臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
血液透析で漏血(ダイアライザ血液側から透析液側への血液混入)警報が鳴った場合、最優先は透析液の供給を停止し、血液ポンプを低速(必要時停止)として状況を安全に保ちつつ原因を確認することである。主因はダイアライザ膜の破損やリークであり、他に検知器の汚れ・気泡による誤報もある。目視で確認できないときは透析液出口の液を採取し潜血試験紙でヘモグロビンの有無を確認する。回路圧異常(脱血不良など)も膜損傷や誤検知の背景になり得るため点検する。一方、警報直後に“透析液流量が正しいか”を確認することは緊急対処の本質ではなく、対応を遅らせ得るため不適切である。したがって誤りは選択肢2。
選択肢別解説
正しい。漏血の主要因はダイアライザ膜の破損・ピンホールである。透析液出口や本体透明部の赤色化を確認し、漏血が疑われればダイアライザ交換を含めて対応する。
誤り。漏血警報時の初期対応は透析液供給の停止と血液ポンプの低速化(必要時停止)、原因確認である。透析液流量の設定が正しいかの確認は優先度が低く、漏血の是正にも直結しないため、直後の対処としては不適切。
正しい。脱血不良などで回路圧が異常となるとTMPが偏り、膜損傷やセンサ誤検知の背景となり得る。動静脈圧・TMP・クランプ閉塞の有無などを確認することは有用。
正しい。漏血検知器は光学式が一般的で、受光部の汚れ、気泡、濁りで誤報が起こり得る。受光部清拭や自己診断・点検で動作確認する。
正しい。目視困難な微量漏血では、ダイアライザ透析液出口から採液し、潜血試験紙でヘモグロビン反応を確認して判断する。
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a. 送血流量: $2.4 \ell / (\min \cdot \mathrm{m}^2)$
b. 平均動脈圧: $70 \mathrm{mmHg}$
c. 静脈血酸素飽和度: $70 \%$
d. ACT: $250$ 秒
e. ヘモグロビン: $6.0 \mathrm{g} / \mathrm{d} \ell$
解説
成人の体外循環(人工心肺)では、適正灌流条件の目安として送血流量は体表面積あたり約 $2.3\text{〜}2.5\ \mathrm{L}/(\min\cdot m^2)$、平均動脈圧はおおむね $60\text{〜}80\ \mathrm{mmHg}$、混合静脈血酸素飽和度(SvO2)は $70\%$ 以上を維持することが一般的である。抗凝固はヘパリン化後のACTを少なくとも $400\ \mathrm{s}$(施設により $480\ \mathrm{s}$ 程度)以上に保つことが標準的で、ACT $250\ \mathrm{s}$ は凝固管理として不十分である。また過度の血液希釈は酸素運搬能を低下させるため、体外循環中の下限は概ね Hb $7.0\ \mathrm{g/dL}$(Ht $\ge 20\%$ 目安)で、Hb $6.0\ \mathrm{g/dL}$ は低すぎる。したがって本問で「適切でない」のはACT $250\ \mathrm{s}$ と Hb $6.0\ \mathrm{g/dL}$ である。
選択肢別解説
送血量 $2.4\ \mathrm{L}/(\min\cdot m^2)$ は、成人の標準体温域における適正灌流量の目安 $2.3\text{〜}2.5\ \mathrm{L}/(\min\cdot m^2)$ に合致し適切である。低体温や患者状態により個別調整は行うが、提示値自体は妥当。
平均動脈圧 $70\ \mathrm{mmHg}$ は、体外循環中に推奨されるおおよその管理範囲 $60\text{〜}80\ \mathrm{mmHg}$ に入っており適切である。臓器灌流(脳・腎)維持の観点からも問題ない設定。
静脈血酸素飽和度(混合静脈血酸素飽和度) $70\%$ は、体外循環中の目標(少なくとも $\ge 70\%$)に一致し、酸素供給が需要を上回っている目安として適切である。$60\%$ 未満は酸素供給不足を示唆するため不適切だが、$70\%$ は妥当。
