臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
遠心ポンプは非容積移送型であり、インペラによる遠心力で生じる圧力・流量は回路側の抵抗(後負荷)や供給側の充満(前負荷)に大きく依存する。このため、後負荷が増えると流量は低下し、一定回転数でも流量は一定にならない。空気が混入すると揚程が得られずプライミングが外れて流量が低下・停止しやすく、結果として患者側へ空気を強制送入しにくい特性がある。一方、吸引用途のように常時空気が混入する状況では能力を発揮できず不適である。ローラポンプと異なりチューブの圧閉度調整は不要で、流量は回転数とチューブ径だけでは決まらないため、流量計での監視が推奨される。
選択肢別解説
正しい。遠心ポンプは空気混入でキャビテーションや脱プライミングが起こりやすく、揚程が失われ流量が落ちるため、ローラポンプのように空気を機械的に押し出して体内へ送り込むリスクは相対的に小さい。よって「空気を体内に送り込む危険性が少ない」は妥当。
誤り。吸引用途では回路内に空気が常時混入しやすく、遠心ポンプは空気混入で揚程が低下・消失するため吸引ポンプとしては不適である。強い負圧を安定して発生させる用途には向かない。
誤り。回転数とチューブ内径から流量を幾何学的に決められるのはローラポンプの特徴である。遠心ポンプは後負荷・前負荷に左右され、同一回転数でも流量が変動するため、このような算出はできない。
誤り。チューブ圧閉度の調整が必要なのはチューブを機械的に圧迫して送液するローラポンプである。遠心ポンプはインペラでエネルギーを与えて送液するため圧閉度調整は不要。
正しい。遠心ポンプは後負荷(送血側抵抗)が増加するとポンプ特性曲線と回路特性の交点が変化し、流量が低下する。すなわち後負荷の変動に応じて流量が変化する特性を持つ。
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解説
呼吸回路の加温加湿では、吸気ガスを体温付近・高湿度で供給し、結露や汚染を防ぐ構成が基本である。ホースヒーター(回路加温用ヒータ)は吸気回路に用いて温度低下と結露を抑えるのが原則であり、呼気回路に組み入れるものではない。回路内に結露が見られる状態は、その部位のガスが露点に達し飽和している(相対湿度およそ100%)ことを示すため、設問の正答はこれである。加温加湿器の貯水槽は微生物汚染や析出物(スケール)を避けるため滅菌水(無菌化された水)を用い、水道水の使用は不適切。人工鼻(HME)は加温加湿器との併用で過加湿・抵抗増大・フィルタ閉塞・死腔増加などの不利益が生じ得るため併用は避ける。またHMEの加湿効率は分時換気量が増えるほどガスの通過時間短縮と交換器容量の限界により低下し、増加はしない。
選択肢別解説
誤り。ホースヒーターは吸気回路に組み入れて吸気の温度低下を防ぎ、回路内の結露を抑制する目的で使用する。呼気回路に設置する構成は一般的でなく、目的にも合致しない。
正しい。回路内で結露が生じているのは、その温度条件でガスが露点に達し飽和していることを示し、相対湿度はほぼ100%である。結露は飽和(RH≈100%)のサインである。
誤り。加温加湿器の貯水槽には滅菌水(滅菌蒸留水など)を用いる。水道水は微生物学的リスクやミネラル成分による析出・装置汚損の原因となり不適切。
誤り。人工鼻(HME)と加温加湿器の併用は、過加湿によるフィルタの閉塞・回路抵抗増大・死腔増加などの不利益を招く可能性があり、併用は推奨されない。
誤り。HMEの加湿効率は、分時換気量が増加するとガスの滞留時間が短くなり、熱・水分の回収が追いつかなくなるため低下する。増加はしない。
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解説
人工心肺(体外循環)の適正灌流は、臓器灌流と酸素供給を十分に保つことが目的で、一般的な指標として平均動脈圧(MAP)60〜80 mmHg、混合静脈血酸素飽和度(SvO2)70%以上などが用いられる。低体温下では全身代謝・酸素消費量が低下するため、常温より灌流量は少なく設定できる。一方、右→左短絡を伴うチアノーゼ性心疾患で側副血行路が発達している場合は、体外循環血流の一部が側副路に逃げやすく全身有効灌流が不足しやすいため、むしろ灌流量を増やして全身灌流を確保する必要がある。小児は体重当たりの代謝率が高いため、体重当たり灌流量は成人より多く設定するのが原則である。以上より、選択肢2と3が不適切(誤り)である。
選択肢別解説
正しい。体外循環中は臓器灌流を確保するために、一般に平均動脈圧60〜80 mmHg程度を目標に維持する。過度な高圧や低圧はいずれも臓器灌流障害のリスクとなる。
誤り。右→左短絡疾患で側副血行路が多い場合、体外循環の送血が側副路に逃げやすく全身有効灌流が不足しやすい。全身灌流を確保するためには、灌流量は“少なめ”ではなく、むしろ増やして目標MAPやSvO2を満たすよう調整する。
