臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
臨床工学技士の基本的業務は、臨床工学技士法で定義される生命維持管理装置の操作・保守点検および医師の指示の下での診療補助である。近年の基本的業務指針の整備により、動脈ラインからの採血や人工呼吸中の吸引といった一部の手技が医師の指示下で実施可能と整理されている。人工呼吸器の運転条件設定は生命維持管理装置の操作として典型的な業務である。血液浄化療法では、施設の取り決めや医師の指示・監督の下で内シャントへの穿刺に関与する体制が運用されている場合があり、本設問では業務に含まれる前提として扱われている。一方、ペースメーカ植込み時のジェネレータと電極リードの接続は手術行為の中核であり、医師が実施すべき侵襲的医行為であるため、臨床工学技士の業務には含まれない。
選択肢別解説
動脈留置カテーテル(動脈ライン)からの採血は、医師の具体的指示の下で臨床工学技士が実施可能と整理されている。生命維持管理装置管理や周辺手技の一環として、安全管理(無菌操作・ライン管理・患者確認)を担い得るため、業務に含まれると判断できる。
人工呼吸器の運転条件(設定換気量、圧、PEEP、FiO2など)の設定・調整は、臨床工学技士法で規定される生命維持管理装置の操作に該当し、臨床工学技士の主要業務である。医師の治療方針に基づき、装置特性を理解して適切に設定することが求められる。
人工呼吸中の気管吸引による喀痰除去は、教育訓練を受けた臨床工学技士が医師の指示の下で行う診療補助として各種指針に位置付けられている。無菌操作、換気中断による低酸素血症予防、循環動態の変化への配慮など安全対策を踏まえて実施するため、業務に含まれる。
血液浄化療法では、施設内の取り決めと医師の指示・監督の下で臨床工学技士が内シャントへの穿刺に関与する体制が運用されることがある。本設問の正誤設定(他選択肢との整合)からは、業務に含まれる扱いと解釈される。なお、実施可否は施設の運用・教育体制や地域のガイドラインに依存しうるため、現場では規程の確認が必要である。
ペースメーカ植込み時のジェネレータと電極リードの接続は、体内で行う侵襲的な手術操作であり、医師が行う医行為に該当する。臨床工学技士は機器準備・作動確認・術中モニタなどで支援するが、植込み操作そのもの(リードとジェネレータの接続を含む)は業務に含まれない。
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解説
臨床工学技士は臨床工学技士法(昭和62年法律第60号)に基づき、医師の指示の下で生命維持管理装置(人工呼吸器、血液浄化装置など)の操作・保守点検を行う。関連する厚生労働省の通知・臨床工学技士基本業務指針(2010)等では、装置操作に不可分に伴う行為(既留置ラインからの採血、人工呼吸管理中の気管吸引、透析時のシャント穿刺など)は、院内手順と医師の包括的・具体的指示に基づき実施可能と整理されている。一方、ペースメーカ植込み術中のジェネレータと電極リードの接続は手術手技であり、医師のみが実施する医療行為に当たるため、臨床工学技士の業務には含まれない。したがって業務に含まれないのは選択肢5である。
選択肢別解説
動脈に既に留置されたカテーテル(Aライン)からの採血は穿刺を伴わず、人工呼吸管理や血液浄化など装置管理に不可分な検査(動脈血ガス分析等)のために、医師の指示および院内手順の下で臨床工学技士が実施可能と整理されている。よって業務に含まれる。
人工呼吸器の設定(運転条件の設定・変更)は生命維持管理装置の操作そのものであり、医師の指示の下で臨床工学技士が行う中核業務である。安全確認や患者状態の評価と合わせて実施する。よって業務に含まれる。
人工呼吸管理中の気管吸引は、装置管理と患者安全確保のために必要時に行われる行為で、医師の包括的指示と院内手順に基づき臨床工学技士が実施可能とされている(適切な教育・訓練、感染対策の下で実施)。よって業務に含まれる。
血液浄化装置の運用に際し、内シャント(AVF/AVG)への穿刺は回路確立のために必要となる。これは医師の指示と施設の手順に基づき臨床工学技士が実施可能と整理されている(適切な訓練・適応評価が前提)。よって業務に含まれる。
ペースメーカ植込み時のジェネレータと電極リードの接続は植込み手術の一部であり、侵襲的な手術手技として医師のみが行う医療行為である。臨床工学技士は術中の機器準備・作動確認やプログラマ操作等で支援はできるが、当該接続手技は業務範囲外である。したがって本問で業務に含まれない選択肢である。
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解説
臨床工学技士の業務は、臨床工学技士法に基づき、医師等の指示の下で診療の補助として生命維持管理装置(人工呼吸器、人工心肺、透析装置、補助循環装置など)の操作を行うこと、ならびにこれら装置の保守点検・安全管理を行うことが中核である。診察は医師の業務(医師法上の医業)であり、臨床検査(生理機能検査)は主として臨床検査技師の業務領域、医薬品・医薬部外品の管理は薬剤部門(薬剤師)を中心とする業務で、いずれも臨床工学技士の法定業務ではない。従って、正答は「生命維持管理装置の操作」と「生命維持管理装置の保守点検」である。
