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臨床工学技士国家試験
解説
インピーダンス式呼吸モニタ(インピーダンス・ニューモグラフィ)は、胸部に貼付した電極間に高周波の微小交流電流を流して得られる胸郭インピーダンスの周期変動から呼吸を検出する方式である。空気は体液・組織より電気的に通しにくいため、吸気で肺に空気が増えると胸郭全体の見かけのインピーダンスは増加し、呼気で減少する。よって「吸気時にはインピーダンスが減少する」は誤り。患者監視装置ではこの波形から呼吸数などをモニタする。測定には電極分極等の影響を避ける目的で数十kHz帯の交流が一般に用いられ、心電図モニタ用電極を兼用して測定できる設計の機器が広く普及している。
選択肢別解説
正しい。電極分極の影響を小さくし安定にトランスサラシック・インピーダンスを検出するため、一般に数十kHz帯の微小交流信号が用いられる。
正しい。インピーダンス呼吸波形から呼吸イベントを抽出し、患者監視装置で呼吸数(RR)などを連続モニタするのが目的である。
正しい。胸部体表に貼付した電極間に微小交流電流を印加し、その電気インピーダンスの変化(吸呼気に伴う胸郭・肺含気量の変化)を計測する。
誤り。吸気では肺の含気量が増え、空気は組織・体液より電気を通しにくいため、胸郭全体としての見かけの電気インピーダンスは増加する。したがって「減少する」は逆である。
正しい。多くの患者監視装置では心電図用の胸部電極を流用してインピーダンス呼吸を同時に測定できる(ECG電極兼用)。専用電極を要さない構成が一般的である。
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解説
本問の「人体にエネルギーを加えて生体情報を得る」は、生体計測学でいう能動的計測(外部から微弱な電流・超音波・光などのエネルギーを人体に与え、その応答を測る)を指す。選択肢中でこれに該当するのは、胸部に微弱な高周波電流を流して胸郭インピーダンスの変化から呼吸動態を推定するインピーダンスニューモグラフである。他の選択肢は、生体が自発的に発する信号や状態(磁界・温度・足圧など)を外部エネルギーを与えずに検出する受動的計測に分類される。なお、カプノメータは赤外線光源を用いるが、照射対象は採取した呼気サンプルであり、人体にエネルギーを加える装置ではない。
選択肢別解説
カプノメータは呼気中CO₂濃度を赤外線吸収で測定する。赤外線は分析器内で採取ガスに照射され、人体へエネルギーを加えないため、能動的計測装置には該当しない。
SQUID磁束計は心磁図・脳磁図など生体由来の微弱磁界を超伝導センサで受動的に検出する装置であり、人体に外部エネルギーを与えない。
熱電対体温計はゼーベック効果により接点の温度差から起電力を得て温度を測る受動的計測。人体へエネルギーを加えない。
インピーダンスニューモグラフは胸部に微弱な高周波電流(外部エネルギー)を流し、呼吸に伴う胸郭インピーダンス変化を測定する能動的計測装置である。設問の条件に合致する。
重心計(スタビロメータなど)は被検者の足圧中心や荷重分布の変化を力センサで受動的に検出する装置であり、人体にエネルギーを加えない。
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解説
抵抗変化を利用する受動型センサは、物理量(温度・光量など)に応じて素子の電気抵抗が変化し、その変化をブリッジ回路や電圧分割で読み取る。サーミスタは温度によって抵抗が大きく変化し(NTC/PTC)、CdSセルは入射光量で抵抗が変わる光導電素子である。一方、ホール素子は磁束密度で横方向の起電力が発生($V_H \propto IB$)、熱電対はゼーベック効果により温度差で熱起電力が発生($E = S\,\Delta T$)、圧電素子は機械的応力で電荷・電圧が発生($Q = d\,F$)するため、いずれも主たる出力は電圧であり「抵抗変化を利用する素子」ではない。したがって該当するのはサーミスタとCdSである。
選択肢別解説
サーミスタは感温半導体で、温度変化により抵抗値が大きく変化する(NTC/ PTC)。抵抗変化を利用する素子であり、設問に適合する。
CdS(硫化カドミウム)セルは光導電素子で、入射光量に応じて抵抗値が変化するフォトレジスタ。抵抗変化を利用する素子であり、設問に適合する。
ホール素子はホール効果を利用し、磁界中で電流を流すと横方向に起電力(電圧)が生じる素子で、主たる出力は電圧である。抵抗変化を利用する素子ではないため不適。
熱電対はゼーベック効果により異種金属接点間の温度差で熱起電力(電圧)が生じる。出力は電圧であり、抵抗変化を利用する素子ではないため不適。
圧電素子は圧電効果により機械的応力で電荷が発生し、結果として電圧を出力する。抵抗変化を利用する素子ではないため不適。
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解説
