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臨床工学技士国家試験
解説
耳式赤外線体温計は、外耳道から鼓膜の赤外放射を非接触で検出し、放射エネルギーから鼓膜温を推定する。鼓膜は内頸動脈系の血流の影響を強く受け、視床下部近傍の血流温と整合しやすいため、直腸温や食道温などの核心温に近い値が得られる。検出素子はサーモパイルや焦電型などの熱型赤外線センサが用いられ、量子型(光導電・光起電力型)のような冷却を要する高速高感度素子は一般的な耳式体温計では用いられない。測定は瞬時だが、プローブを耳に保持し続ける必要や装着性・衛生上の制約から連続測定には不向きである。外耳道炎、耳垢、外耳道の形状やプローブの向きの不適合は鼓膜からの放射検出を妨げ、測定値に誤差を生じうる。
選択肢別解説
正しい。耳式体温計は鼓膜(およびその近傍)から放射される赤外線を受光し、放射強度と温度の関係に基づき温度を推定する。適切な指向性で鼓膜を狙うことが精度確保に重要である。
正しい。鼓膜は内頸動脈系の血流の影響を強く受け、視床下部近傍の血液温を反映しやすいため、直腸温・食道温などの核心温に近い体温が得られるとされる。適切な位置合わせができれば外気温の影響も受けにくい。
誤り。一般的な耳式体温計はサーモパイルや焦電素子などの熱型赤外線検出器を用いる。量子型(光導電型・光起電力型)検出器は高感度だが、冷却や複雑な回路を要するため家庭用・医療用の耳式体温計では通常採用されない。
誤り。測定は瞬時に可能だが、プローブを耳内に安定保持する必要や装着性・衛生面の制約があり、体温の連続監視には適さない。連続監視には食道温・膀胱温・肺動脈温など他手法が用いられる。
正しい。外耳道炎や耳垢の付着、外耳道の腫脹は鼓膜からの赤外放射の到達・検出を妨げ、過大・過小いずれの誤差も生じうる。正確な測定には外耳道の状態確認と適切なプローブ方向合わせが必要である。
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解説
耳用赤外線体温計は、鼓膜や外耳道から自発的に放射される赤外線(熱放射)を受動的に検出して温度に換算する装置である。一般に検出器には熱型のサーモパイルが用いられ、短時間(約1~2秒)で測定可能である。挿入角度・深さ、外耳道の形状や耳垢の有無で鼓膜の見通しが変わり測定値がばらつくことがある。鼓膜温は中枢温に近く、末梢である腋窩温より高めに出る傾向がある。よって「鼓膜に赤外線を照射する」は誤りで、正しくは“鼓膜からの赤外線を検出する”。
選択肢別解説
誤り。耳用赤外線体温計は鼓膜から放射される赤外線を受動的に検出して温度を求める。装置が鼓膜へ赤外線を照射して測るわけではない。
正しい。赤外線検出器には熱型検出器であるサーモパイル(多数の熱電対を直列接続)が広く用いられ、入射赤外線により生じる温度差を起電力として検出する。
正しい。耳用赤外線体温計は1~2秒程度の短時間で測定できる設計であり、迅速測定が特徴である。
正しい。プローブの挿入角度・深さや外耳道の形状、耳垢の存在によって鼓膜からの放射を十分に捉えられない場合があり、測定値がばらつく。
正しい。鼓膜温は中枢温に近く、末梢の腋窩温より高めに出る傾向がある。臨床解釈時には測定部位による系統的差を考慮する。
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解説
体温計測に関する原理と適用機器の対応を問う問題。正しい対応は、ゼーベック効果→熱電対温度計、熱流補償(ゼロ熱流)法→深部体温計、焦電効果→鼓膜温度計、ステファン・ボルツマンの法則→サーモグラフである。誤りは「ペルチエ効果→サーミスタ温度計」。サーミスタ温度計は半導体の抵抗温度特性(温度係数)を利用しており、電流により接合部で吸熱・発熱が起こるペルチェ効果は温度制御・冷却素子などに用いられる原理で、サーミスタの計測原理とは無関係である。サーモグラフは放射則 $M=\varepsilon\sigma T^4$(ステファン・ボルツマンの法則)を用いて表面温度を画像化し、鼓膜温度計は鼓膜からの赤外放射を焦電素子等で検出して温度推定を行う。深部体温計(ゼロ熱流法)は体表からの熱流を外部加熱で打ち消し、熱流がゼロのときに体表温が深部温に一致する性質を利用する。
選択肢別解説
正しい組合せ。ゼーベック効果は二種金属の接合に温度差が生じると熱起電力が発生する現象で、熱電対温度計はこの起電力から温度差を測る。実機では基準接点補償を行い、対象点の絶対温度を算出する。
正しい組合せ。熱流補償(ゼロ熱流)法の深部体温計は、皮膚表面にヒータとセンサを配置して外部加熱で体表からの放熱を打ち消し、熱流がゼロになった時の皮膚温を深部温に一致させて計測する。非侵襲で連続的に中枢体温指標を得られる。
正しい組合せ。焦電効果は温度変化により自発分極が変化して電荷が生じる現象。鼓膜温度計は鼓膜の赤外放射を焦電素子(等のIRセンサ)で受け、その信号から温度を推定する(放射温度計の一種)。
正しい組合せ。ステファン・ボルツマンの法則は物体の放射エネルギーが絶対温度の4乗に比例すること($M=\varepsilon\sigma T^4$)。サーモグラフは対象の放射(赤外)強度を測定し、放射率補正を行って表面温度分布を画像化する。
誤った組合せ。ペルチェ効果は異種導体接合部に電流を流すと吸熱・発熱が生じる現象で、主に温度制御・冷却(ペルチェ素子)に用いられる。一方サーミスタ温度計は半導体の抵抗値が温度で変化する性質(温度係数)を利用するため、原理が一致しない。適切な対応は『サーミスタ温度計—半導体の抵抗温度特性』である。
