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臨床工学技士国家試験
解説
電極−皮膚界面は、抵抗成分(表皮や電解質の抵抗Re)と界面容量(Ce)を含む等価回路で表される。接触面積Aを大きくすると、電流が流れる有効断面が広がってReが低下し、かつ界面容量は $C=\varepsilon \frac{A}{d}$ で増大するため容量性リアクタンス $X_c=\frac{1}{2\pi f C}$ が小さくなり、総合的に電極接触インピーダンスは低下する。周波数fが高いほど $X_c$ は減少し、同様に接触インピーダンスは低下する。電極用ペースト(導電ジェル)は電解質を供給し、角質層の水和と微小隙間の充填によりReを下げるため、接触インピーダンスを低減する。新品電極は界面が未成熟で分極電圧(半電池電位)の安定性が悪く、直流オフセットや基線動揺が大きくなりやすいが、エージング(表面処理・使用による馴化)で安定化する。分極電圧は金属の標準電極電位や過電圧特性に依存し、金属の種類により異なる(例:Ag/AgClは非分極化で安定)。以上より、正しいのは3、4、5である。
選択肢別解説
誤り。接触面積を大きくすると、電流の通り道が広がって抵抗成分Reが低下し、界面容量Cは $C=\varepsilon \frac{A}{d}$ により増大するため容量性リアクタンス $X_c=\frac{1}{2\pi f C}$ が減少する。結果として電極接触インピーダンスは減少する。
誤り。周波数fが高くなると容量性リアクタンスは $X_c=\frac{1}{2\pi f C}$ に従い小さくなるため、電極接触インピーダンスは低下する。
正しい。電極用ペースト(導電ジェル)はNaClなどの電解質と水分を供給し、角質層の水和と微小隙間の充填で接触を改善して抵抗成分Reを低下させ、結果として電極接触インピーダンスを下げる。
正しい。新品の金属電極は界面が未成熟で分極電圧が不安定なため直流オフセットや基線動揺が大きくなりやすい。エージング(表面処理・使用による慣らし)により界面が安定化し、基線変動が小さくなる。
正しい。分極電圧(半電池電位や過電圧を含む)は電極材料の電気化学的特性に依存するため、金属の種類によって異なる。例としてAg/AgCl電極は分極が小さく安定、ステンレスなどは分極が大きくなりやすい。
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解説
本問の「物理量が起電力に変換される」は、物理量の変化そのものにより電圧(起電力)が直接生じるタイプ(自己発生型)のセンサを指す。サーモパイルはゼーベック効果で温度差を熱起電力に変換し、ホール素子は磁界の印加下でホール起電力が発生するため該当する。一方、差動トランス(LVDT)は外部からの励磁を必要とする変調型で、変位によって二次側の誘導電圧が変わる方式であり、物理量自体が起電力を「生成」するわけではない。CdSセル(フォトレジスタ)は入射光で抵抗が変化する抵抗変化型、ストレインゲージもひずみにより抵抗が変化する抵抗変化型で、いずれも起電力を直接発生しない。以上より、サーモパイルおよびホール素子が該当する。
選択肢別解説
サーモパイルは複数の熱電対を直列接続した素子で、ゼーベック効果により温度差(物理量)を熱起電力(電圧)に直接変換する。外部励磁を要さない自己発生型の代表であり、設問に該当する。
ホール素子は磁界中で電流を流すとローレンツ力によりキャリアが偏向し、磁束密度に比例したホール電圧(ホール起電力)が生じる。出力は電圧であり、物理量(磁界)を起電力として取り出すため該当する。
差動トランス(LVDT)は一次側に印加した交流励磁に対して、可動鉄心の位置で相互インダクタンスが変化し、二次側の誘導電圧が変化する変調型。物理量(変位)が起電力を自ら生成するのではなく、外部励磁の電圧を変調しているため本設問の趣旨には当たらない。
「Cセル」は文脈上CdSセル(硫化カドミウムのフォトレジスタ)を指すと考えられ、入射光量に応じて抵抗値が変化する抵抗変化型センサである。電源を組んだ回路で電圧変化として検出はするが、物理量自体が起電力を直接発生するわけではないため該当しない。
