臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
血液透析中に装置が「常時監視」すべきなのは、重大な事故や膜破損を即時に検知して治療を自動停止・警報できる項目です。血液系では気泡(空気塞栓の危険)を超音波式エア検知器で連続監視します。透析液系ではダイアライザ破損による漏血を光学式センサで、透析液圧を圧力センサで常時監視し、これらはTMP管理や回路異常の早期検出にも不可欠です。一方、血漿浸透圧は患者検査項目で装置による連続測定対象ではなく、透析液エンドトキシン濃度は水質管理(LAL法等)として定期測定であり常時監視には当たりません。従って、常時監視すべきは「気泡」「漏血」「透析液圧」です。
選択肢別解説
血漿浸透圧は患者側の検査指標であり、透析装置がセンサで連続的に監視する項目ではない。通常は治療前後や必要時に検査で評価されるため「常時監視」の対象外。
気泡(空気)は血液回路内に混入すると空気塞栓の重大リスクがあるため、超音波式エア検知器で連続監視され、検知時は血液ポンプ停止・静脈側クランプ等の安全動作が作動する。よって常時監視項目である。
漏血はダイアライザ膜破損により血液が透析液側へ漏れる事象で、光学式(赤外線等)センサで透析液排液を連続監視する。検知時は警報・治療停止が行われるため、常時監視項目に該当する。
透析液圧(入口・出口圧など)は圧力センサで常時計測され、血液側との圧力差(TMP)管理や回路閉塞・リーク等の異常検出に不可欠である。したがって常時監視項目である。
透析液エンドトキシン濃度は透析液水質管理の指標で、LAL試験等により定期的(例:月1回以上など施設基準に準拠)に測定されるのが一般的であり、装置によるリアルタイム連続監視の対象ではない。
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解説
腹膜透析は腹膜(半透膜)を介して、溶質は濃度勾配による拡散で除去され、水分は主に透析液中のブドウ糖やイコデキストリンが作る浸透圧差によって腹腔側へ引き出される。除水は装置で直接「制御」するのではなく、透析液の浸透圧(濃度)や滞留時間などの設定によって結果的に決まる。腹膜カテーテルは先端が骨盤腔の最も低い位置(ダグラス窩)に留置されることで、注排液の効率がよい。標準的な腹膜透析液のカリウム濃度は0 mEq/Lであり、必要時に添加する運用である。酸性透析液は低pHやGDP(グルコース分解産物)などにより生体適合性の面で不利であり、より生体適合性の高い中性・低GDP液が用いられる。
選択肢別解説
誤り。腹膜透析の主な機序は、溶質は拡散、水分は透析液の浸透圧差(主にブドウ糖やイコデキストリン)による移動である。水圧差(膜を挟んだ機械的圧差)を外部から付与して限外濾過するのは血液透析の原理である。
誤り。標準的な腹膜透析液のカリウム濃度は0 mEq/Lである。低カリウム血症が懸念される場合には医師の指示でカリウムを添加して用いる。1.5〜2 mEq/Lが既定で配合されているわけではない。
誤り。自動腹膜灌流装置(APDサイクラー)は注入量・滞留時間・交換回数などの手技条件を制御できるが、除水量そのものを機械的に直接制御することはできない。除水は透析液の浸透圧や患者の腹膜輸送特性に依存する(手技条件は間接的に影響を与える)。
正しい。腹膜カテーテルは腹壁から腹腔内へ留置し、その先端は腹腔内で最も低位となる骨盤腔(ダグラス窩)に位置させるのが基本で、これにより注排液の効率が良くなる。
誤り。酸性透析液は低pHや加熱滅菌で生じるGDP(グルコース分解産物)などが腹膜中皮細胞に与える影響から、生体適合性に問題が指摘されている。中性・低GDP液の方が生体適合性は高い。
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解説
血液浄化の基本原理の正しい対応は、浸透—溶媒(水)の移動、半透膜—細孔によるふるい分けである。限外濾過は膜間圧(圧力差)を駆動力として主に溶媒が移動し、溶質は対流(溶媒に伴われる移動)として運ばれるため、濃度差が駆動力ではない。拡散は溶質の濃度勾配が駆動力であり、圧力差ではない。吸着は吸着材表面への物理化学的結合(親和)であり、溶媒に溶けて均一になる「溶解」とは異なる。したがって、正しい組合せは「浸透—溶媒の移動」(選択肢3)と「半透膜—細孔によるふるい分け」(選択肢4)である。
選択肢別解説
誤り。限外濾過の駆動力は膜間圧(圧力差)であり、溶質の濃度差ではない。限外濾過では主に溶媒(水)が膜を通過し、溶質は対流(溶媒に伴う移動)として運ばれる。
