内科疾患の過去問


第54回午前:第30問

透析患者で正しいのはどれか。  

1: 透析導入の原因疾患のうち慢性糸球体腎炎の割合は年々増加している。

2: 透析患者数はこの10年間減少し続けている。

3: 身体活動量の低下は生命予後を悪化させる。

4: 透析導入は腹膜透析が最も多い。

5: 死因の第一位は悪性腫瘍である。

  • 答え:3
  • 解説:透析患者に関する問題で、正しい選択肢は3である。透析患者における身体活動量の低下は、生命予後を悪化させる。運動療法を用いて、心臓や血管疾患の発症を予防したり、骨関節や骨格筋の機能を維持・回復させたり、フレイルから要介助状態へ至る危険因子を是正することが重要である。
  • 選択肢1は間違いです。透析導入の原因疾患は、糖尿病性腎症が約半数を占める。慢性糸球体腎炎は、学校検尿の普及や治療の進歩などにより、透析導入に至る患者数は減少している。
  • 選択肢2は間違いです。透析患者数はこの10年間増加し続けている。高齢化や生活習慣病の増加が影響していると考えられます。
  • 選択肢3は正しいです。透析患者における身体活動量の低下は、生命予後を悪化させる。運動療法を用いて、心臓や血管疾患の発症を予防したり、骨関節や骨格筋の機能を維持・回復させたり、フレイルから要介助状態へ至る危険因子を是正することが重要である。
  • 選択肢4は間違いです。透析導入は、腹膜透析よりも血液透析の方が多い。血液透析は、半透膜を介して患者の血液と透析液の間で拡散(濃度差)と限界濾過(圧較差)を行う方法である。1回の治療に3~4時間、1週間に2~3回の頻度で行う必要があり、患者の負担が大きい。
  • 選択肢5は間違いです。透析患者の死因の第一位は心不全、第二位が感染症、第三位が悪性腫瘍である。透析患者は、一般人口に比べて心血管疾患や感染症による死亡リスクが高いため、これらの疾患が死因の上位を占める。
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第54回午前:第35問

乳癌患者のリハビリテーションで正しいのはどれか。  

1: 術後に倦怠感がある場合には運動療法は行わない。

2: 患側肩関節可動域訓練は術後翌日から積極的に行う。

3: 遠隔転移がある進行した病期の場合には運動療法は禁忌である。

4: 術後放射線治療中に不安感を認める場合には運動療法は行わない。

5: 術後放射線治療中の有酸素運動は貧血などの有害反応を軽減させる。

  • 答え:5
  • 解説:乳癌患者のリハビリテーションでは、適切な運動療法が重要であり、病状や治療の進行に応じて適切な運動療法を行うことが求められる。術後放射線治療中の有酸素運動は、下痢や貧血などの治療の有害反応を軽減させる効果がある。
  • 倦怠感がある場合でも、適切な運動療法を行うことで廃用症候群の予防や運動機能の維持が可能である。ただし、倦怠感の程度に応じて運動療法の強度や内容を調整することが重要である。
  • 患側肩関節可動域訓練は、術後翌日から積極的に行うのではなく、ドレーン抜去までは自動運動による可動性拡大(屈曲、外転)をはかる程度に留める。積極的な他動運動は術直後からは行わない。
  • 遠隔転移がある進行した病期の場合でも、運動療法を行うことでQOLの低下を緩和することができる。運動療法は病状に応じて適切に行われるべきであり、進行した病期であっても禁忌とは言えない。
  • 術後放射線治療中に不安感を認める場合でも、運動療法を行うことで運動機能の低下や廃用症候群の助長を防ぐことができる。不安感がある場合でも、可能な範囲で運動療法を実施することが望ましい。
  • 術後放射線治療中の有酸素運動や抵抗運動は、下痢や貧血などの治療の有害反応を軽減させる効果がある。適切な運動療法を行うことで、治療中の副作用を緩和し、患者のQOLを向上させることができる。
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第54回午後:第4問

