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臨床工学技士国家試験
解説
送血ポンプの代表であるローラポンプは容積移送(閉塞型)で、チューブを圧閉し回転数×1回転当たりの移送量でほぼ流量が決まるため、後負荷の影響を受けにくく回転数による流量制御が容易である。一方、回路閉塞時には内圧が急上昇しやすく、チューブ破裂や溶血の危険が高い。遠心ポンプは非閉塞型で、回転数と流量の関係が前後負荷・回路抵抗に強く依存するため、回転数だけでは実流量を保証できず流量計が必須となる。遠心ポンプは血液への機械的損傷が比較的少ないため、ECMOやVADなど長期補助循環に適する。以上より、正しいのは「遠心ポンプは長期補助循環に適している」「ローラポンプは回転数による流量制御が容易である」である。
選択肢別解説
誤り。一般に遠心ポンプは非閉塞型で剪断応力が過度になりにくく、チューブを圧挫するローラポンプより血液損傷(溶血)が少ないとされる。したがって「遠心の方が血液損傷が起こりやすい」は不正確。
誤り。遠心ポンプは回転数と流量が前負荷・後負荷・回路抵抗に依存して変動するため、設定回転数から実流量を推定できない。実流量を把握するために超音波式などの流量計が必須である。
正しい。遠心ポンプは血液損傷が比較的少なく、連続流で長時間の運転に向くため、ECMO/PCPSや補助人工心臓(VAD)など長期補助循環に適している。
正しい。ローラポンプは容積移送(陽圧の閉塞型)で、1回転当たりの送液量がほぼ一定であり、回転数に比例して流量を制御しやすい(チューブ径や圧閉度の影響は受けるが、後負荷の影響は小さい)。
誤り。ローラポンプは閉塞型のため回路閉塞時に回路内圧が急上昇し、チューブ破裂や溶血の危険が高い。圧モニタやリリーフ機構が必要とされる理由である。
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解説
パルスオキシメータは、赤色光(約660 nm)と赤外光(約940 nm)の2波長を用いた分光光度測定と容積脈波解析を組み合わせ、拍動に同期して変化する動脈血のみの吸光成分(AC成分)から動脈血酸素飽和度 $S_{\text{p}O_2}$ を非侵襲的に推定する機器である。発光部にはLED、受光部にはフォトダイオードが一般的に用いられる。測定対象は飽和度であり、動脈血酸素分圧 $P_{\text{a}O_2}$ を直接計測するわけではない。測定誤差の要因には、マニキュア(特に濃色・青緑系などによる光吸収の変化)や強い外光(外乱光の混入)があり、プローブの遮光・装着部位の変更・マニキュアの除去等で対策する。
選択肢別解説
誤り。パルスオキシメータが推定するのは動脈血酸素飽和度 $S_{\text{p}O_2}$ であり、動脈血酸素分圧 $P_{\text{a}O_2}$ を直接計測していない。$P_{\text{a}O_2}$ は血液ガス分析で測定する指標で、$S_{\text{p}O_2}$ とは酸素解離曲線を介した相関はあるが、同一ではない。
誤り。用いるのは赤色光(約660 nm)と赤外光(約940 nm)の2波長であり、「2種類の赤色光」ではない。酸化・還元ヘモグロビンの吸光特性差をこの2波長で捉える。
正しい。発光部には発光ダイオード(LED)、受光部にはフォトダイオード(PD)が一般に用いられ、透過型または反射型プローブとして構成される。
正しい。指先のマニキュアは光の透過・吸収特性を変化させ、特に濃色や青・緑系などで $S_{\text{p}O_2}$ を低めに見せるなどの誤差要因となる。測定時は除去や別部位測定、遮光などで対策する。
正しい。太陽光や手術灯などの強い外光が受光部に混入すると外乱光となり、脈動成分の比率推定を乱して誤差が生じる。プローブの遮光や適切な装着で影響を軽減できる。
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解説
