臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
体積変化がない(非圧縮性)の条件は、微小ひずみの範囲で体積ひずみがゼロ、すなわち $\Delta V/V \approx \varepsilon_l + 2\varepsilon_t = 0$ を意味する。ポアソン比は $\nu = -\varepsilon_t/\varepsilon_l$ で定義されるため、$\varepsilon_t = -\varepsilon_l/2$ を代入すると $\nu = 0.5$ が得られる。等方線形弾性体では安定条件から $-1<\nu<0.5$ が成り立ち、非圧縮性極限で $\nu \to 0.5$ となる。したがって、体積変化がなければポアソン比は0.5である。
選択肢別解説
不正解。$\nu=0.1$ では体積ひずみは $\varepsilon_v=\varepsilon_l+2\varepsilon_t=(1-2\nu)\varepsilon_l=(1-0.2)\varepsilon_l=0.8\varepsilon_l$。圧縮で $\varepsilon_l<0$ のため体積は減少し、体積変化はゼロにならない。
不正解。$\nu=0.3$ のとき $\varepsilon_v=(1-2\nu)\varepsilon_l=(1-0.6)\varepsilon_l=0.4\varepsilon_l$。圧縮で体積は減少し、非圧縮条件(体積変化ゼロ)を満たさない。
正解。非圧縮性条件 $\varepsilon_l+2\varepsilon_t=0$ と定義 $\nu=-\varepsilon_t/\varepsilon_l$ から $\nu=0.5$ が導かれる。等方線形弾性体の非圧縮限界である。
不正解。$\nu=0.7$ は等方線形弾性体の安定条件($-1<\nu<0.5$)に反し物理的に許されない。加えて $\varepsilon_v=(1-2\nu)\varepsilon_l=(1-1.4)\varepsilon_l=-0.4\varepsilon_l$ で、圧縮時は体積が増える計算となり、体積変化ゼロにもならない。
不正解。$\nu=1$ も等方線形弾性体の範囲を超え物理的に成立しない。非圧縮性条件は $\nu=0.5$ に限られる。
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解説
人工心肺による体外循環では、血液が非生体表面(回路・酸素atorなど)に接触することで補体系(主に副経路)が活性化し、C3a・C5a などのアナフィラトキシンが産生され炎症反応が惹起される。接触系の賦活(XII因子→プレカリクレイン→カリクレイン)によりキニン系が動員され、ブラジキニンは増加する。血液成分では、希釈、回路表面への付着・活性化、消費、機械的損傷などにより血小板が減少し、白血球ではリンパ球が著明に減少して好中球優位となる。内分泌反応としては、手術侵襲・ストレス、非拍動流、体液変動などの影響で抗利尿ホルモン(バソプレシン)はむしろ上昇傾向を示す。以上より、1・2・3は正しく、4・5は記載が逆で誤りである。
選択肢別解説
正しい。血液が人工物に接触すると補体系が主に副経路で活性化し、C3a・C5a などのアナフィラトキシン生成、好中球活性化、炎症反応の増強が起こる。体外循環に特有の非生体表面接触が誘因である。
正しい。体外循環では血液希釈、回路・人工肺表面への付着、活性化に伴う消費、機械的破壊や剪断応力などにより血小板数は低下する(一般に30〜50%程度の減少がみられることが多い)。機能低下(活性化・脱顆粒)も併発する。
正しい。体外循環中はリンパ球が相対的・絶対的に減少し、白血球分画は好中球優位となる。原因としては希釈、再分布(margination)、アポトーシスやサイトカイン環境の変化などが挙げられる。
誤り。抗利尿ホルモン(バソプレシン)は手術侵襲やストレス、非拍動流、相対的低灌流・体液変動などの影響でむしろ上昇傾向を示すため、「減少する」は不適切である。
