臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
調節換気では、機器や回路の異常は換気量・気道内圧・酸素化・加温加湿などに直結し、有害事象を招く。弁の開放不全は呼気が十分に逃げず内因性PEEPや肺過膨張を生み、圧損傷の原因となる。呼吸流路の屈曲はガス流の障害により送気・呼出が阻害され換気異常を来す。加温加湿器の停止は気道乾燥を招き喀痰が粘稠化・硬化する。吸入気酸素濃度の異常上昇は長時間で酸素中毒につながる。一方、呼吸回路のリークは実効一回換気量が低下し肺胞低換気となるため、二酸化炭素の排出が不十分となり高二酸化炭素血症を起こすのが典型である。したがって「呼吸回路内のリーク — 低二酸化炭素血症」は誤りである。
選択肢別解説
適切な組合せ。呼気弁などの開放不全があると呼出が不十分となり、肺過膨張・内因性PEEP増大から気道内圧が上昇し、圧損傷(バロトラウマ)を招く。量規定・圧規定いずれでも起こりうる。
適切な組合せ。回路や人工気道の屈曲は流路抵抗の増大や閉塞を招き、送気不足・呼出困難・ピーク圧上昇などの換気異常を生じる。アラーム作動や一回換気量低下がみられることが多い。
誤った組合せ。回路内リークがあると設定換気量が患者に十分到達せず肺胞低換気となるため、典型的には高二酸化炭素血症を来す。低二酸化炭素血症は過換気時にみられる所見で、リークの直接的帰結ではない。
適切な組合せ。加温加湿器の停止により吸入ガスが乾燥し、気道粘膜傷害と線毛機能低下、分泌物の粘稠化・痂皮化(喀痰の硬化)を来し、排痰困難や閉塞のリスクが高まる。
適切な組合せ。吸入気酸素濃度(FiO2)の異常上昇を長時間持続すると活性酸素による毒性で酸素中毒(肺障害、吸収性無気肺など)に至る。
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解説
透析用患者監視装置に用いられるセンサーの原理と対象の組合せを問う問題。漏血検知は透析液廃液中の血液混入を光学的に検知するため透過光方式(赤外LEDと受光素子)を用いる。気泡検知は液体と気体で音響インピーダンスが大きく異なることを利用する超音波方式が一般的。温度計は温度による抵抗変化を利用するサーミスタ、圧力計はダイヤフラムの歪みを電気信号に変換するストレインゲージを用いる。一方、透析液の濃度管理は電解質による電気伝導率(電導度)の測定と温度補償で行うため、「濃度計—浸透圧」は誤りであり、これが不適切な組合せとなる。
選択肢別解説
正しい組合せ。漏血検知器は発光素子と受光素子からなるオプトセンサーで透過光量を監視する。透析液廃液中に血液が混入すると赤血球等により光の吸収・散乱が増え、受光量が低下して漏血異常として検知される。
正しい組合せ。気泡検知器は超音波の伝搬特性を利用する。液体中は超音波が伝わるが、気泡が存在すると音響インピーダンスの不連続で反射・減衰が生じ、受信信号が変化することで気泡を検出する。血液回路の静脈側監視で用いられる。
誤った組合せ。透析液の濃度計は浸透圧を直接測らず、ナトリウムなど電解質による電気伝導率(電導度)を測定し、サーミスタ等で温度補償して濃度を管理する。したがって「濃度計—浸透圧」は不適切。
正しい組合せ。サーミスタは温度によって抵抗値が変化する素子(多くはNTC型)で、透析液温度の測定・制御に広く用いられる。
正しい組合せ。圧力計はダイヤフラムの微小変形をストレインゲージで電気信号に変換する歪みゲージ式圧力センサーが用いられ、血液回路や透析液回路の陽圧・陰圧監視に適している。
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解説
