臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
体温計測では、接触式(腋窩・口腔などで用いる電子体温計)にはサーミスタが一般的に用いられる。サーミスタは温度で抵抗値が大きく変化する素子で、特にNTC型が温度センサとして広く使われる。一方、サーモパイルは多数の熱電対を直列接続した熱型赤外線センサで、非接触の放射温度計やサーモグラフィ、耳式赤外線体温計の受光部などに用いられる。サーモグラムは体表からの熱放射(赤外線放射)を画像化したもので、熱対流の可視化ではない。耳式赤外線体温計は鼓膜から放射される赤外線を測定して鼓膜温を推定し、深部体温に近い値となるため、表在の腋窩温と等しくはならない。
選択肢別解説
誤り。一般に“電子体温計”と呼ばれる接触式の体温計ではサーミスタが主流である。サーモパイルは赤外線(熱放射)を電圧に変換する熱型赤外線センサで、非接触測温(サーモグラフィや耳式赤外線体温計)で用いられる。
正しい。サーミスタは温度によって抵抗が大きく変化する抵抗素子(NTC型・PTC型)。体温計には一般にNTCサーミスタが用いられ、抵抗変化から温度を高感度に求める。
誤り。サーモグラムは体表からの熱放射(赤外線放射)を検出し画像化したもの。熱対流(空気の動きによる熱移動)を直接画像化するものではない。
誤り。耳式赤外線体温計は鼓膜からの熱放射(赤外線)を非接触で検出する。熱伝導を測っているわけではない。
誤り。鼓膜温は深部体温(核心温)に近く、表在温である腋窩温より一般に高めとなる。測定原理・部位が異なるため等しくはならない。
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解説
本問は各体温計測法の原理・検出素子の違いを問う。電子体温計は一般にNTCサーミスタを感温素子として用い、抵抗—温度特性から温度を算出する。予測式電子体温計は、平衡温到達前の温度上昇曲線をモデル化して最終平衡温(体温)を推定する。非侵襲の深部体温計(深部体温推定器)は熱流補償法(ゼロ熱流法)を用い、皮膚表面への外部加温により体内から表面への熱流をゼロに近づけ、そのときの表面温が深部(核心)温に一致するとみなして測定する。一方、耳用赤外線体温計は鼓膜からの赤外放射(主に8〜14 µm帯)を熱型検出器(サーモパイルや焦電型)で受光するのが一般的で、冷却を要する量子型検出器は通常用いないため、この選択肢が誤りとなる。サーモグラフは体表からの赤外線放射分布を二次元画像化する装置であり、この定義は正しい。
選択肢別解説
正しい。一般的な電子体温計は測温体としてNTCサーミスタを用い、温度上昇に伴う抵抗値の変化から温度を算出する。応答が速く小型・安価で、医療用体温計の感温素子として広く普及している。
正しい。予測式電子体温計は、測定開始直後の温度上昇曲線の形状(初期勾配や時定数)をモデル化・外挿して、平衡到達前に最終平衡温(体温)を推定することで測定時間を短縮している。
正しい。深部体温計(非侵襲型)は熱流補償法(ゼロ熱流法)を用い、皮膚表面を外部加温して体内から表面への熱流がほぼゼロとなる状態を作り、そのときの表面温が深部(核心)温に一致するとみなして測定する。臨床では核心温の良好な近似法として用いられる。
誤り。耳用赤外線体温計は鼓膜からの赤外放射を検出するが、用いられるのは熱型検出器(サーモパイルや焦電型)が一般的である。量子型検出器(InSbやHgCdTeなど)は高感度・高速だが多くは冷却を要し、医療用耳式体温計には通常採用されない。
正しい。サーモグラフは体表面から放射される赤外線の空間分布を二次元画像として可視化する装置である。検出素子は装置により異なり、近年は非冷却の熱型(マイクロボロメータ等)が多いが、選択肢の定義自体は妥当である。
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解説