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解説
サーモグラフィは体表から放射される赤外線(主に8–14 µm帯)を非接触で検出し、物体の放射率を考慮して温度分布として画像化する装置である。温度への換算はプランクの放射則やステファン・ボルツマンの法則 $W = \epsilon \sigma T^4$ を基礎とする。医用・産業用の一般的な装置では温度分解能(熱感度、NETD)はおおむね0.1°C程度、良い機種で0.02–0.05°C程度で、リアルタイム(例: 30 fps前後)で計測できる。センサには、熱型(マイクロボロメータ: VOx, a-Si、焦電型: LiTaO3 など)や量子型(InSb, HgCdTe など)が用いられ、可視〜近赤外に感度をもつシリコンフォトダイオードは長波長赤外(体温帯)には適さない。以上より、体表からの放射赤外線を計測するという記述が正しい。
選択肢別解説
誤り。サーモグラフィの温度分解能(NETD)は一般に約0.1°C程度で、良い装置では0.02–0.05°C程度もある。1°C程度は粗すぎる。
誤り。サーモグラフィは放射エネルギーと温度の関係を用いるため、ステファン・ボルツマンの法則やプランクの放射則に基づく。ボイル・シャルルの法則(気体の圧力・体積・温度関係)は原理では用いない。
正しい。サーモグラフィは体表から放射される赤外線(熱放射、主に8–14 µm)を検出し、放射率を考慮して温度分布画像として表示する非接触計測法である。
誤り。現在の装置はビデオレートで動作し、1フレームの計測時間は約1/30〜1/60秒(30〜60 fps)程度である。30秒は遅すぎる。
誤り。医用サーモグラフィで用いられるのはマイクロボロメータ(VOx, a-Si)などの熱型やInSb, HgCdTeなどの量子型検出器であり、可視〜近赤外に感度をもつシリコンフォトダイオードは体温帯の長波長赤外検出には不適である。
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解説
$医用サーモグラフは、人体が自ら放射する赤外線(熱放射)を受動的に検出し、その放射強度から表面温度分布を画像化する装置である。放射の物理はステファン \cdot ボルツマンの法則(放射束密度 M = \varepsilon\sigma T^4)などに基づき、放射率補正や帯域特性を加味して温度に換算する。検出器には熱型(ボロメータ、焦電型)と光量子型(HgCdTe[MCT]、InSb など)があり、光量子型は高感度 \cdot 高速で医用にも用いられる。赤外線は皮膚深部まではほとんど到達しないため、得られるのは体表の温度分布であり、深部温度はわからない。温度分解能(NETD)は一般に約0.1℃(数10 mK)程度で、1℃というのは不適切に大きい。$
選択肢別解説
誤り。サーモグラフは対象から『放射される』赤外線を受動的に検出して温度を推定する装置であり、赤外線を照射して計測する能動的装置ではない。
正しい。光量子型(量子型)検出器は赤外線の光子を吸収してキャリアを発生させる方式で、HgCdTe(MCT)やInSbなどが代表例。高感度・高速でサーモグラフィに用いられる。
$正しい。放射強度は概ねステファン \cdot ボルツマンの法則 M = \varepsilon\sigma T^4 に従うため、放射率や装置の帯域特性を補正して温度を求める。実機ではプランクの法則に基づく帯域補正 \cdot キャリブレーションを併用するが、原理として妥当。$
誤り。赤外線は生体深部まで透過しないためサーモグラフで分かるのは皮膚表面の温度分布である。深部温度の評価は別の計測法が必要。
誤り。医用サーモグラフの温度分解能(NETD)は一般に約0.1℃(数10 mK)程度であり、1℃は粗すぎる。
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解説
温度に応じて電気抵抗が変化する原理を利用する温度センサは、半導体系のサーミスタと金属系の測温抵抗体(代表例が白金)である。サーミスタは多くが負の温度係数で温度上昇で抵抗が低下し、白金測温抵抗体は正の温度係数で温度上昇で抵抗が増加する。一方、サーモパイルや熱電対は温度差による熱起電力(電圧)を測るもので抵抗変化を利用しない。CdSは光量で抵抗が変わるフォトレジスタであり、温度センサとしての抵抗変化利用には該当しない。
選択肢別解説
誤り。CdS(硫化カドミウム)は光量で抵抗が変化するフォトレジスタで、主用途は光センサ。温度による抵抗変化を温度計測に用いるセンサではない。
誤り。サーモパイルは複数の熱電対を直列接続したもので、温度差により熱起電力(電圧)を出力する。抵抗変化を計測する方式ではない。
正しい。サーミスタは温度により抵抗値が大きく変化する半導体(多くはセラミックス)で、温度センサとして広く用いられる。一般的には負の温度係数(NTC)型が多いが、PTC型も存在する。
正しい。「白金」は白金測温抵抗体(Pt測温抵抗体)を指し、金属の抵抗率が温度上昇で増加する正の温度係数を利用する高精度な抵抗式温度センサである。
誤り。熱電対は異種金属接点間の温度差でゼーベック効果により電圧を発生させる方式で、抵抗変化を利用しない。
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