臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
臓器機能代替療法は、急性期に低下・喪失した臓器機能を機器で補助・代行して全身状態を維持する治療であり、ICUで広く用いられる。代表は呼吸不全に対する人工呼吸器(呼吸・換気の代行)、腎不全に対する血液浄化装置(腎代替療法:RRT)、重篤な呼吸・循環不全に対する体外式膜型人工肺(ECMO/ECLS:ガス交換と場合により循環補助)である。一方、スワンガンツカテーテルは血行動態を測定する監視(モニタリング)機器であり臓器機能を代行しない。人工知能は診療支援のためのアルゴリズム・ソフトウェアであり、生体機能を直接代行する装置ではない。よって該当するのは1、2、5である。
選択肢別解説
人工呼吸器は自発呼吸が不十分な患者に対し、換気(吸気・呼気)を機械的に提供して肺のガス交換機能を代行・補助する。集中治療での臓器機能代替療法に該当するため適切。
血液浄化装置は血液透析・持続的腎代替療法(CRRT)などにより溶質除去や除水を行い、主に腎機能を代行する(状況により肝補助の吸着療法等もある)。ICUの臓器機能代替療法に該当するため適切。
スワンガンツカテーテル(肺動脈カテーテル)は肺動脈圧・肺動脈楔入圧・心拍出量などの血行動態を測定するモニタリング機器であり、臓器機能を代行しないため不適切。
人工知能は診断支援や予測モデルなどの情報支援を提供するが、生体のガス交換・循環・ろ過などの臓器機能を直接代行する装置ではないため不適切。
体外式膜型人工肺(ECMO/ECLS)は膜型人工肺でガス交換を行い、回路とポンプにより循環補助も可能で、重篤な呼吸不全や循環不全に対する臓器機能代替療法として用いられるため適切。
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解説
血液浄化(維持透析)における災害対策では、患者・施設双方の事前準備と、発災時の情報連絡・指揮命令系統の維持が要です。患者側は透析条件(処方、DW、シャント側、血液型、薬剤・造影剤アレルギー、基礎疾患、緊急連絡先など)を記した情報カードや透析手帳を常時携帯し、発災時は必ず自施設に連絡して透析の可否や代替施設の案内を受けます。施設側は災害時の連絡手段・指揮命令系統を明確にし、スタッフの参集手段を含めた事前計画を整備します。透析中に地震が発生した場面では、落下物から身を守り、揺れが収まるまで不用意に動かず(針を自分で抜かない)、スタッフの指示に従うのが基本です。よって「施設に連絡せず患者の判断に任せる」は誤りで、他の選択肢は災害対策として妥当です。
選択肢別解説
適切。災害で受療先が変わる可能性があるため、透析条件(処方、DW)、シャント側、血液型、既往・内服、禁忌薬、緊急連絡先などを記した情報を患者が常時携帯するよう指導する。受け入れ先施設で迅速に安全な透析を行うための必須情報となる。
適切。発災時は情報が錯綜するため、施設内で指揮命令系統を一本化し、責任者・上位者に情報を集約して指示に従うことが事故防止と資源配分の最適化につながる。医療安全・BCP上の基本原則である。
適切。災害時は公共交通の停止や道路寸断が想定されるため、徒歩ルートの確認、代替交通手段、相互送迎体制、連絡網など、スタッフの参集手段を事前に準備しておくことが重要である。
不適切(誤り)。発災時に患者個々の判断に委ねると、透析の中止・延期や代替施設調整、水・電力・消耗品の逼迫状況の把握ができず、医療安全上リスクが高い。患者はまず自施設に連絡し、透析実施の可否や受け入れ先の指示を受けるべきである。
適切。透析中に地震が起きたら、落下物から頭部・体を守り、揺れが収まるまで無理に動かず、針を自ら抜かない。揺れが収まってからスタッフの指示で回路を安全に停止・返血する。本文中の「透折」は「透析」の誤記と考えられるが、内容自体は正しい教育項目である。
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解説
透析装置のモニタリングでは、透析液の電解質濃度管理に電導度計が用いられ、設定範囲外では警報や供給停止が作動する。患者の体重変化から総除水量・除水速度を把握するためにスケールベッド(体重計一体型ベッド)が用いられる。透析器の漏血検出は、透析排液中の血液(赤血球)による光の透過低下を光学的に検出する方式であり、一般に赤外線や可視光の減衰を用いるため「紫外線」を用いる記述は誤りである。透析液温は安全のため制御用と監視用など複数箇所で測定・監視されるのが一般的で、1か所のみと断定できない。自動血圧計は臨床上有用だが、コンソールへの内蔵は法的義務ではない。
選択肢別解説
正しい。透析液の濃度(電解質濃度)は電導度(mS/cm)で監視・管理する。導電率はイオン濃度に相関し、設定範囲外では警報・供給停止などの安全機能が動作する。
正しい。スケールベッドで透析中の連続体重測定を行い、体重減少分を総除水量として求め、除水速度も算出できる(例:除水速度 $\text{UF rate}=\frac{\Delta W}{t}$)。除水管理・安全管理に有用。
誤り。漏血検出は透析排液中の血液により光の透過が低下する現象を光電的に検出する。一般に赤外線(近赤外)や可視光の減衰を利用し、紫外線を用いる方式ではない。
誤り。透析液温度は安全性確保のため、加温・制御用センサと独立した監視用センサなど、複数箇所で測定・監視されるのが通常であり、1か所のみとは言えない。
誤り。コンソールに自動血圧計を内蔵する製品はあるが、法令や規格で内蔵が義務付けられているわけではない。血圧監視は必要だが、装置内蔵は必須要件ではない。
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