臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
生体計測用電極は、生体内で流れるイオン電流を計測装置内の電子電流に変換する電気化学的インターフェースであり、界面では半電池電位や分極が関与する。接触インピーダンスは主に角質層の抵抗・界面容量により規定され、電極の接触面積を広くし、導電性ペースト(ジェル)で角質層の隙間を埋めることで低下する。銀-塩化銀(Ag/AgCl)電極は電荷移動反応が起こりやすく分極しにくい不分極電極として心電図などで標準的に用いられる。カーボン電極は低原子番号材料でX線減弱が小さく、撮影時にアーチファクトを生じにくい。従って「接触面積を広くすると接触インピーダンスが上昇する」は誤りで、正しくは低下する。
選択肢別解説
正しい。電極は生体側(イオン担体:Na⁺、K⁺、Cl⁻など)と計測回路側(電子担体)を接続し、界面の電気化学反応によりイオン電流を電子電流へと変換する役割を担う。
誤り。接触インピーダンスは概ね接触面積に反比例し、面積を広げるほど低下する。面積増大により電流密度が下がり、界面抵抗・界面容量の影響が小さくなって雑音やアーチファクトの低減に寄与する。
正しい。電極ペースト(導電性ジェル)は角質層の微小な隙間を埋め、電解質経路を形成して接触抵抗を低下させるため、接触インピーダンスを下げて安定した計測を可能にする。
正しい。銀-塩化銀(Ag/AgCl)電極は界面で可逆的な電荷移動反応(例:AgCl(s)+e⁻ ⇄ Ag(s)+Cl⁻)が起こりやすく、分極電位が生じにくい不分極電極として扱われ、低雑音・安定な計測に適する。
正しい。カーボンは低原子番号でX線吸収が小さく、電極自体がX線をよく透過するため、X線撮影時の画像アーチファクトが生じにくい。
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解説
血液ガス分析用の代表的電極は、測定対象ごとに「何を信号として取り出すか」が異なる。pHはガラス膜の内外で生じる膜電位差(ネルンスト応答)を測る。$P_{\mathrm{O}_2}$ はClark電極(ポーラログラフ法)で電極間に直流電圧を印加して得られる拡散律速の還元電流を測る。$P_{\mathrm{CO}_2}$ はSeveringhaus電極で、CO2透過膜を通過したCO2が内部の緩衝液に溶解して生じるpH変化をpH電極で測る。経皮的分圧測定では皮膚を加温し局所血流を増やして動脈化させる。一方、ISFETはイオン感応膜によってゲート表面電位(しきい値電圧)を変化させ、その電位変化(あるいはそれに伴うトランジスタのチャネル電流変化)を電気的に読み出すデバイスであり、イオン感応膜を“透過したイオン電流”そのものを計測するわけではない。したがって誤りは選択肢5。
選択肢別解説
正しい。pHガラス電極はガラス膜の内外面で生じる水素イオン活量差に対応した膜電位差を測定する(ネルンストの式に従い、25℃で約59 mV/pHの感度)。よって記述は妥当。
正しい。$P_{\mathrm{O}_2}$ 測定はClark電極(白金陰極・Ag/AgCl陽極)を用い、約0.6 Vの直流電圧を印加して、膜を透過して拡散・還元される酸素に比例する定常電流(ポーラログラフ電流)を計測する。
正しい。$P_{\mathrm{CO}_2}$ 測定のSeveringhaus電極では、CO2透過膜(テフロン等)を通って内部の緩衝液に溶けたCO2が $CO_2+H_2O \rightleftharpoons H_2CO_3 \rightleftharpoons H^+ + HCO_3^-$ を生じ、その結果のpH変化を内蔵のpH電極で検出する。
正しい。経皮的血液ガス分圧(tcPO2/tcPCO2)では、プローブで皮膚を加温(一般に約40〜43℃)し血管拡張・血流増加を起こして局所を動脈化させ、動脈血に近い分圧を得る。
誤り。ISFET(イオン感応性電界効果トランジスタ)は、ゲート上のイオン感応膜で生じる界面電位変化を検出するポテンショメトリックセンサであり、イオン感応膜を“透過したイオン電流”を直接計測するものではない。実際にはゲート表面電位の変化として読み出し、電圧またはFETのチャネル電流の変化として計測する。
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解説
血中二酸化炭素分圧(PCO2)は、セバリングハウス電極を用いる電位差測定法で測定される。CO2透過性膜(一般にテフロン膜)を通過したCO2が緩衝液中で CO2 + H2O ⇄ H2CO3 ⇄ H+ + HCO3− の反応によりpHを変化させ、そのpH変化をpHガラス電極とAg/AgCl比較電極の電位差として検出し、校正式によりPCO2に換算する。PO2はクラーク電極(アンペロメトリック法)で測る点と区別することが重要。サーモパイル、ストレインゲージ、熱線型白金線(電極)などは温度・放射・力/圧力・流量などの計測に用いられ、血中PCO2の直接測定には用いない。
選択肢別解説
正しい。セバリングハウス電極はCO2透過膜、緩衝液、pHガラス電極とAg/AgCl比較電極などで構成され、CO2により生じるpH変化を電位差として検出しPCO2を求める(ポテンショメトリック法)。血液ガス分析装置や経皮PCO2計で用いられる代表的手法である。
誤り。サーモパイルは複数の熱電対を直列接続した熱型検出器で、赤外線の放射量や温度差の測定(例:鼓膜体温計、放射温度計)に用いられる。血中PCO2の電極法測定には用いない。
誤り。クラーク電極は白金陰極とAg/AgCl陽極を用いるアンペロメトリック法で、溶存酸素(PO2)を測定するための電極である。CO2分圧の測定には適さない。
誤り。ストレイン(歪み)ゲージは抵抗変化を利用して力や圧力、変位を電気信号に変換するセンサで、観血式血圧トランスデューサなどに用いられる。PCO2測定の原理・用途とは異なる。
誤り。熱線型白金線(電極)は熱線風速計や熱線式呼吸流量計で用いられるもので、対流による冷却で電気抵抗や保持電力が変化する原理を利用する。血中PCO2の測定には用いない。
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