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臨床工学技士国家試験
解説
透析液供給装置および透析装置(コンソール)は、透析治療を安全・正確に行うために、透析液圧(ダイアライザ透析液側の圧力)、漏血(透析液側への血液混入)、除水(目標除水量・除水速度)の各項目を継続的に監視・制御する。透析液圧は異常圧や目詰まりを検知し、またTMP算出の要素として除水制御や安全管理に不可欠である。漏血は排液側の光学式漏血検出器で監視し、検出時にはアラーム・ポンプ停止などの安全動作が行われる。除水はバランシング機構や秤量方式などで目標値・速度を設定し、実測との差を監視して制御する。一方、エンドトキシン濃度は水処理・透析液清浄化の品質管理項目で、定期的な水質検査で評価されるのが一般的であり、装置の標準的な監視制御項目には含まれない。酸素飽和度は患者の全身状態をみる生体モニタ指標で、透析液供給装置やコンソールの監視制御項目ではない。
選択肢別解説
誤り。エンドトキシン濃度は透析液の清浄度に関する水質管理項目で、定期的な検査(例:エンドトキシン測定)で評価されるのが一般的。透析液供給装置やコンソールが治療中に標準で連続監視・制御する対象ではない。
誤り。酸素飽和度(SpO2)は生体モニタで監視する患者側の指標であり、透析液供給装置やコンソールの監視制御項目には含まれない。
正しい。透析液圧はダイアライザ透析液側の圧力で、異常圧や目詰まりの検知、TMP算出、除水制御・安全管理のためにコンソールで監視・制御される。
正しい。漏血はダイアライザから透析液側への血液混入であり、排液ラインの光学式漏血検出器で連続監視され、検知時はアラームやポンプ停止などの安全動作が行われる。
正しい。除水は目標除水量・除水速度を設定し、バランシング機構や秤量方式などで実測値を監視しながら制御する、コンソールの中核的な監視制御項目である。
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解説
吸着型酸素濃縮装置(PSA方式)は、ゼオライト(アルミノケイ酸塩)を吸着剤として窒素を選択的に吸着し、酸素リッチなガス(約90〜93%)を得る装置である。吸着は加圧下で進み、減圧(またはパージ)で脱着・再生する。生成ガスはサージタンクに一時貯蔵して脈動を平滑化してから供給する。したがって「100%酸素を供給できる」は誤り。また単体装置の連続流量上限は一般に5 L/分程度(高流量機でも10 L/分程度)であり、15 L/分という表現は過大で誤りと判断する。
選択肢別解説
誤り。家庭用・在宅用など一般的なPSA酸素濃縮装置の最大連続流量は約5 L/分程度で、いわゆる高流量機でも10 L/分程度が上限である。単体で15 L/分を供給できるのは一般的ではなく、記載は過大。
誤り。PSA方式は窒素を選択的に吸着して酸素を濃縮するが、得られる酸素濃度は通常90〜93%前後であり、100%酸素(医療用酸素ボンベや液体酸素相当)を供給することはできない。
正しい。吸着剤にはゼオライト(アルミノケイ酸塩)が用いられ、電荷や細孔径の特性により窒素を選択的に吸着して酸素濃度を高める。
正しい。PSAは吸着・再生のサイクルで脈動が生じるため、生成ガスはサージタンク(貯蔵タンク)に蓄えてから供給し、圧力・流量の脈動を平滑化する。
正しい。PSAでは吸着塔へ加圧空気(圧縮空気)を送り込み、加圧下で吸着剤に窒素を吸着させる。続いて減圧またはパージで窒素を脱離させて吸着剤を再生する。
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解説
膜型人工肺のガス交換膜は、素材や膜構造の特性が性能と安全性を規定する。素材固有の気体透過係数はシリコーンがポリプロピレンより大きく(シリコーンは均質膜として用いられる)、一方で臨床で主流の多孔質膜はポリプロピレンである。ガス相への水分や血漿の侵入を防ぐため、ガス交換膜は疎水性である必要がある。中空糸型人工肺では血液が中空糸の外側を流れる外部灌流型が主流である。ウェットラングは血液側の水蒸気がガス側で結露してガス通路が濡れ、ガス交換が低下する現象であり、微小孔からの血漿漏出(プラズマリーク)とは別物である。なお、素材固有の気体透過係数と、膜厚や構造を含む実機の物質移動係数は区別して理解する。
選択肢別解説
正しい。素材固有の気体透過係数はシリコーンが大きく、ポリプロピレンよりガスを通しやすい。ただし実機のガス交換能は膜厚や構造の影響(物質移動係数)も受ける点は別概念。
