臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
PEEP(呼気終末陽圧)は、呼気終末に一定の陽圧を残すことで肺胞虚脱を防ぎ、機能的残気量(FRC)と平均気道内圧(MAP)を上昇させる。これにより肺胞リクルートメントが進み、換気血流比の不均衡が改善して酸素化は一般に向上する。一方、胸腔内圧上昇は静脈還流を低下させ心拍出量や腎血流を減少させるため、尿量は減少しやすい。さらに胸腔内圧の上昇は頭蓋外静脈系の還流を妨げ、頭蓋内圧(脳圧)を上昇させうる。したがって「脳圧が低下する」は誤りである。
選択肢別解説
正しい。PEEPで呼気終末に陽圧を維持すると、気道内圧のベースラインが上がるため平均気道内圧(MAP)は上昇する。MAPの上昇は酸素化改善に寄与する一方、循環抑制にもつながり得る。
正しい。PEEPは肺胞虚脱を防ぎ、閉塞していた肺胞を再開放(リクルート)することでFRCを増加させる。FRC増加はガス交換面積の確保と換気血流比の改善に有利に働く。
正しい。PEEPによる肺胞リクルートメントとFRC増加でシャント成分やV/Qミスマッチが改善し、通常はPaO2など酸素化が向上する。過度のPEEPでは過膨張や死腔増大でかえって悪化し得るが、一般的効果としては改善である。
正しい。PEEPで胸腔内圧が上昇すると静脈還流が低下し心拍出量・腎血流が減少する。またADHやレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系の変化も関与し、尿量は減少傾向となる。
誤り。PEEPは胸腔内圧を上げ、頸静脈など頭蓋外静脈の還流を妨げるため、頭蓋内静脈圧が上昇し頭蓋内圧(脳圧)はむしろ上がりやすい。したがって「脳圧が低下する」は不正確である。
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解説
酸素療法(通常は大気圧下でのカニュラやマスク投与)の主な合併症には、非加湿や高濃度酸素に伴う気道乾燥・線毛機能低下、慢性高二酸化炭素血症患者での高酸素投与によるCO2ナルコーシス(換気低下とV/Q不均等・Haldane効果による高CO2血症の進行)、高FiO2での窒素置換に起因する吸収性無気肺、未熟児での高濃度長時間投与による未熟児網膜症が含まれる。一方、圧外傷(バロトラウマ)は陽圧換気や高気圧酸素治療など「加圧」を伴う状況で問題となるもので、通常の酸素療法の合併症とはいえない。従って合併症でないのは圧外傷である。
選択肢別解説
気道加湿が不十分な酸素投与では乾燥により上皮細胞が障害され、粘液線毛クリアランスが低下する。酸素毒性も加わると線毛運動障害が増悪し、これは酸素療法でみられる合併症である。
慢性呼吸不全(例:CO2貯留を伴うCOPD)に高濃度酸素を投与すると、低酸素刺激の低下やV/Q不均等・Haldane効果により高CO2血症が進行し、換気低下(CO2ナルコーシス)を招くことがある。酸素療法の重要な合併症である。
高FiO2で肺胞内窒素が置換されると、酸素が速やかに血中へ拡散して肺胞内ガス量が減少し、肺胞虚脱(吸収性無気肺)が生じうる。酸素療法で起こり得る合併症である。
未熟児に高濃度酸素を長時間投与すると網膜血管収縮・異常新生血管形成を介して未熟児網膜症をきたす危険がある。酸素療法の合併症として周知である。
圧外傷(バロトラウマ)は陽圧換気や高気圧酸素治療のように圧力変化を伴う治療で問題となる。大気圧下の通常の酸素療法では発生しにくく、本問で問う「合併症でないもの」に該当する。
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解説
人工心肺(体外循環)では、血液が人工材料に接触し、機械的せん断や希釈、低体温管理、虚血再灌流などの影響を受ける。これにより血小板は吸着・活性化・消費・希釈で減少し、白血球活性化を介してIL-6などの炎症性サイトカインが放出される。また低体温やストレスホルモン優位により膵β細胞のインスリン分泌は抑制され高血糖傾向となる。一方、赤血球は回転ポンプや回路内での物理的ストレスにより溶血を生じ、血清遊離ヘモグロビンは増加するため「低下」は誤り。心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)は心房伸展で分泌が増すホルモンであり、体外循環全体で一様に低下するとは言えない。特に大動脈遮断解除後や前負荷増大時に上昇がみられる報告があり、「低下する」と断定する記載は不適切である。
選択肢別解説
正しい。体外循環中は血液希釈、回路・酸素atorへの吸着、機械的ストレスによる活性化と消費により血小板数が低下する。術後早期に出血傾向の一因となり得る。