ストレインゲージはひずみにより導体や半導体の抵抗値が変化する抵抗変化型センサであり、外部電源を用いたブリッジ回路で電圧変化として読み取る。物理量が直接起電力を生成する方式ではないため該当しない。
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解説
パルスオキシメータは、酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンで赤色光(約660 nm)と赤外光(約940 nm)の吸光特性が異なることを利用し、経皮的に動脈血酸素飽和度(SpO2)を推定する装置である。測定では指先などを透過する光のうち、心拍に同期して変動する動脈血由来の脈動(AC)成分を抽出して計算し、静脈血や組織による定常(DC)成分の影響を相対化する。換気量(分時換気量・一回換気量)の監視は本来スパイロメトリやカプノグラフィで行うため、パルスオキシメータは不適である。センサ装着部位の厚みなどはDC成分に含まれ、比の演算で相殺されるため個別の厚み校正は不要である。一方、COHbやMetHbなどの異常ヘモグロビンは2波長式パルスオキシメータの前提を崩し、SpO2の過大・過小評価(例:COHbで過大、MetHbで約85%付近への収斂)を招く。
選択肢別解説
正しい。通常は赤色光(約660 nm)と赤外光(約940 nm)の2波長で吸光度を測定し、HbO2とHHbのモル吸光係数の差を利用してSpO2を推定する。
正しい。光電脈波(フォトプレチスモグラム)の脈動(AC)成分を用いて動脈血のみの情報を抽出し、静脈血や組織の影響(DC成分)を相対化して除去する。
誤り。パルスオキシメータは酸素化(SpO2)の指標であり、換気量(VTやVE)のモニタではない。換気の量的評価はスパイロメータや呼吸回路のフローメータ、カプノグラフィ等で行う。SpO2は補助酸素下では低換気でも正常値を示し得るため換気量指標として不適。
誤り。指の厚みや組織の光路長はDC成分として扱われ、比(ratio-of-ratios)の演算で影響が相殺されるため、装着部位の厚みに関する個別校正は不要である。重要なのは適切な装着と動揺・外光の遮断である。
正しい。COHbやMetHbなどの異常ヘモグロビンは2波長での前提と異なる吸光特性を示し、SpO2に系統誤差を生じる(例:COHbで過大評価、MetHbで約85%付近に偏る)。多波長式のパルスCO-オキシメトリは影響を評価可能だが、標準的2波長式は影響を受ける。
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解説
経皮的血液ガス分析(tcPO2/tcPCO2)は、電極内蔵ヒータで皮膚をおよそ42〜44℃に加温し、毛細血管を拡張・動脈血化させることで、毛細血管から拡散した酸素・二酸化炭素が角質層を透過して電極に到達するのを利用して計測する。新生児では採血の負担が大きく皮膚も薄いため、tcガスモニタは呼吸管理に有用で適応が広い。一方、同一部位への長時間装着は低温熱傷のリスクがあるため、定期的な貼付部位のローテーションが必要である。本問で誤っているのは「新生児の計測には不適である」である。
選択肢別解説
正しい。経皮電極にはヒータが内蔵され、一般に42〜44℃に加温して局所の血管拡張と動脈血化を促進する設定が用いられる。
(表記上は「加湿」となっているが、内容としては加温を指すと考えられ)正しい。皮膚の加温により毛細血管が拡張し、動脈血化が進むことでガス拡散量が増え、測定精度が向上する。
正しい。動脈血化した毛細血管から拡散してきたO2とCO2が角質層を透過し、電極(O2はクラーク型、CO2はセベリングハウス型が代表)で計測される。
誤り。経皮的血液ガスモニタは非侵襲的で、新生児の呼吸管理に広く用いられる代表的手段であり適している(成人では角質層の肥厚等により影響を受けやすい)。
正しい。42〜44℃での長時間連続装着は低温熱傷のリスクがあるため、貼付部位を定期的に変更するなどの対策が必要である。
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