体温計測では、用途や測定原理に応じてセンサと表示分解能が異なる。基礎体温用(婦人用)電子体温計は排卵期のわずかな変化(約0.3〜0.5℃)をとらえるために小数点以下2桁(0.01℃刻み)で表示し、実表示は36.58℃のような4桁相当となる。深部体温の非侵襲推定には、皮膚面の熱流をゼロにするよう加熱して補償する熱流補償法(ゼロ熱流法)が用いられる。医用サーモグラフィは体表の熱放射=遠赤外線(主に8〜14 µmなど)を検出するため、近赤外線ではない。予測式電子体温計は接触型でサーミスタを用いるのが一般的で、サーモパイルは非接触の赤外線体温計で使われる。耳用赤外線体温計は数秒でスポット測定する装置であり、連続測定には適さない。
選択肢別解説
正しい。基礎体温は日内差が小さく、排卵期でも約0.3〜0.5℃の差しかないため、0.01℃分解能(小数点以下2桁)の表示が必要となる。したがって36.58℃のように4桁相当の表示となる。
正しい。深部体温計では皮膚表面の熱流を加熱で打ち消してゼロに保つ熱流補償法(ゼロ熱流法)を用い、皮膚温から深部体温を推定する。前額部などで非侵襲的にコア温度に近い値を得られる。
誤り。医用サーモグラフィは体表からの熱放射(遠赤外線)を検出する。主に大気の透過窓である8〜14 µm(または3〜5 µm)帯を用い、近赤外線ではない。
誤り。予測式電子体温計は接触型でサーミスタ(温度によって抵抗が変化)を用いるのが一般的である。サーモパイルは赤外線エネルギーを起電力に変換する素子で、非接触型(耳用や額用など)の赤外線体温計で用いられる。
誤り。耳用赤外線体温計は短時間のスポット測定に適し、連続測定には不向きである。連続測定にはゼロ熱流法プローブや食道・膀胱温などの連続モニタが用いられる。
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解説
体温計測の代表的な原理は、接触式(サーミスタなど)と非接触式(赤外線放射の検出)に大別できる。電子体温計(接触式)は一般に高感度・高抵抗温度係数のNTCサーミスタを温度センサに用いる。一方、耳用赤外線体温計は鼓膜から放射される赤外線(熱放射)を検出し、サーモパイルや焦電型などの熱型検出器で受光して温度に換算する。量子型検出器(例:HgCdTe、InSb など)は高感度だが冷却等が必要で、耳用赤外線体温計には通常用いられない。深部体温(核温)の推定には、体表からの熱流をヒータで打ち消し、体表の温度勾配をゼロに近づける熱流補償法(ゼロ熱流法)を用いる深部体温計が用いられ、センサにはサーミスタが一般的である。したがって、正しい記述は「深部体温計は熱流補償法を利用している」である。
選択肢別解説
誤り。電子体温計(接触式)では温度センサとして主にサーミスタ(NTC)が用いられる。サーモパイルは赤外線放射を電圧に変換する熱型検出器で、耳用赤外線体温計など非接触式で一般的に用いられる。
誤り。耳用赤外線体温計は鼓膜からの熱放射(赤外線)を検出して温度を推定する。熱伝導ではなく放射(輻射)を利用する点が本質である。
誤り。耳用赤外線体温計で一般的なのはサーモパイルや焦電型といった熱型検出器である。量子型検出器(例:HgCdTe、InSb)は高感度だが冷却を要するなど実用条件が厳しく、耳用体温計では通常採用されない。
正しい。深部体温計は体表からの熱流をヒータで補償し、皮膚表面の温度勾配をゼロに近づけて深部体温(核温)を推定する熱流補償法(ゼロ熱流法)を原理としている。
誤り。深部体温計の温度センサはサーミスタが一般的である。CdS(硫化カドミウム)は光導電素子であり、光センサとして用いられるもので温度プローブには適さない。
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解説
