臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
オンライン血液透析濾過(on-line HDF)は、清浄化された透析液の一部をオンラインで無菌・無エンドトキシンの置換液として用い、拡散(HD)と対流(HF)を併用して溶質除去を行う治療である。実施には、on-line HDFとして承認された多用途透析装置と、透析液路にエンドトキシン捕捉フィルタ等を組み込んだ清浄化システムにより超純粋透析液レベルの水質を達成することが求められる。血液回路側の膜は、対流性能を確保できるヘモダイアフィルタ(HDF用フィルタ)を用いるため、「ダイアライザ(通常のHD用)」を用いるという記述は不適切であり、これが誤りに相当する。
選択肢別解説
正しい。on-line HDFでは、十分に清浄化した透析液の一部を取り出してオンラインで置換液として用いる。透析液はエンドトキシン捕捉フィルタ等により清浄化され、置換液として血液回路に直接投与される。
正しい。on-line HDFの実施には、置換液のオンライン製造機能や清浄化機構を備え、当該用途で承認された多用途透析装置(on-line HDF対応機)を用いる必要がある。
誤り。on-line HDFでは、対流除去に適した高透水性・適切な分画特性をもつヘモダイアフィルタ(HDF用フィルタ)を使用する。一般的なHD用のダイアライザを用いるという表現は不適切である。
正しい。置換液として透析液を直接用いるため、透析液は超純粋透析液レベルの水質基準(無菌・無エンドトキシン水準)を満たす必要がある。
正しい。透析液路の清浄化のため、エンドトキシンや微生物由来成分を除去するエンドトキシン捕捉フィルタ(ETRF)を使用する。これにより置換液の無菌性・無エンドトキシン性を担保する。
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解説
血液浄化で用いられる基本原理は、(1)拡散:濃度勾配に従う小分子の移動(血液透析の主原理)、(2)濾過(対流):膜を介した圧力差で水分と溶質を移動させる(血液濾過・血液透析濾過など)、(3)吸着:カラム表面への結合で特定物質を除去(血液吸着・血漿吸着)、(4)浸透:浸透圧差による水移動(腹膜透析の除水)である。これらはいずれも物理化学的移動・分離機構であり、治療回路内で溶質を化学的に分解して除去する「分解」は原理として用いない。したがって誤っているのは「分解」である。
選択肢別解説
吸着は正しい。活性炭や合成樹脂などの吸着材に薬物、エンドトキシン、サイトカイン、LDL、免疫複合体、β2ミクログロブリンなどを表面結合させて除去する原理で、血液吸着療法(DHP)や血漿吸着(PA)で利用される。
浸透は正しい。腹膜透析では透析液の浸透圧を高めることで体内との浸透圧差をつくり、水分が腹腔側へ移動して除水が得られる(浸透圧駆動の水移動)。
拡散は正しい。血液透析で小分子溶質(尿素、クレアチニンなど)を濃度勾配に従って透析膜を介して移動させる主原理である。
濾過は正しい。膜を介した圧力差により水と溶質を移動させる対流(コンベクション)の原理で、血液濾過(HF)、血液透析濾過(HDF)、血漿分離・二重膜法などで用いられる。中分子の除去や除水に有効。
分解は誤り。血液浄化療法は拡散・濾過(対流)・吸着・浸透といった移動・分離原理を用い、体外回路内で溶質を化学的に分解して除去する手法は標準的治療として採用されていない。
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解説
体外循環では回路充填液(晶質液や人工膠質液)で血液が希釈され、ヘマトクリットが低下する。これにより血液粘性は低下し、ポンプや回路でのせん断応力が小さくなるため溶血は軽減される。一方、酸素運搬能は主にヘモグロビンに依存するため希釈で低下する。希釈を許容することで同種血輸血の必要量は減らせる。また血漿タンパクの希釈で膠質浸透圧は低下し、長時間では浮腫リスクとなる。以上より、正しいのは「輸血量の減少」と「溶血の軽減」である。
選択肢別解説
血液希釈によりヘマトクリットが下がると血液粘性は低下する。したがって「増加」は誤り。