パルスオキシメータは赤色光と赤外光の2波長で動脈血中の酸素化ヘモグロビン割合(SpO2)を推定する。ヘモグロビンの酸素解離曲線は体温上昇やアシドーシス(pH低下)で右方移動し、同じ動脈酸素分圧(PaO2)でも酸素飽和度(SaO2/SpO2)は低下するため、これらは正しい記述となる。一方、インジゴカルミンやメチレンブルーなどの色素は測定波長の吸収に影響し測定誤差を生じるため「影響しない」は誤りである。また、CO-Hbは2波長式ではオキシヘモグロビンとして扱われやすく、実際より高めに表示されうるため「影響しない」は誤り。さらに、末梢循環不全などで拍動成分が十分に得られないと演算が不安定化し誤差や測定不能が生じるため、その指摘は正しい。
選択肢別解説
体温上昇はヘモグロビンの酸素親和性を低下させ、酸素解離曲線を右方移動させる。結果として、同じPaO2でも酸素飽和度(SaO2/SpO2)は低くなるため正しい。
アシドーシス(pH低下)はBohr効果により酸素解離曲線を右方移動させ、同じPaO2でも酸素飽和度が低下する。したがって正しい。
インジゴカルミン(いわゆるインジゴブルー)やメチレンブルー、インドシアニングリーンなどの色素は、パルスオキシメータが用いる赤色・赤外光の吸収に影響し、一過性のSpO2低下表示などの測定誤差を招く。よって「影響しない」は誤り。
CO-Hbは2波長式パルスオキシメータではオキシヘモグロビンと区別しにくく、SpO2を実際より高値に表示させる要因となる。したがって「影響しない」は誤り。
パルスオキシメータは拍動成分(動脈血の脈動)を利用するため、末梢循環不全・低灌流・重度血管収縮などで拍動検出が不良だと演算が不安定となり、誤差増大や測定不能を来す。よって正しい。
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解説
物理量を電気信号に変換するトランスデューサのうち、「抵抗変化」を直接利用するのはサーミスタである。サーミスタは温度に応じて抵抗値が大きく変化し、一般的なNTC型では温度上昇で抵抗が減少する。特性は例えば $R(T)=R_0\exp\{B(1/T-1/T_0)\}$ のように表され、ブリッジ回路などで抵抗変化として読み出す。一方、ホール素子はホール効果による起電力、熱電対はゼーベック効果、太陽電池は光起電力効果、圧電素子は圧電効果により電圧・電荷を生じる「起電力系(アクティブ)」の素子であり、抵抗変化を主作用として利用するものではない。したがって正答はサーミスタ。
選択肢別解説
誤り。ホール素子はホール効果を利用し、磁束密度 $B$ と駆動電流 $I$ に比例するホール電圧 $V_H$(例: $V_H\propto I\,B$)を生じる起電力型センサである。出力は主として発生電圧であり、抵抗変化を検出原理としない。
誤り。熱電対はゼーベック効果により温度差 $\Delta T$ に比例する熱起電力 $V$($V=S\,\Delta T$)を発生させて温度を測定する。抵抗変化ではなく起電力の発生を利用する。
正しい。サーミスタは温度による抵抗値の変化を利用する受動素子で、NTC型が一般的。温度特性は $R(T)=R_0\exp\{B(1/T-1/T_0)\}$ 等で表され、ブリッジ回路などで抵抗変化として読み取る。
誤り。太陽電池は光起電力効果(光照射で内部に起電力が生じる現象)を利用し電圧・電流を発生させる素子で、抵抗変化を原理としない。
誤り。圧電素子は機械的応力により電荷・電圧が生じる圧電効果を利用する(例: $Q=dF$, $V=Q/C$)。原理は起電力の発生であり、抵抗変化を利用しない。
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解説
生体での熱移動は大きく「熱伝導」「対流(血流や外気の流れ)」「熱放射」の3機序で説明できる。体表では外気との温度差により自然対流や気流(送風)による強制対流が生じ、熱放散を助ける(ニュートンの冷却則: 放熱はおおむね温度差に比例)。一方、皮膚など固相の組織内部ではバルクな流体運動がないため、基本的には熱伝導が支配的である。生体全体としては血流が熱を運ぶ対流効果が大きく、深部と体表の温度分布に強く影響する。熱放射については人体(約310 K)の放射ピークは遠赤外域(約10 µm付近)であり、近赤外ではない。熱伝導はフーリエの法則 $\mathbf{q}=-k\nabla T$ に従い温度勾配に比例し、温度の4乗に比例するのは放射(ステファン・ボルツマン則 $q=\varepsilon\sigma\left(T^4-T_{\text{周囲}}^4\right)$)である。
選択肢別解説
正しい。体表からの放熱には空気の自然対流や風による強制対流が寄与する。気流速度が上がると対流熱伝達係数が増し、放熱が促進される(ニュートンの冷却則 $q=hA\left(T_{\text{皮膚}}-T_{\text{空気}}\right)$)。
