臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
人工心肺中に人工肺を交換すべき状況は、人工肺そのものの機能低下や安全性低下が不可逆的・重大で、運転条件の調整や一時的対処で回復が見込めない場合である。代表例は膜の親水化や劣化による血漿漏出、気相側の結露や膜面の濡れ進行によるいわゆるwet lung、リザーバ/除泡部の機能低下による微小気泡混入リスクの増大などで、いずれもガス交換能や安全性の顕著な低下を招くため交換対象となる。一方、溶血は多くがポンプ操作・陰圧・カニュラ条件など回路運用由来であり人工肺交換の直接適応ではない。回路内空気混入も通常は再循環・エアパージ・動脈フィルタ等で除去可能で、人工肺交換は原則不要である。
選択肢別解説
溶血はポンプ圧閉度不良、過度の陰圧吸引、カニュラ不適合、吸引血の扱いなど回路運用要因が主因で、人工肺交換の一次適応ではない。原因是正(ポンプ条件是正、吸引調整、カニュラ見直し)と支持療法で対処し、人工肺自体の故障所見がない限り交換は不要と判断する。
血漿漏出は膜型人工肺の膜が親水化・劣化し、細孔から血漿成分がガス側へ滲出する現象で、泡立ちやガス交換能低下、圧力損失増大を招く。運転条件の調整で回復しにくく、安全性・性能低下が持続するため人工肺の交換適応となる。
"wet lung"(ウェットラング)は人工肺の気相側での結露や膜面の濡れ進行によりガス拡散が阻害され酸素化・二酸化炭素除去が低下する状態を指す。酸素フラッシュや加温等で改善することもあるが、顕著で回復しない場合はガス交換能の確保のため人工肺交換を要する。
除泡能の低下(リザーバ/デフォーマ部や統合除泡機能の劣化・飽和など)は送血側への微小気泡移行リスクを高め、脳塞栓等の重大合併症につながる。対処で回復しない場合は安全性確保の観点から人工肺(または該当ユニット)の交換が必要となる。
回路内空気混入は、再循環ラインでの脱気、動脈フィルタやベント操作、エアパージ等で除去可能であり、人工肺自体の機能不全がない限り交換は不要。まずは原因部位の同定・除去と回路管理で対処するのが適切である。
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解説
送血回路への気泡送り込みは、主に回路の陰圧部での大気吸い込み(採血ポートの開放など)、貯血槽の液面低下による巻き込み、動脈フィルタの気泡除去不良、あるいは人工肺ガス側の過圧によるガス侵入リスクなどで生じる。一方、膜型人工肺へのガス供給停止は酸素化・脱炭酸の低下を招くが、ガス側から血液側へ気泡を押し込む駆動力とはならないため、送血回路からの気泡送り込みの直接原因にはならない。したがって「原因でない」は4となる。
選択肢別解説
貯血槽の液面が低下すると、渦の形成や出口の露出で空気が巻き込まれ、ポンプに吸い込まれて送血回路へ気泡が送り込まれる原因となる。レベル監視や低下時の流量制限で予防する必要がある。よって気泡送り込みの原因である。
膜型人工肺のガス側圧が上昇(過大なスイープガス流量や排気閉塞など)し血液側圧を上回ると、膜孔や微小漏れを介してガスが血液側へ押し出されるリスクが高まる。これは送血回路への気泡送り込みの原因になりうる。よって原因である。
動脈フィルタは気泡除去の最終関門であり、初期のデアリング不足や運転中の気泡抜き不良があると、残存気泡が患者側へ送られる。よって気泡送り込みの原因である。
膜型人工肺へのガス供給停止は、酸素化不良・高二酸化炭素血症を招くが、ガス側圧は低下し血液側へ気泡を押し込む駆動力にはならない。通常は気泡送り込みの直接原因にはならないため、「原因でない」に該当する。
送血ポンプ流入部(陰圧領域)の採血ポートが開放されると大気が吸引され、回路内に気泡が入り送血回路へ送り込まれる。よって気泡送り込みの原因である。
