臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
人工呼吸器離脱(ウィーニング/抜管)では、十分な酸素化と適切な換気、安定した呼吸パターンが必要である。代表的な目安として、pH 7.35〜7.45、PaO2は少なくとも60 mmHg以上(FiO2 0.4以下、PEEP 5〜8 cmH2O程度)、PaCO2は基礎疾患に応じて許容範囲内(一般に35〜45 mmHg程度)、呼吸回数はおおむね30〜35/分以下、1回換気量は5 mL/kg以上などが挙げられる。選択肢のうち「PaCO2 45 mmHg」は成人の正常域内で換気の観点から妥当で、離脱可能な状態の一要件を満たす。他の選択肢はアシドーシス、重度低酸素血症、低い一回換気量、著明な頻呼吸を示し、離脱には不適である。
選択肢別解説
不適。動脈血pH 7.20は明らかなアシドーシスで、離脱前に原因(呼吸性/代謝性)を是正し、pHが安定域(約7.35〜7.45)に戻っていることが望ましい。
不適。PaO2 40 mmHg(室内気FiO2 0.21)は重度低酸素血症であり、離脱基準(一般にPaO2 60 mmHg以上か、SpO2 90%以上がFiO2 0.4以下で確保できるなど)を満たさない。
適切。PaCO2 45 mmHgは成人の正常範囲(おおむね35〜45 mmHg)内で、換気は許容範囲と判断できる。もちろん離脱の可否は総合評価だが、この単独所見としては離脱可能な状態の一要件を満たす。
不適。1回換気量4 mL/kgは低く、一般的に離脱には5 mL/kg以上(多くは5〜8 mL/kg程度)が目安とされる。
不適。呼吸回数40/分は著明な頻呼吸で呼吸仕事量増大や代償不全を示唆し、離脱の目安(おおむね30〜35/分以下)を超えている。
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解説
減圧症は、高気圧環境下(潜水など)で組織に溶けこんだ不活性ガス(主に窒素)が、急激な減圧により過飽和となって気泡化し、血管内・組織内で塞栓や炎症を起こす病態である。リスクは「深く・長い・急速浮上・反復潜水・潜水後の飛行」などで高まる。症状は関節痛や皮膚症状(マーブル様皮疹)から、脊髄型・脳型の神経症状、呼吸困難や胸痛などの呼吸器症状(chokes)まで多彩である。治療は再圧(高気圧)環境での100%酸素呼吸が基本で、再圧により気泡は縮小し、酸素呼吸で体内窒素分圧を下げて排出勾配を大きくすることで不活性ガスの洗い出しが促進される。代表的な再圧治療として米海軍テーブル6(最大約2.8 ATAで約285分)が広く用いられ、「約5時間」という表現は臨床的に妥当である。誤りは「酸素が気泡化して発症する」とする記述で、原因は不活性ガスである。
選択肢別解説
正しい。深い深度で長時間滞在すると、ヘンリーの法則により組織への窒素溶解量が増え、急速な減圧で気泡化しやすくなるため、発症リスクが高い。
誤り。減圧症の主因は不活性ガス(主に窒素)の気泡化である。酸素は代謝・拡散で比較的速やかに消失するため、病因となる持続的な気泡の主成分ではない。
正しい。減圧症は多彩な臨床像を示し、皮膚症状(網状紅斑など)、関節痛、神経症状(感覚異常、筋力低下、膀胱直腸障害、意識障害など)、呼吸器症状(胸痛、呼吸困難、咳)を呈しうる。
正しい。高気圧酸素治療は再圧によりボイルの法則で気泡容積を縮小させ、さらに高濃度酸素吸入で体内窒素分圧を低下させて拡散勾配を増大させるため、不活性ガスの体外排出が促進される。
正しい。代表的な再圧治療として米海軍テーブル6(最大約2.8 ATAで約285分)が広く用いられ、概ね約5時間に相当する。症状や施設により他テーブルが選択されるが、一般的表現として妥当である。
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解説
APRV(気道圧開放換気)は、長時間の高圧相(Phigh)で肺胞を開存させつつ自発呼吸を許可し、短時間の低圧相(Plow)への“リリース”で二酸化炭素排出(換気)を得るモードである。換気量は主に自発呼吸と、高圧相から低圧相へ移行する際の圧力差による受動的呼出で補われる。高圧相を長く、低圧相を極めて短く設定することで平均気道内圧を高く保ち、肺胞虚脱(無気肺)を防ぐ点が特徴である。したがって、全身麻酔や筋弛緩薬で自発呼吸を抑制する状況はAPRVの利点を損ねるため一般的には適さない。
選択肢別解説
