臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
人工心肺(CPB)の各構成要素と機能の正誤判定。ベント回路は左心系に貯留する還流血や気泡を吸引し、左室拡張を防いで心内圧を下げ、無血視野を確保するために用いられるため正しい。冠灌流回路は大動脈遮断後に心筋保護液(心停止液)を冠動脈内へ注入するための回路であり正しい。遠心ポンプは主として脱血・送血などの主循環ポンプに用いられ、心腔内出血の吸引・回収(カーディオトミ吸引)は通常ローラポンプで行うため、遠心ポンプ——心腔内出血回収は誤り。血液濃縮器(ヘモコンセントレータ)は半透膜による限外濾過で血漿水分や小分子溶質を除去しヘマトクリットを上げる装置であり、赤血球を取り除く装置ではないため、血液濃縮器——余剰赤血球除去は誤り。動脈フィルタは人工肺後で送血直前に配置され、微小気泡や血栓などの栓子を除去するため正しい。したがって誤りは3と4。
選択肢別解説
ベント回路は左心室・左心房・肺静脈等からの還流血や気泡を吸引し、左心系の減圧・減容(心内圧減圧)と無血視野の確保、左室拡張防止に寄与する。よって組合せは正しい。
冠灌流回路は大動脈遮断後に心筋保護液(心停止液)を冠動脈へ注入して心筋代謝を抑制・保護する目的で使用される。組合せは正しい。
遠心ポンプはCPBの主ポンプ(送血・脱血補助)として用いられるのが一般的で、心腔内出血回収(カーディオトミ吸引)は定流量で吸引しやすいローラポンプが適している。遠心ポンプは吸引用途では安定した陰圧制御が難しく空気混入時の挙動にも注意を要するため、組合せは誤り。
血液濃縮器(ヘモコンセントレータ)は半透膜の限外濾過で血漿水分や小分子を除去し、ヘマトクリットを上昇させる装置である。赤血球を除去する目的ではないため、「余剰赤血球除去」との組合せは誤り。赤血球そのものの除去・洗浄は自己血回収装置(セルセーバ)等の領域である。
動脈フィルタは人工肺の後段に設置し、送血前に血液中の微小気泡や微小栓子(血栓・組織片など)を捕捉・除去する。よって組合せは正しい。
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解説
血液濃縮器(hemoconcentrator)は半透膜を用いた限外濾過で体外循環回路内の希釈血を除水し、ヘマトクリットや血漿タンパク濃度を是正する装置である。人工心肺では通常、静脈貯血槽と静脈貯血槽(あるいは静脈側回路)を結ぶ専用のポンプ付き並列回路として組み込み、メイン回路に直列で入れないのが一般的運用である。除水量は主に膜間圧力差(TMP)と膜の透水係数により決まり、血液側の流量は二次的因子である。限外濾過は主に水分と低分子溶質を対流で除去するため、電解質の能動的除去は透析ほど強くなく、アルブミンなどの高分子タンパクは基本的に透過しない。遠心分離は血液濃縮器の機序ではない。
選択肢別解説
正しい。人工心肺での血液濃縮器は、静脈貯血槽から専用ローラポンプで吸引し、濃縮後に静脈貯血槽へ戻すなどの並列(シャント)回路として運用するのが一般的である。メイン回路に直列で組むと回路抵抗や管理が複雑化するため通常は用いない。
誤り。除水量の第一の規定因子は膜間圧力差(TMP)と膜の透水係数であり、血液流量は境膜抵抗や浸透圧差への影響など二次的因子にとどまる。したがって「装置を通過する血液流量が第一因子」という記述は不適切。
誤り。血液濃縮器は限外濾過で水分と低分子を対流的に除くため、排液の電解質濃度は血漿水とほぼ同等となる。透析のように拡散と透析液の濃度勾配で強力に電解質を引き抜く機構はないため、血清K低下効果は透析装置と同等ではない。
誤り。記載は遠心分離装置(アフェレシス等)の説明であり、血液濃縮器は半透膜を介した限外濾過(膜間圧力差を利用)で作動する。遠心力は用いない。
