臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
人工心肺の熱交換器は、冷温水供給装置からの灌流水と血液との熱交換で体温管理を行う。安全上、温水は一般に42℃未満に制限され(装置には上限温度安全機構が付くことが多い)、急峻な温度勾配はガス溶解度の変化やタンパク変性、組織損傷のリスクを高めるため避ける。送血温は灌流水(冷温水)の温度とその流量により実務上調節する。材質は熱伝導率の高い金属(ステンレス、アルミなど)が主流であり、樹脂製が多数派という記述は誤り。人工肺一体型の熱交換器は接続点を減らし、回路の単純化や充填量の低減に寄与する。冷却・復温時は送血温と深部温(例:鼻咽頭温)との差をおおむね10℃以内に保つのが一般的な目安である。
選択肢別解説
正しい。血液温が過度に上がると血漿タンパク質の変性や溶存ガスの変化を招くため、冷温水供給装置の温水は通常42℃未満に制限され、装置には上限温度の安全機構が備わる。
正しい。送血温は熱交換器での熱移動により決まり、実務上は灌流水(冷温水)の温度設定と灌流水の流量調整で制御する。熱交換効率や血液流量にも影響されるが、選択肢の記述としては適切。
誤り。熱伝導効率が重要なため、熱交換器は熱伝導率の高い金属(ステンレスやアルミ)製が一般的である。樹脂は生体適合性などの利点がある用途もあるが、熱交換器の主流材質ではない。
正しい。急激な温度勾配は組織傷害や不整脈、ガス形成リスクを高めるため、冷却時(復温時も同様)には送血温と深部温の差をおおむね10℃以内に保つなど慎重に管理する。
正しい。人工肺と熱交換器の一体型は接続部が減るため回路の単純化や血液充填量の低減につながり、取り扱いも容易になる。
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解説
動脈フィルタは送血回路の最下流(患者直前)に設置し、微小異物や微小気泡を最終的に除去する装置である。多くの市販品は疎水性スクリーン(おおむね約40 µm程度)を備え、血液はフィルタ上部から流入して旋回・整流され、下部から流出する。気泡は浮力により上部に集められ、ベントポートから排気される。エアトラップは主に気泡除去を目的とする器材であり、動脈フィルタとは構造・目的が同一ではない。
選択肢別解説
誤り。動脈フィルタのスクリーン(メッシュ)開口は一般に約40 µm程度であり、記載の“nm”は桁が不適切で、200〜400 µmという表現であっても大きすぎて微小異物・微小気泡の捕捉目的に合致しない。よって正しくない。
誤り。血液は通すが気泡は通さない目的から、疎水性スクリーン(メッシュ)が用いられることが一般的である。親水性では気泡分離性能が低下しやすく、設計意図に合致しない。
正しい。多くの動脈フィルタは上部から血液が流入し、内部で旋回・整流しながら下部より流出する流路設計で、気泡は浮力により上部に集まりベントから排気できる。
正しい。患者への送血直前(送血回路の最下流)に装着し、酸素ator・ポンプ以降で混入し得る微小気泡や異物を最終段でトラップする。
誤り。エアトラップは気泡除去を主目的とする容器形状・流路設計で、動脈フィルタのような微粒子を捕捉する細かなスクリーンを前提としない。目的と内部構造が同一ではないため不適切。
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解説
遠心ポンプは回転体の遠心力で血液を送る非閉塞(非オクルーシブ)型ポンプで、回転数だけでは流量が一意に決まらず、前負荷・後負荷や回路抵抗により流量が大きく変動する。そのため回転数表示だけでは安全管理が不十分で、動脈側に超音波や電磁式の流量計を装着して流量を直接監視することが必須である。非閉塞型ゆえに下流閉塞時でも圧力上昇は限定的で回路破裂の危険性が低く、また接触圧迫で送液するローラポンプに比べ溶血・血小板障害が少ない。一方、吸引(カーディオトミーサクション)には空気混入が多く、遠心ポンプは大量の空気を扱えず失プライミングや微小気泡の送出を招くため不適である。空気混入時には微小化された気泡が体内へ送られる可能性があるため、気泡検出器や空気除去デバイスと併用しても“空気を送り込む心配がない”とは言えない。
選択肢別解説
誤り。遠心ポンプは前負荷・後負荷に流量が依存し、同一回転数でも流量が変動するため、流量計による直接計測・監視が必要である。回転数表示のみでは安全管理ができない。
誤り。吸引回路は空気混入が多く、遠心ポンプは大量の空気で失プライミングや微小気泡の送出を招くため不適。一般に吸引にはローラポンプを用いる。
正しい。遠心ポンプは非接触・非閉塞で剪断ストレスが比較的低く、接触圧迫で送液するローラポンプより溶血や血小板障害が少ないとされる。
正しい。遠心ポンプは非閉塞型で、下流閉塞時はヘッド内でスリップや再循環が生じ圧力上昇が限定されるため、ローラポンプのように危険な高圧を発生して回路破裂に至るリスクは極めて低い(実務上、破裂の心配はないと扱う)。
誤り。遠心ポンプでも空気が混入すれば微小化されて送出されうるため、空気塞栓のリスクは残る。気泡検出・遮断などの安全対策が不可欠で、“心配がない”とは言えない。
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