士が担当教員から相談を受けることになった。担当教員への助言内容として適切なのはどれか。  

1: 注意・叱責は強く行う。

2: 男児の席を教室の中心に設ける。

3: 望ましい行動が生じたら直ちに褒める。

4: 不得意なことは時間を要しても習得を目指す。

5: 集団生活に必要なルールを本人に詳しく説明する。

第52回午前:第27問

遠城寺式乳幼児分析的発達検査における手の運動で、生後9~10か月の発達段階であるのはどれか。  

1: ガラガラを振る。

2: 積木を2つ重ねる。

3: 鉛筆でぐるぐる丸を書く。

4: 瓶の蓋を開けたり閉めたりする。

5: おもちゃを一方の手から他方に持ち替える。

第52回午前:第48問

小児自閉症患者に勧める活動として最も適切なのはどれか。  

1: トランポリンで遊ぶ。

2: ままごとで父親役をする。

3: テレビを見ながら宿題をする。

4: 野球のキャッチボールをする。

5: 苦手な感覚を繰り返し受ける。

第51回午前:第12問

3歳の男児。脳性麻痺。床上に座れるが両手を使えるほどの安定性はない。四つ這いや伝い歩きで移動できる。この患児が15歳時にGMFCS-Expanded and Revised〈E&R〉で同じレベルであった場合に予想される屋内移動の状態として最も適切なのはどれか。  

1: 手すりなしで階段昇降する。

2: 短い距離を独歩する。

3: 自走式車椅子を使う。

4: 電動車椅子を使う。

5: 寝返りで移動できない。

第51回午前:第20問

24歳の女性。知的障害。就労継続支援A型事業を利用中。就労意欲は高いが状況の判断能力が低く、他者の発言を被害的に受け取る傾向が強く欠勤が多くなり、作業療法士に相談に来た。この患者で優先して支援すべきなのはどれか。  

1: 洞察

2: 職場の変更

3: 作業耐久性の向上

4: 生活リズムの安定

5: 対人関係技能の向上

第51回午前:第28問

乳幼児健診におけるスクリーニングでハンカチテスト(子供の顔を布で覆いそれを手で取り除けるかをみる検査)を実施する時期はどれか。  

1: 4か月

2: 7か月

3: 1歳

4: 1歳6か月

5: 3歳

第51回午前:第31問

成人期の二次障害として頸椎症性脊髄症を発症しやすい疾患はどれか。  

1: 先天性多発性関節拘縮症

2: アテトーゼ型脳性麻痺

3: 痙直型脳性麻痺

4: 骨形成不全症

5: 分娩麻痺

第51回午前:第47問

作業療法導入時の注意欠如・多動性障害の患者に対する配慮として正しいのはどれか。  

1: ルールや禁止事項を数多く設ける。

2: 他者と共同で行う作業を提供する。

3: 失敗体験を基にした動機づけを図る。

4: 不適応反応時の落ち着ける場所を確保する。

5: 周囲からの刺激を受けやすい環境を設定する。

第51回午後:第10問

5歳の男児。脳性麻痺。麻痺のタイプは痙直型両麻痺であり、図のように両手支持なしで座ることができる。この児で予想される所見はどれか。 

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1: 鉛管様現象陽性

2: 膝蓋腱反射減弱

3: Galant反射陽性

4: 足クローヌス陽性

5: 非対称性緊張性頸反射陰性

第51回午後:第11問

5歳の男児。脳性麻痺。麻痺のタイプは痙直型両麻痺であり、図のように両手支持なしで座ることができる。この児で骨盤後傾を修正し、座位姿勢の改善を図るために最もストレッチが必要な筋はどれか。 

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1: ハムストリングス

2: 大腿筋膜張筋

3: 大腿直筋

4: 前脛骨筋

5: 薄筋

第51回午後:第19問

32歳の女性。幼いころから落ち着きがなく、忘れ物も多かった。大学卒業後、医療事務の仕事に就いたが、仕事が忙しくなるとミスが多くなり、同僚にかんしゃくを起こすなど感情が不安定となった。仕事を休むことも多くなったため、職場の上司に勧められ、精神科を受診し、入院となった。2週後、情緒的に落ち着いたところで作業療法が開始された。この患者の作業療法で予測される行動はどれか。  

1: 読書に没頭する。

2: 他者との接触を避ける。

3: 他者の作業種目に目移りする。

4: 物を置いた場所を何度も確認する。

5: 自分の作品の出来栄えに固執する。