臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
血液透析中の溶血は、赤血球膜が化学的あるいは物理的に損傷してヘモグロビンが血漿中へ逸脱する現象である。代表的原因は、(1) 透析液への塩素化合物(遊離塩素・クロラミンなど)の混入による酸化障害、(2) 低浸透圧(低ナトリウムなど)透析液による水分流入と赤血球膨化、(3) 透析液の過加熱(おおむね40℃超)による熱障害である。設問の選択肢のうち「塩素化合物の透析液への混入」は典型的な化学的溶血の原因であり正しい。他方、透析液の高浸透圧(高濃度)は赤血球を収縮させる方向で溶血を起こしにくく、膜破損は漏血(赤血球がそのまま透析液側へ流出)であって溶血とは機序が異なる。透析液温度の低下は冷感・悪寒などを招くが溶血の原因ではなく、空気誤入は空気塞栓などの危険であって溶血の主因ではない。なお、塩素化合物混入は活性炭・RO等の水処理不全や洗浄・消毒薬の残留で生じ得るため、原水管理と水処理装置の維持管理が重要である。
選択肢別解説
高濃度(高浸透圧)の透析液では、赤血球から水が出て収縮(皺形成)しやすく、溶血は起こりにくい。溶血はむしろ低浸透圧(低ナトリウムなど)の場合に赤血球が膨化して膜が破綻することで生じるため、本肢は溶血の原因とは言い難い。
ダイアライザ膜が破損すると、赤血球はそのまま透析液側へ漏出(漏血)する。これは赤血球が壊れる溶血とは機序が異なるため、溶血の原因とはいえない。
水道水由来の遊離塩素やクロラミン、あるいは配管・装置内に残留した塩素系薬剤が透析液に混入すると、赤血球膜を酸化的に障害して溶血を起こす。活性炭やROによる除去不全・管理不良で発生しうるため、典型的な透析関連溶血の原因である。
透析液温度の低下は患者に冷感・悪寒を生じうるが、溶血の原因ではない。溶血はむしろ透析液温度が高すぎる(おおよそ40℃超)ときに熱的障害で発生する。
透析回路への空気誤入は空気塞栓の危険が主で、回路の不均一流や凝固リスクを高めることはあっても、赤血球膜を化学的・物理的に破壊する典型的原因ではない。したがって溶血の原因とはいえない。
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解説
体外循環における主要機器の役割を問う設問。人工肺は静脈血からCO2を除去しO2を付加するガス交換装置で正しい。動脈ラインフィルタ(フィルタ)は微小気泡や微小凝血塊の捕捉・除去に用いられ正しい。ベントポンプは左室など心腔内の血液・気泡を吸引し、心腔内圧を下げて心室過伸展を防ぐ目的で用いられ正しい。一方、冠灌流回路は心筋保護液(カーディオプレジア)を冠動脈へ供給する回路であり、心腔内出血の回収はカーディオトミーサクション(吸引回路)やセルセーバ等が担うため不適切。冷温水槽は人工肺の熱交換器に接続して体温管理を行う装置であり、余剰水分(血漿水分)の除去はヘモコン(限外濾過器)で行うため不適切。以上より1・2・5が正しい組合せ。
選択肢別解説
人工肺は静脈血から二酸化炭素を除去し酸素を付加するガス交換を担う。体外循環中に静脈血は人工肺を通過して動脈化されるため、組合せは正しい。
フィルタ(主に動脈ラインフィルタ)は微小気泡や微小凝血塊を捕捉して下流への塞栓を予防する。微小気泡の除去という目的に合致しており正しい。
冠灌流回路は心筋保護液(カーディオプレジア)を冠動脈へ送るための回路である。心腔内出血の回収はカーディオトミーサクション(吸引回路)やベント等で行うため、この組合せは不正解。
冷温水槽は熱交換器に温水・冷水を供給して体温管理を行う装置であり、余剰水分(血漿水分)の除去はヘモコン(限外濾過器)によって行う。したがって不正解。
ベントポンプは左心室や心腔内に貯留する血液・気泡を吸引し、心内圧を低下させて心室過伸展を防ぎ、左室負荷を軽減する。目的に合致し正しい。
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