誤り。低体温体外循環では全身代謝・酸素消費量が低下するため、常温時より灌流量は少なく設定できる。記載の『多くする』は逆である。
正しい。SvO2は全身の酸素供給と需要のバランス指標であり、70%以上を目標に灌流量(必要に応じて血圧、Hb、FiO2なども)を調整して適正灌流を図る。
正しい。小児は成人に比べ体重当たりの代謝率・酸素消費量が高いため、体重当たり灌流量(mL/kg/min)は成人より多く設定する。
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解説
呼吸補助(血液の酸素化と二酸化炭素除去)を行うには、体外循環回路に膜型人工肺(人工肺)を組み込む必要がある。V-Aバイパス、PCPS、ECMOはいずれも膜型人工肺を併用するため呼吸補助が可能である。一方、IABPは大動脈内での対拍出による循環補助(後負荷低減・冠灌流改善)が主目的で人工肺を用いず、補助人工心臓(VAD)は心機能(流量)補助が目的でやはり人工肺を有さないため、単独では呼吸補助はできない。
選択肢別解説
IABPは下行大動脈内のバルーンを拡張期に膨張・収縮期に虚脱させて冠血流改善と後負荷低減を図る循環補助であり、人工肺を用いないため血液の酸素化・CO2除去は行えない。よって呼吸補助はできない。
V-Aバイパスは静脈脱血・動脈送血の補助循環で、回路に膜型人工肺を組み込むのが一般的である。人工肺により酸素化・二酸化炭素除去が可能で、呼吸補助を行える。
PCPS(経皮的心肺補助)は遠心ポンプと膜型人工肺を用いた閉鎖回路で、大腿動静脈からの経皮的カニュレーションでV-A補助を行う。人工肺により酸素化・CO2除去が可能で、呼吸補助を行える。
ECMO(体外膜型酸素化)は膜型人工肺を用いてガス交換を提供する治療で、V-A型・V-V型のいずれも酸素化とCO2除去が可能である。よって呼吸補助ができる。
補助人工心臓(VAD: LVAD/RVAD/BVAD)は機械ポンプで心拍出・流量を補助する装置であり、通常は人工肺を組み込まないためガス交換は行えず、呼吸補助はできない(人工肺を併設すれば概念的にはECMOとなる)。
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解説
観血式血圧測定では、カテーテル—延長チューブ—トランスデューサから成る流体-電気変換系の動特性を適正に保つことが重要である。加圧バッグは約300 mmHgに加圧し、フラッシュデバイス(連続フラッシュ機構)によりヘパリン加生理食塩液を1〜3 mL/h程度で持続注入して血液逆流と凝固を防ぐ。ゼロ校正はトランスデューサを右房の高さにレベリングし、大気圧(0 mmHg)を基準に実施する。チューブ内の気泡は系のダンピングを増大させ、収縮期圧は低め、拡張期圧は高めに歪む一方、平均血圧(静的成分)は原理上ほぼ維持される。以上より、フラッシュデバイスの持続注入機能に関する記述のみ正しい。
選択肢別解説
誤り。チューブ内の気泡はダンピングを増大させ、収縮期圧は低く、拡張期圧は高く測定されやすい。しかし平均血圧(静的圧成分)は原理上ほぼ不変であり、下がるとはいえない。
誤り。カテーテル内はヘパリン加生理食塩液で満たし、気泡を除去する。蒸留水は低浸透圧で溶血や血管内刺激のリスクがあり使用しない。
誤り。加圧バッグは逆流防止と持続フラッシュ確保のため通常約300 mmHgに設定する。収縮期血圧と等しくはしない。
誤り。ゼロ校正は大気開放を0 mmHg基準として行い、トランスデューサの高さを右房レベルに合わせる。中心静脈圧そのものを基準値として用いるわけではない。
正しい。フラッシュデバイスは加圧バッグ内のヘパリン加生理食塩液を少量(通常1〜3 mL/h)で自動持続注入し、カテーテル先端の血液停滞と凝固を防ぐ機能をもつ(手動の高速フラッシュ機能も併載される)。
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解説
乳幼児の体外循環では、体重当たりの代謝・酸素需要が成人より高く、循環血液量は少ないため、回路充填による血液希釈や体液移動の影響が大きい。したがって、無輸血体外循環は容易ではなく、体重当たりの適正灌流量は成人より多めに設定するのが一般的である。また、乳幼児の生理的平均動脈圧は成人より低いため、目標灌流圧は低めに設定される。さらに、細胞外液量の割合が高く腎機能も未熟であることから体液バランスは崩れやすく、厳密な管理が必要となる。温度管理では、急速な冷却は循環動態の不安定化や不均一冷却、酸塩基平衡の変動などを招きやすいため望ましくない。
選択肢別解説
誤り。乳幼児は循環血液量が少なく、人工心肺回路の充填量の占める割合が大きくなるため血液希釈が強くなる。適切なヘマトクリット維持のために輸血併用が必要となることが多く、無輸血体外循環は容易ではない。
誤り。乳幼児は体重当たりの代謝・酸素消費量が高く、組織灌流の確保のため体重1 kg当たりの目標灌流量は成人より多めに設定するのが一般的である。
