65歳の女性。約1年前から抑うつ気分、意欲低下、判断力低下、不眠、食思不振などがあり、約9か月前に精神科外来を初めて受診した。希死念慮や貧困妄想も加わり、約8か月前に医療保護入院となっている。抗うつ剤投与により不眠、食思不振はある程度改善されたが、悲観的な思考内容は遷延化した。促してかろうじて病棟外への散歩に応じるようになり、数か月が経過したところで、主治医から作業療法の依頼があった。この時点での作業療法として適切でないのはどれか。
1: 本人の自己決定を見守る。
2: 個別のかかわりから開始する。
3: 1回の活動時間は短く設定する。
4: 長期間をかけて完成する課題を採用する。
5: なじみのある課題より初めての課題を採用する。
43歳の女性。うつ病。半年前に子供が1人暮らしを始めてから気分が落ち込み、布団で寝たままでいることが増えた。家事を夫が行うようになると、「夫に迷惑をかけている自分は生きている価値がない」と口にするようになり、夫に連れられ精神科クリニックを受診した。服薬治療が開始され、症状が改善してきたため外来作業療法が処方された。導入時の作業療法士の対応で最も適切なのはどれか。
1: スケジュール表に従った参加を促す。
2: 枠組みのある構成的作業を導入する。
3: 患者が作製した作品について賞賛する。
4: 意欲の低下が認められても作業遂行を促す。
5: 体調とともに気分も改善するため心配ないと励ます。
20歳の女性。大学生。友人に「最近、太ったね」と言われたことをきっかけにダイエットを始めた。身長158 cm。体重は54 kgから37 kgに減少したが、期末試験のストレスから過食と嘔吐が始まり、緩下剤や利尿薬を乱用するようになった。抑うつ傾向もみられたため、母親に付き添われて精神科を受診し入院となった。この患者にみられやすい特徴はどれか。
1: 不安発作
2: 過活動
3: 身体感覚の失調
4: 高い自己評価
5: 被害関係念虜
65歳の女性。元来、几帳面な性格だが友人も多く活動的に過ごしていた。3か月前に、自宅のリフォームを契機に、早朝覚醒、食思不振、抑うつ気分や意欲低下が生じ、友人とも会わないようになった。自宅で自殺を企図したが未遂に終わり、1か月前に家族が精神科を受診させ、即日医療保護入院となった。単独散歩はまだ許可されていないが、抗うつ薬による治療で抑うつ気分は改善傾向にあり、病棟での軽い体操プログラムへの参加を看護師から勧められて、初めて参加した。この時点での患者に対する作業療法士の関わりで適切でないのはどれか。
1: 必要に応じて不安を受け止める。
2: 過刺激を避けながら短時間で行う。
3: 具体的体験により現実感の回復を促す。
4: 参加各回の達成目標を明確にして本人と共有する。
5: 薬物療法の副作用が生じていないかアセスメントする。
49歳の女性。多発性筋炎で入院中である。ステロイドによる寛解を認め、ベッドサイドでのリハビリテーションが開始された。この患者の運動負荷を調節する際に指標となる血液検査はどれか。
1: 総ビリルビン
2: クレアチニン
3: 血中尿素窒素
4: クレアチンキナーゼ
5: アルカリフォスファターゼ
53歳の男性。うつ病の診断で10年前に精神科通院治療を受けて寛解した。1か月前から抑うつ気分、食思不振、希死念慮があり、入院して抗うつ薬の投与を受けていた。1週前からパラレルの作業療法に参加していたが、本日から他患者に話しかけることが増え、複数の作業療法スタッフに携帯電話番号など個人情報を尋ねてまわるようになった。「食欲も出てきた」と大声を出している。この時点での作業療法士の対応として最も適切なのはどれか。
1: 食欲が戻ったので調理実習を計画する。
2: その場で作業療法室への出入りを制限する。
3: 患者との関係作りのため携帯電話番号を教える。
4: 担当医や病棟スタッフに状態の変化を報告する。
5: 行動的となったことを本人にポジティブ・フィードバックする。
