臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
観血式血圧測定は、動脈内に留置したカテーテルで血管内圧を体外へ伝え、血圧トランスデューサで圧力を電気信号に変換してモニタ表示する方式である。基本構成は、動脈カテーテル、圧力伝達用フルード(ヘパリン加生理食塩水など)を満たした圧力ラインと三方活栓・フラッシュ装置、血圧トランスデューサ(多くはストレインゲージ式)、モニタから成る。ゼロ点合わせと高さ合わせ(右房高さ)を適切に行い、気泡や過度なコンプライアンスによる減衰を避ける。マンシェットや水銀マノメータは非観血式血圧測定(オシロメトリック法や聴診法)で用いる機器であり、観血式の構成要素ではない。超音波センサも血圧の観血測定には用いない。
選択肢別解説
正しい。血圧トランスデューサは体外に伝達された動脈内圧を電気信号に変換する中核要素で、観血式血圧測定装置の必須構成である。一般にストレインゲージ式が用いられ、ゼロ点合わせと右房高さへの位置合わせが必要となる。
誤り。マンシェット(カフ)は非観血式血圧測定で動脈を外部から圧迫するための器具であり、観血式血圧測定装置の構成要素には含まれない。
誤り。水銀マノメータは非観血式血圧計で用いられる圧力表示器で、観血式の動脈圧モニタには通常用いない。観血式ではトランスデューサとモニタで圧力波形・数値を表示する。
誤り。超音波センサは超音波画像診断や血流評価、気泡検出などに用いられるが、観血式血圧の測定構成要素ではない。
正しい。カテーテルは動脈内に留置され、血管内圧を体外のトランスデューサへ伝える必須構成要素である。適切な内径・長さ・剛性のラインと組み合わせて動的応答を確保する。
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解説
肺動脈カテーテル(スワン・ガンツ)は右心系の圧(右心房圧=CVP、右心室圧、肺動脈圧)および肺動脈楔入圧(PCWP)を計測し、さらに心拍出量を熱希釈法で評価できるデバイスである。心拍出量の熱希釈法では、右心房内に開口する近位側口から冷却生理食塩水などをボーラス注入し、肺動脈内先端部のサーミスタで血液温変化を記録して算出する。PCWPは先端バルーンを膨らませて末梢肺動脈枝を一過性に閉塞(楔入)し、左心房圧を反映する圧として得る。カテーテルの構造上、左心室圧の直接測定はできない(PCWPから左房圧、条件が整えば左室拡張末期圧の推定は可能だが直接計測ではない)。熱希釈法の精度は一般的に臨床で広く受け入れられているが、動脈連続吸引キュベット法などを用いた色素希釈法は参照法とされ精度が高いとされる文献も多く、単純に熱希釈法の方が高精度と断定できない。以上より、CVP測定可(4)とPCWP計測時のバルーン膨張(5)が正しい。
選択肢別解説
誤り。臨床で広く用いられる熱希釈法は実用上十分な精度だが、動脈連続吸引キュベット法などの色素希釈法は参照標準として高精度とされる報告が多い。したがって「熱希釈法は色素希釈法より精度が高い」とは一般化できない。
誤り。熱希釈法の冷却溶液は右心房内に開口する近位側口から注入する。カテーテル先端は肺動脈内でサーミスタとバルーンを有するが、先端から注入は行わない。
誤り。スワン・ガンツは右心系とPCWPの測定に用いる。左心室圧の直接測定はできない(左心カテーテル法など動脈アプローチが必要)。PCWPは左房圧を反映し、条件が満たされれば左室拡張末期圧の推定に用いることはあるが直接計測ではない。
正しい。右心房内に位置する近位側口から中心静脈圧(CVP)を測定できる。スワン・ガンツはCVP、右心室圧、肺動脈圧の測定が可能。
正しい。肺動脈楔入圧(PCWP)計測時は先端バルーンを膨らませて末梢肺動脈枝に楔入し、右心室からの圧の影響を遮断して左心房圧を反映する圧を得る。楔入は最小限の時間で行い、測定後は速やかにバルーンを除圧する。
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解説
「心拍ごとの血圧」とは、各拍動に対応した連続的な動脈圧(beat-to-beat)の取得を指す。これが可能なのは、動脈圧波形を連続的に検出できる方式に限られる。観血式(動脈ライン)は圧トランスデューサで動脈圧波形を連続取得できる。トノメトリ法(アプラネーション・トノメトリ)は表在動脈を平坦化して圧を検出し、連続波形を得る。容積補償法(フィンガーカフ法)は指動脈の容積を一定に保つようカフ圧をサーボ制御し、動脈圧と等しい圧を連続的に得る。一方、オシロメトリック法と聴診法はカフ減圧過程で得られる情報から離散的に血圧値を算出する間欠測定であり、拍動ごとの連続波形は得られない。
