臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
膜型人工肺では、形態は中空糸型が主流であり、膜構造は多孔質膜(代表材質:ポリプロピレン)が臨床で最も広く用いられている。流路形式は血液が中空糸の外側を流れる外部灌流型が一般的で、圧力損失が比較的低くガス交換効率も良好である。多孔質膜は疎水性であることにより膜孔が血漿で濡れて漏洩するのを抑制できるため、親水性膜が主という記述は不適切。材質については、主要材はポリプロピレン(多孔質)やシリコーン(均質)であり、ポリエチレンが『主』という事実はない。
選択肢別解説
正しい。膜型人工肺は歴史的にフィルム型から中空糸型へ移行し、現在は中空糸膜(hollow fiber)が主流である。中空糸化により有効表面積を大きく確保でき、ガス交換効率の向上と装置の小型化が可能となった。
正しい。ガス交換膜の構造分類では、多孔質膜(代表的にはポリプロピレン製)が臨床で最も多く用いられる。均質膜(例:シリコーン)は血漿漏れが起きにくい利点がある一方で、ガス透過や圧力損失の面で大流量用途に不利なため使用頻度は相対的に低い。
正しい。血液が中空糸の外側を流れる外部灌流型が一般的で、圧力損失が比較的低く、ガス交換面の利用効率が高い。内部灌流型(血液が中空糸内腔を流れる)に比べ、設計上ガス交換性能と取り扱いの点で利点があるため臨床で多用される。
誤り。多孔質膜は疎水性が基本で、膜孔が血液で濡れてしまう(wetting)と血漿漏れが生じやすくなる。疎水性により膜孔内への水相侵入を抑えることができるため、親水性の膜が『主に使用』という記述は不適切である。
誤り。多孔質膜の主要材質はポリプロピレンであり、均質膜ではシリコーンが用いられることが多い。ポリエチレンが主材として広く用いられている事実はない。
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解説
成人の中等度低体温(おおむね28〜32℃)での体外循環管理では、臓器灌流を保ちつつ代謝低下に合わせて流量を設定する。一般的な目標は、平均動脈圧は約60〜80 mmHg、送血流量は体重換算で約60〜70 mL/min/kg(体表面積換算で約2.0〜2.4 L/min/m²)、ヘモグロビンは少なくとも7 g/dL以上、混合静脈血酸素飽和度(SvO2)は60〜70%以上を維持する。一方、体外循環中は脱血により中心静脈圧(CVP)は通常0〜5 mmHg程度の低値となる。これらから、送血流量120 mL/min/kg、CVP 20 mmHg、ヘモグロビン6.0 g/dLは不適切であり、平均動脈圧70 mmHgとSvO2 75%は妥当と判断できる。
選択肢別解説
平均動脈圧70 mmHgは、体外循環中に推奨される目標範囲(概ね60〜80 mmHg)の中にあり、臓器灌流を保つ上で適切である。特に中等度低体温でもこの範囲は広く容認される。
送血流量120 mL/min/kgは過大で不適切。成人体外循環では体重換算で約60〜70 mL/min/kg(体表面積換算で約2.0〜2.4 L/min/m²)が一般的目標であり、中等度低体温では代謝低下によりむしろ必要流量は低めでよい。120 mL/min/kgは許容範囲を大きく超える。
中心静脈圧20 mmHgは不適切。体外循環中は脱血によりCVPは通常0〜5 mmHg程度の低値となる。20 mmHgは静脈還流不良や静脈系うっ血を示唆し、適切な操作条件ではない。
ヘモグロビン6.0 g/dLは低すぎて不適切。酸素運搬能確保のため多くの施設で7 g/dL未満とならないよう管理する。中等度低体温で酸素需要は低下するが、6 g/dLは組織低酸素のリスクが高い。
混合静脈血酸素飽和度75%は適切。全身酸素需給の指標としてSvO2は少なくとも60〜70%以上の維持が目安であり、75%は十分な酸素供給が確保されているレベルである。
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解説
体外循環中の大動脈解離は、送血管の先端位置不良や脆弱化した大動脈壁への外傷などで発生し、送血が偽腔へ流入して全身灌流が著しく低下する重篤合併症である。典型的所見として、上行大動脈の色調変化(赤黒く見える、光沢が失われる等)がみられ、真腔灌流が保てず静脈リザーバの液面低下(脱血不良)が起こる。大腿動脈送血でも逆行性に解離が発生し得るため「生じない」は誤り。疑い時は外科医と即時共有し、送血停止または大幅減量・送血部位変更などの緊急対応を要し、安易な継続は避ける。
選択肢別解説
誤り。大腿動脈送血でも逆行性(遠位から近位へ進展する)大動脈解離は発生し得る。よって「生じない」とは言えない。
誤り。大動脈解離が疑われる状況で灌流圧を下げて人工心肺を継続するのは不適切。基本は送血停止または大幅減量、カニュレーション部位変更などの緊急対応を検討する。
誤り。解離で真腔への灌流が障害されると、上行大動脈は虚脱傾向や拍動消失、異常な色調変化を示すことが多く、「緊満する」とは言い難い。
正しい。解離発生時には上行大動脈の色調変化(赤黒く見える、光沢低下など)が所見として現れる。これは壁内血腫や偽腔灌流による変化を反映する。
正しい。偽腔への送血により全身(真腔)灌流が低下し、還流血が減少するため静脈リザーバ液面が低下するなどの脱血不良が生じる。
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