臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
静脈圧は返血側(静脈側)ドリップチャンバ付近で測定され、返血経路の抵抗と血液流量に影響される。概念的には $P\_v \approx R\_v\,Q\_b + P\_{vascular}$ で、返血側の閉塞・狭窄(抵抗増大)は静脈圧上限警報の主因となる。一方で、動脈側の問題やダイアライザ内部抵抗の増大は血流量低下や下流圧の低下として現れやすく、静脈圧の上昇を直接は起こしにくい。よって、原因として考えにくいのは「脱血不良」と「ダイアライザ内の血液凝固」であり、静脈側(返血側)ドリップチャンバ内の凝固、返血回路の屈曲、静脈側穿刺不良は返血抵抗を増し静脈圧上限警報の原因となる。
選択肢別解説
脱血不良は動脈側(患者→回路への吸引側)の問題で、ポンプへの流入が不足して血液流量が低下しやすい。返血側の圧はむしろ低下しやすく、静脈圧上限警報の直接原因とは考えにくい。したがって本設問の趣旨(原因として考えられない)に合致する。
ダイアライザ内の血液凝固はダイアライザ抵抗を増大させ、ポンプ下流(ダイアライザ出口側)である静脈側の圧は低下または上昇しにくい。多くの場合、血流量低下やダイアライザ前後差圧上昇として現れ、静脈圧上限警報の直接原因とはなりにくい。よって本設問の『原因として考えられない』に該当する。
静脈側ドリップチャンバ内の血液凝固は返血経路の閉塞を生じ、返血側抵抗が増大するため静脈圧が上昇し、上限警報の原因となる。
静脈側回路の折れ曲がり(キンク)は返血経路の機械的狭窄であり、返血抵抗の増大により静脈圧が上昇して上限警報が発報しやすい。
静脈側穿刺針の穿刺不良(血管外漏出や壁当たりなど)は返血側の実質的な流出抵抗を増大させ、静脈圧上昇をきたして上限警報の原因となる。
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解説
電気メス起因が疑われる熱傷が術直後に判明した場合、臨床工学技士の初動は「患者安全の確保」「証拠保全」「機器点検」「記録化」の4点が基本となる。具体的には、使用したディスポーザブル対極板(コードやコネクタを含む)の回収・保管によって貼付状態や導通、ジェル状態、ロット情報等を後日検証できるようにする。さらに電気メス本体は高周波漏れ電流など安全性能を専用アナライザで点検し、機器側要因(異常な分流・漏れ)の有無を評価する。熱傷部は患者の同意を得たうえで写真撮影し、部位・大きさ・周囲皮膚の状態などを記録して経時的観察と原因究明に資する。一方、原因究明のために患者を手術室へ不必要に留め置くことは有害であり、必要な処置を行ったうえで適切な場所へ速やかに移送する。心電図モニタの「低周波」患者漏れ電流測定は電気メスによる高周波熱傷の原因解析としては不適切で、求められるのは高周波側の評価である。
選択肢別解説
正しい。事故対応では証拠保全が重要であり、使用済みディスポーザブル対極板(貼付部位・剥離状況・ジェル状態、コードやコネクタの接触不良の有無等)を回収・保管して後日の検証に備える。廃棄すると貼付不良や分流の手掛かりが失われる。
正しい。電気メス本体の高周波漏れ電流などの安全性能を専用アナライザで測定し、異常な分流や機器故障の有無を確認する。高周波領域の評価は高周波熱傷の原因究明に直結する。
誤り。心電図モニタの患者漏れ電流測定は主として低周波(商用周波数帯)評価であり、高周波電流が関与する電気メス熱傷の原因解析としては適切でない。必要なのは高周波側の分流・漏れの評価である。
誤り。原因究明が終わるまで患者を手術室に留め置くのは不適切。患者の安全と術後管理を優先し、必要な処置と記録を行ったうえで速やかに適切な病棟等へ移送し、原因調査は別途進める。
正しい。患者の同意を得たうえで熱傷部位を写真記録しておくことは、経過観察と原因究明に有用である(部位・大きさ・周囲皮膚の状態、スケール併記等)。個人情報保護と同意取得を徹底する。
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