臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
遠心ポンプはインペラの回転により遠心力で連続流を生むポンプで、流量は回転数だけでなく前後の圧力差(後負荷)や血液粘性などの条件で大きく変動する。したがって同じ回転数でも後負荷が増えると流量は低下する。回路が閉塞しても発生圧力はシャットオフヘッド(流量ゼロ時の最大圧)に抑えられ、容積脈動型(ローラポンプ)に比べ回路破裂リスクは低い。空気が混入すると遠心力が十分働かず吐出が止まりやすく、吸引回路用途には適さない。低回転域では特に流量—圧力特性が不安定で逆流や脈動が生じやすく、単純な回転数調節のみでの微小流量制御は困難である。
選択肢別解説
誤り。吸引回路では空気混入が避けられないが、遠心ポンプは空気を含むと遠心力が働かず吐出が停止しやすい(プライミング喪失)。この特性は安全側ではあるが、吸引用途には不適で、通常はローラポンプが用いられる。
誤り。流量は回転数のみに比例せず、ポンプ前後の圧力差(後負荷)、前負荷、血液の粘性や回路抵抗に依存する。回転数を一定にしても条件により流量は変動するため「正比例」は成り立たない。
誤り。回路閉塞時でも遠心ポンプの発生圧はシャットオフヘッドに制限され、容積脈動型ポンプのように圧力が無制限に上昇しにくい。したがって回路破裂の危険性は相対的に小さい。
正しい。遠心ポンプは後負荷依存性が高く、同一回転数でも末梢抵抗や血液粘性が増すとポンプ曲線と系統曲線の交点が変わり、流量は減少する。
誤り。低流量・低回転域では流量—圧力特性が不安定で、患者側圧が上回ると逆流が起こり得る。微小流量の安定制御には鉗子での抵抗調整等を併用することが多く、回転数だけでは容易でない。
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解説
超音波の生体内伝搬では、周波数が高いほど吸収・散乱による減衰が大きくなり、到達深度は浅くなる(軟組織での減衰係数は概ね0.5〜1 dB/cm/MHz程度)。一方で、同一開口径で比較すると周波数が高いほど波長が短くなりビームの指向性は高まる(開口径/波長の比が増大)。音速は媒質の弾性と密度で決まり、空気(約340 m/s)<軟組織(約1,540 m/s)<骨(約3,000〜4,000 m/s)の順に速い。音響インピーダンスは $Z=\rho c$ で与えられ、空気を多く含む肺は軟組織に比べて非常に小さく、界面で強い反射を生む。以上より、正しいのは「周波数が高いほど減衰が増加する」。
選択肢別解説
誤り。超音波の指向性は開口径に対する波長の比に依存し、周波数が高い(=波長が短い)ほどビームは絞られて指向性が高くなる。したがって「周波数が低いほど高くなる」は逆。
正しい。生体軟組織では減衰係数が周波数にほぼ比例し、周波数が高くなるほど減衰(dB/cm)が増えるため、到達深度は浅くなる(例:0.5〜1 dB/cm/MHz)。
誤り。軟組織中の音速はおよそ1,540 m/sで、空気中(約340 m/s)の約4〜5倍程度にとどまり、10倍(約3,400 m/s超)にはならない。
誤り。骨中の縦波の音速はおおむね3,000〜4,000 m/sで、軟組織(約1,540 m/s)より速い。よって「骨を通ると遅くなる」は不正確。
誤り。音響インピーダンスは $Z=\rho c$ に比例する。肺は多数の肺胞内に空気を含み、密度・音速とも小さいためインピーダンスは小さい。結果として軟組織-肺界面で強い反射が生じる。
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解説
人工心肺ではプライミング液(多くは晶質液)で循環血液が希釈され、ヘマトクリットとヘモグロビンが低下する。これにより血液粘性は下がり、膠質浸透圧も血漿タンパクの希釈で低下する。赤血球濃度と粘性が下がることは機械的ストレスを相対的に減らし、溶血のリスクを抑える方向に働く。一方、酸素運搬能はヘモグロビン濃度に依存するため、同一灌流量であれば希釈により低下する。人工心肺ではしばしば低体温・アルカローシスが併用され、酸素解離曲線は左方へ移動しやすい(ヘモグロビンの酸素親和性が増す)が、これは血液希釈そのものの直接効果ではない。したがって「酸素運搬能が増加する」は誤り。
選択肢別解説
正しい。血液希釈によりヘマトクリットが下がると、全血粘性は低下する。粘性低下は末梢循環抵抗の低下や灌流性の改善に寄与するが、極端な希釈では酸素運搬が不足し得る。
正しい。血漿タンパク(主にアルブミン)が希釈されるため膠質浸透圧は低下し、組織浮腫のリスクが上がる。必要に応じてアルブミンや人工膠質で補正することがある。
誤り。酸素運搬能は主にヘモグロビン量に依存し、血液希釈でヘモグロビンが低下するため減少する。動脈酸素含量は概ね CaO2 $= 1.34\times Hb\times SaO2 + 0.003\times PaO2$ で表され、Hb低下はCaO2低下を招く。一定灌流量(血流)なら酸素供給量 DO2 $= CaO2\times Q$ も低下する。
正しい。希釈により赤血球濃度と血液粘性が下がり、回路・ポンプで受ける機械的せん断や赤血球同士の衝突が相対的に減少するため、溶血は抑制されやすい。ただし過度の陰圧吸引や高回転など他要因があれば溶血は起こり得る。
正しい(人工心肺臨床で一般にみられる現象)。人工心肺では低体温や相対的アルカローシスが併用されやすく、これらは酸素解離曲線を左方移動させてヘモグロビンの酸素親和性を高める。なお、左方移動は血液希釈そのものの直接効果ではない点に留意する。
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解説
トランジットタイム型超音波血流計(TTFM)は、流れに沿う伝搬と逆らう伝搬の超音波到達時間差(トランジットタイム差)から流速・流量を求める方式で、媒体中の音速や増幅器感度といった共通要因が差分で相殺されるため、原理上はゼロ点補正を必要としない。また計測原理が超音波であるため、電磁誘導を用いる電磁血流計に比べて電磁的干渉の影響を受けにくい。体外循環用のPVCチューブなどにクランプオンして非侵襲に測れるプローブが普及しており、専用プローブを用いれば外径約1 mm程度の小血管でも計測が可能である。したがって「計測前にゼロ点補正が必要」「電磁血液計よりも電磁的干渉を受けやすい」は誤りである。
選択肢別解説
誤り。TTFMは上流・下流方向の伝搬時間差を利用するため、共通オフセットが差分で打ち消され、原理上ゼロ点補正は不要である(機器としてはウォームアップやオフセット確認機能を備えることはあるが、方式の本質として必須ではない)。
正しい。複数のプローブを用意すれば、各プローブからの信号を並列に取得し、複数チャネルを同時に計測できる設計が一般的である。
正しい。TTFMはクランプオン型プローブでPVC(ポリ塩化ビニル)製の体外循環回路チューブ越しに血流量を測定でき、シリコーンやポリウレタン等の一般的な回路材でも運用される。
正しい。微小血管用の周囲装着型(パリバスキュラ)プローブがあり、外径約1 mm程度の小動脈も対象となる。低流量域の感度と取付け精度を確保すれば計測可能である。
誤り。TTFMは超音波の到達時間差を測る方式であり、原理的に電磁的干渉の影響は小さい。一方、電磁血流計は電磁誘導を利用するため環境の電磁ノイズの影響を相対的に受けやすい。
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