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臨床工学技士国家試験
解説
超音波は可聴音より高周波で、軟部組織中では縦波(疎密波)として伝搬する。指向性は周波数が高いほど高くなり、ビームは狭くなる。反射は主として音響インピーダンス差で決まり、生体内の組織境界(例:筋−脂肪、軟部−骨、組織−空気)で顕著に起こる。音速は媒質の弾性率と密度に依存し、空気(約331〜346 m/s)よりも水や軟部組織・筋(約1540〜1580 m/s)の方が大きい。減衰は生体軟部組織で周波数にほぼ比例(おおむね0.5〜1 dB/cm/MHz)し、高周波ほど減衰が大きく深達性は低下する一方、分解能は向上する。以上より、正しいのは「空気に比べて筋組織での音速が大きい」と「周波数が高いほど減衰しやすい」である。
選択肢別解説
誤り。生体の軟部組織(液体に近い性質)中での超音波は縦波(疎密波)として伝搬する。横波(せん断波)は軟部組織ではほぼ伝搬しない(骨など固体では横波が生じ得るが、本設問の「生体中」一般には当てはまらない)。
誤り。指向性は周波数が高いほど高くなる。ビーム幅はおおむね波長に比例して狭くなり(ビーム幅 ∝ λ/D)、超音波(高周波)は可聴音より指向性が高い。
誤り。反射は主として音響インピーダンス差で決まり、組織境界でしばしば強く起こる。反射係数は $R=((Z_2-Z_1)/(Z_2+Z_1))^2$ で表され、例えば空気と組織の境界では大きなインピーダンス差により強い反射となる。可聴音より反射しにくいとはいえない。
正しい。空気中の音速は約331〜346 m/s(条件に依存)に対し、筋組織は約1580 m/s、軟部組織では約1540 m/sであり、生体組織の方が大きい。
正しい。生体軟部組織における減衰係数は周波数にほぼ比例し(代表値で約0.5〜1 dB/cm/MHz)、周波数が高いほど減衰しやすい。そのため高周波は分解能が高いが深部への到達性は低下する。
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解説
ローラポンプの圧閉度調整は、逆流(スリップ)を許さず、かつ過度な圧迫による溶血を避けるためのバランス調整である。一般的な基準は、ポンプ区間を水(または生理食塩水)で満たし、落差1 mの静水圧で滴下試験を行い、わずかに滴下する程度(旧来の15滴/mLの輸液セットで毎分5〜10滴、20滴/mLの輸液セットではおおむね毎分6〜13滴)になるようにローラ圧を設定する。これにより1回転当たりのスリップを最小限に抑えつつ、不要な過圧接触を避けられる。よって「滴下速度は30〜50滴/分とする」は過大で誤り。過度な圧閉は機械的圧搾・摩擦の増加で溶血を増やし、不十分な圧閉はスリップによる逆流や高せん断で溶血を増やす。落差1 m($1\,\mathrm{mH_2O} \approx 73.5\,\mathrm{mmHg} \approx 9.8\,\mathrm{kPa}$)は調整条件の標準化のために用いられる。
選択肢別解説
正しい。圧閉度調整は落差1 mの静水圧条件で行うのが標準で、一定条件下での微小な滴下を確認して適正圧閉を決める。落差1 mは約73.5 mmHg(約9.8 kPa)に相当し、調整条件の再現性確保に適している。
誤り。滴下速度は30〜50滴/分では速すぎる。一般に旧来の15滴/mLの輸液セットで毎分5〜10滴、20滴/mLの現行標準では概ね毎分6〜13滴程度を目安とする。30〜50滴/分は漏れ(スリップ)が大きすぎ、逆流や流量誤差、せん断応力増大のリスクが高まる。
正しい。過度の圧閉(オクルージョン過大)はチューブの強い圧搾・摩擦を生み、血球への機械的ストレスや発熱を増やして溶血を増大させる。
正しい。不十分な圧閉ではポンプヘッドとチューブ間に隙間が残りスリップが生じやすい。スリップ時の部分的な挟み込みや高せん断が増え、結果として溶血が増大する。適正圧閉からのいずれの逸脱(過大・過小)も溶血リスクを高める。
正しい。不十分な圧閉ではポンプ回転中に逆流(スリップ)が生じ、設定流量が得られない。これはローラポンプ特有の現象で、圧閉不足によりチューブが完全に閉鎖されず、吐出側から吸引側へ液体が戻るためである。
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解説