誤り。APRVは自発呼吸の維持を前提とし、長い高圧相中にも自発呼吸を許可することで平均気道内圧を保ちつつ酸素化を図る。全身麻酔下ではしばしば自発呼吸が抑制され、術中は調節換気(例:圧制御・量制御)が標準的であるため「しばしば用いられる」とは言えない。
誤り。筋弛緩薬の使用は自発呼吸を消失させ、APRVの主要な利点(自発呼吸の活用)を失わせる。患者-人工呼吸器不同調への一時的介入として用いられることはあっても、APRVの通常運用で筋弛緩を前提にはしない。
誤り。APRVでは高圧相(Phigh)の保持時間を長く、低圧相(Plow)の時間をごく短く設定するのが基本である。高圧相を長くすることで平均気道内圧と肺胞の開大を維持し、低圧相は短時間の“リリース”として換気(CO2排出)に寄与する。高圧相が低圧相より短くなる設定はAPRVの考え方に合致しない。
正しい。APRVの換気量は、患者の自発呼吸による換気と、PhighからPlowへの短時間リリースで生じる圧力差(Phigh−Plow)による受動的呼出(機能的残気量の変動)で補われる。圧力差が大きいほどリリース時の換気量に寄与しやすい。
正しい。長い高圧相により平均気道内圧が高く保たれ、PEEP効果により肺胞の虚脱防止・再開大が期待できる。これにより無気肺の形成を抑え、酸素化の改善に資する。
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解説
人工呼吸管理の主目的は、十分な肺胞換気を確保してPaCO2を適正範囲に保つこと、呼吸筋の仕事量を軽減して疲労・増悪を防ぐこと、さらにPEEPなどで肺胞リクルートメントを図り換気血流比の是正と酸素化の改善を行うことである。これらによりガス交換能の改善と肺胞虚脱(無気肺)の予防・改善が達成される。機能的残気量(FRC)は肺胞開存と酸素化維持に重要であり、PEEP付加などで増加・維持することが目標となる。したがって「FRCの減少」は目的に反し誤りである。一方、「閉塞肺胞の開通」は肺胞リクルートメントの概念に合致し、人工呼吸管理の正当な目的である。
選択肢別解説
正しい。人工呼吸は一回換気量や呼吸回数の設定により肺胞換気量を安定的に確保し、PaCO2の過高・過低を防ぐことを目的とする。肺胞換気量の維持は換気不全に対する最重要目的の一つである。
正しい。呼吸不全では呼吸筋の仕事量が増大し疲労・呼吸不全増悪を招く。人工呼吸により換気を代行・補助することで呼吸仕事量を軽減し、呼吸筋の休息と全身の酸素需給バランスの改善を図る。
正しい。PEEP付加や適切なFiO2設定、肺胞リクルートメントによりV/Q不均等やシャント様効果を是正し、PaO2の改善などガス交換能の改善を目指すのは人工呼吸管理の目的である。
正しい。無気肺などで閉塞・虚脱した肺胞を再開通・再膨張させる(肺胞リクルートメント)ことは、シャント低減と酸素化改善につながり、適切なPEEP設定などで積極的に行われる。
誤り。機能的残気量(FRC)は肺胞の開存を保ち酸素化を支える容量であり、人工呼吸管理ではPEEPなどによりFRCを増加または維持することが目標である。FRCを減少させることは虚脱促進・酸素化悪化を招くため目的に反する。
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解説
NPPV(非侵襲的陽圧換気)の主な適応は、気管挿管を避けつつ換気補助が有効な呼吸不全である。代表例はCOPD急性増悪の高炭酸ガス血症(II型呼吸不全)と心原性肺水腫で、前者では換気補助により呼吸仕事量とPaCO2を低下させ、後者ではCPAP/BiPAPの陽圧により前負荷・後負荷を低減し酸素化を改善する。胸壁・胸郭の運動制限に伴う低換気(例: 胸郭形成術後)にも適応しうる。一方、一酸化炭素中毒は主病態が酸素運搬(カルボキシヘモグロビン)異常であり高濃度酸素・高圧酸素療法が主治療で、NPPVは一次的適応ではない。未治療の気胸は陽圧で悪化・緊張化の危険があり原則禁忌(ドレナージ後は状況により検討)。
選択肢別解説
COPDの急性増悪によるII型呼吸不全はNPPVの最も確立した適応。吸気補助と呼気終末陽圧により呼吸仕事量を軽減し、肺胞換気を改善してPaCO2を低下させる。挿管率・死亡率の低下も示されている。よって適切。
心原性肺水腫ではCPAP/BiPAPの陽圧で前負荷・後負荷が軽減し、肺胞内水分貯留と低酸素血症が改善する。挿管回避に寄与するためNPPVの適応として妥当。
胸郭形成術後は疼痛や胸壁運動制限により低換気・肺胞虚脱が生じやすい。NPPVは換気補助と肺胞リクルートで呼吸不全の改善に有用で、挿管回避が期待できる(ただし意識障害や大量分泌、循環不安定など禁忌がないことが前提)。したがって適切。
