臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
術後無気肺は、麻酔や術後疼痛による深呼吸不足や分泌物貯留などで肺胞が虚脱し、換気されない肺(シャント)が増えるため低酸素血症を招く。低酸素血症や肺コンプライアンス低下への代償として頻呼吸・呼吸困難が生じ、循環系では交感神経緊張により頻脈を伴いやすい。一方、低体温は手術や麻酔に伴う全身的事象であり、無気肺の特異的・直接的な徴候ではないため「徴候でない」に該当する。
選択肢別解説
呼吸困難は無気肺でしばしばみられる。肺胞虚脱により換気血流不均衡(シャント)が増大し低酸素血症となり、労作時や安静時に呼吸困難を呈するため、無気肺の徴候である。
低酸素血症は無気肺の中心的病態。換気されない肺領域が増えることで動脈血酸素化が低下し、SpO2低下やPaO2低下として現れるため、無気肺の徴候である。
頻脈は低酸素血症や呼吸困難に対する交感神経系の代償反応として生じやすい。心拍出量を維持・増加させて酸素供給を補おうとするため、無気肺でみられ得る徴候である。
頻呼吸(呼吸促迫)は、低酸素血症による呼吸中枢刺激や肺コンプライアンス低下に対する代償として出現するため、無気肺の典型的な徴候である。
低体温は術中・術後の周術期管理に関連する全身的な問題で、手術室の低温環境や麻酔薬の作用などで起こり得るが、無気肺自体の直接的徴候ではない。したがって「徴候でない」に該当する。
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解説
PEEPを上げると平均気道内圧が上昇し、虚脱した肺胞が開存(リクルート)するため機能的残気量(FRC)が増加し、換気血流比の不均衡が是正されて肺内シャントは一般に減少し酸素化が改善する。一方、胸腔内圧上昇は静脈還流を減らし心拍出量を低下させやすく、過度な圧は肺胞過膨張による圧外傷(バロトラウマ)を招いて気胸のリスクを高める。また胸腔内圧上昇は頭蓋内静脈還流を妨げ、頭蓋内圧を上昇させうる。したがって、正しい記述は「気胸のリスクがある」である。
選択肢別解説
誤り。PEEP上昇は肺胞虚脱を防ぎリクルートメントを促進するため、換気血流比の不均衡が改善し、肺内シャント率は一般に低下する。過度なPEEPでは死腔増加はあり得るが、記載のようにシャントが増加するのは典型ではない。
正しい。PEEPにより気道内圧・肺胞内圧が高くなると過膨張や圧外傷(バロトラウマ)が生じ、肺胞破裂から皮下気腫や縦隔気腫、気胸を来すリスクが高まる。高PEEP設定や脆弱肺(COPD、ARDS など)では特に注意が必要。
誤り。PEEPで胸腔内圧が上昇すると静脈還流が低下し、右室前負荷が減少、さらに高肺気量域では肺血管抵抗の増加により右室後負荷も増すため、心拍出量は低下しやすい。
誤り。胸腔内圧上昇は頭蓋内静脈還流を妨げるため頭蓋内圧は上昇しうる。したがって「低下する」は不適切。頭蓋内圧管理が必要な症例ではPEEP設定に注意する。
誤り。PEEPは呼気終末に肺胞を陽圧で保持し虚脱を防ぐため、機能的残気量(FRC)は増加する。
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解説
回路内圧(気道内圧)の急激な上昇は、主として気道抵抗の急増または呼気の出口障害で生じる。具体例としては、気管チューブの内腔狭窄・屈曲・分泌物貯留などによる閉塞、気管支喘息発作による気道攣縮、呼気弁(エクスパイアリバルブ)の開放不全による呼出障害(エアトラッピング、内因性PEEP上昇)が挙げられる。これらは送気・呼気の流れが妨げられて圧が蓄積し、ハイプレッシャーアラームとして検出されやすい。一方、気管チューブのカフ破れや回路の脱離はガス漏れを生じ、回路内圧は上がりにくく低下傾向(ロー・プレッシャー)を示すため、急激な内圧上昇の原因とはならない。したがって、本設問では1・4・5が妥当な原因である。
選択肢別解説
正しい。気管チューブの閉塞(分泌物栓塞、屈曲、患者の咬み込みなど)は送気ガスの流れを妨げ、回路内に圧が蓄積して急激な圧上昇(ハイプレッシャー)を来す。吸気ピーク圧の上昇として顕在化する。
誤り。カフの破れは気管内のシールが失われてガス漏れが増え、十分な圧がかからず回路内圧は低下しやすい。通常はロー・プレッシャーや低一回換気量の警報に結びつく。
誤り。呼吸回路の脱離は送気ガスが外部へ漏れるため、回路内圧は上昇せず低下する。多くの場合、ロー・プレッシャーや回路断のアラームが作動する。
正しい。呼気弁の開放不全では呼気時に十分にガスが排出できず、回路内にガスがトラップされ圧が蓄積する。結果として内因性PEEPやピーク圧の上昇を来し、急激な圧上昇の原因となる。
正しい。気管支喘息発作は気道攣縮により気道抵抗が急増し、吸気ピーク圧が上昇する。重症例では呼気遅延から動的肺過膨張(エアトラッピング)を伴い、さらなる圧上昇を来しうる。
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解説
陽圧換気では吸気時の胸腔内圧が上昇し、上大静脈などの還流圧勾配が減少して静脈還流が低下する。その結果、心拍出量は低下し、腎血流も低下してADH分泌が促進されるため尿量は減少しやすい。頭頸部の静脈還流も妨げられるため頭蓋内静脈圧が上がり、頭蓋内圧は上昇しうる(特にPEEP付加で助長)。また、挿管により上気道の加温加湿機能がバイパスされ、十分な加温加湿がなければ粘膜乾燥と繊毛運動低下により気道クリアランスは低下する。以上より正しい影響は「頭蓋内圧亢進」である。
選択肢別解説
体温上昇は一般的な直接影響ではない。むしろ挿管・人工呼吸管理下では気道からの熱・水分喪失により体温低下が起こりやすく、加温加湿で低体温を予防するのが標準である。よって不適切。
陽圧換気(特にPEEP付加)で胸腔内圧が上がると頸静脈圧が上昇し脳静脈還流が妨げられ、頭蓋内圧は上昇しうる。さらに換気が不十分でPaCO2が上がると脳血管拡張により脳血流が増え、ICP上昇を助長する。よって適切。
挿管により上気道の加温加湿機能が失われ、加温加湿が不十分だと気道粘膜乾燥と繊毛運動低下が生じ、喀痰排出能(気道クリアランス)は低下する。増加ではない。
胸腔内圧上昇は静脈還流を減少させ前負荷を下げるため、一般に心拍出量は低下しやすい。増加は誤り。
静脈還流低下に伴う心拍出量・腎血流低下はRAAS・ADH分泌を促進し、水・Na貯留が進むため、尿量はむしろ低下(乏尿)しやすい。増加は誤り。
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