臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
輸液ポンプは大別して、モータで流量そのものを制御する流量制御型(例:ペリスタルティック方式、シリンジポンプ)と、点滴滴下数を監視して重力輸液を制御する滴数制御型がある。流量制御型はポンプ精度を保証するため、チューブ径・弾性・硬さなどが規定された専用輸液セットの使用が前提であり、汎用輸液セットは原則用いない。一方、滴数制御型は滴下筒を光学的に監視(多くは赤外線)して滴数を数えるため、汎用の輸液セットが使える。ペリスタルティック方式の輸液ポンプは安全機能として閉塞・気泡(エアインライン)検出を備える。シリンジポンプはピストンシリンダで微量を高精度に送るのに適し、与圧注入(バネ・エラストマー等)式ポンプは小型軽量で携行性に優れる。以上より、『流量制御型では汎用輸液セットが使える』は誤り。
選択肢別解説
正しい。シリンジポンプはピストンシリンダ機構でシリンジ内の液量を精密に押し出すため、低流量・微量投与で高い再現性が得られ、微量注入に適する。
正しい。滴数制御型ポンプの滴下センサは、滴下筒を横切る液滴による光遮断を検出して滴数を計数する方式が一般的で、多くは赤外線LEDと受光素子を用いた光学式である。
正しい。ペリスタルティック方式(チューブをローラで圧迫して送液)は安全機能としてエアインライン(気泡)検出や閉塞検出を備えるのが一般的で、気泡検出時はアラーム・停止する。
誤り。流量制御型(ボリュメトリック/ペリスタルティック等)は所定の精度を確保するため、チューブ径・材質・コンプライアンスが規定された専用輸液セットの使用が前提である。汎用輸液セットを用いるのは滴数制御型である。
正しい。与圧注入方式(バネやエラストメリックバルーンで圧力を与える方式)は電源不要で小型・軽量の製品が多く、携行性に優れる。
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解説
拍動型(非定常流)とは時間的に流量・圧が周期的に変動する方式で、心拍や拍動周期に合わせて送脱血する装置が該当する。大動脈バルーンポンプ(IABP)は心電図や動脈圧に同期して拡張期にバルーンを膨張、収縮期直前に減圧することで拍動的な補助を行うため拍動型に分類される。空気圧駆動式補助人工心臓(ダイアフラム駆動など)は充満・駆出のサイクルにより拍動流を作る容積形ポンプであり拍動型である。一方、軸流ポンプ・遠心ポンプはターボ形で基本的に定常流(連続流)を発生する。ローラポンプは容積形だが、体外循環などで通常は連続流として運用され、拍動型とはみなされない。
選択肢別解説
大動脈バルーンポンプ(IABP)は拡張期にバルーンを膨張、収縮期に減圧する対拍動で冠灌流増加と後負荷低減を図る。拍動に同期した非定常流の補助であり拍動型に該当する。
軸流ポンプは羽根車で流体を軸方向へ連続的に送るターボ形ポンプで、原理的に定常流(連続流)。拍動型ではない。
ローラポンプは容積形(蠕動)ポンプだが、体外循環では通常連続流として運用されるため拍動型とは扱われない(拍動運転用の制御を行わない限り非拍動)。
遠心ポンプはターボ形ポンプで、回転による連続流を発生するため定常流。拍動型ではない。
空気圧駆動式補助人工心臓(ダイアフラム型など)は陽圧・陰圧で充満と駆出を繰り返す容積形ポンプで、周期的に流量が変動する拍動流を作るため拍動型に該当する。
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解説
輸液関連ポンプの基本仕様に基づく判断で、正しいのは3、4、5である。シリンジポンプは高精度で微量注入に適し、大量・急速注入には不向き(1は不正解)。また一般的なシリンジポンプは空気検知(気泡アラーム)を標準搭載しない設計が多く、主な警報は閉塞、設定終了、残量などである(2は不正解)。一方、滴下センサは赤外線LEDと受光素子を用いて点滴室を通過する滴を遮光変化として検出する方式が一般的(3は正しい)。流量制御型(ボリュメトリック)輸液ポンプは構造・キャリブレーションが専用の輸液セット前提で作られており、専用セットの使用が精度確保に必須(4は正しい)。携帯型ポンプには、弾性体バルーンやばねの蓄えた力で陽圧を発生し持続注入する与圧注入方式(エラストメリックポンプ、スプリング式ディスポーザブルポンプなど)が存在する(5は正しい)。
選択肢別解説
誤り。シリンジポンプはモータでプランジャを押して微量を高精度に送る目的の機器であり、最大送液速度やシリンジ容量に限界があるため、大量急速注入(例:ショック時のリゾスシテーション)には適さない。大量急速投与は専用の急速輸液装置やボリュメトリックポンプ、加圧バッグ等を用いる。