正しい。乳幼児の生理的血圧(平均動脈圧)は成人より低く、臓器灌流の至適域もそれに合わせて低く設定されるため、目標灌流圧は成人より低めに管理される。
正しい。乳幼児は細胞外液の割合が高く、毛細血管透過性や腎機能も未熟で、さらに回路充填による希釈や水分負荷の影響を受けやすい。このため浮腫や電解質異常など体液バランスの不均衡を来しやすく、厳密な入出量管理が必要となる。
誤り。急速な冷却は循環動態の不安定化、不均一な温度分布、酸塩基平衡の急変、徐脈や不整脈の誘発などのリスクがあり、特に乳幼児では侵襲が大きい。安全のため冷却・復温はいずれも緩徐に行う。
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解説
血液浄化器の選択では、除去したい溶質の分子量域、必要な水分除去量、患者の体格や病期(導入初期か維持期か)を総合して決める。中・高分子量域の除去を重視する場合は、孔径が大きく限外濾過係数(Kuf)が高い高透水性(高フラックス)膜を用いると、ふるい係数が高く対流成分が増えて有利となる。逆に導入初期は急速な溶質除去で不均衡症候群を起こしやすいため、低効率のダイアライザで緩徐に行う。小児では循環血液量が少ないため、プライミング量はできるだけ小さいものを選ぶ。生体適合性は一般に合成高分子膜(PS、PES、PANなど)が再生セルロース系より良好とされる。
選択肢別解説
誤り。体外限外濾過法(ECUMやHF/HDFの濾過成分)では、所要の濾過量を安全に確保するために限外濾過係数の高い高透水性膜が望ましい。透水性が低い膜では必要な除水を得るために高い圧力差が必要となり、ヘモコンセントレーションや凝固リスクが高まる。
正しい。中分子量物質(例:β2ミクログロブリン)などの除去には、孔径が大きく対流成分を得やすい高透水性(高フラックス)膜が有利で、ふるい係数が高くクリアランスが向上する。過度に孔径が大きい膜はアルブミン漏出の懸念があるため、適切な膜選択が必要である。
誤り。一般に合成高分子膜(ポリスルホン系、ポリエーテルスルホン系、ポリアクリロニトリル系など)は、再生セルロース系膜に比べ補体活性化や白血球減少が少なく、生体適合性に優れる。セルロース系も化学修飾(CTAなど)で改良はされているが、総論としては合成膜の方が良好とされる。
誤り。小児は循環血液量が少ないため、プライミング量はできるだけ少ないダイアライザを選ぶ。一般に循環血液量の約10%を超えないことを目安にし、過大なプライミング量は循環動態悪化や輸血必要性の増加につながる。
誤り。透析導入初期は急速な溶質除去で不均衡症候群のリスクがあるため、高効率膜ではなく低効率・小面積のダイアライザを用い、血流量や時間を調整して緩徐に透析を行うのが望ましい。
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解説
加温加湿器は、人工呼吸器から供給される乾燥ガスを患者に適した温度・湿度に調整する装置で、臨床ではチャンバー出口や患者口元付近の温度をセンサで検出し、ヒータをサーボ制御する「温度制御」が標準的である。湿度そのものをリアルタイムに測定・フィードバックして制御する方式は一般的ではないため、「患者吸気の湿度によって制御される」という記述は不適切で誤りとなる。適切な運用では患者口元でおおむね32〜35℃、絶対湿度30〜35 mg/L程度を目標に管理し、回路内の温度低下による結露(レインアウト)を防ぐ目的でヒータワイヤ付き回路を用いる。ヒータワイヤがない場合は回路途中にウォータトラップを設け、結露水の貯留・排出により患者側への流入を防止する。さらに、加湿器内の水は温かく細菌が増えやすいため、滅菌水の使用や清潔操作・交換スケジュールの順守が重要である。不十分な加湿は気道線毛機能低下、痰の粘稠化、栓塞、無気肺などの肺合併症を招く。
選択肢別解説
誤り。一般的な加温加湿器は温度センサからの情報を用いたサーボ制御で作動し、患者口元付近の温度設定を達成することで結果的に所要の湿度を得る。湿度値を直接測定してフィードバック制御する方式は通常ではない。
正しい。加湿器内は温かく微生物が増殖しやすい環境であり、滅菌水の使用、清潔な取り扱い、定期的な交換などによる汚染防止が不可欠である。汚染は呼吸器感染のリスクとなる。
正しい。ヒータワイヤは回路内ガスの温度低下を抑え、水蒸気の凝結(レインアウト)を防止することで結露を減らす機能を持つ。
正しい。ヒータワイヤがない回路では温度低下により結露が生じやすく、貯留した水が患者側へ流入する危険があるため、途中にウォータトラップを設けて回収・排水する必要がある。
正しい。不十分な加湿は気道乾燥、線毛機能障害、喀痰粘稠化による排出不良を生じ、無気肺や下気道感染などの肺合併症の原因となる。
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