臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
超音波の生体内伝搬では、周波数が高いほど吸収・散乱による減衰が大きくなり、到達深度は浅くなる(軟組織での減衰係数は概ね0.5〜1 dB/cm/MHz程度)。一方で、同一開口径で比較すると周波数が高いほど波長が短くなりビームの指向性は高まる(開口径/波長の比が増大)。音速は媒質の弾性と密度で決まり、空気(約340 m/s)<軟組織(約1,540 m/s)<骨(約3,000〜4,000 m/s)の順に速い。音響インピーダンスは $Z=\rho c$ で与えられ、空気を多く含む肺は軟組織に比べて非常に小さく、界面で強い反射を生む。以上より、正しいのは「周波数が高いほど減衰が増加する」。
選択肢別解説
誤り。超音波の指向性は開口径に対する波長の比に依存し、周波数が高い(=波長が短い)ほどビームは絞られて指向性が高くなる。したがって「周波数が低いほど高くなる」は逆。
正しい。生体軟組織では減衰係数が周波数にほぼ比例し、周波数が高くなるほど減衰(dB/cm)が増えるため、到達深度は浅くなる(例:0.5〜1 dB/cm/MHz)。
誤り。軟組織中の音速はおよそ1,540 m/sで、空気中(約340 m/s)の約4〜5倍程度にとどまり、10倍(約3,400 m/s超)にはならない。
誤り。骨中の縦波の音速はおおむね3,000〜4,000 m/sで、軟組織(約1,540 m/s)より速い。よって「骨を通ると遅くなる」は不正確。
誤り。音響インピーダンスは $Z=\rho c$ に比例する。肺は多数の肺胞内に空気を含み、密度・音速とも小さいためインピーダンスは小さい。結果として軟組織-肺界面で強い反射が生じる。
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解説
生体組織の電気特性は周波数依存性(分散)を示す。おおまかに$\alpha$分散(低周波、電極・界面分極や細胞膜表面のイオン雰囲気など)、$\beta$分散(中周波、細胞膜を介した層状構造に由来するMaxwell–Wagner型の界面分極)、$\gamma$分散(高周波、主に水分子の双極子分極)が知られている。組織導電率は水・電解質含量に強く依存するため、含水率の高い筋肉は脂肪より高い導電率を示す。骨格筋は筋線維が配向しているため電気的異方性が強く、線維方向の導電率が垂直方向より大きい。有髄神経の髄鞘は脂質に富む絶縁層で導電性は低く、これが跳躍伝導を可能にする。
選択肢別解説
誤り。水分子の双極子(回転)分極は高周波域の$\gamma$分散(おおむねGHz帯)の主因である。$\alpha$分散(おおむね1 kHz以下)は細胞膜界面のイオン雰囲気や電極・界面分極など低周波現象に起因する。
正しい。$\beta$分散(数kHz〜数十MHz)は細胞内外液と脂質二重層膜が作る層状・複合構造により生じる界面分極(Maxwell–Wagner効果)に起因し、組織の(細胞レベルの)構造を反映する。
正しい。脂肪組織は水・電解質含量が低く、イオン伝導が乏しいため導電率は筋肉より低い(抵抗率は高い)。
誤り。骨格筋は筋線維が一定方向に配向しており、線維方向と垂直方向で導電率や誘電率が大きく異なるため、異方性は強い。
誤り。有髄神経の髄鞘は脂質に富む多層の細胞膜で電気的な絶縁体として働き、導電性は低い。これによりRanvier絞輪間での電流漏洩が抑えられ、跳躍伝導が実現する。
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解説
超音波画像計測では、生体軟部組織中の音速は代表値として約1,540 m/s(おおむね1,500〜1,560 m/s)が用いられ、これを前提に往復時間から距離を算出する。超音波は周波数が高いほど吸収・散乱による減衰が大きく、到達深度は浅くなる一方で距離分解能は向上する。画像化の基本原理は、音響インピーダンス(密度×音速)が異なる組織境界で生じる反射エコーを利用する点にある。臨床的には、心エコーで心室壁厚などの形態計測が可能であり、また血管内エコー(IVUS)により血管内腔から断面像を取得して血管壁やプラークの評価ができる。
選択肢別解説
誤り。生体軟部組織中の音速は約1,540 m/sが代表値であり、約340 m/sは空気中の音速である。超音波診断装置はこの代表値を用いて距離(深さ)を計算するため、340 m/sとする記述は不正確。
誤り。超音波の減衰は周波数にほぼ比例して大きくなる。周波数が高いほど吸収・散乱が増し減衰が大きく、深部まで届きにくい(逆に分解能は向上する)。
正しい。超音波は音響インピーダンスが異なる境界で一部が反射し、その反射強度はインピーダンス差が大きいほど大きくなる。この反射エコーの時間情報から深さを求め、画像を構成する。
正しい。心エコーでは2D像やMモードを用いて、左室中隔(IVS)や後壁(PW)の厚さを拡張末期など規定のタイミングで測定できる。心室壁厚や収縮の評価に日常的に用いられる。
正しい。血管内エコー(IVUS)では、超音波トランスデューサを先端に備えたカテーテルを血管内に挿入し、内腔から血管の断面像を取得できる。これにより内膜やプラークの性状・分布を詳細に評価可能。
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解説
生体組織に入射した光は、波長依存の散乱と吸収で減衰する。皮膚は角層・表皮・真皮にわたって屈折率不整(細胞構造やコラーゲン線維など)が多く、可視光に対する散乱が大きい。血液では赤血球(約7–8 µm)がミー散乱体として働き散乱が大きい。紫外線のうちUVA(約320–400 nm)は表皮を越えて真皮まで到達しうる。一方、水は可視域の吸収は小さいが、赤外域では分子振動(OH伸縮など)の基本振動・倍音・結合音により強く吸収するため、「水の赤外光の吸収は小さい」は誤りである。眼球内の媒体(角膜・房水・水晶体・硝子体)は可視光に対して高い透過性を示し、吸収は小さい(UVは角膜・水晶体で主に吸収される)。
選択肢別解説
正しい。皮膚は細胞内外の屈折率差やコラーゲン線維など多数の散乱体を含み、可視光に対する散乱係数が大きい。これにより入射可視光は浅部で強く拡散し、深部まで届きにくい。
正しい。血液中の赤血球は可視域でサイズが波長と同程度のミー散乱体として働き、光散乱が大きい。加えてヘモグロビンの吸収も強いが、本肢は散乱についての記述であり妥当である。
正しい。UVA(約320–400 nm)はUVBより波長が長く散乱・吸収を受けにくいため、真皮まで到達しうる。光老化(真皮の弾性線維変性)との関連でも知られる。
誤り(設問の正解)。水は赤外域で強い吸収を示す。特に近赤外の約1,400 nm付近以上や中赤外域ではOH振動由来の吸収帯が顕著で、透過は小さい。よって「赤外光の吸収は小さい」は不適切。
正しい。眼球内媒体(角膜・房水・水晶体・硝子体)は可視光に対して高い透過性を持ち、吸収は小さい。一方でUVは主に角膜・水晶体で吸収される。網膜は可視光を受容するが、ここでの文脈は眼球媒体の光学特性を指す。
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