ローラポンプはチューブを圧閉して一定容積を機械的に送り出す容積型ポンプであり、1回転あたりの送液量がほぼ一定であるため、適切なオクルージョン条件下では流量は回転数に概ね比例する。一方、遠心ポンプは遠心力を用いるターボ型(動力型)で、前負荷・後負荷により同一回転数でも流量が変動するため、流量計による実測が必要となる。また遠心ポンプは非閉塞型で、吐出圧はポンプの発生しうる最大頭圧で頭打ちとなるため、下流閉塞時でも圧が無制限に上昇せず、回路破裂リスクは著しく低い。このため本設問では1と5が正しい。
選択肢別解説
正しい。ローラポンプは容積型で、チューブの圧閉部が一定容積を1回転ごとに搬送するため、適正オクルージョン下では送液量は回転数に比例して増減する。実臨床ではチューブの復元性やスリップの影響でわずかな誤差はあるが、基本原理として比例関係が成り立つ。
誤り。ローラポンプはチューブの圧閉による高いせん断応力や、締めすぎによる過度な圧力・陰圧(吸引側)に起因する溶血を生じうる。オクルージョン不適正(締めすぎ/緩すぎ)や長時間使用、チューブ劣化などが溶血リスクを高める。
誤り。遠心ポンプはターボ型で、前負荷(吸入側圧)や後負荷(下流抵抗)に応じて同一回転数でも流量が変動するため、回転数のみでは正確な流量把握はできない。したがってクランプオン超音波流量計や電磁流量計などによる流量計測が必要である。
誤り。遠心ポンプは遠心力でエネルギーを与えるターボ型(動力型)ポンプであり、容積型ではない。容積型に分類されるのはローラポンプなどである。
正しい。遠心ポンプは非閉塞型で、下流閉塞時でもポンプが発生できる最大頭圧で圧上昇が頭打ちとなるため、ローラポンプのように圧が理論的に無制限に上がることがなく、回路破裂の危険は著しく低い(実務上、圧監視やリリーフ設定は引き続き必要)。
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解説
流量制御型(容積制御方式)の輸液ポンプは、ローラ式ペリスタルティックやカセット式(ピストン・ダイヤフラム等)などの機構で、機械的に一定体積を押し出して流量を制御する。したがって重力や滴下の大きさに依存せず、輸液の粘性・表面張力・濃度といった“成分”による影響を受けにくく、滴数制御型より流量のばらつきは小さい。一方で、正確な容積送液にはチューブの材質・内径・弾性が規格化された専用セットを要することが多く、長時間の圧閉に伴うチューブのへたり(内径・弹性変化)が送液誤差の要因となる。
選択肢別解説
正しい。容積制御方式は1回転(あるいは1ストローク)当たりの押し出し体積で送液量を決めるため、滴下の大きさや重力に依存しない。よって輸液の粘性・表面張力・濃度など“成分”の違いによる流量誤差は基本的に生じにくい(指定粘度範囲内という前提)。
誤り。容積制御方式は所定の精度で体積を搬送するために、チューブの内径・硬さ・伸び特性が規定された専用の輸液セットを用いるのが原則であり、汎用セットでは精度が保証されない。
誤り。滴下センサは滴数制御型で必要となる。容積制御方式はポンプ機構そのもので送液量を制御するため滴下検出は不要である(代わりに気泡検出や閉塞検出などのセンサを備える)。
誤り。容積制御方式は体積基準で送液するため、滴数制御型に比べて流量のばらつきは小さい。滴数制御型は滴下サイズや点滴筒の姿勢、薬液性状の影響を受けやすい。
正しい。ローラ等でチューブを圧閉して送液する方式では、長時間使用でチューブがへたり弾性や内径が変化し、1回転あたりの実効搬送量が変動して流量誤差の原因となる。
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解説
正答は1と2。赤血球(直径約7–8\,\mu m)は毛細血管(内径約3–8\,\mu m)を通過する際、膜・細胞骨格の変形能によって扁平化しながら通過するため1は正しい。脈波伝播速度(PWV)は血管壁の硬さに依存し、Moens–Kortewegの近似式 $v=\sqrt{Eh/(\rho d)}$ から弾性率 $E$ が上がると $v$ は増加する。加齢や動脈硬化でコラーゲンが増えると壁は硬くなるため2も正しい。大動脈の動圧は $p_d=\tfrac{1}{2}\rho v^2$ で、流速 $v\approx1\,\text{m/s}$、血液密度 $\rho\approx1060\,\text{kg/m}^3$ とすると約500\,Pa程度で、平均動脈圧(約13,000\,Pa)より十分小さいため3は誤り。微小血管では集軸効果により血球は流れの中心部に集まり、壁近傍は血漿層が形成されるので4は誤り。立位では重力による静水圧差 $\Delta p=\rho g h$ が生じ、心臓より低位の部位ほど圧が高くなるため、測定部位に依存せず同じとはいえず5は誤り。
