臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
医療機器の故障率は時間経過で初期故障期(高→低)、偶発故障期(ほぼ一定)、摩耗故障期(上昇)の3段階(いわゆるバスタブカーブ)を示す。偶発故障期は故障率の時間変動が小さく、一定とみなせるため正しい。ベンチテストは機器納入直後の受入・性能確認であり、定期点検とは別で定期的に行う性質ではない。初期故障は設計・製造や初期不良、環境適合性など製品側起因が主で、使用者起因とはいえない。生命維持管理装置の保守点検の実施義務は法令・通知で求められるが、点検頻度は個々の機器の取扱説明書やメーカー推奨・施設計画に委ねられており、法令で一律に頻度が規定されているわけではない。終業点検は使用後・終業時に実施する安全確認であり、廃棄時点検のことではない。
選択肢別解説
誤り。ベンチテストは納入直後に機器の機能・性能・安全性・操作性を確認する受入評価であり、定期点検(始業・終業点検や計画保全)とは区別される。定期的に実施することを前提とした検査ではない。
誤り。初期故障は設計・製造上の不具合、部品の初期不良、輸送・据付直後の不適合など製品側の要因が主因で発生する。使用者の過誤は運用上のインシデントであり、初期故障の主因とは位置づけない。
誤り。生命維持管理装置について保守点検の実施体制整備は法令・通知で求められるが、定期点検の具体的な頻度は一律に法令で定められていない。多くはメーカーの推奨や施設内の保守計画で設定する。
正しい。バスタブカーブの偶発故障期間は故障率が時間に依存せずほぼ一定で、時間的変動が比較的少ない。一般にこの期間の平均故障率はMTBFの逆数として扱われる。
誤り。終業点検は機器の使用後・一日の業務終了時に行う点検で、清掃・外観やケーブル損傷の有無、動作の確認などを通じて次回使用に支障がないかを確認する。廃棄時の点検を指す用語ではない。
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解説
人工呼吸器の使用前点検では、呼吸回路のリーク確認(自動自己診断の活用を含む)、トリガ感度の動作確認、警報(回路離脱・高低圧など)の作動確認、そして停電時に備えたバッテリーへの切替確認が基本である。誤っているのは「加温加湿器に適量の生理食塩液を入れる」で、加温加湿器の補給水は精製水または滅菌蒸留水を用いる。生理食塩液は塩分により析出・スケール形成やセンサー不良の原因となり、エアロゾル化した塩が気道刺激となるおそれがあるため不適切である。
選択肢別解説
正しい。多くの人工呼吸器は回路リークやコンプライアンスを評価できる自己診断(セルフテスト)機能を備え、リークテストに活用する。手動点検の場合もYピースを閉鎖し圧の保持低下がないかを確認する。
正しい。テスト肺を接続し、圧トリガであれば陰圧、フロートリガであれば流量変化を与えて、設定感度で補助換気が開始することを確認する。過敏すぎない/鈍すぎない範囲で反応することが重要。
正しい。テスト肺を外すことで回路離脱を模擬し、低圧(回路離脱)アラームが速やかに発報し、音量・表示が適切であることを確認するのは警報点検の基本である。
正しい。バッテリー内蔵機では商用電源プラグを抜いて自動的にバッテリー駆動へ切り替わること、警報・換気が継続すること、残量表示が適正であることを患者接続前の安全な環境で確認する。
誤り。加温加湿器の補給水に生理食塩液は使用しない。精製水または滅菌蒸留水を用いる。生理食塩液は塩分が加温加湿器や回路内で析出しスケール化して故障やセンサー誤作動を招きやすく、エアロゾル化した塩による気道刺激の懸念もあるため不適切である。
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解説
医薬品医療機器等法(旧薬事法)に基づき、医療機器はリスクに応じて一般医療機器(クラスI)、管理医療機器(クラスII)、高度管理医療機器(クラスIII・IV)に分類される。人工呼吸器、人工心肺装置、輸液ポンプ、除細動器はいずれも重篤な転帰に直結し得るため高度管理医療機器(多くはクラスIIIまたはIV)に位置づけられる。一方、自動電子式血圧計は管理医療機器(クラスII)であり、高度管理医療機器ではない。したがって「高度管理医療機器でない」ものは自動電子式血圧計である。
選択肢別解説
人工呼吸器は生命維持に直結する機器で、重大な危害を招き得るため高度管理医療機器(クラスIIIまたはIV)に分類される。よって設問の「高度管理医療機器でない」には該当しない。
