臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
超音波画像計測では、生体軟部組織中の音速は代表値として約1,540 m/s(おおむね1,500〜1,560 m/s)が用いられ、これを前提に往復時間から距離を算出する。超音波は周波数が高いほど吸収・散乱による減衰が大きく、到達深度は浅くなる一方で距離分解能は向上する。画像化の基本原理は、音響インピーダンス(密度×音速)が異なる組織境界で生じる反射エコーを利用する点にある。臨床的には、心エコーで心室壁厚などの形態計測が可能であり、また血管内エコー(IVUS)により血管内腔から断面像を取得して血管壁やプラークの評価ができる。
選択肢別解説
誤り。生体軟部組織中の音速は約1,540 m/sが代表値であり、約340 m/sは空気中の音速である。超音波診断装置はこの代表値を用いて距離(深さ)を計算するため、340 m/sとする記述は不正確。
誤り。超音波の減衰は周波数にほぼ比例して大きくなる。周波数が高いほど吸収・散乱が増し減衰が大きく、深部まで届きにくい(逆に分解能は向上する)。
正しい。超音波は音響インピーダンスが異なる境界で一部が反射し、その反射強度はインピーダンス差が大きいほど大きくなる。この反射エコーの時間情報から深さを求め、画像を構成する。
正しい。心エコーでは2D像やMモードを用いて、左室中隔(IVS)や後壁(PW)の厚さを拡張末期など規定のタイミングで測定できる。心室壁厚や収縮の評価に日常的に用いられる。
正しい。血管内エコー(IVUS)では、超音波トランスデューサを先端に備えたカテーテルを血管内に挿入し、内腔から血管の断面像を取得できる。これにより内膜やプラークの性状・分布を詳細に評価可能。
解説を表示するにはログインが必要です。ログインすると無料枠(1日5問)をご利用いただけます。
無料プランでは解説を1日5問まで表示できます。解説を表示すると残り回数が消費されます。
今日: 回 | 残り 回
本日の無料枠を使い切りました。プレミアム登録で無制限にご利用いただけます。
解説
パルスドプラ血流計は送受信を時間分割で行い、エコー到達時間から深さを選択(ゲーティング)できるため距離分解能を有する。血流速度推定はドプラ周波数シフト $f_D=\frac{2 f_0 v \cos\theta}{c}$ を用いる。パルス方式では非エイリアシングで観測できる最大ドプラ周波数がナイキスト限界 $f_N=\frac{PRF}{2}$ に制限されるため、最大計測速度は $v_{\max}=\frac{c\,PRF}{4 f_0 \cos\theta}$ となり PRF に依存する。一方、超音波周波数を高くすると組織内減衰が増え、到達深度(最大計測深度)は浅くなる。通常、送受信は同一振動子で行う(時分割)。
選択肢別解説
誤り。血流方向とビームが同方向($\theta=0^\circ$)では $\cos\theta=1$ となりドプラシフトは最大で、測定は可能である。測定不能となるのは $\theta=90^\circ$($\cos\theta=0$)に近いときである。
正しい。パルス方式ではナイキスト限界 $f_N=PRF/2$ を超えるとエイリアシングが生じるため、最大計測可能速度は $v_{\max}=\frac{c\,PRF}{4 f_0 \cos\theta}$ に従い PRF に依存する。PRFを上げれば $v_{\max}$ も上がる。
誤り。パルスドプラは送受信を時間分割で行い、同一振動子(単一素子)で送受信できる。別素子を必須とするわけではない。
誤り。超音波周波数が高いほど生体内減衰が大きくなるため、最大計測深度は浅くなる(ただし空間分解能は向上)。
誤り。パルスドプラはパルスの往復時間から深さを選択できるため距離分解能を持つ。距離分解能はパルス幅(空間パルス長)が短いほど良くなる。距離分解能を持たないのは連続波ドプラである。
解説を表示するにはログインが必要です。ログインすると無料枠(1日5問)をご利用いただけます。
無料プランでは解説を1日5問まで表示できます。解説を表示すると残り回数が消費されます。
今日: 回 | 残り 回
本日の無料枠を使い切りました。プレミアム登録で無制限にご利用いただけます。
解説
