臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
電気メスは高周波電流により組織を加熱して切開・凝固を行う。切開は連続波で電流密度を高くして組織を瞬時に蒸散させ、凝固は断続(バースト)波でデューティ比を下げ、ピーク電圧を高めつつ平均電力を抑えて組織を乾固・止血させる。対極板は患者側の電流密度を下げて熱傷を防ぐ役割があり、スプリット形対極板では皮膚−対極板間のインピーダンス変化を監視して接触不良を検知し、警報や出力停止で事故を防止する。静電結合型対極板は絶縁層を介した容量性結合であり、導電型と比べて結合インピーダンス(見かけの抵抗)は高い。対極板の安全性は電流密度 $J=I/A$ に依存するため、出力(流れる電流)が大きいほど必要面積も大きくなる。なお、電気メスの高周波発振は一般に固体素子等で行われ、マグネトロンのようなマイクロ波発振器は用いない。
選択肢別解説
正しい。スプリット形(分割型)対極板は導電面を2分割し、両セグメント間の電位差や皮膚−電極間インピーダンスを監視して接触不良(部分剥離や面積不足)を検知する。異常時は警報や出力停止で対極板熱傷を予防する。
正しい。凝固は断続(バースト)波形を用い、デューティ比が低く平均電力を抑えつつ高いピーク電圧で組織を乾固・炭化させ止血効果を得る。切開は連続波形(連続正弦波など)でスムーズな蒸散・切開を得る。
誤り。マグネトロンはマイクロ波帯の発振器(例:マイクロ波加温・電子レンジ等)であり、電気メスの高周波発振(数百kHz〜数MHz帯)は一般に固体素子や真空管のRF発振回路で行われ、マグネトロンは用いない。
誤り。静電結合型対極板は体表と対極板の間に絶縁層があり容量性結合で電流を流すため、見かけの接触インピーダンスは導電型より高い。従って「導電型よりも低い」は不正確。
正しい。対極板での安全性は電流密度 $J=I/A$ に依存する。出力(流れる電流)が大きいほど必要面積を増やして電流密度を下げ、熱傷閾値を超えないようにする必要があるため、面積の安全範囲は出力に依存する。
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解説
各治療機器が患者に与える主作用エネルギーを対応づける問題。低周波治療器は皮下組織へ低周波電流を流す電気刺激装置であり、音波は用いない。ESWLは体外で発生させた衝撃波(音響的な圧力波=機械的エネルギー)を結石に集束させて破砕するため、電磁波ではない。光線治療器は赤外線・可視光などの光(電磁波)を照射する。冷凍手術器は液体窒素や圧縮ガスの断熱膨張などで強い低温を発生させ、熱エネルギーを奪う(熱的作用)。IABPはバルーンの拡張・収縮による圧力(機械的エネルギー)で循環補助を行う。したがって正しい組合せは「光線治療器—光」「冷凍手術器—熱」「IABP—圧力」である。
選択肢別解説
誤り。低周波治療器は皮膚電極から低周波電流を流す電気刺激装置であり、主作用エネルギーは電気(電流)。音波は用いない。
誤り。ESWLは結石に焦点を合わせた衝撃波(音響的な圧力波=機械的エネルギー)で破砕する。臓器に入る主作用は電磁波ではない。
正しい。光線治療器は赤外線・可視光などの光(電磁波)を照射し、生体に光・温熱作用を与える。
正しい。冷凍手術器は極低温で患部から熱を奪い凍結壊死を起こす熱的作用(低温)。「熱」のカテゴリに含められる。
正しい。IABPは大動脈内バルーンの拡張・収縮による圧力(機械的エネルギー)変化を利用して冠灌流と後負荷を調節する。
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解説
$体外循環中の血中カリウム(K)は、希釈や利尿で低下しやすい一方、上昇させる要因も存在する。保存赤血球をプライミング(赤血球液充填)に用いると、保存障害によりバッグ上清のK\^+が高値になっているため回路へ流入し血中Kを上昇させうる。代謝性アシドーシスでは、細胞外へH\^+が増えると電荷の釣り合いをとるためにK\^+が細胞外にシフトし、血中Kが上昇する。これに対し、インスリンはNa\^+/K\^+-ATPアーゼを介してK\^+の細胞内移行を促進し血中Kを低下させ、フロセミドは尿中K排泄を増やして低下方向に働く。カルシウム投与は高K血症時の心筋膜安定化目的で用いられるが、血中K濃度そのものを上昇させない。$
選択肢別解説
$正しい。保存赤血球(赤血球液)は保存期間中の保存障害により上清K\^+が上昇しており、プライミングに用いると回路内へ高Kが流入し血中Kが上昇しうる。保存期間が長いほど上昇しやすく、洗浄赤血球の使用や新鮮血の利用でリスク低減が可能。$
誤り。カルシウム投与は高K血症時の心筋膜安定化(不整脈予防)を目的に用いられるが、血中K濃度自体を上昇させる作用はない。