誤り。一般的なシリンジポンプはライン内の空気を検出する気泡アラーム(air-in-lineセンサ)を標準装備しない設計が多く、主な警報は閉塞、設定終了、残量低下などである。気泡混入は原則として事前の脱気・プライミングで管理する。なお一部機種で外付けセンサ等を用いる例はあるが一般的ではない。
正しい。点滴式の輸液ポンプに用いられる滴下センサは、点滴室を透過・遮断する赤外線の光量変化を検出して滴下数をカウントする方式が広く用いられている。これにより滴下数から流量を演算・監視できる。
正しい。流量制御型(ボリュメトリック)輸液ポンプは、ポンプ機構(ペリスタルティック、カセット式等)と一体的に校正された専用輸液セットの使用を前提に流量精度を確保している。非専用セットではチューブ弾性や断面差により精度が劣化する。
正しい。携帯型(ディスポーザブル)ポンプには、弾性体バルーンやばねの力で陽圧を与えて一定流量で注入する与圧注入方式(エラストメリックポンプ、スプリング式インフューザなど)がある。電源不要で在宅・外来での持続投与に用いられる。
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解説
完全体外循環(CPB)中は、酸素運搬と臓器灌流の指標を安全域に保つ必要がある。一般に目標は、ヘモグロビン(Hb)約7 g/dL(またはヘマトクリット20〜25%)以上、平均大動脈圧(MAP)60〜80 mmHg、中心静脈圧(CVP)0〜数 cmH2O、混合静脈血酸素飽和度(SvO2)60〜80%、全血活性化凝固時間(ACT)400秒以上が広く用いられる。選択肢のうちHb 5 g/dLは酸素運搬能が著しく不足し、臓器低灌流や嫌気代謝のリスクを高めるため不適切。他の選択肢はいずれも一般的な目標範囲内であり妥当である。
選択肢別解説
不適切。CPBでは回路希釈によりHbが低下しやすいが、酸素運搬能を確保するため多くの施設でHb約7 g/dL(Hct 20〜25%)程度を下限とする。Hb 5 g/dLは酸素運搬量が不足し、臓器低灌流・乳酸上昇などの危険がある。
適切。CPB中の平均大動脈圧は一般に60〜80 mmHgが目安で、70 mmHgは臓器灌流維持に妥当な範囲。患者背景によって調整は必要だが、単独では不適切とはいえない。
適切。完全体外循環で十分な静脈還流が得られている状況ではCVPは0〜数 cmH2O程度が目安で、3 cmH2Oは許容範囲内。
適切。CPB中のSvO2は60〜80%が目安で、80%は上限寄りだが鎮静・低体温下で酸素消費量が低下している状況では十分な供給を示す値として妥当。
適切。ヘパリン化の目標としてACTは400秒以上(施設により400〜480秒程度)を保つのが一般的で、450秒は十分な抗凝固が得られている水準。
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解説
回路内圧(気道内圧)の急激な上昇は、主として気道抵抗の急増または呼気の出口障害で生じる。具体例としては、気管チューブの内腔狭窄・屈曲・分泌物貯留などによる閉塞、気管支喘息発作による気道攣縮、呼気弁(エクスパイアリバルブ)の開放不全による呼出障害(エアトラッピング、内因性PEEP上昇)が挙げられる。これらは送気・呼気の流れが妨げられて圧が蓄積し、ハイプレッシャーアラームとして検出されやすい。一方、気管チューブのカフ破れや回路の脱離はガス漏れを生じ、回路内圧は上がりにくく低下傾向(ロー・プレッシャー)を示すため、急激な内圧上昇の原因とはならない。したがって、本設問では1・4・5が妥当な原因である。
選択肢別解説
正しい。気管チューブの閉塞(分泌物栓塞、屈曲、患者の咬み込みなど)は送気ガスの流れを妨げ、回路内に圧が蓄積して急激な圧上昇(ハイプレッシャー)を来す。吸気ピーク圧の上昇として顕在化する。
誤り。カフの破れは気管内のシールが失われてガス漏れが増え、十分な圧がかからず回路内圧は低下しやすい。通常はロー・プレッシャーや低一回換気量の警報に結びつく。
誤り。呼吸回路の脱離は送気ガスが外部へ漏れるため、回路内圧は上昇せず低下する。多くの場合、ロー・プレッシャーや回路断のアラームが作動する。
正しい。呼気弁の開放不全では呼気時に十分にガスが排出できず、回路内にガスがトラップされ圧が蓄積する。結果として内因性PEEPやピーク圧の上昇を来し、急激な圧上昇の原因となる。
正しい。気管支喘息発作は気道攣縮により気道抵抗が急増し、吸気ピーク圧が上昇する。重症例では呼気遅延から動的肺過膨張(エアトラッピング)を伴い、さらなる圧上昇を来しうる。
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