選択肢別解説
観血式血圧測定法は動脈内にカテーテルを留置し、圧トランスデューサで動脈圧波形を連続記録する。各拍動ごとの圧変動(収縮期・拡張期・平均圧など)をリアルタイムに取得できるため、心拍ごとの血圧が測定可能である。
オシロメトリック法は腕帯(カフ)圧を徐々に減圧し、その間にカフに伝わる脈動(振動)の大きさを解析して収縮期・拡張期・平均血圧を算出する間欠法である。連続した拍動ごとの動脈圧波形は得られないため、心拍ごとの測定は不可。
聴診法はコロトコフ音の出現・消失に対応するカフ圧から収縮期・拡張期血圧を求める間欠法であり、波形を連続記録しない。したがって心拍ごとの連続的な血圧測定はできない。
トノメトリ法(アプラネーション・トノメトリ)は橈骨動脈などをセンサで適度に平坦化(アプラネーション)し、内圧に等しい圧を検出して連続的な動脈圧波形を得る方式である。ビート・トゥ・ビートでの血圧測定が可能。
容積補償法(フィンガーカフ法、Penáz法)は指動脈の容積が拍動で変化しないよう、光学センサの信号を基にカフ圧をサーボ制御する。カフ圧が動脈内圧に追従するため、連続的な動脈圧波形が得られ、心拍ごとの血圧測定が可能。
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解説
遠心ポンプはインペラの回転により遠心力で連続流を生むポンプで、流量は回転数だけでなく前後の圧力差(後負荷)や血液粘性などの条件で大きく変動する。したがって同じ回転数でも後負荷が増えると流量は低下する。回路が閉塞しても発生圧力はシャットオフヘッド(流量ゼロ時の最大圧)に抑えられ、容積脈動型(ローラポンプ)に比べ回路破裂リスクは低い。空気が混入すると遠心力が十分働かず吐出が止まりやすく、吸引回路用途には適さない。低回転域では特に流量—圧力特性が不安定で逆流や脈動が生じやすく、単純な回転数調節のみでの微小流量制御は困難である。
選択肢別解説
誤り。吸引回路では空気混入が避けられないが、遠心ポンプは空気を含むと遠心力が働かず吐出が停止しやすい(プライミング喪失)。この特性は安全側ではあるが、吸引用途には不適で、通常はローラポンプが用いられる。
誤り。流量は回転数のみに比例せず、ポンプ前後の圧力差(後負荷)、前負荷、血液の粘性や回路抵抗に依存する。回転数を一定にしても条件により流量は変動するため「正比例」は成り立たない。
誤り。回路閉塞時でも遠心ポンプの発生圧はシャットオフヘッドに制限され、容積脈動型ポンプのように圧力が無制限に上昇しにくい。したがって回路破裂の危険性は相対的に小さい。
正しい。遠心ポンプは後負荷依存性が高く、同一回転数でも末梢抵抗や血液粘性が増すとポンプ曲線と系統曲線の交点が変わり、流量は減少する。
誤り。低流量・低回転域では流量—圧力特性が不安定で、患者側圧が上回ると逆流が起こり得る。微小流量の安定制御には鉗子での抵抗調整等を併用することが多く、回転数だけでは容易でない。
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解説
$パルスオキシメトリは、赤色光(約660 nm)と赤外光(約940 nm)の2波長光を用い、指先などを透過した光の脈動成分から動脈血のみの吸光変化を抽出し、Lambert–Beerの法則(吸光度A = \log_{10}(I_0/I) = \varepsilon c l)を基にした比の比(ratio-of-ratios)でSpO₂を算出する。酸化Hbは赤外光で、還元Hbは赤色光で相対的に吸収が大きい特性を利用する。発光側はLED、受光側はフォトダイオードが一般的である。PaO₂はクラーク電極による電気化学的測定で原理が異なり、SpO₂(飽和度)とPaO₂(分圧)は関連はあるが同一指標ではない。本設問で誤っているのは、PaO₂と同原理とする記述(選択肢4)と受光部にLEDを用いるとする記述(選択肢5)である。$
選択肢別解説
$正しい記述。パルスオキシメトリはLambert–Beerの法則(A = \log_{10}(I_0/I) = \varepsilon c l)を基礎に、2波長の吸光度比の変化(脈動成分を抽出)から酸化Hbと還元Hbの割合を推定してSpO₂を求める。$
