臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
人工鼻(HME)は呼気の熱と水分を保持して吸気側に返す受動型の加湿器であり、Yピース直後など回路先端に装着するため、その容積が機械的死腔として加算されやすい。結果として肺胞換気が減少し、特に一回換気量が小さい患者ではPaCO2上昇のリスクが高まる。これが加温加湿器と比べた際に人工鼻で起こりやすい代表的な有害事象(死腔増加)である。一方、うつ熱や過剰加湿は能動的に熱・水分を供給する加温加湿器で生じやすいトラブルであり、人工鼻では起こりにくい。換気中断や回路誤接続は人工鼻に特有で起こりやすいとはいえず、一般的な回路管理上の問題である。
選択肢別解説
誤り。うつ熱(高温ガスの吸入による過熱)は主に加温加湿器の故障や設定不良で生じる事象で、受動型の人工鼻には加温機能がないため起こりにくい。
正しい。人工鼻はYピース近傍に装着され、その実容積が機械的死腔として加算されるため、死腔量が増加し肺胞換気が低下しやすい。特に小さな一回換気量ではPaCO2上昇の有害事象につながる。
誤り。人工鼻の加湿能力は加温加湿器より低く、過剰加湿は起こりにくい。むしろ条件によっては加湿不十分が問題となる。
誤り。人工鼻の目詰まりなどで抵抗上昇はあり得るが、装着・交換は容易であり、加温加湿器と比べて人工鼻で換気中断が起こりやすいとはいえない。
誤り。回路誤接続は装置に共通する一般的なヒューマンエラーであり、人工鼻で特に起こりやすい有害事象とはいえない。
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解説
体外循環(特に低体温併用)では代謝が抑制され、全身酸素消費量が低下するため、至適灌流量は低く設定でき、末梢での酸素摂取が減ることで混合静脈血酸素飽和度(SvO2)は上昇しやすい。また、回路・人工肺など人工物との接触や希釈、せん断応力、補助循環操作(吸引など)により血小板は消費・破壊され、血小板数は減少する。pH管理では、アルファスタット法は体温補正を行わず低体温下で実際のPaCO2が低めとなり脳血管収縮を来すため脳血流は減少しやすい。一方、血糖については低体温・術侵襲・カテコラミンやコルチゾール上昇、インスリン分泌低下・感受性低下などにより高血糖になりやすく、「血糖値が低下する」は不適切で本問の誤りである。
選択肢別解説
誤り。体外循環(低体温・手術侵襲)ではストレスホルモン(カテコラミン、コルチゾール)上昇、膵β細胞からのインスリン分泌低下や末梢でのインスリン抵抗性により高血糖になりやすい。したがって「血糖値が低下する」は不正確。
正しい。希釈体外循環および人工物表面との接触活性化、せん断応力、サクション等により血小板の消費・破壊・機能障害が生じ、血小板数は一般に減少する。
$正しい。低体温では酸素消費量が温度低下に応じて減少するため、必要酸素供給量も低下し、至適灌流量は低めに設定できる(例:常温時の2.2–2.6 L/min/m^2から低体温でさらに低流量へ)。$
正しい。低体温による全身代謝・酸素消費の低下で末梢での酸素取り込みが減少し、同一灌流条件では混合静脈血酸素飽和度(SvO2)は上昇しやすい。
正しい。アルファスタット法は体温補正を行わず、低体温下で実際のPaCO2が低めとなるため脳血管が収縮し、脳血流は減少傾向となる(pHスタットに比べて低い)。
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解説
誤りは選択肢2。炭酸水素ナトリウムはアルカリ化剤であり、体外循環中の代謝性アシドーシスの是正に用いる。代謝性アルカローシス(pH上昇)時に投与するとアルカローシスを増悪させる。その他の選択肢は、体外循環で実際に行われる妥当な対処である。溶血にはローラーポンプの圧閉度調整や過度な吸引の回避、Hct低下には希釈や出血量・水分バランスの再評価(必要なら限外濾過・輸血)、ACT不十分にはヘパリン追加(ヘパリン抵抗性の鑑別も考慮)、脱血不良にはカニューレ位置・深さや回路の屈曲・陰圧条件等の点検が基本対応となる。
選択肢別解説
適切。体外循環中の溶血は、ローラーポンプの過度な圧閉や強い陰圧吸引(ベント・サッカー)によるせん断応力が主因の一つ。圧閉度(オクルージョン)を適正化し、不要な陰圧や過度な吸引を避けることが対処の基本である。
不適切。炭酸水素ナトリウムは代謝性アシドーシス是正に用いるアルカリ化剤であり、代謝性アルカローシス時の投与はpHをさらに上昇させて増悪させる。代謝性アルカローシスでは原因(利尿薬・過度の塩基負荷・低クロール血症など)の是正、必要に応じて電解質補正や回路条件の見直し(例:不要なNaHCO3投与の中止)を行う。
適切。体外循環中のヘマトクリット(Hct)低下は希釈や出血の影響が大きいため、水分バランス(入力・出力、プライミング量、補液・輸血量、限外濾過の実施状況)をチェックすることが重要。必要に応じて限外濾過で濃縮したり、目標Hctを踏まえ赤血球輸血を検討する。
適切。ACTが延長しない(短い)場合は抗凝固が不十分で血栓形成リスクが高い。ヘパリンの追加投与でACTを目標値まで延長させる。追加しても延長が乏しい場合はヘパリン抵抗性(ATIII低下など)を疑い、AT製剤やFFPの投与を検討する。
適切。脱血不良はカニューレ先端の血管壁吸着・位置や深さの不適切、回路の屈曲・閉塞、静脈圧低下、体位、陰圧補助条件(VAVD)の過不足などが原因となる。まず脱血カニューレの挿入部位・位置を確認し、併せて回路・体位・圧条件を点検する。
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