誤り。接触系(カリクレイン-キニン系)が賦活化され、キニノーゲンからブラジキニンが産生・遊離されるため、血中ブラジキニンは増加する。「減少する」は逆である。
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解説
膜型人工肺の膜材には大別して多孔質膜と均質膜(非多孔膜)、さらに両者の特性を併せ持つ複合膜がある。多孔質膜は微細孔を介してガスが交換されるため、境膜抵抗が小さく一般にガス交換能は高い。一方で、長時間使用により細孔が濡れて血漿成分が漏出するプラズマリークや、血液側に陰圧がかかると細孔からガスが血液側へ引き込まれて気泡混入を生じるリスクがある。均質膜は細孔を持たず、ガスは膜材中を拡散して血液へ到達する拡散型で、血液とガスは非接触であるためプラズマリークがなく長期使用に適するが、ガス交換能は多孔質膜より低い。したがって『多孔質膜は均質膜よりガス交換能が劣る』は誤りであり、本問の正答は選択肢2である。
選択肢別解説
正しい。多孔質膜は微細孔を介してガス交換するため、長時間の使用で細孔が濡れて血漿成分がにじみ出るプラズマリークを起こしうる。特にECMOなどの長時間使用では問題となる。
誤り。本問の解答。多孔質膜は微細孔を通じてガスが移動し境膜抵抗が小さいため、一般に均質膜よりガス交換能(酸素移送・二酸化炭素除去能)が高い。均質膜は拡散によるため性能は相対的に低い。
正しい。多孔質膜では血液側が陰圧になるなどで膜間圧力差が逆転すると、ガス相から血液相へ気体が押し込まれ、細孔を介した気泡混入の危険がある。
正しい。均質膜(非多孔膜)はガスが膜材中を拡散して移動するため、血液相とガス相は膜により完全に隔てられ、直接は接触しない。
正しい。シリコーンゴム(ポリジメチルシロキサン)は細孔を持たない均質膜材で、拡散機構によりガス交換を行う。
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解説
生体の熱特性では、組織の比熱は主に水分量に依存し、水分含量の少ない脂肪組織は筋組織より比熱が小さい。運動時の産熱は骨格筋が主体で、肝臓は安静時の主要産熱臓器の一つだが運動時の最大の産熱源ではない。体表からの放射はウィーンの変位則 $\lambda_{\max} = \frac{b}{T}$(定数 $b\approx 2898\ \mu\mathrm{m}\cdot\mathrm{K}$)より、皮膚温が約 33–35 $^\circ\mathrm{C}$($\approx 306\text{–}308\ \mathrm{K}$)のとき $\lambda_{\max}\approx 9\text{–}10\ \mu\mathrm{m}$ の遠赤外(赤外領域)となる。体表からの熱放散は、末梢血管の拡張により皮膚血流が増えることで伝導・対流・放射・蒸散が促進される。生体内部の熱移動は血流による対流が主役で、組織自身の熱伝導の寄与は相対的に小さい。
選択肢別解説
誤り。組織の比熱は水分量に依存し、水分の多い筋組織の方が比熱は大きい。脂肪組織は水分含量が低く、比熱は筋より小さい。
誤り。運動時の産熱の大半は骨格筋で生じる。骨格筋の機械効率はおよそ20–25%で、残りのエネルギーは熱となる。肝臓は安静時には主要な産熱臓器だが、運動時の最大産熱源ではない。
正しい。ウィーンの変位則 $\lambda_{\max} \approx \frac{2898\ \mu\mathrm{m}\cdot\mathrm{K}}{T}$ より、皮膚温を約306–308 Kとするとピーク波長は約9–10 $\mu\mathrm{m}$ の遠赤外で、赤外領域に属する。
正しい。末梢血管が拡張すると皮膚血流が増加し、深部から皮膚への熱移送が増え、放射・対流・蒸散による体表からの熱放散が促進される。
誤り。生体内部の熱移動の主因は血流による熱対流であり、組織の熱伝導の寄与は相対的に小さい。血流が乏しい局所を除けば、対流が支配的である。
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