正しい記述。酸化ヘモグロビンは赤外光(約940 nm)での吸収が相対的に大きく、還元ヘモグロビンは赤色光(約660 nm)での吸収が大きい。この分光特性の差を利用してSpO₂を推定する。
正しい記述。拍動に伴う光路長・血液量の変化(脈波成分)を取り出すことで、静脈血や組織の定常成分を除去し、動脈血の吸光変化からSpO₂を非侵襲的に測定する。
誤り。動脈血酸素分圧(PaO₂)の測定はクラーク電極を用いた電気化学的原理で行うのに対し、パルスオキシメトリは光吸収(2波長)と脈動成分の抽出による光学的原理でSpO₂(飽和度)を求める。指標も原理も異なる。
誤り。LEDは発光素子として用いられ、受光素子には通常フォトダイオードが使用される。受光部にLEDを用いるという記述は不適切。
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解説
外部灌流型膜型人工肺は、中空糸の内側をガス、外側(シェル側)を血液が流れる構造で、血液流路断面が広くとれるため酸素ator自体の圧力損失が小さい。これにより落差脱血のように限られた駆動圧で回す場面に適する。さらに、血液側の境界層を破り物質移動を高めるため、スペーサや流路形状で擬似乱流・二次流を生じるよう設計されており、層流とするのは不利である。臨床では外部灌流型が広く用いられている。したがって「血液の流れは層流になる」は誤り。
選択肢別解説
正しい。外部灌流型ではガスは中空糸の内腔、血液は中空糸の外側(シェル側)を流れる設計である。これにより血液が多数の中空糸束の外表面を洗い、ガス交換が行われる。
正しい。外部灌流型は酸素ator内部の流路断面が広く、圧力損失が小さいため、重力差を用いる落差脱血の限られた駆動圧を温存しやすく、適している(ただし回路全体ではカニューレ抵抗など他要素も影響する)。
正しい。内部灌流型は血液が細い中空糸内を通過するため流路抵抗が大きく圧力損失が増えやすい。一方、外部灌流型はシェル側を血液が流れるため流路抵抗が小さく、一般に内部灌流型より圧力損失が小さい。
正しい。体外循環用の膜型人工肺では、低圧損かつ高いガス交換能・操作性を背景に、外部灌流型が広く臨床で用いられている。設問の一般的記述として妥当である。
誤り。ガス交換効率を高めるため、血液側はスペーサや流路形状で境界層を破り、擬似乱流・二次流が生じるように設計される。層流(滑らかな流れ)では物質移動が低下し不利となる。
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解説
パルスオキシメトリは、赤色光と赤外光など複数波長の光に対する拍動性(動脈)成分の吸光度から酸素化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの比率を推定し、動脈血酸素飽和度(SpO2)を算出する。静脈内色素(インドシアニングリーン、メチレンブルー等)は測定波長域で光を吸収し、SpO2に一過性の誤差を生じうる。測定は比の情報(ratio-of-ratios)を用いるため、毎回の測定ごとにユーザがキャリブレーションする必要はない。なお、拍動成分が前提なので、心肺停止や重度低灌流では信号が得られず、適切に用いることができない。したがって、誤っている選択肢は「毎回の測定で校正が必要」と「心肺停止時にも用いることができる」である。
選択肢別解説
正しい。SpO2は酸素化Hbと還元Hbの吸光特性の差を利用して、その比率(飽和度)を推定する。装置は絶対量を直接測るのではなく、拍動成分の吸光度変化から比を求めて比率(酸素飽和度)を算出する点が本質であり、趣旨として妥当。
正しい。典型的には赤色光(約660 nm)と赤外光(約940 nm)の2波長を用いて吸光度を測定する。近年は多波長センサもあるが、いずれにせよ複数波長の吸光度情報を利用する点は正しい。
正しい。インドシアニングリーン(ICG)などの静脈内投与色素は可視〜近赤外域で光を吸収し、パルスオキシメータの測定波長域に干渉して一過性にSpO2を誤低下等させうる。
誤り。パルスオキシメータは比の情報(ratio-of-ratios)を用いるため、毎回の測定で使用者が校正する必要はない。一般に装置側で工場校正・アルゴリズム化されており、日常測定での都度キャリブレーションは不要。
誤り。測定には動脈の拍動成分が必須であるため、心肺停止や著明な低灌流では信号が得られず、適切に用いることはできない。
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