誤り。血液濃縮器は水分と低分子溶質を主に除去し、アルブミン(約66 kDa)などの血漿タンパクは基本的に膜を通過しない設計である。したがって「アルブミンも除去される」は不適切。
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解説
人工心肺装置の付属回路とその主機能の組合せを問う問題。冠灌流回路は心筋保護液(カルジオプレジア)を冠動脈(順行)または冠静脈洞(逆行)から注入する回路であり、心内圧の低減はベント回路の役割である。ベント回路は左室や左房、肺静脈などから血液や空気を吸引し、心内圧を下げて心室の過伸展や術中のエア混入を防ぐ。血液濃縮器は限外濾過により余剰水分や低分子溶質を除去して体液バランス・ヘマトクリットを調整する。動脈フィルターは微小気泡や微小異物を捕捉して動脈系への塞栓を予防する。血液吸引回路(サクション回路)は術野の貯留血を回収し、貯血槽に戻す。よって誤りの組合せは1(冠灌流回路—心内圧の低減)と5(ベント回路—心筋保護液の注入)である。
選択肢別解説
誤り。冠灌流回路は心筋保護液を冠循環へ注入するための回路であり、心内圧の低減は目的ではない。心内圧の低減はベント回路が果たす機能で、心腔から血液や空気を吸引して減圧・減容する。
正しい組合せ。血液濃縮器(ヘモコン)は限外濾過により余剰水分を排出し、体外循環中の体液バランスやヘマトクリットを調整する。
正しい組合せ。動脈フィルターは回路内で発生した微小気泡や微粒子を捕捉し、体循環への塞栓を防止する。
正しい組合せ。血液吸引回路(サクション回路)は術野に貯留した血液を吸引・回収し、貯血槽を経て回路に戻す。
誤り。ベント回路は左室・左房・肺静脈などから血液や空気を吸引して心内圧を低減し、心室過伸展や空気塞栓を防ぐために用いる。心筋保護液の注入は冠灌流回路の機能である。
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a. 出血の回収 — 血液吸引ポンプ
b. 静脈血の酸素加 — 人工肺
c. 肺循環の維持 — 血液ポンプ
d. 余剰水分の排出 — ベントポンプ
e. 貯血槽内の微小気泡除去 — 動脈フィルタ
1. a, b 2. a, e 3. b, c 4. c, d 5. d, e
解説
人工心肺(体外循環)では、各構成機器が明確な役割を担う。出血の回収は手術野の血液をサクション回路で吸引し、血液吸引ポンプ(多くはローラポンプ)で貯血槽へ戻すのが目的・手段の一致で正しい。静脈血の酸素加(酸素化)は人工肺の本質的機能で、同時に二酸化炭素除去も担うため正しい。一方、血液ポンプの目的は全身循環(体循環)維持であり、完全体外循環中は肺循環はほぼ途絶するので「肺循環の維持」との組合せは不適切。余剰水分の排出(除水)は血液濃縮器(ヘモコンセントレータ)で行うのが適切で、ベントポンプは左心系の減圧・心腔内血液や気泡の排出が目的であるため不適切。貯血槽内の微小気泡は貯血槽の除泡機構(除泡網・消泡材)で除去され、動脈フィルタは送血ライン中で患者送血直前の微小気泡・微小異物を捕捉する装置であり、「貯血槽内」との組合せは不適切。よって正しいのは1と2である。
選択肢別解説
正しい。手術野の出血回収はサクション回路で行い、血液吸引ポンプ(通常はローラポンプ)が陰圧で吸引して貯血槽へ戻す。目的(出血回収)と構成機器(血液吸引ポンプ)が一致する。
正しい。人工肺は静脈血の酸素化(酸素加)と二酸化炭素除去を担う中核機器であり、記載の組合せは適切。
誤り。血液ポンプは体循環(全身送血)を維持する装置であり、完全体外循環では肺循環はほぼ途絶する。したがって「肺循環の維持」との組合せは不適切。
