臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
量規定調節換気(VCV)では一回換気量V_Tと(多くの機種で)吸気流量$\dot{V}$が規定され、気道内圧は気道抵抗RとコンプライアンスCにより決まる。概念式はピーク気道内圧について $P_{peak} = \dot{V} \times R + \frac{V_T}{C} + PEEP$。したがって、Rの低下(気管支攣縮の軽快)やCの上昇(無気肺の改善)はP_{peak}の低下をもたらす。また回路やカフからの漏れは、回路内圧が十分に立ち上がらず気道内圧は低く出やすい。一方、気管チューブ先端が片肺へ移動すると実質的に換気対象容積が減少してCが低下し、必要な弾性圧が増加するため気道内圧は上昇する。よって、気道内圧低下の原因としては誤りである。
選択肢別解説
無気肺の改善により肺胞の開存が増え、肺胸郭コンプライアンスCが上昇する。量規定では $P_{elastic} = \frac{V_T}{C}$ が低下し、ピーク気道内圧も低下する。従って「気道内圧低下の原因」として妥当。
気管支攣縮の軽快で気道抵抗Rが低下する。量規定・一定流量下では抵抗成分 $\dot{V} \times R$ が小さくなり、ピーク気道内圧は低下する(プラトー圧はCが不変なら大きくは変わらない)。よって気道内圧低下の原因で正しい。
$呼吸器回路からのガス漏れがあると、設定V_Tを送気しても回路内で漏れ、圧が十分に立ち上がらず測定される気道内圧は低く出やすい(低V_T \cdot リークアラームを伴うことが多い)。従って気道内圧低下の原因となる。$
気管チューブ先端の片肺への移動(片肺挿管)では有効に換気される肺容量が減り、系のコンプライアンスCが低下する。その結果、同一V_Tでは弾性成分 $\frac{V_T}{C}$ が増加し気道内圧は上昇する。よって『気道内圧低下の原因』としては誤り。
$カフからの空気漏れがあると送気ガスの一部が上気道へ逃げ、回路 \cdot 気道内圧の立ち上がりが不十分となるため気道内圧は低下する。低V_Tやリーク音を伴うことが多い。したがって気道内圧低下の原因で正しい。$
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解説
調節換気では、機器や回路の異常は換気量・気道内圧・酸素化・加温加湿などに直結し、有害事象を招く。弁の開放不全は呼気が十分に逃げず内因性PEEPや肺過膨張を生み、圧損傷の原因となる。呼吸流路の屈曲はガス流の障害により送気・呼出が阻害され換気異常を来す。加温加湿器の停止は気道乾燥を招き喀痰が粘稠化・硬化する。吸入気酸素濃度の異常上昇は長時間で酸素中毒につながる。一方、呼吸回路のリークは実効一回換気量が低下し肺胞低換気となるため、二酸化炭素の排出が不十分となり高二酸化炭素血症を起こすのが典型である。したがって「呼吸回路内のリーク — 低二酸化炭素血症」は誤りである。
選択肢別解説
適切な組合せ。呼気弁などの開放不全があると呼出が不十分となり、肺過膨張・内因性PEEP増大から気道内圧が上昇し、圧損傷(バロトラウマ)を招く。量規定・圧規定いずれでも起こりうる。
適切な組合せ。回路や人工気道の屈曲は流路抵抗の増大や閉塞を招き、送気不足・呼出困難・ピーク圧上昇などの換気異常を生じる。アラーム作動や一回換気量低下がみられることが多い。
誤った組合せ。回路内リークがあると設定換気量が患者に十分到達せず肺胞低換気となるため、典型的には高二酸化炭素血症を来す。低二酸化炭素血症は過換気時にみられる所見で、リークの直接的帰結ではない。
適切な組合せ。加温加湿器の停止により吸入ガスが乾燥し、気道粘膜傷害と線毛機能低下、分泌物の粘稠化・痂皮化(喀痰の硬化)を来し、排痰困難や閉塞のリスクが高まる。
適切な組合せ。吸入気酸素濃度(FiO2)の異常上昇を長時間持続すると活性酸素による毒性で酸素中毒(肺障害、吸収性無気肺など)に至る。
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