ACT $250\ \mathrm{s}$ は低すぎ、人工心肺回路内の凝固・血栓形成リスクが高い。体外循環中は通常 $\ge 400\ \mathrm{s}$(施設によっては $\ge 480\ \mathrm{s}$)を維持するため、提示値は不適切。追加ヘパリン投与や管理見直しが必要となる水準である。
ヘモグロビン $6.0\ \mathrm{g/dL}$ は過度の希釈で酸素運搬能が不足する。体外循環中の下限目安は一般に Hb $\ge 7.0\ \mathrm{g/dL}$(Ht $\ge 20\%$)であり、必要に応じ赤血球輸血を検討する。よって提示値は不適切。
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解説
PCPSは静脈-動脈(V-A)補助、いわゆるVA-ECMOであり、重篤な循環不全を迅速に補助する目的で用いる。適応としては、急性心筋梗塞後の自由壁破裂などによる心原性ショックで外科的修復までの橋渡し、ショックや心停止を伴う急性肺動脈血栓塞栓症などが代表的である。一方、PCPS運用には全身抗凝固が基本となるため、急性くも膜下出血のような頭蓋内出血は原則禁忌であり、「適応」とする記載は誤りである。カニュレーションは一般に大腿アプローチで、送血は大腿動脈、脱血は大腿静脈に挿入するのが標準であり、腕頭動脈送血は通常行わない。したがって誤りは『急性くも膜下出血は適応』および『送血管は腕頭動脈』の選択肢である。
選択肢別解説
正しい。急性心筋梗塞後の左室自由壁破裂などによる心原性ショックでは、外科的修復までの循環維持が必要であり、PCPSによる一時的循環補助は適応となる。心拍出の確保と末梢灌流改善により救命の可能性を高める。
正しい。ショック状態(あるいは心停止)を伴う急性肺動脈血栓塞栓症では、右心不全と低酸素血症が進行する。PCPSにより体循環(動脈側)を維持しつつ、右心の後負荷軽減・全身灌流の確保が可能で、血栓溶解療法や外科的血栓除去の橋渡しとなる。
誤り。PCPS運用には全身抗凝固が基本であり、急性くも膜下出血などの頭蓋内出血は再出血リスクが高く原則禁忌である。特殊状況でヘパリンレス運用を検討する報告もあるが、一般的な適応とはいえないため『適応である』は不適切。
誤り。PCPSの送血管は通常、大腿動脈から逆行性に送血する大腿アプローチが標準である。腕頭動脈は経皮的カニュレーションの標準的到達路ではなく、選択肢の記載は不適切。
正しい。PCPSの脱血管は通常、大腿静脈から挿入し、先端を右房近傍に位置させる。これにより静脈血を効率よく体外循環回路へ導くことができる。
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解説
血液透析中の空気誤入(空気塞栓)は、血液ポンプより手前の動脈側回路が陰圧であるため、穿刺針−回路の接続不良やフラッシングラインの閉鎖不良などから侵入しやすい。重症化すると血圧低下や意識障害などショックに至る。対応はまず追加侵入を止めるため静脈側回路のクランプとポンプ停止、100%酸素投与を行い、体位は右心室流出路への流入を抑える目的で左側臥位・頭低位(Durant体位:トレンデレンブルグ体位)とする。右側臥位は誤りである。必要に応じて高気圧酸素療法の適応を検討する。
選択肢別解説
正しい。空気は陰圧がかかる血液ポンプ手前(動脈側)で侵入しやすく、典型的には穿刺針と回路の接続不良や生理食塩液注入ラインの閉鎖不良が原因となる。透析中はこれら接続部を重点的に点検する。
正しい。空気塞栓で肺動脈血流が障害されると、呼吸困難、胸痛、咳嗽、血圧低下、意識障害などを呈し、重篤例ではショックに陥る。迅速な介入が必要である。
誤り。空気塞栓が疑われる場合は左側臥位・頭低位(Durant体位)とし、右心室内気泡を上方の心尖部側へ浮上させて肺動脈流出路から遠ざける。右側臥位は気泡が肺動脈へ流れやすくなる可能性があり不適切。