心電図を示す。この心電図の所見で正しいのはどれか。2つ選べ。 

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1: 頻脈

2: 心房粗動

3: PR間隔延長

4: 上室性期外収縮

5: 心室性期外収縮

第54回午後:第36問

慢性閉塞性肺疾患患者のADLで息切れを軽減させるための指導として適切なのはどれか。  

1: 洗髪は両手で行う。

2: 靴下の着脱は床に座り行う。

3: ズボンの着脱は立位で行う。

4: 和式トイレを洋式トイレに変更する。

5: 前開きシャツをかぶり型シャツに変更する。

  • 答え:4
  • 解説:慢性閉塞性肺疾患患者のADLで息切れを軽減させるための指導は、呼吸困難を誘発しにくい方法や、胸腹部を圧迫しない方法を選択することが重要です。
  • 両手での洗髪は呼吸補助筋を緊張させ、呼吸困難を誘発しやすいため、慢性閉塞性肺疾患患者には片手での洗髪を指導するのが適切です。
  • 靴下の着脱を床座位で行うと、体幹を屈曲させることになり、胸腹部を圧迫し、横隔膜の活動を制限してしまうため、適切ではありません。椅子座位で足を組んで実施するとよいです。
  • ズボンの着脱を立位で実施すると、体幹前屈位になり呼吸がしにくくなるため、適切ではありません。椅子座位で息を吐きながら実施するとよいです。
  • 和式トイレは体幹前屈位になるため、洋式トイレに変更することで呼吸が楽になります。また、排便の際は、力んで息苦しくならないよう、呼吸に合わせて息を吐きながら力むようにすることが適切です。
  • 腕を肩よりも上げると息苦しくなるため、かぶり型シャツよりも前開きシャツの方が慢性閉塞性肺疾患患者にとって望ましい選択です。
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第53回午前:第37問

慢性閉塞性肺疾患の患者に対する指導として正しいのはどれか。  

1: 低脂肪食が良い。

2: 下肢の運動を行う。

3: 洗髪動作は両手で行う。

4: 発症後は禁煙の必要はない。

5: インフルエンザワクチンは勧めない。

  • 答え:2
  • 解説:慢性閉塞性肺疾患患者に対する指導として正しいのは、下肢の運動を行うことです。これは体力強化と廃用症候群予防のために効果的です。
  • 低脂肪食は慢性閉塞性肺疾患患者には適していません。呼吸によって使われるエネルギー量が増大するため、体重低下や栄養不足になりやすく、痩せは生存率の低下につながります。バランスの良い食事を心がける必要があります。
  • 慢性閉塞性肺疾患患者は、体力強化と廃用症候群予防のために、下肢の運動を行うとよい。これが正しい選択肢です。
  • 両手での洗髪は、呼吸補助筋を緊張させ、呼吸困難を誘発しやすいため、慢性閉塞性肺疾患患者に対しては片手での洗髪を指導するべきです。
  • 禁煙をすることで気流制限の進行が抑制され、慢性閉塞性肺疾患の進行を遅くし、生命予後が改善される。発症後も禁煙が勧められるため、この選択肢は間違いです。
  • 感染症は慢性閉塞性肺疾患の急性増悪につながる。インフルエンザワクチンの接種により、感染による急性増悪を予防することができる。この選択肢は間違いです。
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第53回午後:第1問

換気障害の分類を図に示す。閉塞性換気障害と拘束性換気障害の組合せで正しいのはどれか。

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第53回午後:第13問

38歳の女性。性格は几帳面、完全主義。仕事仲間との関係性に悩んでいた。そうした中、浮腫を自覚したため内科を受診したところネフローゼ症候群と診断され、副腎皮質ステロイド薬の投与が開始された。投薬開始1か月後から蛋白尿は消失したが、「何事にも興味が湧かない」などの言葉が聞かれるようになり、趣味のコーラスもやめてしまった。今後検討すべき治療方針として、最も優先順位が高いのはどれか。  