酸素運搬能はヘモグロビン濃度に依存し、希釈でHbが低下するため酸素運搬能は低下する(例:動脈酸素含量 $C_aO_2\approx1.34\times Hb\times SaO_2+0.003\times PaO_2$)。増加ではない。
回路充填に晶質液や人工膠質液を用い、低ヘマトクリットを一時的に許容することで同種血輸血の必要量を減らせるため、正しい。
希釈で血液粘性が下がり回路内の機械的ストレス(せん断応力)が小さくなるため血球損傷が減り、溶血は軽減される。正しい。
希釈によりアルブミンなど血漿タンパク濃度が低下し、膠質浸透圧は低下する。上昇は誤りで、むしろ組織浮腫の要因となる。
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解説
膜型人工肺は、膜を介してガス交換を行うため血液とガスが直接接触しない。膜材料には、微細孔をもたない均質膜(例: シリコーン)と、微細孔をもつ多孔質膜(例: ポリプロピレン)がある。均質膜では血漿漏出は起こりにくく、たんぱく変性や溶血も抑えられる。一方、多孔質膜は長時間使用で親水化し細孔の濡れが進むと血漿漏出の原因となる。気泡型人工肺は血液と気体が直接接触するため、膜型に比べてたんぱく変性・溶血が生じやすい。形態分類は一般に中空糸型と積層(シート/プレート)型に大別され、設問の「フィルム型とシート型」という二分は不適切である。
選択肢別解説
正しい。均質膜(非多孔質膜)は微細孔を持たず、膜を介した拡散で酸素・二酸化炭素交換を行うため、血液が酸素ガスと直接接触することはない。これにより気泡型に比べ血液への物理化学的ストレスが小さい。
誤り。気泡型人工肺では血液と気体が直接接触しバブリングを受けるため、たんぱく変性や溶血が起こりやすい。膜型人工肺の方が血液へのダメージは小さく、選択肢の主張とは逆である。
誤り。多数の微細孔が開いた構造は多孔質膜(例: ポリプロピレン中空糸)であり、均質膜は微細孔を持たない非多孔質膜である。
誤り。膜型人工肺の形態は一般に中空糸型と積層(シート/プレート)型に大別される。「フィルム型とシート型」という二分は用語として重複・不適切で、標準的分類とは一致しない。
誤り。長時間使用で血漿漏出が問題となるのは多孔質膜で、親水化や細孔の濡れ進行により血漿成分が浸潤する。均質膜は非多孔質のため血漿漏出は起こりにくい。
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解説
血液浄化装置の代表的な監視原理は、漏血は透析液の光学的変化(吸光度/光透過率)、気泡は超音波式、温度はサーミスタ式、圧力はストレインゲージ式で監視するのが一般的である。透析液の「濃度計」は電解質濃度に比例する電気伝導度(導電率)を測る方式が標準であり、浸透圧測定は透析装置のオンライン監視には用いない。よって「濃度計—浸透圧」の組合せが誤り。その他の組合せは適切。
選択肢別解説
漏血検知器は透析液側に血液が混入するとヘモグロビンによる吸光が増し、光透過率が低下する性質を利用して検知する。したがって「漏血検知器—光透過」の組合せは正しい。
気泡検知はチューブを挟み込むクランプ型の超音波センサで、液体に気泡が混入すると超音波の伝搬・反射が変化することを利用して検出する(光学式が用いられる場合もある)。よって「気泡検知器—超音波」は正しい。
透析液の『濃度計』は実質的に電気伝導度計であり、電解質濃度に比例して変化する導電率を連続監視する。浸透圧は凍結点降下法などのオスモメータで測るもので、透析装置のオンライン濃度監視には通常用いない。従って「濃度計—浸透圧」は誤り。
透析液温は温度により抵抗が大きく変化するサーミスタで高感度に測定するのが一般的。よって「温度計—サーミスタ」は正しい。
圧力センサは膜の歪みを電気抵抗の変化に変換するストレインゲージ(歪みゲージ)を用いるのが標準的。従って「圧力計—ストレインゲージ」は正しい(原文のカナ表記に誤りがあるが原理としては適切)。
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