人工心肺装置は循環・呼吸機能を代行する極めて高リスク機器であり、高度管理医療機器(通常クラスIV)に分類される。したがって「高度管理医療機器でない」には該当しない。
自動電子式血圧計は一般に管理医療機器(クラスII)であり、高度管理医療機器ではない。よって本問で問う「高度管理医療機器でない」に該当する。
輸液ポンプは薬液や輸液を一定速度で体内に注入する機器で、過量・過少投与が重篤な転帰につながり得るため、高度管理医療機器(多くはクラスIII)に分類される。したがって「高度管理医療機器でない」には該当しない。
除細動器は致死的不整脈に対し電気ショックを与える高リスク機器で、高度管理医療機器(通常クラスIV)に分類される。よって「高度管理医療機器でない」には該当しない。
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解説
透析装置のモニタリングでは、透析液の電解質濃度管理に電導度計が用いられ、設定範囲外では警報や供給停止が作動する。患者の体重変化から総除水量・除水速度を把握するためにスケールベッド(体重計一体型ベッド)が用いられる。透析器の漏血検出は、透析排液中の血液(赤血球)による光の透過低下を光学的に検出する方式であり、一般に赤外線や可視光の減衰を用いるため「紫外線」を用いる記述は誤りである。透析液温は安全のため制御用と監視用など複数箇所で測定・監視されるのが一般的で、1か所のみと断定できない。自動血圧計は臨床上有用だが、コンソールへの内蔵は法的義務ではない。
選択肢別解説
正しい。透析液の濃度(電解質濃度)は電導度(mS/cm)で監視・管理する。導電率はイオン濃度に相関し、設定範囲外では警報・供給停止などの安全機能が動作する。
正しい。スケールベッドで透析中の連続体重測定を行い、体重減少分を総除水量として求め、除水速度も算出できる(例:除水速度 $\text{UF rate}=\frac{\Delta W}{t}$)。除水管理・安全管理に有用。
誤り。漏血検出は透析排液中の血液により光の透過が低下する現象を光電的に検出する。一般に赤外線(近赤外)や可視光の減衰を利用し、紫外線を用いる方式ではない。
誤り。透析液温度は安全性確保のため、加温・制御用センサと独立した監視用センサなど、複数箇所で測定・監視されるのが通常であり、1か所のみとは言えない。
誤り。コンソールに自動血圧計を内蔵する製品はあるが、法令や規格で内蔵が義務付けられているわけではない。血圧監視は必要だが、装置内蔵は必須要件ではない。
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解説
臓器機能代替療法は、急性期に低下・喪失した臓器機能を機器で補助・代行して全身状態を維持する治療であり、ICUで広く用いられる。代表は呼吸不全に対する人工呼吸器(呼吸・換気の代行)、腎不全に対する血液浄化装置(腎代替療法:RRT)、重篤な呼吸・循環不全に対する体外式膜型人工肺(ECMO/ECLS:ガス交換と場合により循環補助)である。一方、スワンガンツカテーテルは血行動態を測定する監視(モニタリング)機器であり臓器機能を代行しない。人工知能は診療支援のためのアルゴリズム・ソフトウェアであり、生体機能を直接代行する装置ではない。よって該当するのは1、2、5である。
選択肢別解説
人工呼吸器は自発呼吸が不十分な患者に対し、換気(吸気・呼気)を機械的に提供して肺のガス交換機能を代行・補助する。集中治療での臓器機能代替療法に該当するため適切。
血液浄化装置は血液透析・持続的腎代替療法(CRRT)などにより溶質除去や除水を行い、主に腎機能を代行する(状況により肝補助の吸着療法等もある)。ICUの臓器機能代替療法に該当するため適切。
スワンガンツカテーテル(肺動脈カテーテル)は肺動脈圧・肺動脈楔入圧・心拍出量などの血行動態を測定するモニタリング機器であり、臓器機能を代行しないため不適切。
人工知能は診断支援や予測モデルなどの情報支援を提供するが、生体のガス交換・循環・ろ過などの臓器機能を直接代行する装置ではないため不適切。
体外式膜型人工肺(ECMO/ECLS)は膜型人工肺でガス交換を行い、回路とポンプにより循環補助も可能で、重篤な呼吸不全や循環不全に対する臓器機能代替療法として用いられるため適切。
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