ME機器の保守点検は、日常点検・定期点検を通じた清掃、機能・性能確認、校正、消耗品交換など、機器を安全に運用し品質を維持するための予防的・点検的作業を指す。一方、劣化部品の修理や分解を伴う作業、構造や特性に影響し得る部位の交換は「修理(オーバーホールを含む)」に該当し、保守点検の範囲外である。特に医療機器の修理は、製造販売業者や許可を受けた修理業者等の権限で実施すべき領域であり、医療機関の保守点検業務として行うべきではない。したがって、電源プラグの修理は保守点検に含まれない。
選択肢別解説
外装の清拭は清掃に相当し、機器の汚染防止や劣化防止を目的とした典型的な保守点検業務である。よって保守点検に含まれる。
輸液ポンプの流量精度の測定は性能点検・校正に該当し、定期点検項目として保守点検に含まれる。適切な基準器や手順に従って実施する。
人工呼吸器のバクテリアフィルタは消耗品であり、所定の間隔や条件での交換は保守点検に含まれる。機器分解や修理に当たらない。
カプノメータ表示値を標準ガスで校正する作業は性能点検・校正に該当し、保守点検に含まれる。メーカー指定の標準ガス濃度と手順に従う。
人工心肺装置の劣化した電源プラグの修理は、分解・部品交換を伴う修理行為に該当し保守点検の範囲外。医療機器の修理は製造販売業者や許可を受けた修理業者の権限で実施すべきで、臨床現場の保守点検として行うべきではない。
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解説
透析液管理では、水処理と透析液作製・供給・監視が安全性の要です。軟水化装置は陽イオン交換樹脂で硬度成分(Ca²⁺, Mg²⁺)をNa⁺と交換して除去し、残留塩素・クロラミンの除去は活性炭吸着装置が担います。装置配置は一般に軟水化装置→活性炭→RO(逆浸透)などの順で前処理を行い、RO膜保護と水質確保を両立します。重曹(2液)透析では、酸濃縮液(A)と重炭酸濃縮液(B)はそれぞれ透析用水で所定濃度に希釈した後に混合し、未希釈で混合してのち希釈は沈殿(Ca/Mg炭酸塩)を生むため不適切です。安全監視として、透析液温監視装置は高温時に警報・加熱停止・バイパスでダイアライザ供給を遮断し、高温性溶血を防ぎます。エンドトキシン対策ではRO出口や各透析装置入口(末端)など複数箇所にエンドトキシンカット(UF)フィルタを設置し、配管内由来の汚染リスクを多層防御します。
選択肢別解説
誤り。軟水化装置は陽イオン交換樹脂によりCa²⁺・Mg²⁺などの硬度成分をNa⁺と交換して除去する装置であり、クロラミン(残留塩素)の除去能はない。クロラミン/遊離塩素の除去は活性炭吸着装置の役割で、RO膜や下流装置の保護にも重要である。
誤り。2液(重曹)透析では、酸濃縮液(A)と重炭酸濃縮液(B)をそれぞれ透析用水で所定比率に希釈してから混合する。未希釈のAとBを直接混合するとCa²⁺・Mg²⁺とHCO₃⁻が反応し炭酸塩が沈殿し、配管閉塞や濃度異常の原因となる。
誤り。活性炭吸着装置は一般に軟水化装置の下流(後段)に設置し、硬度除去後の水からクロラミン等を吸着してRO膜を保護する。設計にはバリエーションがあるものの、国試での標準的記述では「軟水化→活性炭→RO」などの流れが採られ、上流設置とする本記載は不適切と判断する。
正しい。透析液温監視装置は設定温(通常36〜37℃)からの逸脱を監視し、高温(例:41℃超)で警報を発しヒータ停止・自動バイパスによりダイアライザへの供給を遮断する。高温透析液は赤血球膜を障害して溶血を招くため、その防止に必須である。
正しい。エンドトキシンは配管内で再増殖する可能性があるため、RO出口側に加え、各透析装置入口など末端にもエンドトキシンカット(UF)フィルタを設ける多段配置が推奨される。複数箇所でのバリアにより超純水準の透析液維持に寄与する。
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解説