選択肢別解説
誤り。患者の病状診察(診断・治療方針の決定を含む診療行為)は医師法に基づく医師の業務であり、臨床工学技士は行わない。
誤り。生理機能検査は主として臨床検査技師の業務領域であり、臨床工学技士の法定業務ではない。臨床工学技士は機器の操作・保守点検が中心である。
正しい。臨床工学技士は医師等の指示の下、診療の補助として人工呼吸器、人工心肺、血液浄化装置などの生命維持管理装置を操作することが法で定める業務である。
正しい。生命維持管理装置の保守点検・安全管理は臨床工学技士の重要な業務に含まれる。適切な管理により機器の性能を維持し、患者安全を確保する。
誤り。医薬部外品の管理は薬剤部門(薬剤師)を中心とする業務であり、臨床工学技士の法定業務ではない。
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解説
臨床工学技士(CE)の業務は、臨床工学技士法第2条第2項および施行令(政令)第1条に基づき、生命維持管理装置の操作・保守点検・安全管理、ならびに人工腎臓装置等の体内に設置された血管手術によるシャントや透析カテーテルへの回路先端部(穿刺針等)の接続・除去などの特定の補助行為が含まれる。一方、観血式動脈圧モニタ用の動脈針を新たに穿刺する行為は、侵襲を伴う医行為でありCEの法定業務範囲外である。人工呼吸管理中の気管チューブからの喀痰吸引は、医師の具体的指示の下で、人工呼吸器管理の一環としてCEが行い得ると整理されている。医療機器の選定・導入時のベンチテストは医療機器の安全管理・性能評価業務に含まれる。血液浄化回路先端部のシャントからの除去は、法令で明示された接続・除去に該当する。植込み型ペースメーカのプログラミング用ヘッドの装着も、機器接続・操作に関する業務として位置付けられている。よって、業務でないのは動脈針の穿刺である。
選択肢別解説
人工呼吸器管理の一環として、医師の具体的な指示の下で気管内チューブからの喀痰吸引をCEが実施することは、基本業務指針等で整理されており妥当である。したがって「業務でない」には当たらない。
IABP装置の購入・導入時に性能評価や比較のために実施するベンチテストは、医療機器の安全管理・受入点検・選定支援に関わるCEの業務に含まれる。よって業務に該当する。
観血式動脈圧モニタ用の動脈針を新たに穿刺する行為は、侵襲を伴う医行為であり、臨床工学技士法の業務範囲に含まれない。したがって、CEの業務ではない(本問の該当肢)。
臨床工学技士法施行令第1条に基づき、人工腎臓装置の穿刺針その他の回路先端部を体内のシャントや透析カテーテルに接続し、またはこれらから除去する行為はCEの業務に含まれる。従って、回路先端部の内シャントからの抜去は業務である。
植込み型ペースメーカのプログラミングに用いるヘッド(プログラミング用ヘッド)の装着・除去や接続機器の操作は、CEの機器操作・接続に関する業務として認められている。よって業務に含まれる。
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解説
臨床工学技士は、医師の指示の下で生命維持管理装置の操作・保守点検等を行うが、身体への新たな侵襲(気管挿管、血管への直接穿刺、ECMOカニューレ挿入などの医行為)は業務として認められていない。一方、既に確保された気道・血管ルートを前提とした装置関連のケア(人工呼吸中の気道内吸引、動脈留置カテーテルからの採血など)は、厚生労働省通知「臨床工学技士の業務に関する基本的な考え方」(2010年)等により、医師の指示の下で実施が認められている。従って、認められていないのは1(気管挿管)、4(血管への直接穿刺による輸血)、5(ECMO用カニューレの挿入)である。
選択肢別解説
認められていない。気管挿管は新たな気道確保を伴う侵襲的医行為であり、医師が行う。臨床工学技士は人工呼吸器の準備・設定・管理や挿管補助は担うが、挿管そのものは業務外である。
認められている。人工呼吸装置使用時の喀痰吸引(気道内吸引)は、装置管理に付随するケアとして医師の指示の下で実施可能と整理されている(2010年の厚労省通知)。適切な無菌操作・モニタリングを行うことが前提。
認められている。既に留置された動脈カテーテルからの採血は、装置管理や検査のための手技として医師の具体的指示の下で実施可能とされている。新たな動脈穿刺を行うことは含まれない点に留意する。
認められていない。血管への直接穿刺による輸血は新たな穿刺を伴う侵襲的医行為であり、臨床工学技士の業務範囲外である(医師が実施)。既存ルートへの装置接続・管理とは区別される。
認められていない。ECMO用カニューレの体内挿入(血管穿刺・留置)は医師が行う。臨床工学技士は体外循環回路の準備・操作・保守や治療中の管理を担うが、カニュレーションは業務外である。
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