本問で誤っているのは2と3である。経胸壁(体表)からの心臓超音波検査では、減衰を抑えて十分な到達深さを得るために通常2〜5MHz程度(小児や浅部で高め)を用い、35MHzのような高周波は深部観察には不適である。一方、距離(軸方向)分解能は超音波パルスの空間パルス長SPL(波数nと波長$\lambda$により $\text{SPL}=n\lambda$)で決まり、軸方向分解能は概ね $\delta_z\approx \text{SPL}/2$ で改善される。したがって周波数を上げる($\lambda$を短くする)・パルス波数を減らすことが本質であり、振動子の数に比例するわけではない。Bモードは反射強度を輝度に写像して2次元表示する正しい記述で、一般的な探触子の振動子は圧電効果により送受信兼用である。カラードプラ法は平均流速と乱れを高速に推定する必要から自己相関法(Kasai法)を用いる。
選択肢別解説
正しい。Bモード(Brightness mode)は各走査線上の反射エコー強度(振幅)を輝度に対応づけ、走査位置と組み合わせて2次元画像化する。組織境界や散乱体からの反射が強いほど明るく表示される。
誤り。体表(経胸壁)からの心臓超音波検査では通常2〜5MHz程度(状況により〜7MHz)の周波数が用いられる。35MHzは減衰が大きく深部(心臓)には到達しにくいため不適で、むしろ眼科や血管内超音波など浅部・近接用途で用いられる帯域である。
誤り。距離(軸方向)分解能は空間パルス長SPLで決まり、$\text{SPL}=n\lambda$(nはパルス中のサイクル数、$\lambda$は波長)で表され、軸方向分解能は概ね $\delta_z\approx \text{SPL}/2$。したがって高周波化($\lambda$短縮)やパルス短縮(n減少)が有効であり、振動子(アレイ要素)の数に比例して決まるものではない。要素数は主に横方向(方位)分解能やビーム制御に寄与するが、比例関係を述べるのは不適切。
正しい。圧電素子は電気エネルギーと音響エネルギーを相互変換できるため、同一振動子が送受信兼用として機能する(パルス送受)。連続波ドプラでは送受用を分けた構成もあるが、本記述は一般的な診断用探触子として正しい。
正しい。カラードプラ法(カラー・フローマッピング)では、各画素の周波数シフトの平均値や分散を高速に推定するため自己相関法が用いられる。スペクトル表示(連続波/パルスドプラ)の速度分布解析にはFFT法が用いられるのが一般的である。
解説を表示するにはログインが必要です。ログインすると無料枠(1日5問)をご利用いただけます。
無料プランでは解説を1日5問まで表示できます。解説を表示すると残り回数が消費されます。
今日: 回 | 残り 回
本日の無料枠を使い切りました。プレミアム登録で無制限にご利用いただけます。
解説
ドプラ効果は、音源と観測者(受音点)の相対運動により観測される周波数が変化する現象である。観測周波数は媒質中の音速 v を含む式(例: 接近構成の一例として $f' = \frac{v + v_O}{v - v_S} f$)で表され、明確に音速に依存する。ドプラ効果は音波が伝わる任意の媒質(空気・水など)で生じ、基本的には音波の振幅(大きさ)には依存せず、周波数(高さ)が変化する。接近時には観測周波数は上昇(高く聞こえる)。一方、うなりはわずかに異なる2つの周波数の干渉で生じる振幅変調であり、ドプラ効果そのものとは別の現象である。
選択肢別解説
誤り。観測周波数は媒質の音速 v を含む式で表されるため、ドプラシフトは音速に依存する。例えば一例として $f' = \frac{v + v_O}{v - v_S} f$(記号は通常: v は音速、$v_O$ は観測者速度、$v_S$ は音源速度)と表され、v が変われば $f'$ も変化する。
正しい。ドプラ効果は波動一般の現象であり、音波が伝わる媒質であれば空気でも水中でも生じる。医用超音波や水中音響の速度計測などでも水中ドプラが利用される。
正しい。ドプラ効果は周波数(音の高さ)の変化であり、音波の振幅(音の大きさ)には依存しない。振幅は受音強度に関与するが、ドプラシフトの大きさを決める因子ではない(通常の線形音響の範囲)。
誤り。観測者が音源に接近すると、相対速度により観測周波数は上昇し、音は高く聞こえる。離反すると低く聞こえる。
誤り。うなりは周波数がわずかに異なる2つの音の干渉で生じる振幅変調(ビート)であり、相対運動による周波数の変化であるドプラ効果とは別概念である(うなりの基本周波数は $|f_1 - f_2|$)。
解説を表示するにはログインが必要です。ログインすると無料枠(1日5問)をご利用いただけます。
無料プランでは解説を1日5問まで表示できます。解説を表示すると残り回数が消費されます。
今日: 回 | 残り 回
本日の無料枠を使い切りました。プレミアム登録で無制限にご利用いただけます。