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臨床工学技士国家試験
解説
血液浄化装置の代表的な監視原理は、漏血は透析液の光学的変化(吸光度/光透過率)、気泡は超音波式、温度はサーミスタ式、圧力はストレインゲージ式で監視するのが一般的である。透析液の「濃度計」は電解質濃度に比例する電気伝導度(導電率)を測る方式が標準であり、浸透圧測定は透析装置のオンライン監視には用いない。よって「濃度計—浸透圧」の組合せが誤り。その他の組合せは適切。
選択肢別解説
漏血検知器は透析液側に血液が混入するとヘモグロビンによる吸光が増し、光透過率が低下する性質を利用して検知する。したがって「漏血検知器—光透過」の組合せは正しい。
気泡検知はチューブを挟み込むクランプ型の超音波センサで、液体に気泡が混入すると超音波の伝搬・反射が変化することを利用して検出する(光学式が用いられる場合もある)。よって「気泡検知器—超音波」は正しい。
透析液の『濃度計』は実質的に電気伝導度計であり、電解質濃度に比例して変化する導電率を連続監視する。浸透圧は凍結点降下法などのオスモメータで測るもので、透析装置のオンライン濃度監視には通常用いない。従って「濃度計—浸透圧」は誤り。
透析液温は温度により抵抗が大きく変化するサーミスタで高感度に測定するのが一般的。よって「温度計—サーミスタ」は正しい。
圧力センサは膜の歪みを電気抵抗の変化に変換するストレインゲージ(歪みゲージ)を用いるのが標準的。従って「圧力計—ストレインゲージ」は正しい(原文のカナ表記に誤りがあるが原理としては適切)。
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解説
体外循環では、プライミングなどによる血液希釈でヘマトクリットが低下し、血液粘稠度は低下する。これに伴って血漿タンパク濃度も下がるため膠質浸透圧は低下する。希釈によりポンプ内のずり応力が相対的に下がるため、一般的には溶血は増えない。一方、低体温管理は代謝低下を目的に用いられるが、温度低下は血液の粘性を上昇させ、さらに酸素解離曲線を左方偏位させてヘモグロビンの酸素親和性を高めるため、末梢組織での酸素放出(移行)は抑制される。よって正しいのは選択肢5であり、1~4は生理学的機序に反する。
選択肢別解説
誤り。血液希釈によりヘマトクリットが下がると血液粘稠度が低下し、ローラーポンプ等でのずり応力も相対的に低下するため、一般には溶血は増加しない。溶血は回路設計やポンプ条件に強く依存するが、「希釈で溶血量が増加する」との一般化は不適切。
誤り。血液希釈では血漿タンパク(アルブミンなど)の濃度が下がるため膠質浸透圧は低下する。晶質液主体のプライミングでは特に顕著で、COP維持にはアルブミンやHESなどの膠質製剤追加が必要。
誤り。血液希釈(ヘマトクリット低下)は血液粘稠度を低下させる。粘稠度はヘマトクリットと温度に依存し、希釈のみでは増加しない。
誤り。低体温では血液の粘性が増加し、血液粘稠度は上昇する。水の粘度上昇や赤血球変形能低下の影響も加わるため、低体温で粘稠度が低下するという記述は不正確。
正しい。低体温では酸素解離曲線が左方偏位し、ヘモグロビンの酸素親和性が増大するため、末梢組織での酸素放出(移行)が低下する。加えて低温での拡散係数低下や血液粘稠度上昇・血管収縮も、組織酸素移行を阻害する方向に働く。
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解説
透析装置(コンソール)が標準でリアルタイム監視・アラーム管理する代表項目には、血液回路の気泡(空気塞栓防止のための気泡検出器)、動脈圧・静脈圧などの回路内圧、治療計画通りに体液量を調整する除水量(UF量)、そして患者安全のための透析液温度などがある。これらは直接的に重篤な事故(空気塞栓、溶血、回路閉塞等)や治療逸脱を防止する目的で搭載される。一方、透析液や血液中の溶存酸素(設問表記:溶解酸素)をコンソールが常時測定・監視する機構は標準装備ではなく、監視項目には含まれない。したがって『溶解(溶存)酸素量』が不適切(監視項目に含まれない)。
選択肢別解説
気泡は透析装置の必須監視項目。静脈側に超音波式の気泡検出器を配置し、空気塞栓を未然に防止するために検出・遮断・アラームを行う。よって監視項目に含まれる。
除水量(UF量)は治療計画の達成と循環動態の安全確保に直結し、設定値と実測値を装置が監視・制御する。過大・過小除水を避けるための基本監視項目である。
回路内圧(動脈圧・静脈圧、必要に応じてTMPなど)は回路閉塞、穿刺不良、血液凝固、漏血などの異常検知に不可欠で、透析装置の主要監視項目に含まれる。
溶解(溶存)酸素量は透析装置の標準的なリアルタイム監視項目ではない。透析液水質管理では電気伝導率、温度、エンドトキシン・細菌管理などが重視されるが、コンソールにDOセンサを常設して監視するのが一般的というわけではない。よって『監視項目に含まれない』に該当する。