心室の収縮開始(等容性収縮期)では、心室圧が瞬時に心房圧を上回るため房室弁(本問では僧帽弁)がまず閉鎖する。続いて心室圧が大動脈圧を超えると大動脈弁が開放し駆出期に入る。駆出が終わって心室圧が大動脈圧を下回ると大動脈弁が閉鎖し(等容性弛緩期)、さらに心室圧が心房圧を下回ると僧帽弁が開放して拡張期に入る。したがって順序は「僧帽弁閉鎖 → 大動脈弁開放 → 大動脈弁閉鎖 → 僧帽弁開放」(選択肢5)が正しい。
選択肢別解説
誤り。心室収縮の開始時は心室圧が心房圧を上回るため、僧帽弁は開放ではなく最初に閉鎖する(等容性収縮期)。その後、大動脈弁が開放して駆出が始まる。提示順序は生理に反する。
誤り。心室収縮開始時に僧帽弁が開放することはない。大動脈弁の開放は僧帽弁閉鎖の後、心室圧が大動脈圧を超えた時点で起こるため、序列が不適切。
誤り。大動脈弁の開放は僧帽弁閉鎖後であり、開始直後に大動脈弁が開くことはない。また収縮期に僧帽弁が再度開放することもない。順序が生理学的に矛盾している。
誤り。僧帽弁閉鎖後、僧帽弁が再び開放するのは等容性弛緩期を経て拡張期に入った後(大動脈弁閉鎖の後)である。提示順序では僧帽弁が早期に再開放しており不正確。
正しい。心室収縮開始→僧帽弁閉鎖(等容性収縮期)→大動脈弁開放(駆出期)→大動脈弁閉鎖(等容性弛緩期)→僧帽弁開放(拡張期)の順序となる。
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解説
パルスオキシメータは、指先などを透過する赤色光(約660 nm)と赤外光(約940 nm)の吸光度の比から動脈血酸素飽和度(SpO₂)を推定する装置で、拍動に伴う吸光度の変動成分(AC)を用いて動脈成分のみを抽出する。660 nm ではデオキシヘモグロビン(Hb)の吸収がオキシヘモグロビン(O₂Hb)より大きく、940 nm では逆にO₂Hbの吸収が大きいという特性差を利用する。2波長は交互発光(時間多重)させてそれぞれの透過光を区別し、環境光の影響も補正する。SpO₂はヘモグロビンの酸素解離曲線に基づく推定であり、PaO₂(酸素分圧)とは一対一対応しない。COHbはO₂Hbと吸光特性が類似するため二波長法ではO₂Hbとして扱われ、CO中毒ではSpO₂が実際より高く表示されうる。また、人工心肺中の非拍動流(特に遠心ポンプ)では脈動が乏しくAC成分が得られないため測定が困難となる。以上より、選択肢1が正しい。
選択肢別解説
正しい。赤色光(約660 nm)ではデオキシヘモグロビンの吸収係数がオキシヘモグロビンより大きい。一方、赤外光(約940 nm)では逆転しO₂Hbの吸収が大きい。この波長依存の吸収差がSpO₂推定の基礎である。
誤り。赤色光と赤外光は同時ではなく交互に発光し、受光側は時間多重でどちらの波長かを識別する。これによりクロストークを避け、環境光も補正して各波長の吸光度を正確に求める。
誤り。酸素飽和度(SpO₂またはSaO₂)とPaO₂は酸素解離曲線に従う非線形関係で、飽和度100%に対応するPaO₂は単一の値ではない。吸入酸素濃度やpH、体温、2,3-DPGなどで解離曲線が変化し、PaO₂は広い範囲を取りうる。
誤り。一酸化炭素ヘモグロビン(COHb)はO₂Hbに近い吸光特性を持つため、二波長のパルスオキシメータはCOHbをO₂Hbとして誤認し、SpO₂を実際より高く表示しうる。正確な評価には多波長のコオキシメータが必要である。
誤り。パルスオキシメータは動脈の拍動による吸光度の変動成分(AC)を利用する。遠心ポンプを用いた人工心肺では流れがほぼ非拍動となり、末梢脈波が乏しくなるため測定は困難または不可能となる。よって「計測できる」との断定は不適切。
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解説
標準的な血液透析回路の流れは、患者→動脈側ドリップチャンバ→血液ポンプ→ダイアライザ→静脈側ドリップチャンバ→患者である。生理食塩液ラインは回路プライミング、回路洗浄、緊急補液、返血で血液ポンプの吸引圧を利用できるよう、ポンプ上流(動脈側)に設置するのが標準であり、下流設置は不適切。抗凝固薬(ヘパリン等)は陰圧の影響を受けにくく安定投与できるポンプ下流の陽圧部(ポンプとダイアライザの間)に設置する。ダイアライザは血液と透析液を向流接続として濃度勾配を大きく保ち、物質除去効率を高める。静脈圧は静脈側ドリップチャンバから圧モニタラインを取り、戻り側の閉塞や凝血を監視する。空気塞栓防止のため、気泡検知器は静脈側ドリップチャンバ下流(患者直前)に配置する。従って、誤りは生理食塩液ラインを血液ポンプ下流に置く記載である。
選択肢別解説
