臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
自発呼吸の吸気では、横隔膜と外肋間筋が収縮して胸郭容積が増え、胸腔内圧はより陰圧(低下)になる。胸膜腔が陰圧化すると経肺圧(肺胞内圧 − 胸腔内圧)が増加して肺・肺胞が拡張し、肺胞内圧は一時的に大気圧より低くなって空気が流入する。陰圧化は右心系への吸い込み効果を高めるため静脈還流は増加し、還流量が減少することは起こらない。よって「静脈還流量の減少」が吸気時に生じない現象である。
選択肢別解説
外肋間筋は吸気筋で、収縮により肋骨を挙上して胸郭前後径・左右径を拡大させる。吸気時に実際に生じる現象であり、「生じない現象」としては不適切。
胸腔内圧の陰圧化により経肺圧が増して肺が引き伸ばされ、肺胞は拡張する。吸気時に生じるため、「生じない現象」には該当しない。
横隔膜は主要な吸気筋で、収縮して下方へ移動(降下)し、胸腔容積を増やす。これは吸気時に生じるため、「生じない現象」には当たらない。
胸郭容積の増大により胸腔内圧はより陰圧へと低下する。これは吸気の基本的機序であり、吸気時に生じる現象であるため「生じない現象」ではない。
自発呼吸の吸気では胸腔内圧が低下して右心房圧が下がり、体静脈からの血流が流入しやすくなるため静脈還流は増加する。したがって「静脈還流量の減少」は吸気時には生じない現象であり、この設問の正答となる。
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解説
PaCO2は二酸化炭素産生量と分時肺胞換気量の比でほぼ規定される($P_{a}CO_{2} \approx 0.863 \times \frac{\dot{V}CO_{2}}{\dot{V}_{A}}$)。人工呼吸器設定のうち分時肺胞換気量 $\dot{V}_{A}$ を直接規定できるのは、1回換気量 $V_{T}$ と換気回数 $f$ であり、$\dot{V}_{A}=(V_{T}-V_{D})\times f$($V_{D}$は死腔量)。したがってPaCO2を下げたいときは、$V_{T}$を増やすか$f$を上げて$\dot{V}_{A}$を増やすのが基本となる。一方、EIP(吸気終末休止)やPEEP、FiO2は主として酸素化(PaO2)や平均気道内圧に影響し、PaCO2の直接的な調整項目ではない。
選択肢別解説
換気回数を増やすと分時肺胞換気量 $\dot{V}_{A}$ が増え、$P_{a}CO_{2} \propto \frac{\dot{V}CO_{2}}{\dot{V}_{A}}$ の関係からPaCO2は低下する。人工呼吸器でPaCO2を調整する主要因の一つで正しい。
1回換気量 $V_{T}$ を増やすと(死腔量 $V_{D}$ を超える部分が増えるため)$\dot{V}_{A}=(V_{T}-V_{D})\times f$ が増え、PaCO2は低下する。PaCO2調整の主要設定で正しい(ただし臨床では過大VTによる肺障害に注意)。
吸気終末休止(EIP)は吸気相の終わりで一時的に気流を止め、平均気道内圧やリクルートメントに影響して主に酸素化(PaO2)を改善する。アルベオラー換気量自体($V_{T}$や$f$)を直接は変えないため、PaCO2を規定する主設定ではない。
PEEPは機能的残気量(FRC)と肺リクルートメントを増やし酸素化(PaO2)を改善する設定。高すぎるPEEPで過膨張・死腔増加によりPaCO2へ二次的影響が出ることはあるが、PaCO2を直接規定・調整する項目ではない。
FiO2は吸入酸素分率で、酸素化(PaO2)を直接改善する設定。CO2除去(分時肺胞換気量)には関与しないため、PaCO2を規定する設定ではない。
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解説
$人工心肺では、動脈血酸素分圧(PaO2)は人工肺への吹送ガス中の酸素濃度(FiO2)で調整し、二酸化炭素分圧(PaCO2)は吹送ガス流量(スウィープ流量)で調整するのが基本である。体外循環の開始は、脱血が安定していることと血圧 \cdot 回路内圧 \cdot 気泡の有無を確認しながら低流量で立ち上げ、部分体外循環を経て目標灌流量(成人では灌流指数およそ2.2〜2.4 L/min/m^2を目安)に段階的に到達する。したがって「至適灌流量で体外循環を開始する」は不適切で誤り。上行大動脈遮断時は、一時的に送血流量(ひいては灌流圧)を下げることで遮断鉗子の適用を安全にし、大動脈壁への負荷や塞栓リスクを抑える。心停止中の左心腔の過伸展防止にはベント吸引で減圧する。離脱時はまず脱血(静脈側)を絞って生体側へ容量を戻し、自己拍出 \cdot 血圧を確認しながらポンプ流量を段階的に下げる。$
選択肢別解説
正しい。PaO2は人工肺に送る吹送ガス中の酸素濃度(FiO2)の増減で調整する。なおPaCO2は主に吹送ガス流量(スウィープ流量)で調整する点を併せて理解する。
$誤り。体外循環は低流量で立ち上げ、脱血の安定 \cdot 圧モニタ \cdot 回路内の安全を確認しつつ、部分体外循環を経て目標灌流量(成人での目安は灌流指数2.2〜2.4 L/min/m^2程度)へ段階的に増加させる。開始直後から至適灌流量とするのは急激な循環変動や回路トラブル時の危険を高めるため不適切。$
正しい。上行大動脈遮断時には一時的に送血流量を下げ、灌流圧を低めにして遮断鉗子の挿入・適用を容易かつ安全にする。高圧のまま遮断すると大動脈損傷や塞栓のリスクが増す。
正しい。心停止中に左心系へ還流する血液や気泡で過伸展・肺うっ血を来さないよう、左房や左室のベント吸引で心腔内を減圧する。吸引過多による空気誤吸引や組織損傷に注意する。
正しい。離脱開始時はまず脱血量(静脈側)を減らして心臓へ容量を戻し、自己拍出・血圧・充満圧を確認しながら送血流量を段階的に下げていく。これにより循環をスムーズに生体側へ移行できる。
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