正しい。追加の空気侵入を防ぐため、直ちに静脈側回路をクランプし、血液ポンプを停止する。その後、酸素投与やバイタル監視、必要に応じて中枢静脈からの気泡吸引などを行う。
正しい。高気圧酸素療法は気泡径の縮小と組織酸素化改善を目的に治療選択肢となる。臨床的には可能なら早期から検討されるが、本肢の『検討する』との記載は治療選択として妥当である。
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解説
人工心肺から安全に離脱するための前提は、確実な復温(目安36℃以上)、自発拍動・心機能の回復、適切な前負荷・後負荷、換気の再開とガス交換・酸塩基の是正、電解質の補正、そして心腔・大血管内の空気除去である。これらを確認しながらポンプ流量を段階的に減らして離脱を行う。一方、プロタミンは体外循環中に投与すると回路内凝血の危険があるため、通常は離脱が完了し体外循環を停止できる見通しが立った後(多くは離脱完了直後、脱血カニューレ抜去前後の時期)にヘパリン中和目的で投与する。したがって『離脱に向けて行う』操作としては不適切であり、これが誤りの選択肢である。
選択肢別解説
復温は離脱の必須条件。低体温のままでは心筋収縮性や伝導が不安定となり不整脈や低心拍出を招きやすい。一般に中枢温36℃以上を目標に復温してから離脱に進むため、行うべき操作として適切。
体外循環中は肺血流が著減し換気を停止していることが多い。離脱に先立って麻酔器で換気を再開し、適切な酸素化・CO2除去、肺胞リクルート、気道内圧の確認を行うのが標準であり、適切。
プロタミン投与はヘパリン中和のために体外循環終了後(離脱完了の見通しが立った後)に行うのが原則で、離脱に向けて準備段階で行う操作ではない。体外循環中に投与すると回路内凝血の危険があるため、本設問では不適切=誤り。
K+, Ca2+(場合によりMg2+)などの電解質異常は不整脈や心収縮力低下を招く。離脱前に目標域へ補正しておくことは心機能の安定化に有用であり、適切。
左心系・大血管内の残存空気は脳・全身の空気塞栓の原因となる。経食道心エコー等で確認しつつ心腔内のデアリング(空気抜き)を行うのは離脱時の重要手技であり、適切。
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解説
加温加湿器で作られた37℃・飽和に近いガスは、配管内で外気に熱を奪われると露点を下回り結露(レインアウト)を生じる。回路に内蔵されたヒータワイヤは配管を沿って低出力で発熱し、ガスと回路壁の温度低下を抑えることで結露を防止し、安定した湿度と気道抵抗の上昇や水溜まりによる誤作動を避けることが主目的である。ガスを室温から体温まで加温する主役は加温加湿器(チャンバとヒータプレート)であり、ヒータワイヤは回路内での冷却を防ぐ補助的機構である。構造強度の付与や殺菌、患者の体温調節は目的ではない。
選択肢別解説
正しい。加温加湿後のガスが回路内で冷やされ露点を下回ると結露が生じる。ヒータワイヤは回路を沿って発熱し、ガス温度低下を抑えて結露(レインアウト)を防止する。これにより水溜まりによる換気不良やアラーム、感染リスク増大を抑える効果がある。
誤り。ヒータワイヤは発熱体であり、回路の機械的強度を確保する目的ではない。回路の強度はチューブ材質や肉厚、蛇腹構造などで規定される。
誤り。ヒータワイヤの作動温度は送気ガスの37℃前後を維持する程度で、殺菌に必要な高温には達しない。感染対策はフィルタや回路交換などで行う。
誤り。室温の乾燥ガスを体温・飽和近くまで加温加湿する主役は加温加湿器(チャンバとヒータプレート)である。ヒータワイヤの役割は回路内での冷却を抑えて結露を防ぐことが中心である。
誤り。ヒータワイヤは吸気ガスの温湿度維持を目的とし、患者の全身の体温調節を行う装置ではない。体温管理は保温ブランケットや血液加温など別の手段で行う。
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