臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
誤っているのは選択肢3。超音波診断は、組織間の音響インピーダンス差による反射エコーを受信し、往復時間(飛行時間)から深さ情報(距離)を求めて断層像を描出する。軸方向(距離)分解能はパルス幅・波長に依存し、周波数が高いほど波長が短くパルス長が短くなるため向上する。一方、軟部組織中の減衰係数は周波数にほぼ比例(約0.5 dB/cm/MHz 程度)し、低周波ほど減衰は小さい。方位(横方向)分解能はビーム幅に依存し、ビームが狭いほど高い。
選択肢別解説
正しい。反射エコーの受信時刻から深さを算出する飛行時間法を用いる。音速を一定(例:軟部組織で約1,540 m/s)と仮定し、往復時間から深さ d を推定する(概念的に $t \approx 2d/c$)。これにより各走査線上の画素位置が決まる。
正しい。距離(軸方向)分解能は空間パルス長 SPL に依存し、概ね 1本のパルスに含まれるサイクル数 n と波長 $\lambda$ に対し $\mathrm{SPL}=n\lambda$、軸方向分解能は $\mathrm{SPL}/2$ 程度。周波数上昇で $\lambda$ が短くなり SPL が短縮するため分解能が向上する。
誤り。軟部組織での超音波減衰は周波数にほぼ比例し、低周波ほど減衰は小さく深部まで到達しやすい。したがって「周波数が低いほど減衰が大きい」は逆の記述。
正しい。超音波は音響インピーダンス $Z=\rho c$ の異なる境界で反射し、その反射波を画像化に利用する。平面境界の正入射での反射係数は $R=\left(\frac{Z_2-Z_1}{Z_2+Z_1}\right)^2$ で表され、インピーダンス差が大きいほど反射が強い。
正しい。方位(横方向)分解能はビーム幅に依存し、ビームを狭く(集束させて)指向性を高めるほど、隣接構造を分離して描出できる。ただし焦点深度などとのトレードオフは存在する。
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解説
本問は超音波画像計測の基礎。Bモードは反射エコーの強度を輝度で表現し、強い反射ほど明るく表示されるため、反射が弱いほど明るいという記述は誤り。方位分解能(横方向・lateral resolution)は主にビーム幅に依存し、ビームが細いほど優れるため「幅が広いほど優れる」は誤り。パワードプラ法はドプラ信号の強度(パワー)を色で表示し、方向や速度情報は持たないが低速・微小血流に高感度で、毛細血管観察に有用で正しい。セクタ走査(フェーズドアレイ)は狭い音響窓から深部を扇形に描出でき、肋間から心臓観察に適し正しい。臨床の診断用超音波は概ね1~20 MHz帯であり、100 kHzは低すぎるため誤り。
選択肢別解説
誤り。Bモードは反射エコーの強度を輝度で表示し、反射強度が強いほど明るく、弱いほど暗く表示される。
誤り。方位分解能(横方向分解能)はビーム幅に依存し、ビームが細い(幅が狭い)ほど優れる。ビーム幅が広いと隣接構造が分離できず分解能は低下する。
正しい。パワードプラ法はドプラ信号の強度(パワー)のみを表示し、方向・速度情報はないが、低速・微小血流(毛細血管など)に対する検出感度が高い。
正しい。セクタ走査(フェーズドアレイ)は扇形の描出で、肋間など狭い音響窓から深部の心臓を観察するのに適する。心エコーで広く用いられる。
誤り。診断用超音波は一般に1~20 MHz程度を用いる。100 kHz(0.1 MHz)は低すぎ、空間分解能も不十分となる。
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解説
波の基本式は $v = \lambda f$(伝搬速度=波長×振動数)である。等振幅・等周波数で逆向きに進む2つの波が重ね合わさる(干渉する)と、空間に振幅が最大となる腹と、振動しない節が周期的に現れる定常波が生じる。一方、2つの波が重なる現象自体は干渉(重ね合わせの原理)であり、散乱は媒質の不均一や障害物との相互作用で進行方向が乱される現象を指すので区別する。縦波と横波の伝搬速度は媒質の弾性定数と密度に依存し一般に異なり、固体では通常縦波が横波より速い。細い棒中を伝わる縦波の速度は $v = \sqrt{E/\rho}$(E: ヤング率, $\rho$: 密度)で、ヤング率の平方根に比例する。