正しい。皮膚のような固相の組織内部ではバルクな流体運動がないため、熱の主な伝達は熱伝導であり、対流はほとんど存在しない。血流は微小循環として存在するが、ここでは「組織内の固相」における対流がほぼない点を述べていると解釈できる。
誤り。人体(約310 K)の熱放射のピーク波長はウィーンの変位則 $\lambda_{\max}\approx\frac{2.9\times10^{-3}}{T}$ より約9〜10 µmで、遠赤外域に相当する。近赤外(約0.75〜1.4 µm)ではない。
誤り。生体組織における熱伝導はフーリエの法則 $\mathbf{q}=-k\nabla T$ に従い温度勾配(温度差)に比例する。温度の4乗に比例するのは熱放射であり、ステファン・ボルツマン則に対応する。
正しい。生体内では血流が熱を運ぶ対流効果を担い、深部から体表への熱移送や局所の温度調節に大きく寄与する(Pennesの生体熱移動式でも灌流項が主要因として扱われる)。
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解説
経皮的血液ガス分圧測定(PtcO2・PtcCO2)は、センサ装着部位の皮膚を約42〜44℃に加温して毛細血管を拡張(動脈化)し、角質のガス透過性を高めることで、皮膚から拡散してくるO2・CO2を電極で連続測定する方法である。O2はクラーク電極、CO2はセベリングハウス電極が用いられることが多い。装着直後は皮膚の加温・動脈化・膜内ガス平衡などに時間を要し、一般に安定化には10〜20分程度かかる。測定傾向として、PtcCO2は皮膚代謝由来のCO2産生と加温の影響でPaCO2より高値になりやすい。一方、PtcO2は成人では皮膚拡散抵抗のためPaO2より低値になりやすく、新生児では等しい範囲に収まることがある。低灌流・浮腫・厚い皮膚・センサ圧迫などは誤差要因であり、熱傷予防のため貼付部位のローテーションも重要である。
選択肢別解説
正しい。センサ部の皮膚を約42〜44℃に加温することで毛細血管を拡張(動脈化)し、角質のガス透過性も上がるため、O2・CO2が皮膚表面へ拡散しやすくなる。これにより血液ガス分圧を反映した経皮測定が可能となる。
正しい。加温により血中ガスが皮膚を通って拡散し、装着した電極(一般にO2はクラーク電極、CO2はセベリングハウス電極)で分圧として検出する。
誤り。装着後すぐは皮膚の動脈化や電極・膜の平衡が不十分で、計測値が安定するまで通常10〜20分程度を要する。3分は短すぎる。
誤り。PtcCO2は皮膚(基底層など)の代謝によるCO2産生と加温の影響で、PaCO2より高値となるのが一般的であり、「同等または低値」とはならない。
正しい。PtcO2は成人では皮膚拡散抵抗などの影響でPaO2より低値になりやすい。新生児などでは等しい範囲に収まることもあり、全体として「同等または低値」という記述は妥当である。
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解説
トランジットタイム型超音波血流計は、流路の上下流方向に超音波を送受し、流れにより生じる上り・下りの伝搬時間差(Δt)から流速成分を求め、流量に換算する方式である。原理上、流れがゼロのときは時間差もゼロとなるためゼロ点補正を基本的に要しない。超音波を用いるため電磁的なノイズや干渉の影響を受けにくく、電気的に血液回路へ電流を流さない。装置構成上、複数プローブを同時接続して多チャネルで同時計測できる機種が一般的である。一方、体表面から非侵襲で血管内血流を測る用途はドプラ法が適しており、トランジットタイム法は体外循環回路のチューブや術中に血管へクランプ装着する使用形態が主である。
選択肢別解説
誤り。トランジットタイム法は上下流の伝搬時間差を測るため、無流時には時間差がゼロとなり原理的なゼロ点補正は不要である(装置によって微小なオフセットの自動補償があるが、設計上「必須」とはされない)。
誤り。体表面からの非侵襲的な血流測定は一般にドプラ法が用いられる。トランジットタイム法は、体外循環回路のチューブや露出血管にプローブをクランプして用いるのが基本で、体表面経由の測定は想定されない。
$正しい。趣旨としては超音波の伝搬時間差を利用する方式であり、流れに応じて上流 \cdot 下流の伝搬に要する時間が変化し、その差から流速を求める。設問文の「伝搬速度」は厳密には「伝搬時間差」と表現するのが適切である(誤記の可能性はtypo_checkに記載)。$
正しい。超音波を利用するため電磁血流計のような電磁誘導の影響や電極ノイズを受けにくく、電磁干渉(EMI)にも比較的強い。電気的な導通を血液回路へ作らない点でも非干渉性が高い。
正しい。トランジットタイム式のモニタは複数のプローブ入力を備え、複数部位の血流を同時に監視できる機種が広く用意されているため、多チャネル同時計測が可能である。
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