体温計測では、予測式電子体温計は短時間で最終到達温を推定表示できる点が特徴で、水銀体温計(実測式)より測定時間が短い。鼓膜温は鼓膜から放射される赤外線を検出する赤外線放射温度計(耳式体温計)で測る。深部体温計は熱流補償法を用い、プローブ内蔵ヒータで体表面と深部の熱流を見かけ上ゼロに調整し、熱平衡となったプローブ温から深部温を推定する。サーモグラフィは体表面からの赤外線放射を検出し、温度分布画像として表示する。なお、電子体温計に用いられるサーミスタは一般にNTC(負の温度係数)型であり、温度上昇で抵抗は減少するため、「抵抗が増大する」とする記述は誤りである。
選択肢別解説
予測式電子体温計は、初期の温度上昇カーブから平衡温をアルゴリズムで推定し、数十秒程度で表示できる。実測式の水銀体温計は脇窩などで平衡到達まで数分を要するため、本記述は正しい。
鼓膜温は鼓膜からの赤外放射を検出する赤外線放射温度計(耳式体温計)で測定する。検出素子は赤外線センサで、鼓膜の放射エネルギーを電気信号に変換して温度に換算するため、本記述は正しい。
電子体温計に用いられるサーミスタは一般にNTC(Negative Temperature Coefficient)型で、温度が上がると抵抗は減少する。記述の『温度上昇で抵抗が増大』はPTCの性質であり、体温計の一般的仕様と反するため誤りである。
深部体温計の熱流補償法は、プローブと体表の間の熱流がゼロになるよう内蔵ヒータで補償し、体表と深部を熱平衡に近づけることで、プローブ温=深部温とみなして測定する手法であり、記述は正しい。
サーモグラフィは体表面から放出される赤外線放射エネルギーを検出し、温度に換算して温度分布を画像化する装置であるため、記述は正しい。
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解説
各種体温計測法と検出素子の対応を問う問題。電子体温計は温度によって抵抗が変化するサーミスタ(多くはNTC)が用いられる。鼓膜体温計は外耳道からの赤外放射を受光するため、赤外線の熱起電力を利用するサーモパイルが用いられる。皮膚温は熱電対(ゼーベック効果)でも測定可能で、臨床でも広く用いられる。深部体温計は体表からの熱流をヒータで打ち消して温度勾配をゼロにし、深部温に等しくなる点を推定する熱流補償(ゼロ・ヒートフロー)方式が原理で、ヒータを用いるのが妥当である。一方、サーモグラフ(サーモグラフィ装置)は赤外線検出器(熱型:ボロメータ、焦電素子、サーモパイル等/量子型:InSb、HgCdTeなど)を用いるが、CdS(硫化カドミウム)は可視域に感度が高い光導電素子であり赤外熱画像の検出には適さないため、組合せ3が誤りである。
選択肢別解説
電子体温計には温度変化で抵抗が変化するサーミスタが用いられる。多くは負の温度係数(温度上昇で抵抗低下)のNTCサーミスタで、微小温度変化を高感度に電気信号へ変換できるため適切な組合せである。
鼓膜体温計は外耳道内の赤外放射(主に8~14 µm帯)を測定し、受光素子としてサーモパイル(多数の熱電対の直列接続)を用いて熱起電力として検出する。したがって適切な組合せである。
サーモグラフ(熱画像装置)は被写体の赤外放射を検出するため、赤外用の検出素子(例:ボロメータ、焦電型、サーモパイル、量子型のInSbやHgCdTeなど)を用いる。CdS(硫化カドミウム)は可視光に感度の高い光導電素子で赤外熱画像用には不適であるため、この組合せは誤り。
皮膚温度計測には熱電対も用いられる。2種金属接合部の温度差に比例した熱起電力(ゼーベック効果)を測定して温度を求める方式で、皮膚表面温の計測に適用可能なため妥当な組合せである。
深部体温計は熱流補償(ゼロ・ヒートフロー)法が原理で、プローブ内のヒータを制御して体表からの熱流を相殺し、体表温が深部温に近づく条件を作る。よってヒータを用いるのは適切な組合せである。
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解説