$誤り。インスリンはグルコースとともに投与することでNa\^+/K\^+-ATPアーゼ活性を高め、K\^+を細胞内へ移動させるため、血中Kは低下する。高K血症の治療にも用いられる。$
誤り。フロセミドはループ利尿薬で、Na再吸収抑制により遠位尿細管でのK分泌・排泄を増やし、血中Kを低下させる方向に働く。
$正しい。代謝性アシドーシスでは、H\^+過剰を細胞内で緩衝する過程でK\^+が細胞外へシフトし、血中Kが上昇する(アルカローシスでは逆に低下傾向)。$
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解説
低体温では血液粘度は上昇し、末梢循環抵抗が増えやすい。一方で代謝率と酸素需要は温度低下に伴い著明に減少(目安として約6~7%/℃)するため、体外循環では必要血流量が少なくても酸素需給が保ちやすく、安全域は広がる。酸素解離曲線は左方移動し、ヘモグロビンの酸素親和性が高まるため、組織での酸素放出は低下して「組織への酸素移行」は減少する。代謝低下により酸素抽出率が下がるため、混合静脈血酸素飽和度(SvO2)は上昇しやすい。血液ガス管理では、アルファスタット法は温度補正を行わず37℃校正値で管理するため、低体温下の生体内実質pHは上昇(相対的アルカレミア)する。
選択肢別解説
誤り。低体温では血液粘度は上昇する(一般に温度が1℃下がるごとに粘度は増す方向に変化)。粘度上昇は末梢循環不全の一因となるため、体外循環では希釈を併用して粘度上昇を緩和する。
誤り。低体温により代謝・酸素需要が低下するため、体外循環中は通常より低い灌流量でも酸素需給バランスを保ちやすい。従って安全域は「広がる」のが一般的であり、「狭まる」は不適切。
正しい。低体温で酸素解離曲線は左方移動し、HbとO2の親和性が高まるため、組織での酸素放出が減少し「組織への酸素移行」は低下する。
正しい。低体温では酸素消費量(VO2)が低下し、酸素抽出率が下がるため静脈側に戻る酸素が増え、混合静脈血酸素飽和度(SvO2)は上昇する。Fickの関係式でも $ \mathrm{SvO_2} \approx \mathrm{SaO_2} - \frac{\mathrm{VO_2}}{1.34 \cdot Hb \cdot Q} $ と表せ、VO2低下はSvO2上昇方向に働く。
正しい。アルファスタット法は体温補正を行わず37℃校正値で管理するため、低体温下の実際の体内pHは温度低下に伴い上昇する(相対的アルカレミア)。一方、pHスタット法では患者体温でpH 7.40となるようCO2を付加して補正する。
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解説
量規定換気では設定一回換気量を送るため、回路や気道に抵抗増大(閉塞)やコンプライアンス低下があると、必要駆動圧が上がり回路内圧(特にピーク圧)が上昇する。具体例としては呼気回路の閉塞や、人工鼻(HME/フィルタ)の閉塞、患者−人工呼吸器不同期(咳き込み・ファイティング等)が挙げられる。一方、気管チューブのカフ圧低下はリーク増大を招き、圧は上がりにくい(むしろ低下傾向)。またホースアセンブリ(機器のガス供給側ホース等)の閉塞は本体側の供給圧低下・換気不能を来しやすいが、患者回路内圧を異常上昇させる機序には直結しない。したがって「原因でない」はホースアセンブリの閉塞と気管チューブカフ圧の低下である。
選択肢別解説
原因でない。ホースアセンブリは人工呼吸器のガス供給系(本体側)を指し、これが閉塞すると供給圧低下や換気不足となりやすい。患者回路の抵抗増大を介して回路内圧が異常上昇する機序にはならない。多くの場合は供給圧低下アラームや換気量低下として現れる。
原因でない。カフ圧低下により気道リークが増えると、送気した量の一部が漏れるため回路内圧(ピーク圧)は上がりにくく、むしろ低下傾向となる。高圧アラームよりもリーク・低換気が問題となる。
原因である。呼気回路の閉塞は呼気抵抗増大とガスの出口喪失により、呼気困難・空気トラッピング(自動PEEP)を生じ、次呼吸以降の基線圧・吸気時ピーク圧が上昇する。量規定換気では設定量を送ろうとするため圧上昇が顕著となる。
原因である。自発呼吸の出現により不同期(ファイティング)や咳込み・呼気努力が吸気相に重なると、回路・気道内の見かけ上の抵抗が増し、ピーク圧が上昇しやすい。噛み込みや体動も同様に高圧を招く要因となる。
原因である。人工鼻(HME/フィルタ)の閉塞はYピース直近の抵抗増大(実質的な回路閉塞)を生み、設定量を送ろうとする量規定換気下ではピーク圧が上昇する。
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