透析液温度は通常約35~38℃に制御され、過加熱は溶血や体温上昇のリスクとなるため、温度センサとアラーム・安全遮断機構により監視される。したがって監視項目に含まれる。
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解説
カプノメータ(カプノグラフィ)は主に呼気終末二酸化炭素分圧(ETCO2)とその波形(カプノグラム)を継時的に表示し、気道・換気(V)や肺血流(Q)の変化を鋭敏に反映するモニタである。したがって、食道挿管や回路脱離のように換気が成立しない状態、空気塞栓のように肺血流が急減する状態、喘息発作のように気道抵抗が増大する状態はETCO2値や波形の変化として検出可能である。一方、不整脈は心電図が直接の検出手段であり、ETCO2は心拍出量変動の二次的影響を受けうるものの、不整脈そのものを同定・検出する目的のモニタではないため「検出できない」に該当する。
選択肢別解説
不整脈は心臓の電気的リズム異常であり、検出は心電図モニタの役割である。カプノメータはETCO2を測定する装置で、不整脈そのものを直接示す所見は得られない。重度の不整脈で心拍出量が低下すればETCO2が低下することはあるが非特異的で、不整脈の検出には用いないため「検出できない」に該当する。
食道挿管では気管内換気が成立せず、連続した呼気CO2が得られないためETCO2波形は消失または極めて低値となる。一過性に胃内のCO2が検出されても持続しない。よってカプノメータで検出できる。
人工呼吸器回路の脱離(断線・外れ)では換気が途絶し、呼気CO2が測定されなくなるためETCO2波形が消失する。急激なETCO2低下や波形消失としてカプノメータで検出できる。
空気塞栓は肺血流が急減し肺胞からのCO2排出が低下するため、ETCO2が急激に低下する。これはカプノメータで鋭敏に捉えられる(最小侵襲の早期警告所見)。したがって検出できる。
喘息発作では気道抵抗が増大し、呼気時間延長とともにカプノグラム相IIIの立ち上がりが緩やかな「サメの背びれ状」波形となる。ETCO2の上昇や呼気相延長も伴い、カプノメータで検出できる。
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解説
薬機法のリスク分類では、人体への影響の大きさに応じて一般(Class I)、管理(Class II)、高度管理(Class III/IV)に区分する。生命維持・機能代替に直接関与し、故障・誤作動が重篤な健康被害や死亡に直結しうる機器は高度管理医療機器に該当する。輸液ポンプ、除細動器、人工呼吸器はいずれも生命維持・救命に直結し、過量投与・停止、出力不良、換気停止などの不具合が重大な結果を招くため高度管理に分類される。一方、MR装置やX線CT装置は診断目的の画像装置であり、適切な管理を要するものの、機能障害が直ちに生命維持機能の喪失に直結する類の機器ではないため、一般に管理医療機器に分類される。
選択肢別解説
輸液ポンプは体内に液体・薬剤を連続投与する生命維持・治療機器であり、誤作動(過量投与・停止等)が重篤な有害事象につながるため、高度管理医療機器に分類される。したがって正しい。
除細動器は致死的不整脈に対し心臓に電気ショックを与える救命機器で、出力不良や作動不能は死亡につながりうる。リスクが極めて高く、高度管理医療機器に分類される。したがって正しい。
人工呼吸器は自発呼吸不全時に換気を代行・補助する生命維持装置であり、停止や設定誤りが低酸素血症など致命的転帰を招きうるため、高度管理医療機器に分類される。したがって正しい。
MR装置(MRI装置)は強磁場・RFを用いる診断装置で、適切な管理は必要だが、機能障害が直ちに生命維持の喪失に直結するタイプの機器ではないため、一般に管理医療機器に分類される。よって高度管理医療機器ではない。
X線CT装置は電離放射線を用いる診断装置で、リスク管理は必要だが生命維持・機能代替機器ではなく、一般に管理医療機器に分類される。よって高度管理医療機器ではない。
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解説
血液透析の安全確保のため,透析装置は連続センサで“常時監視”できる項目を多数備える。代表例は,静脈側の気泡検出(超音波式など),透析液圧(透析液回路の圧力センサ),排液側の漏血検出(発光・受光による吸光度監視)で,いずれもリアルタイムに監視し,異常時は即時アラーム・ポンプ停止などの安全動作が作動する。一方,血漿浸透圧は検体測定(氷点降下法等)や計算値であり連続監視の対象ではない。透析液エンドトキシン濃度もLAL法等の検査で定期的に評価するもので,装置の標準機能として連続測定は行わない。したがって,常時監視すべきは「気泡混入」「透析液圧」「漏血」である。
選択肢別解説