選択肢別解説
誤り。二つの波動が重なる現象は干渉(重ね合わせ)であり、散乱ではない。散乱は媒質の不均一性や粒子・障害物との相互作用で進行方向や位相が乱れる現象で、波同士が重なること自体を指さない。
誤り。縦波と横波の速度は一般に異なる。固体では縦波速度 $v_\text{L} \approx \sqrt{\frac{K+4G/3}{\rho}}$、横波速度 $v_\text{T} \approx \sqrt{\frac{G}{\rho}}$ と表され($K$: 体積弾性率, $G$: せん断弾性率, $\rho$: 密度)、通常 $v_\text{L} > v_\text{T}$。流体(液体・気体)ではせん断弾性が 0 のため横波は伝わらない。
正しい。波の基本関係は $v = \lambda f$ で、伝搬速度は波長と振動数の積で与えられる。これは波形が1周期で進む距離(波長)を1秒あたりの周期数(振動数)だけ進むことに対応する。
正しい。同一振動数・同一波長・同一振幅で逆向きに進む二つの正弦波が干渉すると、空間的に振幅が最大の腹と 0 となる節が交互に並ぶ定常波が形成される。これは開閉端管や弦の共鳴現象の基礎でもある。
誤り。細い棒の縦波速度は $v = \sqrt{E/\rho}$(E はヤング率、$\rho$ は密度)であり、ヤング率の平方根に比例する。設問は「反比例する」としているため不適切。
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解説
パルスドプラ血流計では、移動体(血球)によるドプラシフト周波数は $\Delta f = \frac{2 f_0 v \cos\theta}{c}$ に従う。したがってビームと血流が垂直($\theta=90^\circ$)のとき $\cos\theta=0$ となりシフトが生じず測定できない。一方、ドプラ信号はパルス繰り返し周波数(PRF)でサンプリングされるため、検出可能なシフトの上限はナイキスト周波数 $f_{\text{PRF}}/2$ であり、これを超えると周波数折り返し(エイリアシング)が発生する。血流速度 $v$ が大きいほど $\Delta f$ が増し、折り返しは起こりやすい。最大計測深度は往復時間がPRFで制限され $D_{\max} \approx \frac{c}{2 f_{\text{PRF}}}$ となるため、PRFを上げるほど浅くなる。PRFは中心周波数(送信の振動周波数)とは独立の設定であり、「振動周波数の2倍以上」とする要件はない。以上より、正しいのは選択肢2と3。
選択肢別解説
誤り。目標(血流)がプローブに近づくときはドプラ効果により受信周波数は送信周波数より高くなる。式 $\Delta f = \frac{2 f_0 v \cos\theta}{c}$ で $v\cos\theta>0$(接近)なら $\Delta f>0$ となり受信周波数は上昇する。遠ざかるときに低下する。
正しい。ドプラシフトは $\Delta f \propto \cos\theta$ に比例し、超音波ビームが血流方向に対して垂直($\theta=90^\circ$)では $\cos\theta=0$ となりシフトが得られず、実質的に測定できない。
正しい。周波数折り返し(エイリアシング)は検出可能な上限(ナイキスト周波数) $f_{\text{PRF}}/2$ を超えるドプラシフトで発生する。血流速度が速いほど $\Delta f$ が大きくなるため、折り返しは起こりやすい。
誤り。PRFは送信超音波の中心周波数(MHz帯)とは別概念で、通常kHz帯に設定される。サンプリング定理が要求するのは $f_{\text{PRF}} > 2\lvert\Delta f\rvert$(ドプラシフトに対して)であり、$f_{\text{PRF}}$ をキャリア周波数 $f_0$ の2倍以上にする要件はない。
誤り。最大計測深度は $D_{\max} \approx \frac{c}{2 f_{\text{PRF}}}$ に反比例し、PRFが高いほど音波往復時間に許される余裕が小さくなるため浅くなる。したがって「高いほど大きい」は誤り。
