臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
人工呼吸器関連の装置異常が生じると、気道内圧・換気量・加湿・酸素濃度などの生理学的パラメータが大きく変動し、有害事象を引き起こす。呼気弁の開放不全は呼出障害から肺内圧の上昇(オートPEEP、肺過膨張)を介して圧損傷のリスクを高める。呼吸流路(一般に呼吸回路)の屈曲は流路抵抗や閉塞を増やし、換気量低下やピーク圧上昇などの換気異常を招く。加温加湿器の停止は乾燥ガス送気により気道粘膜障害・線毛運動低下を来し、喀痰硬化や閉塞を生じやすい。吸入気酸素濃度の異常上昇は長時間で肺の酸素中毒(吸収性無気肺、びまん性肺障害など)の危険を増す。一方、呼吸回路のリークは設定量が患者に届かず低換気となり、二酸化炭素排出が不十分となって高二酸化炭素血症を来しやすい。よって「低二酸化炭素血症」とする選択肢3の組合せが誤りである。
選択肢別解説
呼気弁の開放不全では呼気が十分に排出できず、気道内圧が上昇し、オートPEEPや肺過膨張を介して圧損傷(気腫性変化や気胸など)を来しうる。組合せは妥当である。
呼吸流路(呼吸回路)の屈曲や折れはガスの流れを物理的に阻害し、吸気流量・一回換気量の低下、ピーク気道内圧上昇、呼出遅延などの換気異常を引き起こす。したがって組合せは妥当である。
呼吸回路のリークがあると設定換気量が患者に届かず低換気となり、二酸化炭素の排出不足で高二酸化炭素血症になりやすい。低二酸化炭素血症とする本選択肢の組合せは誤りである。
加温加湿器の停止により乾燥・低温のガスが送気されると、気道粘膜乾燥と線毛機能低下を来し、喀痰が粘稠化・硬化して喀出困難や閉塞の原因となる。組合せは妥当である。
吸入気酸素濃度(FiO2)の異常上昇を長時間継続すると、活性酸素増加などにより肺酸素中毒(吸収性無気肺、びまん性肺障害など)を招くリスクが高まる。組合せは妥当である。