20歳の女性。大学生。友人に「最近、太ったね」と言われたことをきっかけにダイエットを始めた。身長158 cm。体重は54 kgから37 kgに減少したが、期末試験のストレスから過食と嘔吐が始まり、緩下剤や利尿薬を乱用するようになった。抑うつ傾向もみられたため、母親に付き添われて精神科を受診し入院となった。この患者に対する作業療法で適切なのはどれか。
1: 自己表現を促す。
2: 調理実習を行う。
3: 体力の向上を促す。
4: 課題集団への参加を促す。
5: 食べ吐きの理由を話し合う。
25歳の女性。解離(転換)性障害。23歳時に結婚し,24歳ころから頭痛、吐き気、四肢のしびれ感と麻痺が出現するようになった。母親への依存と反発が強い一方で、性格のおとなしい夫に対して不満が強い。今回、過量服薬が疑われる意識障害で入院したが、一般状態が安定したので作業療法が開始された。作業療法開始時の対応で適切なのはどれか。
1: しびれと麻痺の原因を聞く。
2: 過量服薬の理由を聞く。
3: 母親との関係を聞く。
4: 葛藤と症状の関係を話し合う。
5: 興味のある活動を聞く。
60歳の女性。うつ病。夫と2人暮らし。1年前からうつ状態が遷延し、抑うつ気分や意欲の低下が強く、家事もできなくなり入院した。1か月でうつ状態がやや改善してきたが、記憶力減退を強く訴え、「自分は痴呆になった」との不安が強い。気分転換と生活リズムの回復を目的に作業療法が処方された。主治医からの留意事項として、薬の副作用によるふらつきへの配慮が指示されている。作業療法の初期評価で適切でないのはどれか。
1: 歩行の状態を把握する。
2: 日常生活の状況について尋ねる。
3: 発症に先立つ環境変化について情報収集する。
4: 高次脳機能検査を行う。
5: 患者が関心を持っている活動を聞く。
48歳の男性。妻と二人暮らし。昇進後しばらくして、不眠・食欲不振等の体調不良を訴え始めた。些細な事を気にして「考えがまとまらない。楽しいと感じることがない」などと言ってふさぎ込むようになった。近くの精神科病院を受診し、うつ病と診断され入院となった。入院後1か月で睡眠が取れるようになったが、抑うつ気分は続いている。この時点で作業療法が開始された。作業療法開始時の目的で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 病状認識の促し
2: 病前生活への復帰
3: 生活リズムの回復
4: 社会的役割の提供
5: 不安の軽減
25歳の女性。境界型人格障害。友人と些細なことで口論となり大量服薬して入院となった。症状が落ち着いてきたので、作業療法に参加することになった。この患者の作業療法場面でしばしばみられるのはどれか。2つ選べ。
1: 一人で作業をやりたがる。
2: 一つの作業に執着する。
3: 作業手順が覚えられない。
4: 病棟スタッフの悪口を言う。
5: 些細なことで自傷行為をする。
60歳の女性。うつ病。夫と2人暮らし。1年前からうつ状態が遷延し、抑うつ気分や意欲の低下が強く、家事もできなくなり入院した。1か月でうつ状態がやや改善してきたが、記憶力減退を強く訴え、「自分は痴呆になった」との不安が強い。気分転換と生活リズムの回復を目的に作業療法が処方された。主治医からの留意事項として、薬の副作用によるふらつきへの配慮が指示されている。この患者は、家事ができないことで夫に罪責感を持っており、早く家事ができるようになることを希望した。作業療法導入期のプログラムとして適切でないのはどれか。
1: 小物の洗濯
2: 献立表作り
3: ベッド周りの私物整理
4: 同年代患者の茶話会参加
5: 散歩
48歳の女性。うつ病。教育熱心な母親としてパート勤務をしながら2人の娘を育てた。娘達が家を離れた頃から何もする気がなくなり、抑うつ状態となった。希死念慮がみられたため夫に付き添われて精神科を受診し入院となった。「何かしていないと落ち着かない」と訴えたため入院後5日目から作業療法が開始された。作業療法開始時の評価項目で適切なのはどれか。
1: 対人関係
2: 作業経験
3: 自己評価
4: 知的機能
5: 職業興味