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解説
血液透析で漏血(ダイアライザ血液側から透析液側への血液混入)警報が鳴った場合、最優先は透析液の供給を停止し、血液ポンプを低速(必要時停止)として状況を安全に保ちつつ原因を確認することである。主因はダイアライザ膜の破損やリークであり、他に検知器の汚れ・気泡による誤報もある。目視で確認できないときは透析液出口の液を採取し潜血試験紙でヘモグロビンの有無を確認する。回路圧異常(脱血不良など)も膜損傷や誤検知の背景になり得るため点検する。一方、警報直後に“透析液流量が正しいか”を確認することは緊急対処の本質ではなく、対応を遅らせ得るため不適切である。したがって誤りは選択肢2。
選択肢別解説
正しい。漏血の主要因はダイアライザ膜の破損・ピンホールである。透析液出口や本体透明部の赤色化を確認し、漏血が疑われればダイアライザ交換を含めて対応する。
誤り。漏血警報時の初期対応は透析液供給の停止と血液ポンプの低速化(必要時停止)、原因確認である。透析液流量の設定が正しいかの確認は優先度が低く、漏血の是正にも直結しないため、直後の対処としては不適切。
正しい。脱血不良などで回路圧が異常となるとTMPが偏り、膜損傷やセンサ誤検知の背景となり得る。動静脈圧・TMP・クランプ閉塞の有無などを確認することは有用。
正しい。漏血検知器は光学式が一般的で、受光部の汚れ、気泡、濁りで誤報が起こり得る。受光部清拭や自己診断・点検で動作確認する。
正しい。目視困難な微量漏血では、ダイアライザ透析液出口から採液し、潜血試験紙でヘモグロビン反応を確認して判断する。
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解説
体外循環では気泡混入や回路空破による送脱血障害が重大事故につながるため、レベル監視とフィルタリング、気泡対策が基本となる。レベルセンサは通常、静脈貯血槽の液面を超音波式・光学式・静電容量式などで監視し、液面低下による空気誤送を防ぐ。動脈フィルタは微小気泡や微小異物の除去を目的に目開きが小さく(代表的に約40 μm前後)、バブルトラップは比較的粗い目(100~200 μm程度)で気泡捕捉・脱気を担う。閉鎖回路(ECMO等)でも採血・薬剤注入・接続部の不具合などで気泡が侵入し得るため、気泡監視は不可欠である。エアブロック(エアロック)は主に脱血側に空気が入りサイフォン効果が途絶して脱血が停止する現象を指す。
選択肢別解説
不正解。人工心肺で用いるレベルセンサは一般に超音波式・光学式・静電容量式などの非接触型が主流で、磁気センサを用いる方式は一般的ではない。よって「磁気センサが用いられている」との断定は不適切。
不正解。レベルセンサは静脈貯血槽の液面監視に用い、液面低下時にポンプ停止や警報で空気誤送を防ぐ。エアトラップ(バブルトラップ)は気泡捕捉・脱気のための器具であり、レベルセンサの取り付け対象ではない。
正解。動脈フィルタは微小気泡・微小異物の除去を目的に目開きが小さく(代表的に約40 μm前後)、バブルトラップのスクリーンはこれより粗い(おおむね100~200 μm程度)。したがって動脈フィルタの方が目が細かい。
不正解。閉鎖回路(PCPS/ECMO等)でも採血・薬剤注入、コネクタの緩み、陰圧条件下での接続部からの吸気などにより気泡が流入する可能性がある。「可能性はない」は誤り。
不正解。エアブロック(エアロック)は主として脱血回路側に空気が入り、静水圧差(サイフォン)による脱血が途絶して流れが止まる現象を指す。送血回路が空気で満たされて停止する状況の定義ではない。
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