臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
血液透析回路で空気が混入しやすいのは、血液ポンプより手前(脱血側/動脈側)の陰圧部で接続不良や穿刺ミス、開放経路がある場合である。陰圧により外気やライン内の空気が吸い込まれるためで、具体例として穿刺針接続部の緩み、脱血側サンプリングポートへの刺入不良、生理食塩液ラインのクランプ閉鎖忘れがあげられる。一方、血液ポンプより後(送血側/静脈側)は陽圧のため、接続不良があれば血液が外へ漏れる方向となり、空気が吸い込まれる原因にはならない。したがって本問では1・2・3が原因となる。
選択肢別解説
脱血側穿刺針と血液回路の接続不良は血液ポンプ上流の陰圧部に位置するため、隙間から外気が吸引され空気混入の原因となる。適切な締結とリーク確認が必要である。
脱血側サンプリングポートは陰圧領域にある。刺入角度や深さの不良でポートの弁が十分に閉鎖されないと外気が吸い込まれ、空気混入を起こしうる。刺入・抜針時の陰圧監視と確実な閉鎖が重要。
生理食塩液ラインの閉鎖忘れがあると、陰圧により生食バッグやドリップチャンバ内の空気が回路へ吸引されうる。プライミングや返血後はクランプ閉鎖・三方活栓の向き確認が必須である。
抗凝固薬注入ラインは通常、血液ポンプ下流(陽圧部)に配置されるため、シリンジ接続不良があれば血液が外へ漏出しやすく、外気が吸引される原因にはなりにくい。よって空気混入の原因とはいえない。
ダイアライザ入口部(血液側入口)は血液ポンプ下流の陽圧部であり、接続不良が生じると血液が回路外へ漏出する方向となる。外気が吸い込まれる機序ではないため、空気混入の原因とはならない。
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解説
誤っているのは「代謝性アルカローシス時には重炭酸ナトリウムを追加する。」である。重炭酸ナトリウム(NaHCO3)はアルカリ剤であり、代謝性アルカローシスをさらに増悪させる。人工心肺中の代謝性アルカローシスでは、アルカリ投与を中止し、Cl−欠乏の是正、限外濾過でのHCO3−過剰の是正、必要に応じて灌流条件を調整(循環・代謝の適正化)するなどが妥当である。その他の選択肢は、体外循環中の一般的なトラブルシューティングとして妥当である(溶血時のローラポンプ圧閉度調整、希釈性貧血時の水分バランス確認、ACT不十分時のヘパリン追加、脱血不良時のカニューレ位置確認など)。
選択肢別解説
正しい。ローラポンプの圧閉度が過大だとチューブの過度な圧迫により溶血が増える。過小でも滑りや逆流が生じ流体力学的ストレスが増え溶血の一因となる。溶血が顕著な場合は適正圧閉度に再調整し、吸引・VAVDの陰圧過多や回路屈曲など他因子も併せて点検する。
誤り(本問の解答)。重炭酸ナトリウムはアルカリ剤であり、代謝性アルカローシスに追加するとアルカリ血症を悪化させる。人工心肺中の代謝性アルカローシスでは、アルカリ投与の中止、Cl−補充(生理食塩液など)や限外濾過でのHCO3−過剰是正、原因薬剤(利尿薬など)の見直し、灌流条件の適正化を行う。
正しい。体外循環ではプライミングや補液により希釈性にヘマトクリットが低下しやすい。まず水分バランス(入出量・回路貯血量)を確認し、必要に応じて限外濾過で濃縮したり、酸素運搬能を考慮して赤血球濃厚液の追加を検討する。
正しい。ACT(活性化凝固時間)が延長せず目標(一般に400~480秒以上など施設基準)に達しない場合は抗凝固が不十分であり、ヘパリンを追加する。追加後の再測定を行い、必要に応じてATIII低下の関与(ATIII製剤やFFP)や投与ライン不具合も評価する。
正しい。脱血不良ではまず機械的要因の確認が基本で、脱血カニューレの挿入部位・深さ・向き、回路の屈曲・閉塞、静脈側陰圧のかけ過ぎ、静脈リザーバの液面などを点検する。カニューレ先端の壁吸着や位置不良は頻度が高く、位置確認・再固定が有効である。
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