一酸化炭素中毒の主病態はCOによるHb占拠であり、治療の基本は高濃度酸素(必要に応じ高圧酸素療法)。通常は換気不全が主体ではなく、NPPVは一次的適応ではない。合併する換気障害が明確でない限り不適切。
未治療の気胸に対する陽圧換気は胸腔内圧をさらに上昇させ、気胸の増悪や緊張性気胸を招く危険があるため原則禁忌。胸腔ドレナージで減圧・管理後に限り慎重に検討される。従って本設問の文脈では不適切。
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解説
PCPS(VA-ECMO)中に上肢(設問では左手)の酸素飽和度が低下する主因は、全身への酸素化血供給の低下(ポンプ流量低下など)か、ガス交換能の低下(生体肺悪化、人工肺側の酸素化不良、吹送酸素の不足)である。ACTの過度延長(例:400秒以上)は抗凝固が強い状態を示すに過ぎず、酸素化そのものを直接悪化させる機序はない。むしろACTが低すぎる場合に酸素ator血栓形成→ガス交換低下の懸念がある。したがって、挙げられた選択肢のうち「ACTが400秒以上」は原因として考えにくい。
選択肢別解説
脱血不良はポンプ流量の低下を招き、体循環への酸素化血供給が不足して末梢のSpO2低下を来す。カニュラ位置不良や循環血液量不足などで生じうるため、原因として妥当。
ACTが400秒以上は強い抗凝固状態を示す。これは血栓形成を抑制する方向であり、人工肺の血栓閉塞によるガス交換不良を起こしにくい。ACT延長それ自体はSpO2低下の直接原因とはならない(重篤な出血→高度貧血でもSpO2値は通常保たれやすく、少なくとも即時の上肢SpO2低下の機序としては不適)。従って『原因として考えられない』に該当する。
生体肺の機能不全は、心拍出が残存するVA-ECMOでしばしば上半身の低酸素(differential hypoxemia)を来す。肺で十分酸素化されない血液が上行大動脈から上肢へ送られ、上肢SpO2低下の原因となりうる。
人工肺への吹送酸素濃度(FiO2)が低下すると、人工肺出口血の酸素化が不十分となり、体循環への酸素供給が低下してSpO2が下がる。原因として妥当。
人工肺の血漿漏出(膜濡れ)は膜のガス透過性低下やシャント様挙動を招き、酸素化能が低下する。結果として動脈側の酸素化が悪化し、末梢SpO2低下の原因となる。
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解説
VAP(人工呼吸器関連肺炎)の予防は、いわゆるVAP予防バンドルに基づく包括的介入が効果的である。重要点は、口腔内の細菌叢コントロール、誤嚥・逆流の低減、人工呼吸期間の短縮である。具体的には、口腔内細菌は清拭後に再増殖するため定期的(おおむね8時間ごと)の口腔ケアが推奨される。また、毎日の離脱可能性の評価(自発覚醒試験SATや自発呼吸試験SBTなど)により人工呼吸・挿管期間を短縮しVAPリスクを下げる。一方、人工呼吸器回路の頻回(毎日)交換は回路離断や凝縮水処理の機会を増やし逆に感染リスクを高めうるため、定期的な短間隔交換は推奨されない。過鎮静は離脱遅延と誤嚥・不動化による合併症を増やすため避け、軽い鎮静を基本とする。体位は仰臥位では胃内容物の逆流・誤嚥が起きやすく、禁忌がなければ頭部挙上30〜45°の半坐位が推奨である。以上より、選択肢1と5が適切。
選択肢別解説
正しい。口腔内プラークへの病原性菌の定着・再増殖を抑えるため、定期的な口腔ケアが推奨される。一般に8時間ごとの実施は推奨間隔の一つであり、吸引併用やクロルヘキシジン製剤の活用などで口腔内細菌負荷を低減し、微小誤嚥によるVAP発症を抑制する。
誤り。人工呼吸器回路の毎日交換は推奨されない。頻回交換は回路離断・接続操作の増加や凝縮水曝露により汚染機会を増やし、感染リスクとなる。回路は汚染・機能不良時や一定の適切な間隔(少なくとも短期間での定期交換は不要)で交換するのが推奨である。
誤り。体動防止目的の過鎮静は人工呼吸からの離脱を遅らせ、人工呼吸期間延長を介してVAPリスクを高める。適切な鎮痛・軽い鎮静、日中の覚醒評価、必要に応じた鎮静中断や早期離床が推奨される。
誤り。仰臥位は胃内容物の逆流・誤嚥を助長しVAPリスクが高まる。禁忌がなければ頭部挙上30〜45°の半坐位で管理する。
正しい。毎日の離脱可能性評価(SBTやSATなど)により人工呼吸・挿管期間を短縮でき、VAP予防に有効とされる。早期離脱は感染機会を減らす中核的介入である。
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