臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
正答は1と5。血液は赤血球などの懸濁粒子を含み、せん断速度が上がると見かけ粘度が低下するせん断薄化(Bingham/Casson型の挙動を含む)を示すため、非ニュートン流体である。毛細血管内の流れはレイノルズ数Reが極めて小さく層流である。脈波伝搬速度PWVは血管壁の弾性が大きい(硬い)ほど速く、血管が軟らかいほど遅い。ポアズイユの式は層流・ニュートン流体・円管の前提で$Q = \frac{\pi r^4}{8\mu L}\,\Delta P$となり、流量は半径の4乗に比例する。細い血管では赤血球が管中心へ移動して壁近傍に血漿層が生じる集軸(シグマ)効果が起こる。
選択肢別解説
正しい。血液は血球成分を含むため、せん断速度により見かけ粘度が変化する非ニュートン流体である(一般にせん断薄化)。
誤り。毛細血管では管径が極めて小さく流速も遅いためレイノルズ数が非常に小さく、流れは層流である。乱流は一般にReが約2000を超える領域で発生する。
誤り。脈波伝搬速度PWVはメーンズ・コルテヴェーグの関係$PWV = \sqrt{\frac{E\,h}{\rho\,D}}$などで表され、血管壁のヤング率E(硬さ)に比例する。したがって血管壁が硬いほど速く、軟らかいほど遅い。
誤り。ポアズイユの式$Q = \frac{\pi r^4}{8\mu L}\,\Delta P$より、流量Qは半径rの4乗に比例する。2乗ではない。
正しい。細い血管で赤血球が管中心に集まって周辺に赤血球の乏しい血漿層が形成される現象をシグマ効果(集軸効果)という。これに伴いファーレウス効果・プラズマスキミングなども観察される。
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解説
遠心ポンプは非閉塞性の回転流ポンプで、流量は回転数だけでなく回路抵抗や血液粘度などの後負荷に依存する。したがって同じ回転数でも後負荷が変われば流量は変動する。非閉塞性ゆえにポンプ停止や低回転、または患者側圧がポンプ発生圧を上回る条件では逆流が起こり得るため、運用上は逆流防止弁やクランプで安全対策を行う。ローラポンプに比べ、圧閉による強い機械的ストレスがないため血液損傷(溶血)は一般に軽度とされる。一方、空気を巻き込むと脱プライミング(de-prime)を起こして送血が低下・停止するため、空気混入が多い吸引回路用途には適さず、またチューブ圧閉度の調整は不要である。以上より、正しいのは3、4、5である。
選択肢別解説
誤り。遠心ポンプは空気混入に弱く、空気を吸引すると脱プライミング(de-prime)で送血が低下・停止する。吸引回路は気泡混入が避けられないため、通常はローラポンプが用いられ、遠心ポンプは適さない。
誤り。チューブ圧閉度の調節が必要なのはローラポンプである。遠心ポンプは非閉塞性で、チューブを圧閉して送液する機構ではないため圧閉度調整は不要。
正しい。遠心ポンプは非閉塞性で、ポンプ発生圧が患者側の後負荷より低い場合や低回転・停止時には血液が逆流し得る。実臨床では逆流防止弁やラインクランプで対策する。
正しい。遠心ポンプはローラポンプのような圧閉による強い機械的ストレスが少なく、一般に血液損傷(溶血)はローラポンプより軽度とされる。高回転・高せん断での過度運転は別だが、通常運用での比較では遠心ポンプが有利。
正しい。遠心ポンプは後負荷依存性の流量特性を示し、同じ回転数でも回路抵抗や末梢血管抵抗、血液粘度が変わると流量が変化する。後負荷増大で流量は低下する。
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解説
経皮的血液ガス分析は、皮膚に小型電極を密着させ、局所を加温(通常は約40〜43℃)して毛細血管を拡張・動脈化し、角質層のガス拡散性を高めて、動脈血に近い $\text{PO}_2$ と $\text{PCO}_2$ を非侵襲的に連続測定する方法である。$\text{PO}_2$ はクラーク電極、$\text{PCO}_2$ はセバリングハウス電極の原理で電気化学的に測定するため、脈波信号や赤外線吸収は用いない。採血が難しい新生児で特に有用だが、熱傷予防のためセンサ部位の定期的なローテーションが必要となる。
選択肢別解説
正しい。経皮電極部位を加温(おおむね40〜43℃)することで皮膚血管が拡張し毛細血管が動脈化、角質層のガス透過も高まり、局所の $\text{PO}_2$ が上昇して動脈血ガス分圧に近い値が得られる。
誤り。脈波信号を必要とするのはパルスオキシメータであり、経皮的血液ガス分析は脈動成分を利用しない。クラーク電極($\text{PO}_2$)やセバリングハウス電極($\text{PCO}_2$)で電気化学的に分圧を測定する。
誤り。赤外線の吸収を計測するのは光学式(例:パルスオキシメトリや一部ガス分析)であり、経皮的血液ガス分析は赤外線を用いず電極反応で測定する。
誤り。新生児は角質層が薄くガス拡散が良好であり、採血が難しいことから臨床で広く用いられる。使用できないわけではないが、熱傷防止のため貼付部位のローテーションなどの配慮が必要。