体温計測の代表的な方式と原理を整理する。サーミスタはMn・Ni・Coなどの金属酸化物を焼結した素子で、温度変化に対する抵抗変化(多くはNTC)を利用する。ダイオード温度センサは一定の順方向電流を流したときの順方向電圧が温度上昇で低下する性質(およそ -2〜-2.5 mV/$^{\circ}$C)を利用する。サーモグラフィは生体が放射する赤外線(熱放射)を検出する放射温度計であり、紫外線は用いない。赤外線鼓膜体温計は熱電堆(サーモパイル)で鼓膜からの赤外放射を電圧として検出する。予測式体温計は平衡到達前の温度上昇曲線から最終平衡温度を推定し、測定時間を短縮する。したがって誤っているのは紫外線とする選択肢である(3)。Wienの変位則 $\lambda_{\max}=\frac{2898\ \mu\text{m}\cdot\text{K}}{T}$ より、体温付近(約310 K)の放射は赤外域(約9.3 $\mu$m)にピークを持つ。
選択肢別解説
概ね正しい。サーミスタは遷移金属(Mn、Ni、Coなど)の金属酸化物を主材料として焼結した素子で、温度変化に対する抵抗変化が大きい(NTC特性が代表的)。医用体温計測でも広く用いられる。
内容の趣旨は正しく(正解肢ではない)。ただし厳密には「抵抗の減少」ではなく、一定の順方向電流を流したときのダイオードの順方向電圧が温度上昇で低下する性質を利用する。シリコンダイオードでは温度係数はおよそ -2〜-2.5 mV/$^{\circ}$Cである。
誤り。サーモグラフィは生体からの赤外放射を検出する放射温度計であり、紫外線は利用しない。Wienの変位則から体温付近(約310 K)の放射ピークは赤外域(約9.3 $\mu$m)に位置する。
正しい。赤外線鼓膜体温計は熱電堆(サーモパイル)を用いて鼓膜からの赤外放射を電圧として検出する。問題文の「サーモバイル」は「サーモパイル」の誤記と考えられるが、意図する内容は正しい。
正しい。予測式体温計は、平衡到達前の温度上昇曲線から最終的な平衡体温を推定するアルゴリズムを用い、測定時間を短縮している。
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解説
家庭用電子体温計は腋窩や口腔など体表近くの温度を主としてサーミスタで検出する機器で、深部体温(核心温)の直接計測には適さない。婦人用(基礎体温計)は排卵周期の微小変動を捉える必要があるため、一般用(最大許容誤差おおむね±0.1 ℃)より高精度(約±0.05 ℃、分解能0.01 ℃)が規定される。測定方式は、実測式は平衡温度到達まで時間を要するのに対し、予測式は短時間(約15〜30秒)で最終体温を推定するため測定時間が短い。一般的な家庭用電子体温計はヒータを内蔵しない(ヒータは熱流補償式など深部体温計で用いられる)。
選択肢別解説
誤り。家庭用電子体温計は腋窩・口腔などの体表近傍温を測るもので、深部体温(核心温)の直接計測には不向きである。体表と深部では温度差や環境影響があり、深部体温は専用法(食道温、直腸温、鼓膜深部法など)で評価する。
正しい。婦人用(基礎体温計)は排卵期の微小変動を検出する目的から高精度が求められ、最大許容誤差はおおむね±0.05 ℃、表示分解能0.01 ℃が一般的である。一般用は通常±0.1 ℃程度であり、婦人用の方が高精度である(JISの規定に基づく)。
誤り。家庭用電子体温計の温度センサは高感度・高応答のNTCサーミスタが一般的である。CdSe(セレン化カドミウム)は光導電素子として用いられる材料で、体温計の温度センサとしては通常採用されない。
誤り。実測式は測定部位が平衡温度に達するまで待つため、腋窩で約10分、口腔で約5分程度かかる。一方、予測式は短時間(約15〜30秒)で最終体温を推定するため、予測式の方が測定時間は短い。
誤り。一般的な家庭用電子体温計はヒータを内蔵しない。ヒータは熱流補償法などで深部体温を推定する装置に用いられることがあるが、家庭用の臨床電子体温計には通常搭載されない。
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