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解説
誤りは3。心臓領域では肋骨間から小さな探触子で扇状に広い視野を得られるセクタ(位相配列)走査が適しており、リニア走査(長方形視野、接地面大)は一般に不適である。1は距離(軸)分解能の定義として正しい。距離分解能はビーム軸方向の2点を識別する能力で、空間パルス長(SPL)が短いほど向上し、高周波・パルス内サイクル数の少ない短パルスで改善する。2のBモードは輝度表示により断層像をリアルタイム観察する方式で正しい。4は胎児心拍の測定にドプラ法(ドプラ周波数偏移の検出)を用いる点で正しい。5は腹部(深部)観察に減衰を抑え深達度を確保する3〜5 MHz程度の比較的低周波を用いる点で正しい。
選択肢別解説
正しい。距離(軸)分解能は超音波ビームの軸方向(深さ方向)で近接した2点を識別する能力を指す。これは空間パルス長(SPL)に依存し、短パルス(高周波・パルス内サイクル数が少ない)ほど向上する。
正しい。Bモード(輝度変調法)は反射エコーの強度を輝度で表示し、断層像をリアルタイムで観察できるため一般的な超音波診断に適する。
誤り。リニア走査は長方形の視野で表在・血管・甲状腺などに適する。一方、心臓では肋骨間から小さな開口で広い視野を確保できるセクタ走査(位相配列:phased array)が一般的であり、心臓の画像診断にリニア走査が『適している』とはいえない。
正しい。胎児心拍数はドプラ法で心臓壁や血流による周波数偏移を検出し測定する(市販のドプラ胎児心音計など)。
正しい。腹部超音波では深部臓器を観察するため、減衰を抑えて深達度を確保できる3〜5 MHz程度の比較的低い周波数が用いられる(体格により2〜5 MHz程度で選択)。
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解説
本問は超音波ドプラ法の基礎。反射体(血球)がプローブに近づくと受信周波数は発信周波数より高くなる(正のドプラシフト)。ドプラ周波数は $f_d = \frac{2 f_0 v \cos\theta}{c}$ で与えられる。連続波(CW)ドプラは送受信を連続で行うため距離分解能がなく、特定深さの血流だけを選んで計測することはできない。一方、パルスドプラは距離分解能を持つが、最大検出可能ドプラ周波数はナイキスト周波数 $PRF/2$ に制限され、これを超えるとエイリアシング(折り返し)が生じる。また、最大計測深度は反射波が次パルス送信までに戻る必要から $PRF \le \frac{c}{2 d_{\max}}$ に制約され、PRFを上げるほど $d_{\max}$ は浅くなる。PRFは通常数kHzオーダであり、MHzは搬送波(送信超音波)の周波数帯である。以上より正しいのは1。
選択肢別解説
正しい。血流がプローブに向かって近づくとドプラシフト $f_d$ は正となり、受信周波数は発信周波数より高くなる。式は $f_d = \frac{2 f_0 v \cos\theta}{c}$。
誤り。連続波ドプラ法(CW)は距離分解能を持たず、ビーム内の全ての散乱体の速度成分を重ね合わせて検出するため、特定深さ(特定部位)の血流速だけを識別できない。
誤り。エイリアシングは高いドプラ周波数(=高い血流速や低い送受角、低いPRF設定など)で生じ、条件は $|f_d| > PRF/2$。血流速が小さいときには起こりにくい。
誤り。反射波が戻るまで次パルスを待つ必要があり、$PRF \le \frac{c}{2 d_{\max}}$。したがってPRFが高いほど許容される最大計測深度 $d_{\max}$ は浅くなる。設問は関係を逆に述べている。
誤り。パルスドプラのパルス繰り返し周波数(PRF)は通常数kHzオーダで、例えば $d_{\max}=15\,\mathrm{cm}$、$c\approx1540\,\mathrm{m/s}$ なら $PRF \lesssim \frac{1540}{2\times0.15} \approx 5.1\,\mathrm{kHz}$。5 MHzは超音波搬送波の周波数帯であり、PRFではない。
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