誤り。生理食塩液ラインは血液ポンプ上流(動脈側)に設置するのが標準。こうすることでポンプの吸引圧で確実に生食を引き込み、プライミング・回路洗浄・返血・緊急補液を安全に行える。下流側設置では吸引が効かず操作性や安全性が低下しうる。
正しい。抗凝固薬注入ラインは血液ポンプ下流の陽圧部(ポンプとダイアライザの間)に設置する。陰圧域(ポンプ上流)に置くと脱血不良時に不随意に吸引され投与量が不安定になる懸念がある。陽圧部での注入は安定投与とダイアライザ流入前での混和に有利。
正しい。ダイアライザ内は血液と透析液を向流(平行で反対方向)にすることで、中空糸長手方向の濃度勾配を全長で大きく保てるため、溶質除去効率が最大化される。
正しい。静脈圧監視は静脈側ドリップチャンバから圧ラインを取り、戻り側の閉塞、回路内凝血、血液濃縮などを早期に検出する。一般的にチャンバ上部から圧を導く。
正しい。気泡検知器は静脈側ドリップチャンバで捕捉しきれなかった微小気泡を患者送血前に検出するため、静脈側ドリップチャンバの下流(患者側)に設置する。空気塞栓予防の要となる配置である。
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解説
ストレインゲージ式血圧トランスデューサでは、血圧(圧力)が受圧膜(ダイアフラム)で機械的変位に変換され、その変位で生じるひずみをストレインゲージの抵抗変化として検出する。微小な抵抗変化はホイートストンブリッジで電圧変化として高感度に読み出し、必要に応じてダンパで測定系の振動・共振を抑えて波形の忠実性を高める。半導体ストレインゲージは高感度だが温度依存性が大きいため、温度補償(ブリッジ構成や補償回路)が用いられる。誤りは選択肢3で、ストレインゲージの抵抗変化率はひずみに比例し、反比例ではない($\Delta R / R = K \\epsilon$)。
選択肢別解説
正しい。半導体ストレインゲージは感度(ゲージ率)が高い一方で温度係数が大きく、温度変化でも抵抗が変動するため、ブリッジ構成やダミーゲージ、補償素子を用いた温度補償が行われる。
正しい。カテーテル-トランスデューサ系は共振により波形の振動(リンギング)を生じ得る。適切なダンパ(制動)を付加することで過度の振動を抑え、波形の忠実度を改善できる。
誤り。ストレインゲージの抵抗変化率はひずみに比例する。一般式は $\Delta R / R = K \\epsilon$(K: ゲージ率)であり、「反比例」は不適切。
正しい。受圧膜(ダイアフラム)が圧力を機械的変位(たわみ)に変換し、その結果生じるひずみをゲージで検出するのが基本構造である。
正しい。ストレインゲージの微小な抵抗変化はホイートストンブリッジで差動電圧として検出される。ブリッジは感度向上に加え、温度ドリフトの相殺にも有用である。
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解説
遠心ポンプは非閉塞型・後負荷依存の連続流ポンプで、回転数が同じでも前負荷・後負荷(回路抵抗やカニューレ抵抗)の変化で流量が大きく変わる。そのため流量は回転数だけで精密制御せず、流量計で実測管理する。一方、正圧・陰圧の発生能力はローラポンプ(容積移送型)に比べて限定され、送血側が閉塞しても危険な高圧が生じにくく回路破裂リスクは低い。吸引側でも前負荷が低下すると流量が低下する方向に働くため、過度の陰圧は生じにくい。また停止時には非閉塞構造のため逆流が起こり得るので鉗子や逆流防止の対策が必要。血液への機械的ストレスもローラポンプより小さく、溶血は少ない。以上より、設問では3と4が正しい。
選択肢別解説
誤り。遠心ポンプは前負荷・後負荷依存性が高く、同一回転数でも回路抵抗や貯血槽液面で流量が大きく変動する。回転数だけで容易・正確に流量制御はできず、血流計による監視が必須である。
誤り。遠心ポンプは非閉塞型であり、停止時や低回転時には圧力差・高低差により逆流が生じ得る。運用上は送血・脱血ラインの鉗子や逆流防止弁で対策する。
正しい。遠心ポンプは送血側が閉塞しても高い閉塞圧を発生しにくく、ローラポンプのように危険な高圧で回路破裂に至るリスクは低い(ゼロではないが著しく小さい)。
正しい。入口側(前負荷)が不足・狭窄になると遠心ポンプは流量が低下する方向に働き、ローラポンプのような強い吸引がかかりにくい。したがって過度の陰圧(サクション)は生じにくい。
誤り。遠心ポンプはローラポンプに比べ血液へのせん断・圧迫ストレスが小さく、一般に溶血は少ない。
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