1: 家族療法

2: 音楽療法

3: 精神分析療法

4: 抗うつ薬による薬物療法

5: 副腎皮質ステロイド薬の調整

  • 答え:5
  • 解説:この患者はネフローゼ症候群の治療として副腎皮質ステロイド薬を使用しているが、その副作用として精神症状が現れている可能性が高い。そのため、最も優先順位が高い治療方針は副腎皮質ステロイド薬の調整である。
  • 家族療法は、家族関係の問題が患者の症状に影響を与えている場合に有効であるが、問題文では家族関係の問題は示されていないため、この選択肢は正しくない。
  • 音楽療法は、患者の趣味であるコーラスに関連しているが、現在の気分が落ち込んでいる状態では、趣味に類似した活動を行っても病前と同じようにできない自分に気づき、さらに気分が落ち込む可能性があるため、この選択肢は正しくない。
  • 精神分析療法は、患者の仕事仲間との関係性に悩みがあることと、ステロイド薬の副作用による精神症状との関連が不明であるため、最初に薬剤性精神障害を疑い、投薬の量を調整することが優先されるべきである。
  • 抗うつ薬による薬物療法は、ステロイド薬の調整を行ったにも関わらず症状が軽減されない場合に検討すべきであり、最初に副腎皮質ステロイド薬の調整が優先されるべきである。
  • 副腎皮質ステロイド薬の調整は、腎臓病の治療に適応されており、患者の身体症状が回復していることから、薬剤性精神障害が生じている可能性が高い。そのため、投与量の調整や中止を含めて検討することが最も優先順位が高い治療方針である。
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第53回午後:第30問

心筋梗塞に特徴的な心電図所見で正しいのはどれか。  

1: F波の出現

2: P波の増高

3: QRS波の脱落

4: PQ間隔の延長

5: 異常Q波の出現

  • 答え:5
  • 解説:心筋梗塞の心電図では、異常Q波、STの上昇、冠性T波(左右対称性の陰性T波)などの特徴的所見がみられる。異常Q波は、心筋壊死の存在を示す。
  • F波(flutter波)は鋸の刃のように規則正しくギザギザした波で、心房粗動で出現する。心筋梗塞とは関係がない。
  • P波の増高は、肺高血圧症や肺気腫、心房中隔欠損症など、右心房に負荷がかかる疾患でみられる。心筋梗塞とは関係がない。
  • QRS波の脱落は、心房の興奮が心室に伝わっていないことを意味し、MobitzⅡ型の2度房室ブロックでみられる。心筋梗塞とは関係がない。
  • PQ間隔の延長は、房室接合部の伝導速度が遅いために房室伝導に時間がかかっていることを意味し、1度房室ブロックでみられる。心筋梗塞とは関係がない。
  • 異常Q波は、R波の高さの25%以上の深さがあり、幅が0.04 ms以上に広がったQ波で、心筋壊死の存在を示す。これが心筋梗塞に特徴的な心電図所見である。
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第53回午後:第36問

骨転移を最も生じやすい悪性腫瘍はどれか。  

1: 腎癌

2: 乳癌

3: 肝癌

4: 膵臓癌

5: 胆嚢癌

  • 答え:2
  • 解説:骨転移を生じやすい悪性腫瘍は、乳癌(79%)、前立腺癌(76.7%)、肺癌(52.7%)とされる。乳癌は乳房の近くにある腋窩リンパ節や、胸の前方中央を縦に構成する胸骨のそばの内胸リンパ節、鎖骨上のリンパ節に転移しやすい。
  • 腎癌の骨転移の発生率は、15%とされる。これは骨転移を最も生じやすい悪性腫瘍ではない。
  • 乳癌の骨転移の発生率は、79%とされる。これは骨転移を最も生じやすい悪性腫瘍である。
  • 肝癌の骨転移の発生率は、16%とされる。これは骨転移を最も生じやすい悪性腫瘍ではない。
  • 膵臓癌の骨転移の発生率は、15%以下とされる。これは骨転移を最も生じやすい悪性腫瘍ではない。
  • 胆嚢癌の骨転移の発生率は、15%以下とされる。これは骨転移を最も生じやすい悪性腫瘍ではない。
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第52回午後:第10問

