臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
体外循環(特に低体温併用)では代謝が抑制され、全身酸素消費量が低下するため、至適灌流量は低く設定でき、末梢での酸素摂取が減ることで混合静脈血酸素飽和度(SvO2)は上昇しやすい。また、回路・人工肺など人工物との接触や希釈、せん断応力、補助循環操作(吸引など)により血小板は消費・破壊され、血小板数は減少する。pH管理では、アルファスタット法は体温補正を行わず低体温下で実際のPaCO2が低めとなり脳血管収縮を来すため脳血流は減少しやすい。一方、血糖については低体温・術侵襲・カテコラミンやコルチゾール上昇、インスリン分泌低下・感受性低下などにより高血糖になりやすく、「血糖値が低下する」は不適切で本問の誤りである。
選択肢別解説
誤り。体外循環(低体温・手術侵襲)ではストレスホルモン(カテコラミン、コルチゾール)上昇、膵β細胞からのインスリン分泌低下や末梢でのインスリン抵抗性により高血糖になりやすい。したがって「血糖値が低下する」は不正確。
正しい。希釈体外循環および人工物表面との接触活性化、せん断応力、サクション等により血小板の消費・破壊・機能障害が生じ、血小板数は一般に減少する。
$正しい。低体温では酸素消費量が温度低下に応じて減少するため、必要酸素供給量も低下し、至適灌流量は低めに設定できる(例:常温時の2.2–2.6 L/min/m^2から低体温でさらに低流量へ)。$
正しい。低体温による全身代謝・酸素消費の低下で末梢での酸素取り込みが減少し、同一灌流条件では混合静脈血酸素飽和度(SvO2)は上昇しやすい。
正しい。アルファスタット法は体温補正を行わず、低体温下で実際のPaCO2が低めとなるため脳血管が収縮し、脳血流は減少傾向となる(pHスタットに比べて低い)。
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解説
加温加湿器は人工呼吸器などの吸気ガスを生理的条件(気管分岐部で約37℃・相対湿度100%、絶対湿度約44 mg/L)に近づける装置である。使用に伴う代表的な有害事象として、過剰加温や過加湿によるうつ熱、温度制御不良による気道熱傷、汚染水や回路内の微生物増殖に起因する気道感染、温度勾配による回路内結露が挙げられる。一方で、加温加湿器本体や回路(配管・ウォータートラップ・結露水)は圧力損失を増やしやすく、吸気抵抗はむしろ上昇傾向にある。したがって「吸気抵抗低下」は加温加湿器使用中には生じない現象であり、これが正答となる。
選択肢別解説
うつ熱は生じうる。過剰な加温・加湿により体表面や呼気からの放熱・水分喪失が抑えられ、体温調節が追いつかないと体温上昇(熱の蓄積)を来す。とくに温度設定不適切や保温環境下ではリスクが高まる。
気道熱傷は生じうる。温度センサ位置や制御不良、装置の誤設定・故障などで吸気温が高温になると、気道粘膜の損傷(熱傷)を来す可能性がある。臨床では吸気側の温度管理(おおむね37~40℃程度)とアラーム監視が重要である。
気道感染は生じうる。加湿器内の貯留水や回路が汚染されると微生物が増殖し、回路を介して患者気道に到達して感染(VAP など)のリスクとなる。滅菌/無菌精製水の使用、閉鎖式補水、回路管理が必須である。
回路内結露は頻発する。温湿された吸気ガスが配管内で冷却されると水蒸気が凝結し、回路内に結露水が生じる。加温ワイヤ入り回路で結露は減少するがゼロにはならず、水貯留は換気の妨げや誤作動の原因となる。
吸気抵抗低下は生じない。加温加湿器の挿入や回路の屈曲・接続部、結露水・ウォータートラップなどは圧力損失を増やし、吸気抵抗は一般に上昇する。したがって「生じない」現象として正しい選択肢である。
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