誤り。シリコーンは均質(非多孔質)膜として用いられるのが基本であり、多孔質膜に一般的に用いられるのはポリプロピレンやPVDFなどである。
誤り。ガス交換膜は水をはじく疎水性であることが求められる。親水化すると微小孔が濡れてガス相が遮断され、プラズマリークのリスクやガス交換低下を招く。抗血栓性の表面改質が施される場合でも、ガス透過経路としての疎水性は維持される。
誤り。中空糸型人工肺では血液が中空糸外側を流れる外部灌流型が主流で、圧力損失が低く、撹拌・混合が得られやすい。内部灌流型(血液が中空糸内側を流れる)は多数派ではない。
誤り。ウェットラングは血液側から移動した水蒸気がガス側で結露してガス通路が濡れることで生じる。微小孔から血漿成分が漏出するプラズマリークとは原因も機序も異なる。
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解説
正答は2。透析液温が異常に高いと、ダイアライザで加温された血液が赤血球膜を熱損傷し溶血を起こす。臨床では概ね43℃以上の高温で危険性が高まるとされ、発熱感、悪寒、背部痛、血圧低下、血清K上昇などを伴い得るため、透析液温の監視は必須である。1のような抑制帯の常時使用は身体拘束の乱用に当たり倫理的に不適切で、必要最小限・代替策優先が原則。3は穿刺の安全最優先であり、誤穿刺後の交代や上級者の介入が妥当。4の空気誤入(静脈回路空気混入)時はポンプ停止・回路遮断のうえ左側臥位+トレンデレンブルグ体位(Durant体位)が基本で、右側臥位は不適切。5は多人数用透析液供給では単一故障が多数患者に波及するため、濃度(電気伝導度)監視は二重化などの冗長化が標準であり「1個以上」では不十分。
選択肢別解説
誤り。抑制帯(身体拘束)は患者の安全確保のためにやむを得ない場合に限り、最小限・短時間で行うのが原則であり、「いかなる場合も」常用するのは倫理に反する。抜針事故の予防は、適切な固定・観察強化・環境整備・患者教育など非拘束的手段を優先すべきである。
正しい。透析液温が異常上昇(概ね43℃以上)すると、ダイアライザを介して血液が過加温され赤血球膜が熱損傷し溶血を起こす。臨床的には発熱感、背部痛、赤色血漿、血圧低下、高カリウム血症などを呈し得るため、透析液温の連続監視・上限アラームが重要である。
誤り。誤穿刺後に同一術者が固執すると皮下血腫や痛みの増悪、シャント損傷、患者不安の増大につながる。安全と患者利益を最優先し、状況に応じて術者交代やより熟練したスタッフの介入を速やかに行うのが適切である。
誤り。静脈回路の空気誤入(空気塞栓疑い)では、直ちに血液ポンプ停止・静脈側クランプ・酸素投与などに加え、左側臥位+トレンデレンブルグ体位(頭低位)とし、右心系に入った空気を心尖側に閉じ込め肺動脈流入を抑える。右側臥位は推奨されない。
誤り。多人数用透析液供給装置は多数患者に同一透析液を供給するため、単一故障が重大事故に直結する。濃度(電気伝導度)監視は通常二重化など冗長化され、相互監視で異常を確実に検知する設計が標準である。「1個以上」では安全性が不足する。
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解説
血液希釈体外循環は、プライミング液で患者血を希釈してヘマトクリットや血漿蛋白濃度を下げる手法である。主な利点は、血液粘度の低下による微小循環および臓器灌流の改善、回路内圧損やポンプ負荷の低減、同種血輸血量の節約である。粘度低下は低体温時に上昇しがちな粘性抵抗を相殺する点でも有利で、結果として血液有形成分が受ける剪断応力や機械的ストレスが和らぎ、溶血・血小板損傷などの抑制に寄与し得る。一方で、希釈に伴いヘモグロビン濃度が低下するため酸素運搬能は低下し、血漿蛋白の希釈で膠質浸透圧も低下して組織浮腫のリスクが増す。臨床では灌流量の調整や低体温による酸素需要低下を併用して酸素供給を補い、必要に応じて膠質製剤や厳密な体液管理で浮腫を抑制する。以上より、選択肢1・2・5が利点、3・4は利点とはいえない。
選択肢別解説
正しい。希釈によりヘマトクリットと血漿蛋白濃度が下がると全血粘度が低下し、微小循環の流れが改善し回路内の圧損も減る。低体温で上昇しがちな粘性抵抗の増加を相殺できる点も利点である。
正しい。血液希釈は粘度と血球密度を下げ、回路内での剪断応力や血球同士の機械的衝突を相対的に軽減するため、溶血や血小板破壊など有形成分の損傷を減らす方向に働く。もちろんポンプや陰圧吸引など他要因による損傷は残るが、希釈自体は保護的に働きやすい。