正しい。静脈側エアトラップ下流に超音波式などの気泡検出器を配置し,血液回路内の気泡を連続監視する。気泡混入は空気塞栓の危険があるため,常時監視項目であり,検出時は自動的に血液ポンプ停止・クランプ作動などの安全機構が働く。
不適切。血漿浸透圧は氷点降下法などの検体測定や電解質からの推算で評価する指標であり,透析装置に搭載された連続センサで常時監視する項目ではない。リアルタイムの装置アラーム監視の対象外。
不適切。透析液エンドトキシン濃度はLAL法などの検査で定期的に評価する管理項目で,装置標準機能としての連続モニタは一般的でない。よって“常時監視”には該当しない。
正しい。透析液圧(ダイアライザ入口・出口や排液側の圧力)は圧力センサで連続測定され,流路閉塞やフィルタ目詰まりの兆候把握,TMP算出などに用いられる。異常時はアラーム・自動停止の対象で,常時監視項目である。
正しい。ダイアライザ排液側に漏血検出器(発光ダイオードと受光素子による吸光度測定)があり,排液中ヘモグロビンを連続監視する。膜破損による血液漏れの早期検出のため,常時監視項目である。
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解説
各治療機器で主として用いる物理エネルギーの対応を問う。ベータトロンは電子線(および制動放射によるX線)といった電離放射線を用いるため「放射線」で正しい。人工呼吸器は陽圧・陰圧など機械的圧力によって換気を行うため「機械力」で正しい。電気焼灼器(電気メス)は高周波交流電流を組織に流してジュール熱を生じさせるため「電流」で正しい。超短波治療器は高周波の電磁波(短波・マイクロ波帯)を用いた誘電加熱による温熱療法であり「電磁波」で正しい。これらに対し、温熱治療器は熱そのもの、あるいは赤外線・マイクロ波等の非電離の電磁波や超音波などを介して温熱効果を与える装置であり、電離放射線(X線・γ線・電子線など)を意味する「放射線」は適切でない。したがって誤っている組合せは4。
選択肢別解説
ベータトロンは電子を加速し電子線として照射するほか、ターゲットで制動放射によりX線を得ることもできる。いずれも電離放射線であり「放射線」の組合せは正しい。
人工呼吸器は機械的な陽圧(あるいは陰圧)で肺にガスを送り込み換気を補助・代行する装置であり、用いる主たるエネルギーは機械力で正しい。
電気焼灼器(電気メス)は高周波交流電流を組織に流してジュール熱を発生させ、切開・凝固・止血を行う。従って「電流」の組合せは正しい。
温熱治療器はホットパックなどの熱や、赤外線・マイクロ波などの非電離の電磁波、超音波などにより温熱効果を与える。X線・γ線・電子線などの電離放射線(狭義の放射線)は通常用いないため「放射線」との組合せは誤り。
超短波治療器は高周波の電磁波による誘電加熱で体内に温熱効果を与える装置であり、「電磁波」との組合せは正しい。
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解説
遠心ポンプは回転体の遠心力で血液を送る非閉塞(非オクルーシブ)型ポンプで、回転数だけでは流量が一意に決まらず、前負荷・後負荷や回路抵抗により流量が大きく変動する。そのため回転数表示だけでは安全管理が不十分で、動脈側に超音波や電磁式の流量計を装着して流量を直接監視することが必須である。非閉塞型ゆえに下流閉塞時でも圧力上昇は限定的で回路破裂の危険性が低く、また接触圧迫で送液するローラポンプに比べ溶血・血小板障害が少ない。一方、吸引(カーディオトミーサクション)には空気混入が多く、遠心ポンプは大量の空気を扱えず失プライミングや微小気泡の送出を招くため不適である。空気混入時には微小化された気泡が体内へ送られる可能性があるため、気泡検出器や空気除去デバイスと併用しても“空気を送り込む心配がない”とは言えない。
選択肢別解説
誤り。遠心ポンプは前負荷・後負荷に流量が依存し、同一回転数でも流量が変動するため、流量計による直接計測・監視が必要である。回転数表示のみでは安全管理ができない。
誤り。吸引回路は空気混入が多く、遠心ポンプは大量の空気で失プライミングや微小気泡の送出を招くため不適。一般に吸引にはローラポンプを用いる。
正しい。遠心ポンプは非接触・非閉塞で剪断ストレスが比較的低く、接触圧迫で送液するローラポンプより溶血や血小板障害が少ないとされる。
正しい。遠心ポンプは非閉塞型で、下流閉塞時はヘッド内でスリップや再循環が生じ圧力上昇が限定されるため、ローラポンプのように危険な高圧を発生して回路破裂に至るリスクは極めて低い(実務上、破裂の心配はないと扱う)。
誤り。遠心ポンプでも空気が混入すれば微小化されて送出されうるため、空気塞栓のリスクは残る。気泡検出・遮断などの安全対策が不可欠で、“心配がない”とは言えない。
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