臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
加温加湿器は、人工呼吸器から供給される乾燥ガスを患者に適した温度・湿度に調整する装置で、臨床ではチャンバー出口や患者口元付近の温度をセンサで検出し、ヒータをサーボ制御する「温度制御」が標準的である。湿度そのものをリアルタイムに測定・フィードバックして制御する方式は一般的ではないため、「患者吸気の湿度によって制御される」という記述は不適切で誤りとなる。適切な運用では患者口元でおおむね32〜35℃、絶対湿度30〜35 mg/L程度を目標に管理し、回路内の温度低下による結露(レインアウト)を防ぐ目的でヒータワイヤ付き回路を用いる。ヒータワイヤがない場合は回路途中にウォータトラップを設け、結露水の貯留・排出により患者側への流入を防止する。さらに、加湿器内の水は温かく細菌が増えやすいため、滅菌水の使用や清潔操作・交換スケジュールの順守が重要である。不十分な加湿は気道線毛機能低下、痰の粘稠化、栓塞、無気肺などの肺合併症を招く。
選択肢別解説
誤り。一般的な加温加湿器は温度センサからの情報を用いたサーボ制御で作動し、患者口元付近の温度設定を達成することで結果的に所要の湿度を得る。湿度値を直接測定してフィードバック制御する方式は通常ではない。
正しい。加湿器内は温かく微生物が増殖しやすい環境であり、滅菌水の使用、清潔な取り扱い、定期的な交換などによる汚染防止が不可欠である。汚染は呼吸器感染のリスクとなる。
正しい。ヒータワイヤは回路内ガスの温度低下を抑え、水蒸気の凝結(レインアウト)を防止することで結露を減らす機能を持つ。
正しい。ヒータワイヤがない回路では温度低下により結露が生じやすく、貯留した水が患者側へ流入する危険があるため、途中にウォータトラップを設けて回収・排水する必要がある。
正しい。不十分な加湿は気道乾燥、線毛機能障害、喀痰粘稠化による排出不良を生じ、無気肺や下気道感染などの肺合併症の原因となる。
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解説
人工心肺の熱交換器は、冷温水供給装置からの灌流水と血液との熱交換で体温管理を行う。安全上、温水は一般に42℃未満に制限され(装置には上限温度安全機構が付くことが多い)、急峻な温度勾配はガス溶解度の変化やタンパク変性、組織損傷のリスクを高めるため避ける。送血温は灌流水(冷温水)の温度とその流量により実務上調節する。材質は熱伝導率の高い金属(ステンレス、アルミなど)が主流であり、樹脂製が多数派という記述は誤り。人工肺一体型の熱交換器は接続点を減らし、回路の単純化や充填量の低減に寄与する。冷却・復温時は送血温と深部温(例:鼻咽頭温)との差をおおむね10℃以内に保つのが一般的な目安である。
選択肢別解説
正しい。血液温が過度に上がると血漿タンパク質の変性や溶存ガスの変化を招くため、冷温水供給装置の温水は通常42℃未満に制限され、装置には上限温度の安全機構が備わる。
正しい。送血温は熱交換器での熱移動により決まり、実務上は灌流水(冷温水)の温度設定と灌流水の流量調整で制御する。熱交換効率や血液流量にも影響されるが、選択肢の記述としては適切。
誤り。熱伝導効率が重要なため、熱交換器は熱伝導率の高い金属(ステンレスやアルミ)製が一般的である。樹脂は生体適合性などの利点がある用途もあるが、熱交換器の主流材質ではない。
正しい。急激な温度勾配は組織傷害や不整脈、ガス形成リスクを高めるため、冷却時(復温時も同様)には送血温と深部温の差をおおむね10℃以内に保つなど慎重に管理する。
正しい。人工肺と熱交換器の一体型は接続部が減るため回路の単純化や血液充填量の低減につながり、取り扱いも容易になる。
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