68歳の男性。慢性呼吸器疾患。「最近、入浴すると息切れがする」との訴えがある。入浴指導として正しいのはどれか。  

1: 片手で髪を洗う。

2: 首まで湯につかる。

3: 短いタオルで背中を洗う。

4: 吸気に合わせて動作を行う。

5: 長座位で膝を立てて足を洗う。

第52回午後:第12問

80歳の男性。体重70 kg。介護者は腰痛のある70歳の妻で体重39 kg。誤嚥性肺炎による1か月の入院後、下肢の廃用性の筋力低下をきたしている。端座位保持は可能であるが、立ち上がりは手すりを把持しても殿部が挙上できずに全介助である。立位は手すりを把持して保持できるが、足踏み動作は困難である。車椅子への移乗介助に使用する福祉用具の写真を示す。妻の腰痛を助長しないことを優先して選択する用具として適切なのはどれか。 

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1: ①

2: ②

3: ③

4: ④

5: ⑤

第52回午後:第32問

糖尿病性ケトアシドーシスに関連する呼吸はどれか。  

1: 下顎呼吸

2: 起坐呼吸

3: Biot呼吸

4: Kussmaul呼吸

5: Cheyne-Stokes呼吸

第52回午後:第33問

排痰法はどれか。2つ選べ。  

1: Mendelsohn手技

2: 体位ドレナージ

3: スクイージング

4: 口すぼめ呼吸

5: Jakobson法

第52回午前:第30問

作業療法中の低血糖発作で注意すべきなのはどれか。  

1: 深い呼吸

2: 喉の渇き

3: 手の震え

4: 皮膚の乾燥

5: 筋緊張の亢進

第52回午前:第36問

上肢にリンパ浮腫がある乳癌術後患者に対する生活上の指導として最も適切なのはどれか。  

1: 日光浴をする。

2: 患肢の挙上を避ける。

3: 高い温度で温浴をする。

4: アームスリングで保護する。

5: 正常なリンパ節へ向けてマッサージを行う。

第52回午後:第2問

72歳の男性。以前から心電図異常を指摘されていた。心電図を示す。正しいのはどれか。 

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1: 心房細動

2: 心房粗動

3: WPW症候群

4: 洞不全症候群

5: Ⅰ度房室ブロック

第51回午前:第11問

72歳の男性。肺癌の末期。意識障害はなく見当識良好で在宅生活を行っている。骨転移があり左肩と背部の疼痛を訴え、痛みのため歩行困難と食欲低下がある。まず行うべき対応はどれか。  

1: 嚥下訓練

2: 疼痛管理

3: 肩のROM訓練

4: 経管栄養の開始

5: 下肢筋力強化訓練

第51回午前:第22問

自覚症状から判断する心不全の重症度評価はどれか。  

1: Killip分類

2: NYHA分類

3: Fontaine分類

4: Forrester分類

5: Hugh-Jones分類

第51回午後:第5問

72歳の男性。心筋梗塞後の心電図を示す。この心電図にみられるのはどれか。 

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1: F波

2: 異常Q波

3: δ波

4: PQ延長

5: ST低下

第51回午後:第8問

70歳の男性。肺癌末期だが意識は清明で四肢筋力も保たれている。感覚障害や四肢の浮腫もない。最近徐々に嗄声が出現した。原因として最も考えられるのはどれか。  

1: 反回神経麻痺

2: Raynaud現象

3: Pancoast腫瘍

4: 上大静脈症候群

5: Lambert-Eaton症候群