誤り。余剰水分(体液)の除去は血液濃縮器(ヘモコンセントレータ)による限外濾過で行う。ベントポンプの主目的は左心室などの減圧・心腔内血液や気泡の排出であるため、組合せが不適切。
誤り。貯血槽内の微小気泡は貯血槽に内蔵された除泡機構(除泡網・消泡材)で除去される。動脈フィルタは人工肺出口から送血ラインを流れる血液中の微小気泡・微小異物を患者送血直前で捕捉する装置であり、「貯血槽内」との組合せは不適切。
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解説
体外循環における主要機器の役割を問う設問。人工肺は静脈血からCO2を除去しO2を付加するガス交換装置で正しい。動脈ラインフィルタ(フィルタ)は微小気泡や微小凝血塊の捕捉・除去に用いられ正しい。ベントポンプは左室など心腔内の血液・気泡を吸引し、心腔内圧を下げて心室過伸展を防ぐ目的で用いられ正しい。一方、冠灌流回路は心筋保護液(カーディオプレジア)を冠動脈へ供給する回路であり、心腔内出血の回収はカーディオトミーサクション(吸引回路)やセルセーバ等が担うため不適切。冷温水槽は人工肺の熱交換器に接続して体温管理を行う装置であり、余剰水分(血漿水分)の除去はヘモコン(限外濾過器)で行うため不適切。以上より1・2・5が正しい組合せ。
選択肢別解説
人工肺は静脈血から二酸化炭素を除去し酸素を付加するガス交換を担う。体外循環中に静脈血は人工肺を通過して動脈化されるため、組合せは正しい。
フィルタ(主に動脈ラインフィルタ)は微小気泡や微小凝血塊を捕捉して下流への塞栓を予防する。微小気泡の除去という目的に合致しており正しい。
冠灌流回路は心筋保護液(カーディオプレジア)を冠動脈へ送るための回路である。心腔内出血の回収はカーディオトミーサクション(吸引回路)やベント等で行うため、この組合せは不正解。
冷温水槽は熱交換器に温水・冷水を供給して体温管理を行う装置であり、余剰水分(血漿水分)の除去はヘモコン(限外濾過器)によって行う。したがって不正解。
ベントポンプは左心室や心腔内に貯留する血液・気泡を吸引し、心内圧を低下させて心室過伸展を防ぎ、左室負荷を軽減する。目的に合致し正しい。
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解説
人工心肺装置の各回路・機器の主目的に基づく整合性を問う問題。冠灌流回路は心筋保護液(カリウム高濃度の心停止液など)を大動脈基部や冠動脈口、冠静脈洞経由で注入するための回路であり、心腔の減圧は目的としない。一方、ベント回路は左室や心腔内の血液・気泡を吸引して心腔内圧を減少させ、左室過伸展の防止や手術野の安定化を図るもので、心筋保護液の注入は行わない。血液濃縮器は限外濾過により希釈による余剰水分を除去し、動脈フィルタは微小気泡や凝血片などの異物を除去する。血液吸引回路は術野・心腔内の出血を回収して体外循環リザーバに戻す。以上より、誤った組合せは「1: 冠灌流回路—心内圧の減少」と「5: ベント回路—心筋保護液の注入」である。
選択肢別解説
誤りの組合せ。冠灌流回路は心筋保護液(カーディオプレジア)を冠循環へ注入する回路であり、心内圧の減少は目的ではない。心腔の減圧や左室過伸展防止はベント回路が担う。
正しい組合せ。血液濃縮器(ヘモコンセントレーター)は限外濾過により余剰水分や一部溶質を除去し、希釈是正や水分バランス調整を行う(ECUM/UF)。
正しい組合せ。動脈フィルタは送血ラインに設置され、微小気泡や微小凝血塊などの異物を捕捉・除去し、塞栓リスクを低減する。
正しい組合せ。血液吸引回路(サクション/カーディオトミーサクション)は術野や心腔内に出た血液を吸引・回収し、貯血槽へ戻す目的で用いられる。
誤りの組合せ。ベント回路は心腔内(とくに左室や左房など)を吸引して減圧・脱気し、左室過伸展を防止するのが主目的。心筋保護液の注入は冠灌流回路(大動脈基部・冠動脈口・冠静脈洞経由)で行う。