誤り。希釈により血漿蛋白が薄まるため膠質浸透圧は低下する。結果として血管外への水分移動が促進され、組織浮腫のリスクが増す。上昇ではない。
誤り。ヘモグロビン濃度低下により動脈血酸素含量が下がるため酸素運搬能は低下する。臨床では灌流量増加や低体温併用で全身酸素供給を補償するが、希釈それ自体が運搬能を増加させるわけではない。
正しい。希釈により許容ヘマトクリットを下げて回路充填や出血時の対応が可能となり、同種血輸血量を節約できる。輸血関連合併症(感染、免疫反応など)の回避にもつながる。
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解説
血液浄化(透析)中の空気流入は静脈空気塞栓を想定して初期対応する。最優先はさらなる流入を止めることで、回路遮断・血液ポンプ停止を直ちに行う。体位は左側臥位かつ頭低位(Durant体位)として気泡を右心室内に滞留させ、肺動脈や中枢神経系への移行を抑える。高濃度酸素投与は低酸素血症の改善に加え、窒素洗い出しにより気泡を縮小させるため推奨される。神経症状や循環動態の破綻など重症例では高気圧酸素療法(HBO)を速やかに検討する。一方、血管拡張薬の投与は空気塞栓の標準的対処には含まれず、病態を改善しないうえ低血圧の悪化を招くおそれがあるため不適切である。
選択肢別解説
適切。空気塞栓が疑われる場合は高濃度酸素(可能なら100%)の投与が推奨される。低酸素血症の改善に加え、窒素の洗い出しにより気泡体積を縮小させうる。
不適切(本問の誤り)。血管拡張薬の投与は空気塞栓の初期対応として推奨されず、塞栓そのものの排除・移動防止に寄与しない。むしろ循環虚脱傾向では低血圧を悪化させ得るため避ける。必要なのは流入遮断、適切体位、高濃度酸素投与、重症例での高気圧酸素療法の検討などである。
適切。空気のさらなる流入を防ぐため、直ちに血液ポンプを停止し、必要に応じて回路をクランプして遮断することが初期対応の最優先となる。
適切。神経症状や循環障害など重症例では高気圧酸素療法(HBO)が有効とされる。加圧により気泡が縮小し、組織酸素供給の改善も期待できるため早期検討が望ましい。
適切。左側臥位で頭低位(Durant体位)とし、気泡を右心系に留めて肺動脈流出路や脳循環への移行を抑制する目的がある。静脈空気塞栓の初期体位として広く用いられる。
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解説
機械的陽圧換気では、吸気相に人工呼吸器から陽圧でガスを送気するため、肺胞圧・胸腔内圧(胸膜腔圧)は自発呼吸と逆に上昇する。吸気中は呼気弁(エクスパイアリバルブ)が閉じ、流量が患者側に向かう。呼気は基本的に胸郭・肺の弾性収縮による受動的過程であり、陰圧を付加して呼気を促進する操作は通常行わない(むしろPEEPのように呼気終末に陽圧を残す)。圧規定換気(PCV)は圧制限・時間サイクルが基本で、リークがあっても吸気時間が短縮することはない(多くは設定時間どおり、あるいは機種・モードによっては短縮せず)。量規定換気(VCV)では回路・患者側リークにより患者に実際に到達する換気量が減少するため、実換気量が不足しやすい。
選択肢別解説
正しい。陽圧換気では吸気相に陽圧が加わり、肺胞圧とともに胸腔内圧も上昇する(自発呼吸の陰圧吸気とは逆)。これにより静脈還流の低下など循環への影響が生じうる。
誤り。吸気時は人工呼吸器の呼気弁は閉じ、供給ガスが回路から患者気道へ流れる。呼気時に呼気弁が開放され、ガスが大気側へ排出される。
誤り。呼気は胸郭・肺の弾性収縮による受動的過程で、通常は陰圧付加で能動的に促進しない。むしろPEEPにより呼気終末圧を陽圧に維持することが一般的である。
誤り。圧規定換気(PCV)は圧制限・時間サイクルが基本で、リークがあっても吸気時間が短縮することはない(通常は設定した吸気時間で終了)。リークが大きいと目標圧に達しにくく流量が増えるが、吸気時間自体が短くなることは想定しにくい。
正しい。量規定換気(VCV)では設定一回換気量を送気するが、回路やカフ漏れなどのリークがあると患者側に到達する実換気量は減少する(特に送気量計測位置が機械側の場合、表示上は設定量でも患者到達量は減る)。
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