誤り。皮膚に電極を貼付して測定する非侵襲的モニタであり、穿刺・採血を伴わない。ただし加温による皮膚障害のリスクには注意する。
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解説
血液は血漿に赤血球などの血球成分が懸濁した流体で、全体としては非ニュートン流体(主にせん断希釈:ずり速度の増加で見かけ粘性率が低下)として振る舞う。非ニュートン性の主因は赤血球の凝集・変形・配向であり、血漿単独はほぼニュートン流体である。細い血管(細動脈〜微小血管)では赤血球が流れの中央に集まり、壁近傍に赤血球の少ない血漿層(セルフリー層)が形成される集軸効果が生じる。低ずり速度では赤血球の凝集(連銭形成など)が進み見かけ粘性率は上昇し、高ずり速度では赤血球が変形・解離して粘性率は低下する。またヘマトクリットが高いほど見かけ粘性率は高くなる。これらより1と2が適切で、3~5は教科書的知見に反する。
選択肢別解説
正しい。細い血管では赤血球が流れの中央に移動し、壁近傍には赤血球の少ない血漿層が生じる(集軸効果、Fåhræus–Lindqvist 効果に関連)。そのため「細動脈では赤血球が中央に集まる」は妥当である。
正しい。血液の非ニュートン性は主として血球成分(特に赤血球)の凝集・変形・配向に起因する。血漿のみはほぼニュートン流体であるため、血球成分の寄与が本質的である。
誤り。ずり速度が遅い(低せん断)ほど赤血球の凝集が進み、見かけ粘性率は上昇する。ずり速度の増加に伴い赤血球が解離・変形し、粘性率は低下する(せん断希釈)。
誤り。血管が細く流速(ずり速度)が小さい条件では、赤血球の集軸や凝集など非ニュートン性がむしろ顕在化する。ニュートン流体近似が成り立ちやすいのは大血管で高せん断のときである。
誤り。ヘマトクリット(赤血球容積分率)が高いほど見かけ粘性率は上昇する。したがってヘマトクリット値が下がれば粘性率は低下する。
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解説
差圧方式とは、流路に設けた抵抗体の前後で生じる圧力差(差圧)を差圧センサで測定し、圧力損失と流量の関係(層流域ではポアズイユ則によりおおむねΔP∝流量)から瞬時流量を求める方式である。代表がニューモタコメータ/ニューモタコグラフで、フライシュ型は多数の細管束を抵抗体として用い、層流を保って直線性を確保する。設問の正答はフライシュ型ニューモタコグラフであり、他の選択肢はそれぞれ気量直読(ベネディクト–ロス型)、熱線の熱損失、超音波の伝搬時間差、タービン回転数など別原理で流量・気量を測定する。
選択肢別解説
ベネディクト–ロス型スパイロメータはベル式(気量型)で、閉鎖回路内のベルの上下移動から呼吸気量を直接記録する。差圧(流路前後の圧力差)を測って流量を算出する方式ではないため、差圧方式には該当しない。
フライシュ型ニューモタコグラフは細管束(多数の毛細管)を通過する際に生じる前後の圧力差を差圧トランスデューサで測定し、流量に換算する差圧式流量計の代表例である。層流条件でΔPが流量に比例し、呼吸流量の瞬時測定に広く用いられる。
熱線式流量計は加熱した細線(白金など)から気流によって奪われる熱量(温度変化/電気抵抗変化)を検出し、対流熱伝達から流速・流量を求める熱式であり、流路の圧力差を用いる差圧方式ではない。
超音波流量計は上流・下流方向の超音波の伝搬時間差を測定し流速を求める。例えば伝搬時間差は $\Delta t = \frac{2 L \\ v \\ \cos \theta}{c^2}$ の関係で表され、差圧を用いないため差圧方式ではない。
タービン型流量計は流れに比例して回転するタービンの回転数(パルス数)を検出して流量を算出する機械式であり、流路前後の圧力差を測る差圧方式ではない。
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解説
本問は血液流体力学・循環生理の基礎に基づく正誤判定である。毛細血管ではレイノルズ数 $Re=\frac{\rho v d}{\mu}$ が極めて小さく層流であり、分岐でも渦(乱流)は起こりにくいので誤り。大動脈の動圧 $\frac{1}{2}\rho v^2$ は典型的に約1 mmHg程度で、静圧(大動脈圧 100 mmHg前後)に比べ極めて小さいため両者がほぼ等しいという記述は誤り。血管石灰化は血管壁弾性率Eを上げて硬化させ、Moens–Korteweg式 $c=\sqrt{\frac{E h}{2\rho R}}$ より脈波伝搬速度(PWV)を増加させるので正しい。ヘマトクリット上昇は赤血球体積分率増加により内部摩擦が増し血液粘度を上昇させるため正しい。動脈血圧ピーク(収縮期圧)は波の反射とコンプライアンス差による脈圧増幅で末梢ほど高くなり、部位差が生じるため正しい。
選択肢別解説
誤り。毛細血管は内径が数µm、流速も遅く、$Re=\frac{\rho v d}{\mu}$ が極めて小さいため層流が支配的で乱流・渦は発生しにくい。分岐があっても低Re領域では渦形成は起こりにくい。