選択肢別解説
$正しい。赤血球(約7–8\,\mu m)は毛細血管(最狭部で3–5\,\mu m程度)を通過する際、膜 \cdot 細胞骨格(スペクトリンなど)の変形能により可逆的に形態を変えて狭窄部を通過する。これが失われると微小循環障害を来す。$
正しい。脈波伝播速度は血管壁の剛性に比例して増加する。Moens–Kortewegの近似式 $v=\sqrt{Eh/(\rho d)}$($E$:弾性率、$h$:壁厚、$d$:内径、$\rho$:血液密度)より、コラーゲン増加は弾性率 $E$ を高めてPWVを速くする。動脈硬化でPWVが上がる実臨床所見とも整合する。
誤り。動圧は $p_d=\tfrac{1}{2}\rho v^2$ で、$\rho\approx1060\,\text{kg/m}^3$、$v\approx1\,\text{m/s}$ とすると約530\,Pa程度。大動脈の平均動脈圧(静圧)は約13,000\,Pa(100\,mmHg前後)であり、動圧は静圧よりはるかに小さい。
誤り。細動脈〜毛細血管では集軸効果により血球は流速の大きい中心部に集まり、壁近傍には血漿のみの細胞希薄層(セルフリー層)が形成される。したがって「血管壁部に集まる」は逆。
誤り。立位では重力により静水圧差 $\Delta p=\rho g h$ が生じ、心臓より低い部位(下肢)では圧が高く、上位では低くなる。例えば身長差1.3\,mで $\Delta p\approx1060\times9.8\times1.3\approx1.35\times10^4\,\text{Pa}$(約100\,mmHg)となり、測定部位で平均動脈圧は変化する。
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解説
輸液ポンプは機械注入方式の医療機器で、代表的にペリスタルティック方式(ローラ型・フィンガ型)やピストンシリンジ方式がある。輸液コントローラ(滴下数制御型)はポンプとは別系統で、点滴筒の滴下数を光学的に数えてクランプ開度で調整する。性能規定では輸液ポンプの流量精度はおおむね設定値に対して±10%以内が許容範囲とされ、±2%は主にシリンジポンプの仕様に見られる厳しめの値である。安全監視では、気泡検出は一般に超音波センサが用いられ、滴下検出には赤外線(光学式)が用いられる。滴下センサを正しく動作させるため、点滴筒の液面はおよそ1/3程度を保ち、光路が滴下口や液面で遮られない位置にセンサを設置することが重要である。以上より、正しい記述は選択肢5である。
選択肢別解説
誤り。フィンガポンプは多数のフィンガ(プッシャ)でチューブを順次圧迫するペリスタルティック方式で、静かで脈動が少ない一方、構造上の制約から高流量の送液にはあまり向かない。高流量は一般にローラポンプ(ローラが連続的にチューブを圧閉して搬送)で得やすい。
誤り。輸液コントローラは点滴筒の滴下数を光学的に検出し、クランプ開度を調整して流量を制御する方式であり、機械的にチューブを圧送するペリスタルティック方式(ローラ型・フィンガ型)の一種ではない。分類上はポンプ(機械注入)ではなく滴下制御型に属する。
誤り。輸液ポンプの流量精度は規格上、設定値に対する許容誤差は概ね±10%以内とされている。±2%という値はシリンジポンプのような別方式で見られることはあるが、輸液ポンプの規定としては厳しすぎる。
誤り。気泡検出には一般に超音波センサが用いられる(気泡で超音波の伝搬が低下することを検出)。赤外線は主として滴下センサ(点滴筒内の液滴検出)に用いられる。