正しい。低体温管理や手術ストレスに伴うカテコラミン・グルカゴン上昇などにより、膵β細胞のインスリン分泌は抑制され相対的不足となり高血糖傾向を示す。よって体外循環中のインスリン分泌は減少する。
正しい。血液が人工材料に接触することで補体系や白血球が活性化し、IL-6、TNF-αなどの炎症性サイトカインが放出され全身炎症反応を惹起する。
誤り。体外循環では回路やポンプによる機械的せん断で赤血球溶血が生じ、血清遊離ヘモグロビンは増加する。したがって「低下する」は不正確。
誤り。ANPは心房壁伸展で分泌が増加する。体外循環中に一律の低下はみられず、特に遮断解除後や前負荷が回復・増加する局面で上昇する報告があるため、「低下する」と断定するのは不適切。
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解説
CPAP(持続性気道陽圧)は自発呼吸を前提に、吸気・呼気の全相で一定の陽圧(通常は設定したPEEPレベル)を持続的に負荷することで肺胞虚脱を防ぎ、機能的残気量を増やして酸素化を改善する呼吸補助法である。したがって、吸気時間や呼気時間は患者の自発呼吸に依存し、吸気呼気比や分時換気量は一定化されない。また、自発呼吸を抑えてしまう筋弛緩薬は原理に反し不要である。正しい記述は「気道内圧が一定になる」で、これは設定陽圧を呼吸相を通じて維持するというCPAPの特徴を述べている。一方、高二酸化炭素血症(換気不全)の是正には換気量の補助が必要で、CPAP単独は主適応ではない。
選択肢別解説
誤り。CPAPは自発呼吸が前提で、吸気・呼気の時間配分は患者自身が決めるため吸気呼気比(I:E比)は一定にならない。機械側で吸気時間を規定するモードではない。
誤り。分時換気量は患者の呼吸数と一回換気量に依存し、CPAPはそれらを規定しない。CPAPは酸素化改善(肺胞開存維持)が主目的で、換気量の一定化は行わない。
誤り。CPAPは自発呼吸を必要とするため、筋弛緩薬で自発呼吸を抑制することは原理に反し不要である。筋弛緩薬が必要な状況はCPAP適応外(人工換気管理)となる。
正しい。CPAPは設定した陽圧(PEEPレベル)を吸気・呼気を通じて持続的に維持し、気道内圧の低下を防ぐ。これにより肺胞虚脱を防止し酸素化を改善する。実際の圧は流量や漏れで微小に変動し得るが、概念として一定の陽圧を保つのが特徴である。
誤り。高二酸化炭素血症(換気不全)の是正には換気補助(例:二相性陽圧換気や圧支持)が必要で、CPAP単独は主適応ではない。CPAPは主に低酸素血症の改善(肺胞リクルート)を目的に用いられる。
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解説
体外循環中のトラブルでは、原因に対してリスクを速やかに除去できる対処が求められる。膜型肺の血栓形成はガス交換能低下や圧損上昇、塞栓リスクを伴うため、ACT低下があればヘパリン追加は行うが、基本は人工肺(必要に応じて回路)交換が第一選択であり「ヘパリン投与」を対応とするのは不適切。膜型肺ガス出口の血漿漏出は膜障害・プラズマリークで人工肺交換が適切。血液ポンプ停止時は手動ハンドルで循環を維持しつつ復旧・交換する。送血側への大量空気混入は直ちに送血停止し、除泡・回路再充填などを行う。熱交換器の温水側への血液混入は熱交換器破損(非滅菌水側への血液漏出・逆流汚染リスク)を示し、直ちに人工肺(熱交換器一体型)や熱交換器の交換・隔離が必要で温度調節では解決しない。従って誤っている組合せは1と5である。
選択肢別解説
誤りの組合せ。膜型肺で血栓形成が生じるとガス交換能低下、トランスメンブレン圧上昇、塞栓リスクが高まる。ACT低下が原因ならヘパリン追加は必要だが、既に血栓が形成された人工肺は速やかな人工肺交換が原則であり、「ヘパリン投与」を主たる対応とするのは不適切。
適切な組合せ。膜型肺ガス出口からの血漿漏出は膜障害(プラズマリーク)を示し、ガス交換不良やさらなる破綻につながるため、人工肺の交換が必要となる。
適切な組合せ。血液ポンプが停止した場合は直ちに手動式ハンドルで灌流を維持し、同時に電源復旧や代替ポンプへの切替を行う。循環維持の初期対応として妥当。
適切な組合せ。送血回路内に大量の空気が入った場合は即時に送血を停止し、回路除泡・再充填などで空気排除を行う。患者への空気塞栓回避が最優先で、送血停止は正しい初期対応。
誤りの組合せ。熱交換器の温水側への血液混入は熱交換器の破損・リークを示し、水側(非滅菌)からの汚染や逆流リスクがある。直ちに人工肺(熱交換器一体型)や熱交換器の交換・隔離が必要で、温水の温度調節では根本的対処にならない。
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