誤り。大動脈の動圧 $\tfrac{1}{2}\rho v^2$ は、例えば $\rho\approx1060\,\mathrm{kg/m^3}$、$v\approx0.5\,\mathrm{m/s}$ とすると約130 Pa(約1 mmHg)であり、静圧(大動脈圧 100 mmHg前後)に比して非常に小さい。よって両者はほぼ等しくない。
正しい。血管石灰化は血管壁を硬化させ弾性率Eを上昇させる。Moens–Korteweg式 $c=\sqrt{\frac{E h}{2\rho R}}$ よりEの増加は脈波伝搬速度(PWV)の増加をもたらす。動脈硬化の指標としてPWV上昇が用いられる。
正しい。ヘマトクリット値(赤血球体積比)が上昇すると懸濁粒子(赤血球)の増加により内部摩擦が増し、血液粘度は上昇する。低せん断でも高せん断でも一般に粘度上昇が観察される。
正しい。動脈血圧の収縮期ピークは、波の反射と動脈コンプライアンスの部位差により脈圧増幅が生じ、上行大動脈より橈骨動脈など末梢で高くなるため、部位によって異なる。
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解説
音波は空気や水などの流体中では媒質の疎密(圧縮・膨張)が伝わる縦波であり、横波ではない。音速は媒質固有の物性(弾性と密度)により決まり、気体では $V=\sqrt{\gamma P/\rho}$(等温近似でなく断熱過程を仮定)などで表され、気体の種類に依存する。ドプラ効果は音源と観測者の相対運動によって観測周波数が変化する現象である。水中および生体軟部組織中の音速はおよそ 1500 m/s(実務上は軟部組織で約 1540 m/s を採用)で妥当である。音の強さ(音響インテンシティ)は振幅(音圧)の二乗に比例し、$I=p_{\mathrm{rms}}^2/(\rho c)$ などで表される。従って正しいのは3と4である。
選択肢別解説
誤り。空気や水などの流体中の音波は縦波(粒子の振動方向と進行方向が同じ)である。流体にはせん断復元力がないため、横波は通常伝わらない。
誤り。音速は媒質に依存し、気体では $V=\sqrt{\gamma P/\rho}$ などで表される。比熱比 $\gamma$ や密度 $\rho$ は気体の種類で異なるため、音速も異なる。
正しい。音源と観測者の相対運動により観測される周波数が変化する現象がドプラ効果である(近づくと高く、遠ざかると低くなる)。
正しい。水中の音速は約 1480~1530 m/s、生体軟部組織は実務上約 1540 m/s とされ、概ね「約 1500 m/s」で妥当である。
誤り。音の強さは振幅(音圧)の二乗に比例する。例えば $I=p_{\mathrm{rms}}^2/(\rho c)$ で表され、振幅が大きいほど強さは増大する。
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解説
パルスオキシメータは、酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンで赤色光(約660 nm)と赤外光(約940 nm)の吸光特性が異なることを利用し、経皮的に動脈血酸素飽和度(SpO2)を推定する装置である。測定では指先などを透過する光のうち、心拍に同期して変動する動脈血由来の脈動(AC)成分を抽出して計算し、静脈血や組織による定常(DC)成分の影響を相対化する。換気量(分時換気量・一回換気量)の監視は本来スパイロメトリやカプノグラフィで行うため、パルスオキシメータは不適である。センサ装着部位の厚みなどはDC成分に含まれ、比の演算で相殺されるため個別の厚み校正は不要である。一方、COHbやMetHbなどの異常ヘモグロビンは2波長式パルスオキシメータの前提を崩し、SpO2の過大・過小評価(例:COHbで過大、MetHbで約85%付近への収斂)を招く。
選択肢別解説
正しい。通常は赤色光(約660 nm)と赤外光(約940 nm)の2波長で吸光度を測定し、HbO2とHHbのモル吸光係数の差を利用してSpO2を推定する。
正しい。光電脈波(フォトプレチスモグラム)の脈動(AC)成分を用いて動脈血のみの情報を抽出し、静脈血や組織の影響(DC成分)を相対化して除去する。
誤り。パルスオキシメータは酸素化(SpO2)の指標であり、換気量(VTやVE)のモニタではない。換気の量的評価はスパイロメータや呼吸回路のフローメータ、カプノグラフィ等で行う。SpO2は補助酸素下では低換気でも正常値を示し得るため換気量指標として不適。
誤り。指の厚みや組織の光路長はDC成分として扱われ、比(ratio-of-ratios)の演算で影響が相殺されるため、装着部位の厚みに関する個別校正は不要である。重要なのは適切な装着と動揺・外光の遮断である。
正しい。COHbやMetHbなどの異常ヘモグロビンは2波長での前提と異なる吸光特性を示し、SpO2に系統誤差を生じる(例:COHbで過大評価、MetHbで約85%付近に偏る)。多波長式のパルスCO-オキシメトリは影響を評価可能だが、標準的2波長式は影響を受ける。
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