40歳の男性。4月に職場の配属先が変わり新しい仕事に慣れない日が続いていた。会社に行くと手に冷や汗が出て、胸がどきどきするようになった。1か月前から不眠、意欲の低下が出現した。会社に行く気力がなくなり、朝からふさぎこむようになったため、妻と一緒に精神科を受診し、入院となった。この患者の入院初期の治療として適切でないのはどれか。
1: 対人技能訓練を行う。
2: 隠れた身体疾患を検索する。
3: 睡眠薬を処方する。
4: 抗うつ薬を処方する。
5: 充分な休息を与える。
25歳の女性。境界型人格障害。友人と些細なことで口論となり大量服薬して入院となった。症状が落ち着いてきたので、作業療法に参加することになった。この患者への作業療法で適切でないのはどれか。
1: 社会的な役割の体験
2: 試行錯誤の作業体験
3: 作業援助を受ける体験
4: 作業活動による成功体験
5: 自己肯定感を高める体験
23歳の女性。境界型人格障害。中学時代から対人関係が不安定で、不登校、家出、過量服薬、恋人との激しいけんかなどを繰り返してきた。今回、失恋を契機に睡眠薬自殺を図ったが、救命救急センターで意識回復し精神科へ入院した。左手首に数本の切創痕を認める。母親に甘えた態度をとったり、大声で怒鳴ったり、死にたいと言ったりする。治療目的で作業療法が依頼された。治療計画として適切でないのはどれか。
1: 個別プログラムを設定する。
2: 欲求充足から実用性のある作業に移行する。
3: 自由度の高い作業場面を設定する。
4: 共同作業で所属感をもたせる。
5: 結果が明確な作業種目を選ぶ。
22歳の男性。職場でケアレスミスがあまりにも多いため、産業医の勧めで精神科を受診した。母親の話によると、幼少時から落ち着きがなく、小学校の担任から「人の話を聞いていない」、「順番を守れない」、「隣の子にちょっかいを出す」などと注意されたことがあり、大学でも提出物の締め切りを守れないなどといった問題から成績は悪かった。この患者に薬物療法を行う場合、最も適切と思われる向精神薬はどれか。
1: 気分安定薬
2: 抗うつ薬
3: 抗精神病薬
4: 抗不安薬
5: 精神刺激薬
57歳の女性。アルコール依存症。専業主婦。以前から台所で飲酒していたが、夫が退職したころから、昼夜に関係なく隠れ飲みするようになり、半年後に入院となった。入院後、著明な離脱症状はなかったが、しばらく不安、抑うつが続いた。薬物療法によって、これらの症状が軽減したので作業療法が処方された。退院前の作業療法施行時に、泣き出すなど情緒不安定になった。作業療法士の対応で適切でないのはどれか。
1: 支持的な態度で患者の訴えを聴いた。
2: 訴えを聞くうちに落ち着いてきたので作業を続けた。
3: 作業終了後、情緒不安定になった事を主治医に報告した。
4: 退院後の生活への不安が情緒不安定の原因と本人に告げた。
5: 今後も患者の行動に注意することを他のスタッフと確認した。
24歳の女性。幼少時に母親から虐待を受けていた。高校中退後から仕事を転々としている。男性との関係は不安定で別れ話のたびに大量服薬を繰り返した。いつもむなしくて死にたい気持ちがあると自覚して、精神科クリニックを受診した。この患者の作業療法で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 退行の促進
2: 枠組みの提供
3: 依存欲求の促進
4: 衝動の適応的発散
5: 失敗しない作業の提供
65歳の男性。老年期うつ病。妻と2人暮らし。会社を定年退職後、不眠および食欲不振などの体調不良を訴え始める。些細なことを気にするようになり、「簡単なことも出来なくなっている。物忘れがひどくなった。痴呆ではないか。」などと言ってふさぎ込んでいる。家族も対応に困り入院となった。入院後1か月で睡眠がとれるようになったが、抑うつ気分は続いている。この時点で作業療法が処方された。作業療法開始時の留意点で適切なのはどれか。
1: 作業能力検査を実施する。
2: 病前に得意であった活動を導入する。
3: 物忘れへの対応を実施する。
4: その都度元気づけをする。
5: 徐々にグループ参加へ方向づける。