誤り。拡散は溶質の濃度勾配(濃度差)を駆動力として半透膜を介して移動する現象であり、圧力差は拡散の駆動力ではない。
正しい。浸透は半透膜を介して溶媒(水)が浸透圧差に基づき低濃度側から高濃度側へ移動する現象である。血液浄化の基礎概念として正しい対応。
正しい。ダイアライザの半透膜は細孔(ポア)をもち、分子の大きさや形状によりふるい分け(分画)を行う。これにより透過可能な溶質と透過しにくい溶質が選別される。
誤り。吸着は吸着材表面への物理化学的な結合(親和)によって被吸着物質が付着する現象であり、「吸着材への溶解」ではない。β2ミクログロブリンやサイトカインなどの除去で利用されるが、機序は溶解ではない。
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解説
低体温では血液粘度は上昇し、末梢循環抵抗が増えやすい。一方で代謝率と酸素需要は温度低下に伴い著明に減少(目安として約6~7%/℃)するため、体外循環では必要血流量が少なくても酸素需給が保ちやすく、安全域は広がる。酸素解離曲線は左方移動し、ヘモグロビンの酸素親和性が高まるため、組織での酸素放出は低下して「組織への酸素移行」は減少する。代謝低下により酸素抽出率が下がるため、混合静脈血酸素飽和度(SvO2)は上昇しやすい。血液ガス管理では、アルファスタット法は温度補正を行わず37℃校正値で管理するため、低体温下の生体内実質pHは上昇(相対的アルカレミア)する。
選択肢別解説
誤り。低体温では血液粘度は上昇する(一般に温度が1℃下がるごとに粘度は増す方向に変化)。粘度上昇は末梢循環不全の一因となるため、体外循環では希釈を併用して粘度上昇を緩和する。
誤り。低体温により代謝・酸素需要が低下するため、体外循環中は通常より低い灌流量でも酸素需給バランスを保ちやすい。従って安全域は「広がる」のが一般的であり、「狭まる」は不適切。
正しい。低体温で酸素解離曲線は左方移動し、HbとO2の親和性が高まるため、組織での酸素放出が減少し「組織への酸素移行」は低下する。
正しい。低体温では酸素消費量(VO2)が低下し、酸素抽出率が下がるため静脈側に戻る酸素が増え、混合静脈血酸素飽和度(SvO2)は上昇する。Fickの関係式でも $ \mathrm{SvO_2} \approx \mathrm{SaO_2} - \frac{\mathrm{VO_2}}{1.34 \cdot Hb \cdot Q} $ と表せ、VO2低下はSvO2上昇方向に働く。
正しい。アルファスタット法は体温補正を行わず37℃校正値で管理するため、低体温下の実際の体内pHは温度低下に伴い上昇する(相対的アルカレミア)。一方、pHスタット法では患者体温でpH 7.40となるようCO2を付加して補正する。
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解説
ペリスタルティック方式(ローラ式・フィンガー式)の輸液ポンプは、チューブを機械的にしごいて送液する容積式ポンプで、安全のため多数の監視・警報機能(気泡検出、閉塞検出、ドアオープン、電源・バッテリ異常、液切れ検出など)を備える。色認識や輸液バッグの種類の自動特定といった機能は標準機能ではない。一方、気泡は超音波式や光学式のエアインラインセンサで自動検知され、液切れ(ボトル・バッグの終了)は上流側の空気混入や圧力変化などを契機に自動報知される。流量は設定値に基づいて駆動され、モータ回転・エンコーダ・滴下センサ等による監視・計測(流量異常検出を含む)機構を備える機種が一般的で、国試の文脈では「自動計測」に含めて正しいと判断できる。
選択肢別解説
輸液の色(色調)を自動認識する機能は輸液ポンプの標準機能ではなく、ペリスタルティック方式の特徴でもないため不正解。
ペリスタルティック方式では専用チューブの使用やセット確認は行うが、ポンプが輸液バッグ(薬剤・製品)の種類を自動特定する機能は標準ではないため不正解。
輸液ライン内の気泡は超音波式や光学式のエアインラインセンサで自動検知し、検知時はアラームや送液停止を行う。したがって正しい。
設定流量で送液するためモータ駆動量(エンコーダ/ステップ数)や滴下センサ等で実流量を監視・計測し、異常時に警報を出す機構を備える機種が一般的である。国試の文脈では自動計測に該当し正しい。
ボトル・バッグの液切れは上流側空気混入の検知や圧力・流量の変化などを契機に検出され、終了時にはアラームで自動報知される。したがって正しい。
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