正しい。滴下センサ(赤外線などの光学式)は光路が滴下口や液面で遮られると誤検出を招く。点滴筒の液面を約1/3に保ち、滴下口や液面の影響を受けない位置にセンサを設置するのが基本である。
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解説
超音波は可聴音より高周波で、軟部組織中では縦波(疎密波)として伝搬する。指向性は周波数が高いほど高くなり、ビームは狭くなる。反射は主として音響インピーダンス差で決まり、生体内の組織境界(例:筋−脂肪、軟部−骨、組織−空気)で顕著に起こる。音速は媒質の弾性率と密度に依存し、空気(約331〜346 m/s)よりも水や軟部組織・筋(約1540〜1580 m/s)の方が大きい。減衰は生体軟部組織で周波数にほぼ比例(おおむね0.5〜1 dB/cm/MHz)し、高周波ほど減衰が大きく深達性は低下する一方、分解能は向上する。以上より、正しいのは「空気に比べて筋組織での音速が大きい」と「周波数が高いほど減衰しやすい」である。
選択肢別解説
誤り。生体の軟部組織(液体に近い性質)中での超音波は縦波(疎密波)として伝搬する。横波(せん断波)は軟部組織ではほぼ伝搬しない(骨など固体では横波が生じ得るが、本設問の「生体中」一般には当てはまらない)。
誤り。指向性は周波数が高いほど高くなる。ビーム幅はおおむね波長に比例して狭くなり(ビーム幅 ∝ λ/D)、超音波(高周波)は可聴音より指向性が高い。
誤り。反射は主として音響インピーダンス差で決まり、組織境界でしばしば強く起こる。反射係数は $R=((Z_2-Z_1)/(Z_2+Z_1))^2$ で表され、例えば空気と組織の境界では大きなインピーダンス差により強い反射となる。可聴音より反射しにくいとはいえない。
正しい。空気中の音速は約331〜346 m/s(条件に依存)に対し、筋組織は約1580 m/s、軟部組織では約1540 m/sであり、生体組織の方が大きい。
正しい。生体軟部組織における減衰係数は周波数にほぼ比例し(代表値で約0.5〜1 dB/cm/MHz)、周波数が高いほど減衰しやすい。そのため高周波は分解能が高いが深部への到達性は低下する。
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解説
体温計測の代表的な原理は、接触式(サーミスタなど)と非接触式(赤外線放射の検出)に大別できる。電子体温計(接触式)は一般に高感度・高抵抗温度係数のNTCサーミスタを温度センサに用いる。一方、耳用赤外線体温計は鼓膜から放射される赤外線(熱放射)を検出し、サーモパイルや焦電型などの熱型検出器で受光して温度に換算する。量子型検出器(例:HgCdTe、InSb など)は高感度だが冷却等が必要で、耳用赤外線体温計には通常用いられない。深部体温(核温)の推定には、体表からの熱流をヒータで打ち消し、体表の温度勾配をゼロに近づける熱流補償法(ゼロ熱流法)を用いる深部体温計が用いられ、センサにはサーミスタが一般的である。したがって、正しい記述は「深部体温計は熱流補償法を利用している」である。
選択肢別解説
誤り。電子体温計(接触式)では温度センサとして主にサーミスタ(NTC)が用いられる。サーモパイルは赤外線放射を電圧に変換する熱型検出器で、耳用赤外線体温計など非接触式で一般的に用いられる。
誤り。耳用赤外線体温計は鼓膜からの熱放射(赤外線)を検出して温度を推定する。熱伝導ではなく放射(輻射)を利用する点が本質である。
誤り。耳用赤外線体温計で一般的なのはサーモパイルや焦電型といった熱型検出器である。量子型検出器(例:HgCdTe、InSb)は高感度だが冷却を要するなど実用条件が厳しく、耳用体温計では通常採用されない。
正しい。深部体温計は体表からの熱流をヒータで補償し、皮膚表面の温度勾配をゼロに近づけて深部体温(核温)を推定する熱流補償法(ゼロ熱流法)を原理としている。
誤り。深部体温計の温度センサはサーミスタが一般的である。CdS(硫化カドミウム)は光導電素子であり、光センサとして用いられるもので温度プローブには適さない。
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