膜型人工肺の膜材には大別して多孔質膜と均質膜(非多孔膜)、さらに両者の特性を併せ持つ複合膜がある。多孔質膜は微細孔を介してガスが交換されるため、境膜抵抗が小さく一般にガス交換能は高い。一方で、長時間使用により細孔が濡れて血漿成分が漏出するプラズマリークや、血液側に陰圧がかかると細孔からガスが血液側へ引き込まれて気泡混入を生じるリスクがある。均質膜は細孔を持たず、ガスは膜材中を拡散して血液へ到達する拡散型で、血液とガスは非接触であるためプラズマリークがなく長期使用に適するが、ガス交換能は多孔質膜より低い。したがって『多孔質膜は均質膜よりガス交換能が劣る』は誤りであり、本問の正答は選択肢2である。
選択肢別解説
正しい。多孔質膜は微細孔を介してガス交換するため、長時間の使用で細孔が濡れて血漿成分がにじみ出るプラズマリークを起こしうる。特にECMOなどの長時間使用では問題となる。
誤り。本問の解答。多孔質膜は微細孔を通じてガスが移動し境膜抵抗が小さいため、一般に均質膜よりガス交換能(酸素移送・二酸化炭素除去能)が高い。均質膜は拡散によるため性能は相対的に低い。
正しい。多孔質膜では血液側が陰圧になるなどで膜間圧力差が逆転すると、ガス相から血液相へ気体が押し込まれ、細孔を介した気泡混入の危険がある。
正しい。均質膜(非多孔膜)はガスが膜材中を拡散して移動するため、血液相とガス相は膜により完全に隔てられ、直接は接触しない。
正しい。シリコーンゴム(ポリジメチルシロキサン)は細孔を持たない均質膜材で、拡散機構によりガス交換を行う。
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解説
各機器と代表的な副作用・障害の対応関係を問う問題。輸液ポンプではセット不良などによりポンプ停止中でも重力で液が流出するフリーフローが起こり得る。電気メスは高周波電流を用いるため周辺機器や植込みデバイスへの電磁障害を惹起することがある。人工呼吸器は過大な気道内圧や過換気により肺の圧損傷(気胸等)を生じ得る。IABPは大動脈疾患や挿入操作を契機に大動脈解離のリスクがある。一方、超音波凝固切開装置は超音波振動による機械的エネルギーと摩擦熱で切開・凝固を行い、患者体内に高周波電流を流さず対極板を使用しないため、対極板装着部での熱傷という事象は成立しない。ゆえに5が誤った組合せである。
選択肢別解説
輸液ポンプ — フリーフローは妥当。輸液チューブの固定不良やアンチフリーフローデバイスの不作動などで、ポンプ停止時でもバッグと患者の落差により重力で液が流れる現象が起こり得る。重大な過量投与につながるため、セット手順の確認と装置側の防止機構が重要。
電気メス — 電磁障害は妥当。電気メスは高周波電流を使用し、リード線等を介して周辺機器に電磁ノイズが混入することで、モニタのアーチファクトやペースメーカ等の誤作動を生じ得る。適切なアース、配線取り回し、間欠使用などで低減を図る。
人工呼吸器 — 圧損傷は妥当。過大な気道内圧や過膨張により肺胞破裂、縦隔気腫、気胸などのバー外傷(圧損傷)が発生し得る。適切なPplatの管理、低一回換気量戦略、PEEP最適化などで予防する。
IABP — 大動脈解離は妥当。大動脈病変の存在や不適切な挿入・留置により内膜損傷を契機として解離を生じるリスクがある。適応選択、挿入前の画像評価、抵抗感がある場合の無理な進行回避が重要。
超音波凝固切開装置 — 対極板装着部の熱傷は誤り。超音波凝固切開装置は45–55 kHz程度の超音波振動による機械的エネルギーと摩擦熱で組織を切開・凝固し、高周波電流の回路を形成しないため対極板を使用しない。よって対極板装着部での熱傷という事象は起こり得ない(熱傷はあっても先端部の熱など局所に限られる)。
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