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解説
体外循環中のトラブルでは、原因に対してリスクを速やかに除去できる対処が求められる。膜型肺の血栓形成はガス交換能低下や圧損上昇、塞栓リスクを伴うため、ACT低下があればヘパリン追加は行うが、基本は人工肺(必要に応じて回路)交換が第一選択であり「ヘパリン投与」を対応とするのは不適切。膜型肺ガス出口の血漿漏出は膜障害・プラズマリークで人工肺交換が適切。血液ポンプ停止時は手動ハンドルで循環を維持しつつ復旧・交換する。送血側への大量空気混入は直ちに送血停止し、除泡・回路再充填などを行う。熱交換器の温水側への血液混入は熱交換器破損(非滅菌水側への血液漏出・逆流汚染リスク)を示し、直ちに人工肺(熱交換器一体型)や熱交換器の交換・隔離が必要で温度調節では解決しない。従って誤っている組合せは1と5である。
選択肢別解説
誤りの組合せ。膜型肺で血栓形成が生じるとガス交換能低下、トランスメンブレン圧上昇、塞栓リスクが高まる。ACT低下が原因ならヘパリン追加は必要だが、既に血栓が形成された人工肺は速やかな人工肺交換が原則であり、「ヘパリン投与」を主たる対応とするのは不適切。
適切な組合せ。膜型肺ガス出口からの血漿漏出は膜障害(プラズマリーク)を示し、ガス交換不良やさらなる破綻につながるため、人工肺の交換が必要となる。
適切な組合せ。血液ポンプが停止した場合は直ちに手動式ハンドルで灌流を維持し、同時に電源復旧や代替ポンプへの切替を行う。循環維持の初期対応として妥当。
適切な組合せ。送血回路内に大量の空気が入った場合は即時に送血を停止し、回路除泡・再充填などで空気排除を行う。患者への空気塞栓回避が最優先で、送血停止は正しい初期対応。
誤りの組合せ。熱交換器の温水側への血液混入は熱交換器の破損・リークを示し、水側(非滅菌)からの汚染や逆流リスクがある。直ちに人工肺(熱交換器一体型)や熱交換器の交換・隔離が必要で、温水の温度調節では根本的対処にならない。
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解説
血液濃縮器(ヘモコンセントレーター)は、人工心肺(CPB)中に限外濾過で血漿水分と低分子溶質を除去し、血球・蛋白を残して血液を濃縮する装置である。血液は中空糸の内腔側を流れる内部灌流型で、膜の外側(シェル側)に濾液が回収される。圧力損失を主回路に与えないよう、通常はメイン送脱血回路とは並列に独立ループで接続し、トランスメンブレン圧で濾過量を調整する。用いる膜は親水性の多孔質中空糸膜で、透析(拡散)を行わないため透析液は不要である。濾液のNa、Kなどの小分子電解質は血漿水とほぼ同濃度で通過する(細胞外液型)一方、蛋白・血球は通過しない。以上より、1と5が正しく、2・3・4は誤りである。
選択肢別解説
正しい。血液濃縮器は血液が中空糸内腔を流れ、膜外側へ水分が限外濾過で移動する内部灌流型の構造である。
誤り。血液濃縮器は圧力損失が生じやすく流量変動の影響も大きいため、メインの送脱血回路に直列ではなく、通常は並列(独立のヘモコン回路)に接続して用いる。
誤り。血液適合性と水透過性を考慮し、親水性の多孔質中空糸膜が用いられる。疎水性膜は初期濡れ性が低く水分透過に不利で、血液用途には不適。
誤り。血液濃縮器は限外濾過(対流)による水分除去を目的とし、拡散を利用する透析は行わないため透析液は不要である。
正しい。濾液(超濾液)は小分子電解質のふるい係数がほぼ1で、血漿水と同等のNa、K濃度(細胞外液型)となる。蛋白・血球は通過せず血液側に残る。
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